大学図書館の現状と将来について

大学図書館の今
1
内容




書誌ユーティリティ
インターネットの発展と大学図書館
大学図書館における利用者教育
大学図書館の今後
2
書誌ユーティリティとは?
書誌ユーティリティ(bibliographic utility)と
は、図書館間の協力関係と資源共有を背景とし
て、オンラインによる更新、提供が可能な書誌
データベースを中心にさまざまな情報サービスを
提供する事業体をいう。
図書館ハンドブック 第6版 (日本図書館協会, 2005.5)
3
国立情報学研究所(NII)
 日本を代表する書誌ユーティリティ提供機関
 沿革
1976年5月:東京大学情報図書館学研究センター
1983年4月:東京大学文献情報センター
1986年4月:学術情報センター
2000年4月:国立情報学研究所
4
国立情報学研究所が提供する主な事
業・サービス




NACSIS-CATと総合目録データベース
NACSIS-ILL
Webcat
GeNii
5
NACSIS-CATとは?
研究者の研究活動を支援するため、全国の大
学図書館等にどのような学術文献(図書・雑誌)
が所蔵されているかという目録所在情報が分か
る総合目録データベースを構築するためのシス
テム。1984年12月にサービス開始。
6
NACSIS-CATの特徴①
 オンライン共同分担目録
 参加機関(図書館)がネットワークを介してオンラ
インで作業
• 最新の目録所在情報を常に参照可能
 1つの総合目録データベースを共同で作成
• データベースは参加機関の共有財産
 データを共有することで,目録作成の重複を防ぐ
• 目録作成業務の省力化・効率化
7
NACSIS-CATの特徴②
 MARC(MAchine Readable Cataloging)の利用
 各国の目録作成機関の作成した標準的な目録データであ
るMARCを参照ファイルとして利用可能
 目録システム間リンク
 海外の書誌ユーティリティ(OCLC)への検索利用を可能と
する仕組み
 多言語対応
 Unicodeに対応(中国簡体字、ハングル文字、アラビア文
字等で記述された資料の入力が可能)
8
NACSIS-CAT接続機関数
館 種
機関数
館 種
機関数
国立大学
87 高等専門学校
58
公立大学
75 大学共同利用機関
15
私立大学
535 海外機関
99
短期大学
143 その他
189
合 計
1,201
2007年8月31日現在
9
総合目録データベースの現況
ファイル名
件
数
図書書誌
8,710,403
図書所蔵
91,189,536
雑誌書誌
298,055
雑誌所蔵
4,338,455
著者名典拠
1,446,518
統一書名典拠
27,270
変遷マップ
39,247
2007年9月29日現在
10
NACSIS-ILLとは?
大学等の研究者に学術文献を提供するため、
図書館間で図書や雑誌論文を相互に利用し合う
ための連絡業務を支援するシステム。1992年4
月にサービス開始。
11
NACSIS-ILLの特徴
 総合目録データベースの利用
 オンラインで登録された最新の書誌・所蔵データを利用して
依頼先を選択することが可能
 処理の迅速化
 依頼データへの書誌情報等の自動転記
 謝絶時に依頼データを自動転送
 料金決済制度
 ILL料金の相殺サービスが利用可能
12
NACSIS-ILL参加機関数
館 種
機関数
館 種
機関数
国立大学
88 大学共同利用機関等
12
公立大学
83 他省庁研究機関
12
私立大学
529 公立施設
短期大学
121 その他
131
58 合 計
1,058
高等専門学校
24
2007年8月末現在
13
NACSIS-ILLレコード件数
年 月
複 写
2006年度
1,054,903
貸 借
合 計
101,030 1,155,933
2007年4月
70,583
5,460
76,043
2007年5月
98,983
8,613
107,596
2007年6月
91,547
9,658
101,205
2007年7月
91,125
9,683
100,808
2007年8月
76,385
8,252
84,637
14
Webcatとは?
全国の大学図書館等が所蔵する図書・雑誌の
総合目録データベース及びRECONファイルを、
WWW上で検索できるシステム。データベースは
週1回、毎週日曜日に更新。
1997年4月:試行サービス開始
1998年4月:本運用開始
※RECONファイル:東京大学附属図書館のカード目録(洋書)
をもとに遡及入力されたデータが収められたファイル
15
GeNiiとは?
国立情報学研究所が提供する目録所在情報
サービス、情報検索サービス、電子図書館サー
ビス等の学術情報サービスで提供するコンテンツ
を核として、より操作性を向上させた検索システ
ムを備え、さらに外部の情報との連携を図った学
術コンテンツ・ポータル。
16
GeNiiで提供されるサービス




CiNii(NII論文情報ナビゲータ)
Webcat Plus(NII図書情報ナビゲータ)
KAKEN(科学研究費成果公開サービス)
NII-DBR(学術研究データベース・リポジトリ)
17
CiNii
 日本の学術論文を中心とした論文情報を収
録・提供するデータベース。
 特徴
 複数のデータベースを統合
 一部の論文は本文閲覧可能
 論文の引用・被引用関係をたどることが可能
18
CiNiiで利用できるデータベース①
 NII-ELS 学協会誌(約250万件)
 国内の学協会が発行する学術雑誌に掲載された
論文情報を収録したデータベース。本文あり。
 NII-ELS 研究紀要(約70万件)
 国内の大学等が刊行する研究紀要に掲載された
記事情報を収録したデータベース。一部本文あり。
19
CiNiiで利用できるデータベース②
 引用文献索引データベース(書誌:約110万
件、引用:約1,140万件)
 国内の自然科学分野の学術論文誌・学協会誌に
掲載された論文に対して、その論文が引用してい
る文献との関係がわかるように作られたデータ
ベース。
20
CiNiiで利用できるデータベース③
 雑誌記事索引データベース(約690万件)
 国立国会図書館が収集する国内刊行雑誌のうち、
学術誌・大学紀要・専門誌を中心として、人文・社
会/科学・技術/医学・薬学分野の記事に関する
データを収録した国内最大の記事索引データベー
ス。
21
Webcat Plus
 Webcatの検索機能・性能を大幅に強化し、使い勝手
を向上させた、「次世代Webcat」。
 「一致検索」と「連想検索」の2つの検索手段を提供。
 収録データ数
 連想検索
 日本語図書:3,154,158 件
 日本語+英語図書:9,927,610 件
 一致検索
 図書の情報:12,629,667 件
 雑誌の情報:298,055 件
22
Webcat Plusで利用できるデータ
ベース①
 目録所在情報データベース
(図書:8,368,346件 雑誌:298,055件)
 国立情報学研究所が提供しているNACSIS-CAT
を通じて、全国の大学等の図書館が共同で作成し
ている、各図書館が所蔵する図書・雑誌情報の総
合目録データベース。
23
Webcat Plusで利用できるデータ
ベース②
 「BOOK」データベース(1,021,592 件)
 (株)トーハン、日本出版販売(株)、日外アソシ
エーツ(株) 、 (株)紀伊國屋書店の4社が著作権
を有する図書情報データベース。1986年以降に
発行された図書について、目次や、帯・カバー等
に書かれている内容情報が収録されている。
24
Webcat Plusで利用できるデータ
ベース③
 Nielsen Book Data(5,337,843 件)
 Nielsen Book Data社(本社:英国)が著作権を
有する図書情報データベース。現在入手可能、あ
るいは24ヶ月以内に出版予定である英語圏(英
国、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、
米国)の英語図書について、目次等に書かれてい
る内容情報が収録されている。
25
Webcat Plusで利用できるデータ
ベース④
 出版者提供データ
 出版目録データや出版者ホームページ等に掲載
される新刊データ等の図書の内容情報。現在白
水社、東京大学出版会、みすず書房、三重大学
出版会、草思社から提供されている。
26
インターネットの発展と大学図書館
 電子媒体資料の変化
 パッケージ型からネットワーク型へ
 大学図書館の情報発信
 利用案内から機関リポジトリまで
27
電子媒体資料の変化
 パッケージ型の特徴
 FD、CD-ROM、DVDなどのメディア
 スタンドアロンまたは小規模ネットワーク上で利用
 データの更新はメディアの追加または差し替え
 ネットワーク型の特徴
 図書館内にメディアを持たず、インターネット経由で利用
 大学全体またはキャンパス単位のネットワーク上で利用
 データの更新はサービス提供元で行われる
28
電子ジャーナル
 代表的なネットワーク型電子資料





研究室から直接利用可能(24時間)
媒体がないため保管場所が不要
データベースとリンクしての利用が可能
快適な利用はネットワーク次第
契約打ち切り後はバックナンバーも利用不可とな
る場合があり
29
大学図書館の情報発信
 ウェブサイト(ホームページ)の活用




利用案内、お知らせ
資料検索
電子ジャーナル、データベース利用の入口
外部情報資源へのリンク
 マイライブラリ機能
 インターネットを通して貸出状況の確認や予約、貸
出期限延長などの手続きが可能
30
機関リポジトリとは?
研究機関がその知的生産物を電子的形態で
集積し保存・公開するために設置する電子アーカ
イブシステム 。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
電子図書館の発展型
コンテンツを自ら作成して提供
31
機関リポジトリで提供される主な
コンテンツ






学位論文
研究紀要
貴重書などのコレクション
広報資料
教材(授業、公開講座など)
その他機関内で作成された様々な成果物
32
主な機関リポジトリ(近畿地区)





京都大学: 京都大学学術情報リポジトリ
大阪大学: OUKA
神戸大学: Kernel
奈良教育大学: NEAR
同志社大学: 同志社大学学術リポジトリ
国内の機関リポジトリ一覧は以下を参照のこと
http://www.nii.ac.jp/irp/info/list.html
33
大学図書館における利用者教育
 目的:情報リテラシー能力の育成
 レポートや卒業論文を作成する上で必要
 情報リテラシー能力とは?
 必要とする情報を効果的に探し出す能力
 探し出した情報を批判的に評価する能力
 収集した情報を管理し適切に利用する能力
34
利用者教育の段階別内容
 第1段階:図書館ガイダンス、図書館ツアー
 図書館の使い方を学ぶ
 第2段階:各種講習会
 OPACやデータベースなど資料の探し方を学ぶ
 第3段階:授業との連携
 当該授業の内容に即したより実践的な講習
 第4段階:独立した授業科目
 情報リテラシー全般について学ぶ
35
大学図書館の今後
 ネットワーク型電子資料への依存
 速報性、検索機能では紙媒体を圧倒
 図書館は学習のための場、研究者は施設としての図書館
を必要としなくなる?
 検索エンジンとの競合
 Google ScholarとGoogle Book Search
 OPACは将来不要になる?
36