法政大学FDシンポ

大学図書館の学習・教育支援
をめぐる動向と課題
-情報リテラシー教育論再考-
東京西地区大学図書館相互協力連絡会
2008年度研修セミナー
2008(平成20)年6月17日(火)
野末 俊比古(青山学院大学)
配布資料の訂正
p.1 の 6
「行動」「心理」  「行動」「思考」「心理」
 p.3以降のページ付け(ページ下部)
-4- ~ -15-  -3- ~ -14
お手数をおかけします m(_ _)m
1. はじめに
(1) 講演の趣旨・視点
学習・教育支援機能をめぐって
 「情報リテラシー教育(論)」を中心に
 利用者(学習者)の「行動」「思考」
「心理」も視野に

(2) 講演の構成
2. 大学図書館における学習・教育支援
サービス
3. 情報リテラシー教育の本来的意義・機能
4. 情報リテラシー教育と大学図書館の役割
5. 「戦略」としての情報リテラシー教育(論)
6. 利用者(学習者)の「行動」「心理」と
図書館サービス
2. 大学図書館における
学習・教育支援サービス
(1) 大学図書館の基本的機能
学習図書館的機能(学習・教育支援)と
研究図書館的機能(研究支援)
 貸出し図書館的機能(資料提供)と
参考調査図書館的機能(情報提供)

学習図書館的機能と研究図書館的機能
学習
研究
学習図書館的機能と研究図書館的機能
学習
研究
学習図書館的機能と研究図書館的機能
学習
研究
貸出し図書館的機能と
参考調査図書館的機能
貸出し
参考調査
貸出し図書館的機能と
参考調査図書館的機能
参考調査
貸出し
貸出し図書館的機能と
参考調査図書館的機能
参考調査
貸出し
学習・教育活動と図書館
ニーズ
図書館
教員(教育) 学生(学習)
サービス
(2) 学習・教育支援サービスの現状
大学図書館の
学習・教育支援機能に関する調査
質問紙(郵送)法
 2001年2~3月
 全国の四年制大学図書館(中央館)
 配布629、有効回答470(75%)

調査結果:サービスの実施状況
0%
20%
40%
60%
1.指定図書
2.推薦図書
3.希望図書
4.基本図書
5.新入生オリ
6.図書館BI
7.授業BI
8.レポート
9.グループ
10.講演会
11.コンピュータルーム
12.NW端末
13.シラバス
14.メディア
指定図書制度
教員推薦図書制度
学生購入希望図書制度
学習・教育基本図書(別置)
実 施
計画中
予定なし
80%
48.1%
72.1%
93.6%
35.5%
無回答
無 効
100%
調査結果:サービスの実施状況
0%
20%
40%
60%
新入生オリエンテーション
図書館内での利用指導
授業における利用指導
1.指定図書
2.推薦図書
3.希望図書
4.基本図書
5.新入生オリ
6.図書館BI
7.授業BI
8.レポート
9.グループ
10.講演会
11.コンピュータルーム
12.NW端末
13.シラバス
14.メディア
80%
92.8%
86.6%
53.8%
レポート作成支援 26.0%
シラバス作成支援 11.1%
実 施
計画中
予定なし
無回答
無 効
100%
調査結果:学習・教育支援機能の
強化・充実のための課題
0%
20%
40%
60%
80%
1) 図書館員の能力開発
8.能力開発
2) レファレンスサービス機能の強化
9.レファレンス
3) 蔵書構築で教員との密接な関係
1.教員との関係
4) 授業(教員)との連携
5) 情報技術を持つ専門家の必要性
2.授業との連携
13.IT専門家
特に
重要
あまり
重要でない
無回答
無効
100%
3. 情報リテラシー教育の
本来的意義・機能
Q. これは「情報リテラシー」?
Excelでデータを入力、グラフを作成
 HTMLでホームページを作成
 Google でAND検索やOR検索
 NDCで図書を探す
 著作権法第32条を守る
 出会い系サイトを使わない

(1) 情報リテラシーの今日的な理解
「情報」を主体的に使いこなす能力
 中身は分野・文脈に依存
 一種のスローガンとして機能
 スキル(技能)の側面が強調
 類縁概念との区別は曖昧
 「図書館リテラシー」も(重要な)要素

(参考)情報リテラシーの本来的な定義
そもそも「リテラシー」とは?
 そもそも「情報」とは?
 それでは「情報リテラシー」とは?

(2) 教育目標としての情報リテラシー
「リテラシー」は「コミュニティ」が規定・要請
 習得・向上を「教育目標」として位置づけ
 「問題解決能力」の中核

大学(学生)における
情報リテラシーのイメージ
図書館リテラシー
情報リテラシー
問題解決能力
大学における学習
4. 情報リテラシー教育と
大学図書館の役割
(1) 利用者教育の展開
「図書館」「資料」→「情報」
 「探索・収集」+「整理・分析」「表現・
発信」
 「図書館(員)」+「図書館以外(授業・
教員など)」
「情報リテラシー教育」としての
位置づけ

情報リテラシーと利用者教育
教員
情報リテラシー教育
授業
・・・
図書館
利用者教育
(2) 利用者教育の実施状況
JLA: 2003年5月、回答1478館(89.8%)
図書館オリエンテーション:
実施している 59.2%、していない 39.2%
 講習会等: 29.1%、68.5%
 学科関連指導: 27.0%、70.2%

(3) 実践における最近のトピック(例)
導入教育(初年次教育)
 教材の作成・共有(テキスト・
パスファインダなど)
 出張(出前)講座

(4) 研究・政策をめぐる動向
研究・政策
実践
研究をめぐる動向(例)
レビュー研究(国内)の登場
 大規模な実態調査の実施・公開
 実践に基づく報告・考察
 理論的・歴史的な分析・検討

政策をめぐる動向(例)
IT基本法(2001)
 「大学図書館における電子図書館的
機能の充実・強化について(建議)」
(1996)
 「学術情報基盤の今後の在り方につ
いて(報告)」(2006)

Q. 空欄に入る言葉は?
Ⅱ. 2. 大学図書館を取り巻く課題
2.5 図書館サービスの問題点
多くの大学で行われている( )は、
教養教育及び各専門分野における
教育との( )が不十分であり、効果が
( )である。
A. 情報リテラシー教育の
位置付けが不明確
多くの大学で行われている情報リテラシー
教育は、教養教育及び各専門分野における
教育との連携が不十分であり、効果が
限定的である。(「学術情報基盤の今後の
在り方について(報告)」2006年)
5. 「戦略」としての情報
リテラシー教育(論)
(1) 利用者教育から指導サービスへ
図書館の「内部」から「外部」の文脈へ
(大学における情報リテラシー教育)
 「逐次的」「個別的」「単発的」から
「計画的」「体系的」「組織的」へ
 これまでの活動・理論の再構築・体系化
 「利用者」の視点に立って
 図書館経営・政策上の「戦略」

(参考)学校教育(初等中等)
における情報教育
「情報活用能力」の育成(情報教育の
体系化)
 情報活用の実践力
 情報の科学的な理解
 情報社会に参画する態度
 情報教育環境の整備:IT戦略本部
「重点計画-2006」など

(参考)「情報教育」の
体系化のイメージ
実践力
|科学的理解| 態度
-------+-----+------
小 総 各
|
|
--合-教--+-----+------
的 科
|
|
中 な ・ 技 術 ・ 家 庭
社会
学 科
|
|
--習-目--+-----+------
で で
| 数学等 |
高 の の
|
|
公民
活 活 普 通 教 科「情 報」
用 用
|
|
(参考)高校普通教科「情報」
目標: 情報化の進展に主体的に
対応できる能力・態度の育成
 構成: 「情報A」「情報B」「情報C」
から1科目以上が必修
 特徴: 「問題解決」が基礎、文理
融合型、実習(技能)重視、…

(2) 指導サービスの「6W1H」
対象(Whom)と目的(Why)
 目標(What)と方法(How)
 カリキュラム(When、Where、Who)

対象(Whom)と目的(Why)
学生(学部生)など
自立した情報利用者
(課題解決能力)
内容(What)と方法(How)
内容(目標)
1. 印象づけ
2. サービス案内
3. 情報探索法指導
4. 情報整理法指導
5. 情報表現法指導
直接的方法
間接的方法
カリキュラム(When、Where、Who)
指導の順序・段階: PDCA、ID、…
 授業との関連
 関連なし(図書館独自)
 学科関連指導
 学科統合指導
 独立学科目

(参考)立ち止まって考えると‥‥
図書館が「していること」「すべきこと」
「できること」
 主題の知識と学習・教育・研究の手法
(作法)の理解
 本来は、図書館サービスを「誰でも」
「すぐに」利用できるのが理想?

6. 利用者(学習者)の「行動」
「思考」「心理」と図書館サービス
(1) 新たな「情報リテラシー観」
に基づく指導サービス
「スキル」+「態度」「関心」「意欲」…
 利用者の「ニーズ」と「ディマンズ」
cf. 利用者(学習者)のプロフィル
cf. 目標の共有: 「スタンプカード」
 「メタ認知」と「メディアの使い分け・組合せ」
 情報倫理と責任 cf. 「加害者」と「被害者」

(2) 情報探索・利用行動の理解と対応
さまざまな行動様式: ブラウジング、
チェイニング、モニタリング、…
 「思わぬ(新たな)出会い」
(セレンディピティ)の可能性(開架の意義)
 探索・利用ツールの工夫: パスファ、Q&A、
サイン、IRシステム・インタフェース、…

さまざまな情報探索行動の様式
ブラウジング
 チェイニング
 モニタリング
:

思わぬ出会いの可能性
「セレンディピティ」とは?
 開架の意義
 セレンディピティの促進・演出

探索・利用ツールの工夫
パスファインダ
 Q&A(FAQ)
cf. 協働レファレンス、AskA
サービス、…
 サイン
 IRシステム・インタフェース cf. 自然言語
処理・情報抽出技術
:

(3) 「図書館(情報)不安」の軽減
心理(感情・情意)的な障壁の「大きさ」
 「わかりやすさ」
 「安心感」
 「心地よさ」

「わかりやすさ」の追求
「業界用語」の回避
 サインの工夫
 ディレクトリ・マップの作成

:
「安心感」の醸成
ツール(パスファ・ヘルプ・マニュアルなど)
の利用・作成
 「小道具」の利用
 「ウロウロ」の効用
:

「心地よさ」の演出
「目線」に注目
 キャラクタの設定
 色彩、音(騒静)、広さ(広狭)、…

:
(4) 「場(空間)」としての図書館
「作業場」として
 「居場所」として
 「ワンストップサービス」の展開

「(共同)作業場」として
文献+パソコン
 作業机+コピー機・製本機・文具類
 会話・飲食可
 「インフォメーションデスク」「ヘルプ
デスク」

「居場所」として
ソファ(ベッド?)
 「秘密基地」
 親子室
 ガラス壁・テラス席
cf. ホスピタリティ

「ワンストップサービス」の展開
「窓口」で「ナビゲーション」
 もちろんインターネットなども活用
 レファレンス/レフェラルサービスを発展
cf. 「only one」でなく「one of them」
→「first one」として

7. おわりに
(1) 学習・教員(支援)センター
としての図書館
機能として
空間として
課題と展望はいろいろ‥‥
図書館(員)と授業(教員)との連携
図書館員の技能・知識の維持・向上
:
:
「ノウハウ・ツール」の開発・共有
(2) 学習・教育活動における
「パートナーシップ」
図書館
学生・教員
ありがとうございました
ご意見、ご批判をお待ちしています
(後日の場合はメールやファクスで)
問4 電子図書館的サービス
0%
20%
40%
60%
80%
1.教材
2.シラバス
3.講義録
4.電子J
5.外部DB
6.リンク集
7.利用案内
8.利用教育
9.リクエスト
10.レファレンス
11.複写依頼
実 施
計画中
予定なし
無回答
無 効
100%
(2) 大学図書館を取り巻く状況
情報化  ネットワーク(資源)利用
少子化  大学のユニバーサル化
行財政改革  効率化・評価・・・
・・・
サービス/ニーズの多様化・高度化
(1) 図書館資料と学術情報(資源)
図書館資料
学術情報(資源)
デジタル化・ネットワーク化
(ハイブリッド)
選択・収集  組織化  保存  提供
利用者
情報リテラシー(概念)の変遷
70年代: ビジネス能力
 80年代: 日常生活全般
 90年代: 「教育」に焦点
 00年代: デジタルデバイドの解消

(参考)これは「情報リテラシー」?
Excelでデータを入力、グラフを作成
 HTMLでホームページを作成
 Yahoo! でAND検索やOR検索
 NDCで図書を探す
 著作権法第32条を守る
 出会い系サイトを使わない

情報リテラシーの今日的な理解
情報を主体的に使いこなす能力
 中身は分野・文脈に依存
 一種のスローガンとして機能
 スキル(技能)の側面が強調
 類縁概念との区別は曖昧
 「図書館リテラシー」も(重要な)要素

最近の研究動向(例)
レビュー研究(国内)の登場
 大規模な実態調査の実施・公開
 実践に基づく報告・考察
 理論的・歴史的な分析・検討

最近の実践動向(例)
導入教育(初年次教育)
 出張(出前)講座
 教材・ツール作成: テキスト、パスファ
インダ、ウェブ、…

最近の政策動向(例)
IT基本法(2001)
 「大学図書館における電子図書館的
機能の充実・強化について(建議)」
(1996)
 「学術情報基盤の今後の在り方につ
いて(報告)」(2006)

4.高校までの「情報教育」の現状
(教科「情報」を中心に)
(参考)これは「情報リテラシー」?
Excelでデータを入力、グラフを作成
 HTMLでホームページを作成
 Yahoo! でAND検索やOR検索
 NDCで図書を探す
 著作権法第32条を守る
 出会い系サイトを使わない

学校教育における情報教育
情報活用能力の育成:「生きる力(課
題解決能力)」として
 情報活用能力の要素(焦点)
 情報活用の実践力
 情報の科学的な理解
 情報社会に参画する態度
 情報環境の整備:「e-Japan戦略」「IT
新改革戦略」など

「情報教育」の体系化のイメージ
実践力
|科学的理解| 態度
-------+-----+------
小 総 各
|
|
--合-教--+-----+------
的 科
|
|
中 な ・ 技 術 ・ 家 庭
社会
学 科
|
|
--習-目--+-----+------
で で
| 数学等 |
高 の の
|
|
公民
活 活 普 通 教 科「情 報」
用 用
|
|
高校普通教科「情報」の概要
目標: 情報化の進展に主体的に対応
できる能力・態度の育成
 構成: 「情報A」「情報B」「情報C」から
1科目以上が必修
 特徴: 「問題解決」が基礎、文理融合
型、実習(技能)重視、…

(参考)中学校「技術・家庭」
「情報とコンピュータ」
情報手段が果たす役割
 コンピュータの構成・機能・操作
 コンピュータの利用
 ネットワーク
 (マルチメディアの活用)
 (プログラムと設計・制御)

5.大学図書館における
学術情報リテラシー教育の展開
大学図書館における利用者教育
「図書館」「資料」→「情報」
 「探索・収集」+「整理・分析」「表現・
発信」
 「図書館(員)」+「図書館以外(授業・
教員など)」

「指導サービス」の意義
図書館の「内部」から「外部」の文脈へ
(体系的な情報リテラシー教育)
 「利用者」の視点を重視
 図書館経営・政策上の「戦略」
これまでのサービスの体系化・再構築

各館における指導サービスの展開
「逐次的」「個別的」「単発的」→「計画
的」「体系的」「組織的」
 これまでの活動(サービス)の再構築
(体系化)

企画・実施にあたって①
指導サービスの意義・内容(目標)
必要性(目的): 図書館の使命など、
利用者のニーズなど、…
 有効性(評価): 効果、効率、…

(参考)「ニーズ」とは?
need
 demand

企画・実施にあたって②
指導サービスの対象
利用者層の把握・分析
 プロフィルの作成、…

企画・実施にあたって③
指導サービスの方法(手法)
直接(対面)/間接(遠隔)
 同期的/非同期
 集合(集団)/個別(個人)
 ツール(メディア)の活用

企画・実施にあたって④
指導サービスの手順など
指導の順序(段階)
 授業との関連
 関連なし(図書館独自)
 学科関連指導
 学科統合指導
 独立学科目

「指導サービス」の指針など



米国: ACRLの指針・基準など
日本: JLAの指針など
「たたき台」や「拠りどころ」として
さまざまな課題(例)
プログラムのマネジメント
指導内容・方法などの体系化・標準
化・共有化
 さまざまな利用者(ニーズ)への対応
 環境の整備・確保
 学内での位置づけ(教員・授業)
 職員の「指導」技能(養成・研修)

6.おわりに
大学コミュニティにおける位置づけ(ラ
イブラリアイデンティティ)
 図書館員の役割(専門性)

ありがとうございました
ご意見、ご質問をお待ちしています
(後日の場合はメールやファクスで)
休 憩
11:15~11:30
共同討議
趣旨:「学術情報リテラシー教育」に関
する企画づくり(現状・課題・解決策の
検討・共有)
 形式:班ごとの討議・作業、全体で発
表・討議

共同討議:一日目(班別)
ねらい:状況把握、重要な/共通する
課題、企画づくりのテーマを決定
 進行:①司会決定、②自己(自館)紹
介、企画テーマ相談
 対象:「誰に」「何を」←企画内容
 観点:主な論点←討議内容(a.~f.)

休 憩
16:30~ 再開
共同討議(班別)
趣旨:「学術情報リテラシー教育」に関
する現状・課題の共有
 各人からの報告(質疑応答を含め、一
人5分程度)
 重要な/共通する課題を中心に意見
交換→3日目の討議テーマを決定

お疲れさまでした
つづきは3日目の共同討議にて
(または今日の「懇親会」にて)
明日も9:30からです
班別討議・作業(13:30~15:30)
(1) 一日目の残りがあればそこから
(2) テーマ(重要・共通な課題)について
・問題の所在(現状)
・問題の原因・背景
・解決の方針や今後の展望
・(具体的な)活動計画
※各館の事例(現状・課題)も取り入れて
※講義・演習・報告の内容も踏まえて
班別討議・作業(13:30~15:30)
(3) 討議の結果(経緯)を、5分程度のプ
レゼンにまとめる(資料作成)
・研修で学んだことを取り入れて
・「タイトル」も工夫
・できればリハーサルも
休 憩
15:45~ 班ごとの発表(プレゼン)
発表(15:45~16:45)
各班からの討議結果の報告
 第1班~第6班
 各班5分間(移動・準備を除く)
 質疑応答はあとでまとめて

全体討議・まとめ(16:45~17:15)
質疑応答・意見交換
 講師所感・総括

お疲れさまでした
さらなるご活躍を祈念いたします
情報リテラシーの構成要素
米国情報リテラシーフォーラム「調査
結果報告」(1992)
 情報の必要性を認識
 正確で完全な情報が知的意思決定の
基礎になることを認識
 情報ニーズに基づいて質問を定式化

情報リテラシーの構成要素(つづ
き)
利用可能な情報源を同定
 効果的な探索戦略を立てる
 コンピュータなどの技術を利用した情
報源にアクセス
 情報を評価

情報リテラシーの構成要素(つづ
き)
情報を組織化
 既存の知識体系の中に新しい情報を
統合
 批判的思考と問題解決において情報
を利用

(A) 情報活用の実践力
 情報手段の適切な活用を含め
 必要な情報を主体的に収集・判
断・表現・処理・創造、発信・伝達
できる能力
(B) 情報の科学的な理解
 情報手段の特性の理解
 情報を扱うため、情報活用を評
価・改善するための基礎的な理
論・方法の理解
(C) 情報社会に参画する態度
 情報技術の役割や影響を理解し
 情報モラルの必要性や情報に対
する責任について考え
 望ましい情報社会の創造に参画
する態度
デジタルデバイドとは?
「IT憲章」「IT基本法」などでも課題に
 Digital Divide:コンピュータ/インター
ネット社会における「情報格差 (Info
Gap)」
 Information Gap: 「持つ者 (Info
Rich)」と「持たざる者 (Info Poor)」

情報格差(デジタルデバイド)の原因
利用機会(アクセス環境)の不足: 経済
的、地理的な制約等による機会の不足
 利用機会(アクセス環境)の拡充

活用能力の不足: 情報探索・利用の知
識・技能(=情報リテラシー)の不足
 利用支援・習得(学習)機会の拡充

情報格差(デジタルデバイド)の原因
利用機会(アクセス環境)の不足: 経済
的、地理的な制約等による機会の不足
 利用機会(アクセス環境)の拡充

活用能力の不足: 情報探索・利用の知
識・技能(=情報リテラシー)の不足
 利用支援・習得(学習)機会の拡充

情報問題解決(情報探索・
利用)プロセス:Big6 Skills
(1) 課題の設定
(4) 情報の獲得
(2) 情報探索戦略 (5) 情報の統合
(3) 情報源にあたる (6) 評価
学習(教育)支援機能の現状
 実態調査(アンケート調査)
 時期:2001年2~3月
 対象:全国の四年制大学図書館
(中央館)
 配布 629、有効回答 470(7
5%)
学習(教育)支援機能の現状
 目的:学習(教育)支援機能につ
いて
 大学改革との関わり
 教育・学習支援サービスの現状
 新しい情報環境における課題
ど
な
調査票の内容
(1)大学改革と図書館への影響(問1
~2)
 (2)教育・学習活動支援サービスの
実施状況と今後の課題(問3~5)
 (3)大学の情報(資源)政策と図書館
改革(問6~14)

大学改革の区分




1.カリキュラム改革
2.授業改革
3.入試改革
4.組織改革




5.情報化推進
6.大学評価
7.生涯学習事業
8.財務改革
問1 大学改革と図書館への影響
(上位5項目)
0%
20%
40%
60%
80%
100%
23.学内LAN
24.情報施設
26.自己点検
3.情報科目
19.情報部門
改革あり(影響あり)
改革あり(影響なし)
改革なし
無回答
無効
針
C. シ
貸 ョン
出
D. ・閲
利 覧
用
E. 規
F. 開館 程
情
報 時
サ 間
ー
G.
ビ
人
ス
事
H. 政
予 策
算
I.組 配分
織
J.
施 機構
設
K. ・設
外 備
L.
図 部委
書
館 託
協
M
.共 力
同
事
業
ク
・方
標
レ
コ
B.
目
A.
問2 大学改革の図書館への影響
(1. カリキュラム改革)
% 50
40
30
20
10
0
B. 標・
コ 方
レ
ク 針
C.
シ
貸 ョ
出 ン
D. ・閲
利 覧
用
E. 規
F. 開館 程
情
報 時
サ 間
ー
G.
人 ビス
事
H. 政
予 策
算
I.組 配分
J. 織機
施
設 構
K. ・設
外 備
L.
図 部委
書
館 託
M
協
.共 力
同
事
業
目
A.
問2 大学改革の図書館への影響
(2. 授業改革)
%
40
30
20
10
0
A.
目
B. 標・
コ 方
レ
ク 針
C.
シ
貸 ョ
出 ン
D. ・閲
利 覧
用
E. 規
F. 開館 程
情
報 時
サ 間
ー
G.
人 ビス
事
H. 政
予 策
算
I.組 配分
J. 織機
施
設 構
K. ・設
外 備
L.
図 部委
書
館 託
M
協
.共 力
同
事
業
問2 大学改革の図書館への影響
(3. 入試改革)
%
30
20
10
0
B. 標・
コ 方
レ
ク 針
C.
シ
貸 ョ
出 ン
D. ・閲
利 覧
用
E. 規
F. 開館 程
情
報 時
サ 間
ー
G.
人 ビス
事
H. 政
予 策
算
I.組 配分
J. 織機
施
設 構
K. ・設
外 備
L.
図 部委
書
館 託
M
協
.共 力
同
事
業
目
A.
問2 大学改革の図書館への影響
(4. 組織改革)
%
40
30
20
10
0
B. 標・
コ 方
レ
ク 針
C.
シ
貸 ョ
出 ン
D. ・閲
利 覧
用
E. 規
F. 開館 程
情
報 時
サ 間
ー
G.
人 ビス
事
H. 政
予 策
算
I.組 配分
J. 織機
施
設 構
K. ・設
外 備
L.
図 部委
書
館 託
M
協
.共 力
同
事
業
目
A.
問2 大学改革の図書館への影響
(5. 情報化推進)
%
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
B. 標・
コ 方
レ
ク 針
C.
シ
貸 ョ
出 ン
D. ・閲
利 覧
用
E. 規
F. 開館 程
情
報 時
サ 間
ー
G.
人 ビス
事
H. 政
予 策
算
I.組 配分
J. 織機
施
設 構
K. ・設
外 備
L.
図 部委
書
館 託
M
協
.共 力
同
事
業
目
A.
問2 大学改革の図書館への影響
(6. 大学評価・点検)
%
30
20
10
0
B. 標・
コ 方
レ
ク 針
C.
シ
貸 ョ
出 ン
D. ・閲
利 覧
用
E. 規
F. 開館 程
情
報 時
サ 間
ー
G.
人 ビス
事
H. 政
予 策
算
I.組 配分
J. 織機
施
設 構
K. ・設
外 備
L.
図 部委
書
館 託
M
協
.共 力
同
事
業
目
A.
問2 大学改革の図書館への影響
(7. 生涯学習事業)
%
30
20
10
0
B. 標・
コ 方
レ
ク 針
C.
シ
貸 ョ
出 ン
D. ・閲
利 覧
用
E. 規
F. 開館 程
情
報 時
サ 間
ー
G.
人 ビス
事
H. 政
予 策
算
I.組 配分
J. 織機
施
設 構
K. ・設
外 備
L.
図 部委
書
館 託
M
協
.共 力
同
事
業
目
A.
問2 大学改革の図書館への影響
(8. 財務改革)
%
50
40
30
20
10
0
問3 学習・教育支援のサービス
0%
20%
40%
60%
80%
1.指定図書
2.推薦図書
3.希望図書
4.基本図書
5.新入生オリ
6.図書館BI
7.授業BI
8.レポート
9.グループ
10.講演会
11.コンピュータルーム
12.NW端末
13.シラバス
14.メディア
実 施
計画中
予定なし
無回答
無 効
100%
問4 電子図書館的サービス
0%
20%
40%
60%
80%
1.教材
2.シラバス
3.講義録
4.電子J
5.外部DB
6.リンク集
7.利用案内
8.利用教育
9.リクエスト
10.レファレンス
11.複写依頼
実 施
計画中
予定なし
無回答
無 効
100%
問4 設置主体別(4.電子ジャーナ
ル)
0%
20%
40%
60%
80%
国立
公立
私立
全体
実施
計画中
予定なし
無回答
無効
100%
問4 設置主体別(6. リンク集)
0%
20%
40%
60%
80%
国立
公立
私立
全体
実施
計画中
予定なし
無回答
無効
100%
問5 学習・教育支援のための課題
(「特に重要」上位5項目)
0%
20%
40%
60%
80%
8.能力開発
9.レファレンス
1.教員との関係
2.授業との連携
13.IT専門家
特に
重要
あまり
重要でない
無回答
無効
100%
調査結果の分析(まとめ)
大学改革の種類によって、図書館が
受ける影響は異なる
 特に情報化推進による図書館への影
響が強い

調査結果の分析(つづき)
レポート作成支援やシラバス作成支
援など、「一歩踏み込んだ」サービス
に取り組んでいる図書館は少ない
 課題として、 図書館員の能力開発や
レファレンスサービスの強化、教員や
授業との連携・協力などを特に重要視

調査結果の分析(つづき)

アウトソーシングの導入やコンソーシ
アムの形成・参加は、最重要課題と考
えている図書館が予想外に少なかっ
た
情報リテラシーと図書館
 情報リテラシーを「習得」「向上」す
る場  学習機会の整備(学ぶ
権利)
 情報リテラシーを「発揮」する場
 基盤(インフラ)の整備(知る権
利)
情報リテラシーと図書館
 情報リテラシーを「習得」「向上」す
る場  学習機会の整備(学ぶ
権利)
 情報リテラシーを「発揮」する場
 基盤(インフラ)の整備(知る権
利)
「指導サービス」の背景
図書館の教育的機能(学習機会の提
供)の確認
 図書館リテラシーは情報リテラシーの
(重要な)一部
 全学的取り組み

ACRL情報リテラシー基準(2000)
構成
基準
指標
成果
ACRL情報リテラシー基準(2000)
 基準1 情報リテラシーを身につけた学生は,必
要な情報の性質と範囲を決定する。
 基準2 情報リテラシーを身につけた学生は,必
要な情報に効果的,効率的にアクセスする。
 基準3 情報リテラシーを身につけた学生は,情
報と情報源を批判的に評価し,選択した情報を
自分の知識基盤と価値体系に組み入れる。
ACRL情報リテラシー基準(2000)
基準4 情報リテラシーを身につけた学生
は,個人としてもグループの一員としても,
特定の目的を達成するために,情報を効
果的に利用する。
基準5 情報リテラシーを身につけた学生
は,情報利用をめぐる経済的,法律的,社
会的な多くの問題を理解し,倫理的,合法
的に情報にアクセスし,利用する。
ガイドラインの策定(日本)

JLA利用教育委員会「図書館利用教
育ガイドライン:大学図書館版」
(1998)
• 第1領域:印象づけ
• 第2領域:サービス案内
• 第3領域:情報探索法指導
• 第4領域:情報整理法指導
• 第5領域:情報表現法指導
「たたき台」としてのガイドライン
第3領域「情報探索法」
 第4領域「情報整理法」
 第5領域「情報表現法」
※「情報リテラシー」のすべてではな
い!

ガイドライン「情報探索法指導」(抄)
 資料の基本タイプと利用法
 検索ツールの存在と利用法
 情報検索の原理
 情報探索戦略の立て方
 自館資料の組織法と利用法
 他機関資料の利用法
「情報整理法指導」(抄)
 情報の記録法
 資料の分類とインデックスの作成
法
 書誌事項の記載法
 発想法
「情報表現法指導」(抄)
 情報倫理
 レポート・論文の作成法
 印刷資料、AV資料の作成法
 コンピュータによる表現法
 ネットワークによる情報発信
 プレゼンテーション技法
(参考)「情報探し」の三類型
環境モニタリング
 情報との遭遇
 情報問題解決

(参考文献 6)
(参考)情報探索行動の様式(例)
探索開始
 連鎖式探索
 ブラウジング
 モニタリング

情報源の選別
 情報抽出
 妥当性の検証
 探索終了
(参考文献 2, 6)

(参考)中学校「技術・家庭」
「情報とコンピュータ」分野
情報手段が果たす役割
 コンピュータの構成・機能・操作
 コンピュータの利用
 ネットワーク
 (マルチメディアの活用)
 (プログラムと設計・制御)

「指導サービス」の課題(例)
指導の内容・対象: ネットワーク系メ
ディア、情報整理・表現、…
 指導の方法・指導者: 担当者、指導
技術、ツール・施設・設備、…
 多様な利用者への対応: ニーズ、行
動様式、リテラシー、…

「指導サービス」の課題(つづき)
環境整備: コスト(資源)配分、…
 プログラムのマネジメント: 体制・予算、
段階的・選択的実施、図書館内・学内
での役割分担・連携協力・連絡調整、
評価システム、…

ま と め
「共通」部分と「固有」部分
 「基本」部分と「応用」部分
 計画的・段階的展開(マネジメントの
視点)
 職員(図書館員等)の役割
 ノウハウ共有の仕組み
