京大大学院特論 - 長崎大学 薬学部

平成20年度 医療薬科学特論Ⅰ
第4回 平成20年6月4日
癌化学療法における抗癌薬の新規投与形態DDS
長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科
生命薬科学専攻 臨床薬学講座 准教授
西田孝洋
Koyo Nishida, Ph.D.
[email protected]
Nagasaki University
Graduate School of Biomedical Sciences
http://en.beijing2008.cn/
1
これまでの研究テーマ
参考スライド
 京都大学大学院 薬学研究科:1986-1991
– 肝灌流実験系を用いた薬物の肝胆系輸送評価(修士論文)
– 高分子薬物の肝臓移行動態とその制御(博士論文)
 長崎大学 薬学部・大学院医歯薬学総合研究科:1991– 臓器表面からの薬物吸収を利用した新規投与形態に基づくDDSの開発
– 薬物の臓器内特定部位への移行の速度論的解析および標的指向化の
製剤設計
– 薬物療法の個別化を目指した、病態時や相互作用による薬物体内動態
の変動予測
DDS (移行性の評価・動態解析)
2
本日の講義内容
癌化学療法における抗癌薬の新規投与形態DDS
 イントロダクション
– 癌化学療法とは、ADMEのD、薬物移行性の評価・解析系
 抗癌薬の各種投与経路
– 全身化学療法、局所注入療法、動注化学療法
 新しい投与形態による癌治療の最前線
– 隔離灌流治療(ビデオによる紹介)
 肝臓表面からの吸収を利用した新規投与形態の開発
– 西田の研究概要
3
癌化学療法
 癌化学療法とは
がん患者の集い http://www.gan-joho.com/
– 癌化学療法は抗癌薬を用いて癌細胞の分裂を抑え、癌細胞を死滅させる治療
 役割
– 術前・術後の
補助化学療法
– 全身的な癌の治療
 副作用
– 避けられない、副作用
– 副作用は治療できる
4
肝細胞癌の治療
< 科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン (2005年度版) より >
5
各種投与部位と製剤の問題
口腔
消化管
注射
参考スライド
直腸
患者の容認性
刺激性、安定性
経口投与
放出・吸収速度の制御
GERによるバラツキ
消化酵素による分解
肝初回通過効果による不活化
咀嚼による離脱
肺
吸収の制御
鼻腔
腔内滞留性
吸収のバラツキ
眼
接着性
作用非持続性
患者の容認性
患者の容認性
排便による離脱
皮膚
難吸収性
刺激性
6
参考スライド
上皮粘膜の構造など
口腔
胃
全
小腸
上皮細胞
門
肝
循
代謝
大腸上部
身
脈
臓
環
系
直腸上部
肝初回通過効果が問題
代謝
直腸下部
消化管
7
参考スライド
全身血液・リンパ循環
血液やリンパに関する情報
血液が一周する時間: 約40秒
血液量: 体重の約8%
全リンパ流量: 2~4L/日
心拍出量: 約5-6 L/min
心拍数: 約60-70回/min
健康な心臓が 1 日に送り出す血液量
はドラム缶 40 本分にもなる。
10000 L/day
組織の重量、血流量、単位重量当たりの血流量(ヒトの場合)
組織
重量(kg) 血液(ml/min)
脳
肝臓
腎臓
筋肉
皮膚
脂肪
http://www.kyushin.co.jp/
1.5
1.5
1.0
33.0
3.0
12.2
750
1450
1170
700
60
250
単位重量当たりの
血流(ml/min・kg)
500
970
1170
20
20
20
8
参考スライド
リンパ移行
リンパは間質液より生じ、リンパ管中を流れる液体
である。最後は胸管および右リンパ本管を経て、静
脈系に流入する。リンパも凝固因子を含み体外に取
り出しておくと凝固する。身体のほとんどすべての場
所で、毛細血管壁を通過した蛋白質がリンパを経て
血液に戻る。 医科生理学展望 丸善
・リンパ指向性
(免疫疾患、炎症、癌転移)
・高分子物質(分子量約5000以上)の分布経路
・肝初回通過効果を回避するルート
ヒトのリンパの蛋白質濃度
部位
脈絡叢
毛様体
骨格筋
皮膚
肺
消化管
心臓
肝臓
蛋白質濃度(g/dL)
0
0
2
2
4
4.1
4.4
6.2
リンパ節(Wikipediaより)
9
参考スライド
組織分布
血漿蛋白や赤血球との結合
血管壁の透過性
連続内皮(筋肉、皮膚、肺)
膜透過(低分子)
組織への蓄積
有窓内皮(小腸、腎臓)
蛋白質, DNA, チューブリン,
酸性リン脂質など
膜透過(高分子)
不連続内皮(肝臓、脾臓、骨髄)
組織: 4 0 %
組織液:1 6 %
血漿: 4 %
10
EPR効果
Enhanced permeability and retention (EPR) effect
腫瘍における微小脈管レベルの特異性
①新生血管の増生
②腫瘍血管の機能と構造上の欠陥
③血管透過性の著明な亢進と高分子物質の腫瘍血管
を介する回収の欠如
マウスへi.v. 24 h後の組織分布
④リンパ系を介する回収の欠如
http://www.nanocarrier.co.jp/
Maeda et al,
Adv. Drug Deliv. Rev. 46:169-185 (2001)
11
血液脳関門
blood-brain barrier
薬物の血中から脳内への移行を制限する機能。アミノ酸
やグルコースなどの神経活動のエネルギー源となる栄養
素は脳内に選択的に輸送されるが、多くの物質は脳内に
自由に入るわけではない。BBBは解剖学的には脳毛細血
管で内皮細胞同士が密着結合していることによるとされて
いる(tight junction)。日本薬学会用語解説より
参考スライド
血液脳関門透過速度と脂溶性/分子量との関係
特殊輸送
能動排出
12
オスモティックオープニング
アラビノースやマンノースの高張溶液を頸動脈内へ投与し、浸透圧ショックで脳毛細血管壁の密着結合を広げ、脳内への
薬物分布の障壁となっている血液-脳関門の透過性を上昇させる方法は、オスモティック・オープニングosmotic openingと
呼ばれ、外部からの刺激に対する生体側の特異的な反応を利用するターゲティング手法の一つである。その効果は一過性
で、血液-脳関門の機能は速やかに回復する。脳内への移行性に乏しい水溶性の抗癌薬の脳腫瘍患者への投与に臨床
応用されている。医歯薬出版 最新医学大辞典
図解 夢の薬剤DDS じほう
浸透圧ショックによるBBB透過亢進
13
薬物移行性評価のための解析方法
 実験データ
– 移行量、濃度、活性、etc
 コンパートメントモデル解析
 モーメント解析
 生理学的薬物速度論
14
実験系のレベル:in vitroからin vivoレベル
☆ in vivoレベル
・完全な個体レベル
・体内動態の全体像を把握
・細かい現象を追跡できない
☆ in situ(臓器・組織)
・臓器内の現象を抽出
・構造が保たれている 温度や阻害剤など
・実験条件の設定
・生理活性の維持が困難
Rat (in vivo)
Liver
Hepatocytes
☆in vitro(試験管・細胞)
・実験条件の細かい設定
・動物の犠牲が少ない
・細胞の方向性がない
・in vivo機能の保持が問題
15
実験データでの移行性評価
アンジオテンシンⅡを含有する注射剤・デリバート静注用による昇圧化学療法
(Induced Hypertention Chemotherapy:IHC)
スマンクスの昇圧療法
Nagamitsu et al, DDS, 22, 510, 2007
アステラス製薬の製品情報より
アンジオテンシンⅡ含有注射剤・デリバート静注用による昇圧化学療法は、腫瘍組織と正常
組織のアンジオテンシンⅡに対する微小循環の機能的差異を利用して、腫瘍組織へ抗がん
剤をより高率に到達させ、胃癌に対する化学療法の治療効果を増強させることを目的としたド
ラッグデリバリーシステムとして期待されています。 http://med2.astellas.jp/jp/
16
各種投与形態における生理学的モデル
(i) i.v.
Qplasma
Qplasma
Qplasma
Plasma
Plasma
Plasma
kidney surface
Liver
Liver
Liver
(ii) KSA
CLliver
CLliver
CLliver
i.a.(bolus, constant)
Diffusion cell
i.v.
Qliver
Qliver
Qliver
(iii,iv) i.a.
CLa
Right kidney
Applied kidney
Qkidney1
Non-applied kidney
Non-applied kidney
Left kidney
Qkidney2
CLkidney2
Qkidney1
CLkidney1
CLkidney1
CLkidney1
CLkidney2
Applied kidney
Qkidney1
Qkidney2
CLkidney2
Qkidney2
Well-stirred model
Nishida et al,
J. Drug Target.,
13, 215, 2005
17
静注と腎臓表面投与の比較
25
Concentration (µg/g)
80
kidney surface (B)
(A)
20
60
実測値
●: Applied kidney
i.v.
○: Non-applied kidney
15
△: plasma
40
10
シミュレーションカーブ
20
- : Applied kidney
5
・・・: Non-applied kidney
--: plasma
0
0
0
60
120
180
240
0
60 120 180 240 300 360
Time (min)
Phenolsulfonphthaleinのシミュレーションカーブ
Nishida et al, J. Drug Target., 13, 215, 2005
18
腎動注時のシミュレーション
20
Concentration (µg/g)
1000
Infusion
(A)
800
15
i.a.(bolus)
1 mg
600
(B)
i.a.(constant)
4.2 µg/min for 240 min (1mg)
10
シミュレーションカーブ
400
- : Applied kidney
5
200
・・・: Non-applied kidney
--: plasma
0
0
0
5
10
15
20
0
120
240
360
あとで似たようなグラフ
Time (min)
Phenolsulfonphthaleinのシミュレーションカーブ
Nishida et al, J. Drug Target., 13, 215, 2005
19
抗癌薬の投与経路
全身化学療法、局所注入療法、動注化学療法
 静脈注射
 経口投与
– 5-FU系, TS-1, メルファラン,
(モルヒネ)
 皮下注射
– リュープリン®
 経皮
 動注内注入
– 動注, 動脈塞栓術、局所灌流
 腫瘍内注入
– 直接注入
– 経皮的エタノール注入術
 体腔内注入
– 腹腔、胸腔、髄腔など
– 5-FU軟膏, (フェンタニル)
 直腸投与
– 5-FU・テガフール坐剤
http://ganjoho.ncc.go.jp/public/
20
外部からの誘導・活性化
標的に選択的に作用する物質を用いる試み、腫瘍部位でのみ血流を上昇させ選択
的に抗癌薬を腫瘍に送り込む昇圧化学療法や血液脳関門を浸透圧ショックで開かせ
る方法のように、外部からの刺激に対する生体側の特異的な反応を利用する方法。
あるいは、磁気、熱(熱感受性リポソーム)、レーザー光、超音波など外部からの物
理的な力により標的での薬物挙動を制御可能。
熱感受性リポソーム
局所温熱療法
(ハイパーサーミア)
との組合せ
21
肝動注化学療法
 リザーバー付カテーテルを鎖骨下動脈や大腿動脈から肝動脈に
挿入し、皮下に埋設したリザーバーから抗癌薬を注入する治療法。
 抗癌薬を肝動脈より動注するため、静脈内投与した場合の10倍以
上の抗癌薬濃度が得られ、高い抗腫瘍効果が期待できる。
※ 塞栓・持続放出
 全身への副作用が軽減できる。
薬物キャリアー:化学塞栓
※ 生体内分解性
マイクロカプセル、リピオドール、リポソーム など
副作用・合併症






嘔気、食欲不振
消化性潰瘍
白血球減少
血小板減少
肝予備能悪化
腎障害





カテーテル感染
ポート留置部血腫
カテーテル閉塞
肝動脈閉塞
脳塞栓、一過性脳虚血
北海道消化器科病院
http://www.hgh.or.jp/ 22
エタノール注入療法
 経皮経肝的に針を刺してエタノールを注入し、エタノールの脱水作用
と蛋白変性作用による腫瘍細胞の凝固壊死を利用した治療法
– 一般的な適応は3cm以内,3個以下。
– 主要な血管・胆管に接するもの、心
臓・肺に近接するもの、肝表面に突
出しているものは技術的に施行が
困難。
– 3cm,3個までの肝細胞癌に対する
治療成績が手術に劣ることが過去
の臨床データの集積により明らか
にされた.それ以降,治療法の
第一選択として行われなくなりつつある。
がん用語解説集約サイト http://cancer-words.seesaa.net/
23
腫瘍内直接注入の最新状況
 ゲル製剤 IntraDose®
– 5-FU or cisplatin/epinephrine
肝癌、膵癌 Lancet 4: 199 (2003)
 ゲル製剤 OncoGel®
– paclitaxel 皮膚癌
Anticancer Drugs 18: 283 (2007)
直接注入の利点:
・投与の正確さ
・病巣への十分な分散
・高い病巣薬物濃度
・副作用の低減
 Implant
Liver
– doxorubicin 肝癌 J. Biomed. Mater. Res. 81A: 205 (2007)
 カテーテル
– 5-FU etc 肺癌 Lung Cancer, in press (2008)
 高分子ミセル
– cucurbitacin 黒色腫 Int. J. Pharm. 347: 118 (2008)
 ナノカプセル
– doxorubicin 固形癌 Eur. J. Pharm. Biopharm. 65: 300 (2007)
J. Pharm. Sci., 97: 1681 (2008)
24
腹腔内注入:腹膜転移形成の機序
①
腹膜面への進展・
露出
②
腹腔内への剥離・
脱落
③
腹腔内への移動・
生存
④
腹膜面への接着・
浸潤
⑤
着床部位での増
殖・血管新生
腹膜転移 →
消化器外科手術の根治
性を妨げる最大要因
Cancer Sci. 98: 11 (2007)
25
腹腔内注入:実際の手法
Int. J. Gynecol. Cancer, 17: 1 (2007)
Clin. J. Oncol. Nursing, 11: 881 (2007)
26
腹腔内注入:使用される抗癌薬
Int. J. Gynecol. Cancer, 17: 1 (2007)
Cancer Res. 49: 3380 (1989)
27
腹腔内注入:臨床試験の現状
ASCO 2006 ハイライト
組織学的に漿膜浸潤がんと診断された進
行胃がんに対する低浸透圧性シスプラチン
腹腔内投与法は5年生存率を大きく改善する
―無作為化第III相試験:山陰共同腫瘍学グ
ループ(SCOG)研究 SGC3―
Int. J. Gynecol. Cancer, 17: 1 (2007)
http://www.medical-tribune.jp/congress/asco2006/
28
腹腔内注入:DDS製剤の利用





デキストラン結合体 MMC 癌性胸腹水患者 Drug Delivery System 2: 134 (1987)
活性炭 MMC 胃癌患者 Lancet 14: 339 (1992)
水酸アパタイト carboplatin 癌性腹膜炎モデル Drug Delivery System 14: 185 (1999)
マイクロカプセル cisplatin 担癌モデル J. Control. Rel. 80: 295 (2002)
PEGリポソーム doxorubicin 担癌モデル Toxicol. Lett. 116: 51 (2000)
Drug Delivery System, 22: 522 (2007)
Doxil®:アドリアマイシン封入PEGリポソーム
29
新しい投与形態による癌治療の最前線(ビデオ)
米国国立がん研究所
NCI:http://www.cancer.gov/
NHKスペシャルより
隔離灌流治療(2:30)
奥野哲治先生(クリニカET)
血管内治療(2:36)
http://www.etclinica.com/
http://www.tbs.co.jp/yumetobi/backnumber/20070121.html
30
隔離灌流治療:癌治療の最前線
31
血管内治療:癌治療の最前線
32
隔離灌流治療の治療成果1
Pingpank, ・・・, Alexander et al,
J. Clin. Oncol., 23, 3465, 2005
33
隔離灌流治療の治療成果2
Pingpank et al, J. Clin. Oncol., 23, 3465, 2005
34
隔離灌流治療の治療成果3
参考スライド
Pingpank et al,
J. Clin. Oncol., 23, 3465, 2005
Grover A, Alexander HR Jr.: The past decade of experience with isolated hepatic perfusion. Oncologist, 9, 653, 2004.
35
動注の優位性の検証1
Scheme of two-compartment physiological model
Vs
plasma
Cs
systemic
Qs
Vt target
organ
Et
rest
<i.v. constant infusion>
 dCt 
Vt  
  Q t  Cs  Q t  Ct  CLt  Ct
 dt 
Q t  Cs  Q t  Ct  CLt  Ct  0
 dCs 
Vs  
  Q t  Ct  Q t  Cs  CLs  Cs  k 0
 dt 
Q t  Ct  Q t  Cs  CLs  Cs  k 0  0
local
<i.a. constant infusion>
Ct
Qt
定常状態
k0:注入速度
 dCt 
Vt  
  Q t  Cs  Q t  Ct  CLt  Ct  k 0
dt


Q t  Cs  Q t  Ct  CLt  Ct  k 0  0
 dCs 
Vs  
  Q t  Ct  Q t  Cs  CLs  Cs
 dt 
Q t  Ct  Q t  Cs  CLs  Cs  0
CLs
Daemen et al, Adv. Drug Deliv. Rev., 6, 1, 1991
36
動注の優位性の検証2
局所注入による病巣部位薬物濃度の上昇
→強力な抗腫瘍活性
初回通過効果による全身への薬物流出の抑制
→全身における副作用軽減
Kinetic advantages of i.a. target-organ infusion vs systemic iv infusion in rat
systemic regional
advantage advantage
Drug cleared by the target organ
Hippuric acid in the kidney (high extraction ratio)
EDTA in the kidney (low extraction ratio)
Acenocoumarol in the liver (low extraction ratio)
0.2
0.7
0.8
1.0
1.1
1.0
Drug not cleared by the target organ
Kidney (high flow organ)
Propranolol (high systemic clearance)
Acenocoumarol in the liver (low systemic clearance)
1.0
1.0
2.0
0.9
Testis (low flow organ)
Acenocoumarol in the liver (low systemic clearance)
1.0
15
Brain via CSF (low flow organ)
Propranolol (high systemic clearance)
1.0
100-300
Daemen et al, Trends Pharmacol. Sci., 9, 138-41, 1988
<systemic advantage>
Cs, ia
 1  Et
Cs, iv
<regional advantage>
Ct , ia
CLs
 1
Ct , iv
Qt
37
新規投与形態の進歩
標的指向化の最も簡便な方法は、病巣に対する薬物の直接投与で、最近では腹腔内視鏡、超音波診断
装置や経動脈カテーテル法の利用など、種々の医療技術を用いて様々な部位に薬物を直接投与すること
が可能。
動注療法
腹腔内視鏡
38
肝臓表面からの吸収を利用した新規投与形態の開発
Proposed drug distribution in the liver
Diseased region
Liver surface application




Normal route
薬物吸収メカニズムの解明
薬学雑誌, 123: 681-689 (2003)
局所ターゲティング能の評価
臨床応用するための吸収制御
他の臓器への応用、投与形態の比較、遺伝子デリバリー
39
参考スライド
Development of drug delivery system to achieve site-specific delivery or prolonged retention in the circulation has attracted attention,
because new types of drugs are expected to be created with advance in life science and biotechnology such as human genome
project. We have tried to develop a new administration route for drug targeting to the liver, since normal drug administration by
intravenous and oral route have difficulty in achieving a local site of action in the liver. Although the direct way of application to the
liver surface should yield local drug distribution, the drug absorption from the liver surface had not been reported in the literature.
Therefore, we have analyzed the absorption mechanism of several organic anions and dextrans with different molecular weights as
model drugs, after application to the rat liver surface in vivo, employing a cylindrical diffusion cell. Every compound appeared
gradually in the plasma, followed by excretion into the bile and/or urine, indicating possibility of drug absorption from the liver surface.
A specific transport system might not be involved in the absorption process from the liver surface, because the effect of dose and
transport inhibitors on the absorption was not recognized. In addition, molecular weight was found to be a determinant factor of
absorption from the liver surface. The targeting efficacy to the applied region in the liver was considerably enhanced by application to
the liver surface, as compared to intravenous administration. Moreover, we have obtained important physicochemical and
pharmaceutical factors determining absorption rate of a drug from the liver surface, for the clinical use. Consequently, drug
application to the liver surface could improve availability in the desired site of a new drug such as bioactive compound and genome
medicine, by combination with appropriate chemical and pharmaceutical formulation modification.
40
Schematic diagram of liver surface application in rat
Diffusion cell
Area: 0.64 cm2
I.D.: 9 mm
Liver
Sampling
Plasma
Bile
Urine
Liver
Diffusion cell
Model compounds
Phenolsulfonphthalein (PSP)
Bromphenol blue (BPB)
Bromosulfonphthalein (BSP)
FITC-dextrans
(FD-4, FD-10, FD-40, FD-70)
A cylindrical diffusion cell was attached to the liver surface (left lateral lobe)
of male Wistar rats (250-310 g) with the biocompatible glue Aron Alpha.
Compounds (0.1 ml) were added into the diffusion cell.
Rat
Nishida et al, J. Pharm. Pharmacol, 46, 867, 1994
41
8
● : free PSP
▲ : BPB
▲ : BSP
6
4
2
0
0
参考スライド
120
240
Biliary excretion rate (µg/min)
Plasma concentration (µg/ml)
Plasma concentration and biliary excretion profiles of PSP,
BPB and BSP after application to rat liver surface
2
● : PSP
metabolite
1.5
1
0.5
0
360
Time (min)
0
120
240
360
Nishida et al,
J. Pharm. Pharmacol, 46, 867, 1994
42
Semi-log plot of PSP remaining in diffusion cell after
application to rat liver surface
Remaining amount (% of dose)
参考スライド
100
Diffusion cell
ka = 6.92 X 10-3 min-1
ka
(r2 = 0.99)
kel
Central
k12
k21
10
Peripheral
5
Pharmacokinetic model
0
120
240
Time (min)
360
Nishida et al,
J. Pharm. Pharmacol, 47, 227, 1995
43
Relationship between Mw and ka of model compounds
参考スライド
7
PSP
1
B
 A     (1)
Pa
Mw  K a
ka (min-1 X 10-3)
6
BPB
5
A, B : Constant
Pa : Partition constant
4
3
2
BSP
FD-10
0.133
ka 
 4.99  10 4    (2)
Mw
FD-4
1
r2 = 0.96
Mw = 71195 (ka = 0)
FD-40
FD-70
0
0
0.02
0.04
1/ Mw
0.06
Nishida et al,
J. Drug Target., 4, 141, 1996
44
First-order absorption rate constant ka of compounds
having different lipophilicity
参考スライド
0
Log PC
Paraben
(-1.39)
PSP
(-1.09)
-0.5
Log Ka
Compounds
-1
-1.5
-2
-2.5
Sulfamethizole
(-0.60)
Antipyrine
(0.19)
Methylparaben
(1.66)
Propylparaben
(2.47)
Butylparaben
(3.41)
Sudan blue
(4.19)
Sudan III
(4.62)
 PC 
Log 

 MW 
-3
-3.5
-3 -2 -1 0
0
20
40
60
80
ka ( x 10-3 min-1)
1
2
3
4
100
120
45
Scheme of epithelial cells of liver surface membrane
protein
lipid
A
B
Tight junction
Epithelial cells of
liver surface membrane
A : Transcellular route
B : Paracellular route
J.A. Nagy, Kidney Int. 50 S2 (1996)
46
Concentration (µg/g liver)
Liver concentration of PSP at 30 min after application to
liver surface (LSA) or i.v. administration in rats
60
50
■:Site 1
■:Site 2
■:Site 3
† **
40
30
Site 3 Site 1
Nishida et al,
Pharm. Res., 22, 1331, 2005
Site 1: 投与部位(拡散セル直下)
Site 2: 投与部位以外の外側左葉
Site 3: 非投与葉
20
10
Site 2
*
0
LSA 30 min i.v. 30 min
*p < 0.01, **p < 0.001, vs. site 3
†p < 0.001, vs. site 2
FD-70の実体蛍光顕微鏡による観察
(拡散セル内に投与、2 hr後)
47
Liver concentration and AUC of FD-4 after application to
liver surface or i.v. administration in rats
100
80
**
††, ‡‡
*p < 0.05, **p < 0.01,
vs. i.v.
‡‡p < 0.01, vs. site 2
††p < 0.01, vs. site 3
60
40
20
*
**
0
LSA 60 min
参考スライド
i.v. 60 min
AUC until 360 min
AUC/absorbed amount
(× 103 µg/g · min · mg-1)
Concentration (µg/g liver)
Liver concentration
50
■:Site 1
■:Site 2
■:Site 3
40
30
20
10
0
LSA
i.v.
Nishida et al, Pharm. Res., 22, 1331, 2005
48
Physiological model for PSP distribution after
application to rat liver surface
Qplasma
CLsite2
site2
CLsite23
site3
Qsite2
Qsite3
CLsite3
kidney
CLkidney
80
Qkidney
4
Site 1
60
3
40
2
20
1
0
0
0
60 120 180 240 300 360
100
Concentration (µg/g liver)
CLsite1
site1
CLsite12
Qsite1
Concentration
(µg/g liver or ml)
plasma
diffusion cell
CLa
5
100
Site 2
Site 3
Plasma
0
60 120 180 240 300 360
Time (min)
Site 1
Clearance (ml/min) from each site for simulation
10
CLsite1
0.0017 CLsite12
0.0090
CLsite2
0.027
0.021
CLsite23
CLsite3
0.058
1
0
30
60
Time after withdrawal (min)
参考スライド
49
Absorption of 5-FU from diffusion cell after application to
rat liver surface
Amount in diffusion cell
Mw dependency
30
5-FU
25
Papp (µm/min)
Amount (% of dose)
100
50
Ka = 3.3 X
10-3
min-1
20
r2 = 0.95
15
BPB
10
PSP
FD-4
5
BSP
FD-10
10
0
0
120
240
360
Time (min)
Kodama et al, Biol. Pharm. Bull., 31: 1049, 2008
FD-70
0
0.02 0.04 0.06 0.08 0.1
FD-40
1/ Mw
参考スライド
50
Plasma profile
Distribution in liver at 60 min
50
Concentration (µg/g liver)
Plasma concentration (µg/ml)
Plasma concentration profiles and distribution in liver of
5-FU after application to rat liver surface
40
●:LSA
30
●:i.v.
20
10
0
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
N.D.:
not detected
0.2
N.D.
N.D.
0
0
参考スライド
30
60
90
120
Site 1 Site 2 Site 3
Time (min)
Nishida et al, Pharm. Res., 22, 1331, 2005
51
Plasma concentration profiles of PSP after application to
rat liver surface with or without viscous additives
● : Control
◆ : CMC-Na 1 %
● : CMC-Na 3 %
▲ : PVA 15 %
— Fitting curve
5
4
3
2
*p < 0.05, **p < 0.01,
vs. control
Ka (min-1 X 10-3)
Plasma concentration (µg/ml)
10
8
*
6
4
1
2
0
0
0
120
240
Time (min)
360
参考スライド
Nishida et al, Eur. J. Pharm. Biopharm., 50, 397, 2000
*
**
Relationship between Mw and Papp of model
compounds after application to several organ surfaces
30
30
Papp (µm/min)
25
15
25
Papp (µm/min)
20
Small
intestine
r2=0.997
10
20
Liver
Kidney
25
r2=0.910
15
10
r2=0.979
20
15
10
5
5
5
0
0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06
0
0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06
0
0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06
1/ MW
1/ MW
30
Stomach
r2=0.999
20
15
10
25
Papp (µm/min)
Papp (µm/min)
25
30
Papp (µm/min)
30
10
0
0
1
MW  Papp
参考スライド
Papp (µm/min) :
permeability coefficient
Pa : partition coefficient
B,C : constant about diffusion
15
5
1/ MW
r2=0.998
20
5
0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06
Cecum
1/ MW
C
B
Pa
0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06
1/ MW
Nishida et al,
J. Pharm. Pharmacol., 57, 1073, 2005
Eur. J. Pharm. Biopharm., 58, 705, 2004
J. Pharm. Pharmacol., 54, 1005, 2002
etc
Comparison of absorption clearance CLa of model
compounds after application to several organ surfaces
Route
Aorgan
(cm2)
Small
intestine 186.3
Liver
71.7
a)
Stomach
CLa(µl/min)
PSP FD-4 FD-10
296.2
48.8 22.0
77.9
18.4 10.9
Kidney
13.0
32.1
9.2
5.1
Stomach
16.3
20.1
4.0
1.2
Cecum
25.2
28.2
5.3
2.1
Liver
Blood
CLa = Papp · Aorgan
a) A
organ from previous papers (Flessner et al).
Nishida et al,
J. Pharm. Pharmacol., 57, 1073, 2005
Small
intestine
Cecum
Kidney
Peritoneal cavity
肝臓内直接投与時との比較
(B) FD-10
(A) FD-4
Liver concentration (µg/g liver)
150
†
*
150
100
100
††
**
50
†††
***
††
**
50
0
FD濃度の
経時変化
0
0 10
30
60
0 10
(C) FD-40
1000
site 1
site 2
site 3
60
(D) FD-70
†††
***
(E) FD-2000
1000
1000
††
**
†††
***
500
30
††
**
500
0
††
**
†††
***
0
0 10
30
60
††
**
500
††
**
††
**
30
60
0
0 10
30
60
0 10
Time (min)
‡‡‡
‡‡‡
‡
‡‡‡
FD-4直接投与時の
粘性添加剤の効果
150
■ Control
■ CMC-Na 1%
■ PVA 15%
‡‡‡
100
50
0
10
30
60
90
Time (min)
120
Liver concentration (µg/g liver)
Liver concentration (µg/g liver)
‡‡‡
200
(B) 60 min
(A) 30 min
250
40
80
30
60
20
40
10
20
*
0
N.D.
Direct
injection
0
LSA
FD-4
site 1
site 2
site 3
**
** ***
Direct
injection
i.v.
LSA
55
遺伝子デリバリーへの応用
Luc cDNA
BGH pA
CMV
promoter
f1 ori
pCMV-Luc
SV40 ori
7.1 Kb.p.
Neor
r
Amp
Col E1
実体蛍光顕微鏡による観察
SV40 pA
カテーテル(SURFLO®)
内径 0.60 mm
外径 0.85 mm
Kawakami et al,
BBRC, 294, 46, 2002
皮膚
薬液
肝臓
腹壁
Hirayama et al,
Pharm. Res., 20, 328, 2003
現在の検討項目(麓先生)
移行・発現メカニズム、テーラーメイド型
56
長崎大学薬学部HP
http://www.ph.nagasaki-u.ac.jp/
ご清聴ありがとうございました
薬剤学研究室HP
http://www.ph.nagasaki-u.ac.jp/lab/dds/index-j.html
57