第13回人工物工学コロキウム サービス工学とサービスサイエンス ー人・社会・人工物の連関の中でのサービス創造ー 東京大学人工物工学研究センター センター長挨拶 2006.12.13 センター長 上田完次 [email protected] 東京大学人工物工学研究センター 1 © K.Ueda/RACE/U-Tokyo 東京大学人工物工学研究センター 脱領域と脱物質の観点から、人工物がもたらしてきた困難な問題の解決と、人工物が切り開く新たな可能性 を追究しています。ライフサイクル工学研究部門では、人工物のライフサイクル全体の挙動について研究しま す。脱物質化のためには、サービスと知の供給が重要と考え、サービス工学研究部門では個のケアを、そし て、デジタル価値工学研究部門では知の構造と表現を取り扱います。共創工学研究部門は構成論的な共創 的意思決定の研究を通じて、3つの研究部門を統合化していきます。さらに、創成イニシアテイブ(住友商事) 研究部門では、人工物の社会的価値創成について研究します。 (吉川弘之) ◆ 工学・経済・認知の共創 脱 領 域 ◆ 人工物価値再定義 ◆ 人工物実世界検証 ◆ 人工物価値可視化 脱 物 質 価値創成イニシアテイブ(住商) 客員研究部門 ◆ 人工物社会的価値創出 ◆ 多様な展開(環境・構成学) 2 © K.Ueda/RACE/U-Tokyo 既存の理解から価値の創出へ 既存 創出 アナリシス 分析 C シンセシス 蒐集 B 選択 A 人工物 A C 人間 環境 (自然・社会) 構造化 機能発現 価値創成 人間 人工物 共創 (デジタル) サービス (ライフサイクル) 環境 (自然・社会) 3 © K.Ueda/RACE/U-Tokyo サービスとは • • • • • • • • • • • 無形性:物質財に対するサービス財 非独立性:生産者と消費者から独立していない。孤立系ではない 非蓄積性:貯められない、運べない 非分離性:生産と消費(時間的)、プロダクトとプロセス(実体的) 双方向性(強い相互作用):プロバイダーとレシーバ 主観性:レシーバの満足度(身体、脳、心) 価値定量化困難性:対価、プライシングの困難さ 非対称性:一財一価とは限らない、価値の不均質性、変動性 要素還元不可:サービス発現は要素の線形和ではない 境界不確定性:サービス対象境界の曖昧性 対象参入性:プロバイダーの対象サービスへの参入 4 © K.Ueda/RACE/U-Tokyo サービスのクラスとモデリング 情報 P R S E 提供する価値 P R S 適応 E クラスIサービスモデル: 提供型サービス サービス主体(プロバイダー)とサービス対象(レシーバ)の価値が独立 に明示化でき、かつ、サービス環境が確定できる。モデルは閉じたシ ステムとして完全記述が可能。最適解探索が課題。 クラスIIサービスモデル: 適応型サービス サービス主体とサービス対象の価値は明示化できるが、サービス環 境が変動し、予測困難である。モデルは環境に開いたシステム。適応 的戦略が課題 適応する価値 P R 参入 S E 共創する価値 クラスIIIサービスモデル: 共創型サービス サービス主体の価値とサービス対象の価値が独立に確定できない。 両者が相互作用し分離できない。主体が参入するシステム。価値 共創が課題。 P プロバイダー E R レシーバ S 環境 サービス P,Rは、内部構造を自己組織化する行動主体 Eは、内部構造を持ち変容する環境 Sも、クラスII,IIIでは内部構造をもたなければならない 5 © K.Ueda/RACE/U-Tokyo クラスIII 共創型プロダクト 共創型サービス 共創型生産 ? 現状 バリュー イノベーション ウインウイン クラスII 適応型サービス 適応型プロダクト フレキシブル生産 JIT 効率化 カスタマイズド ? クラスI 価値共創戦略 提供型サービス サービス 提供型プロダクト プロダクト カイゼン すり合わせ 高付加価値戦略 テクノロジー イノベーション ゼロサム 少種多量生産 コスト最小化戦略 プロセス 組織戦略 実世界の現状は理論なきクラスIIか? 6 © K.Ueda/RACE/U-Tokyo サービスの効率化と創出 ■サービスのクラスとモデリング クラスI(提供型)、クラスII(適応型)、クラスIII(共創型) ■サービス業の生産性向上 →最適化 → サービスの製造業化 (情報化と自動化による効率化) → クラスIIからクラスIへ(最適化へ) ■製造業の拡張 →サービス創出 → 製造のサービス業化 (工場から社会へ) → クラスIからクラスIIへ (顧客動向や環境への適応) ■サービス価値の共創 → 生産者と顧客による価値創出 → クラスIIIへ (チャンネル末端からチャネル場へ) ■サービス学の必要性と可能性 → 学としての本質的新規性 → 標準問題 → 研究のポジショニング ■サービスの社会性(サービスの制度設計) アメリカ型(二極化 例:レジ係とアナリシスト)、 北欧型(官民公サービス) ■文化としてのサービスへ 7 © K.Ueda/RACE/U-Tokyo 研究のポジションニング 創りたい 伝統的工学 人工物工学/環境学/情報学 寄せ集め主義 シンセシスの科学 (構成、共創など) (例;製品) 実世界デザイン・マネー ジメント、価値創成など 他象限 へ波及 市場の選択(投資) 分析的方法 純粋科学 原理主義 夢に投資 Innovative Engineering (例:サービス学) 公共財的投資! 統合的方法 (例:宇宙) 先端科学技術 (例;バイオテク) 一点突破主義 期待に先行投資 分かりたい 8 © K.Ueda/RACE/U-Tokyo 第13回人工物工学研究センターコロキウム サービス工学とサービスサイエンス • 13:30-14:00 基調講演 吉川弘之(産業技術総合研究所 理事長) 「Minimal manufacturing, maximal servicing」 • 14:00-14:30 新井民夫(東京大学大学院工学系研究科 教授) 「サービスCADにおけるサービス表現と評価のモデル」 • 14:30-15:00 淺間一(東京大学人工物工学研究センター 教授) 「RTサービスメディアによる適応的サービス創造」 • 15:00-15:30 大武美保子(東京大学人工物工学研究センター 助教授) 「ヒト脳神経系シミュレーションとサービス設計への応用」 15:30-15:50 休憩 • 15:50-16:20 日高一義(日本IBM株式会社東京基礎研究所 部長) 「サービス・サイエンス」 • 16:20-16:50 海老野征雄(東京大学産学連携本部 Proprius21プログ ラムオフィサー) 「産学連携で期待するサービスイノベーション」 • 16:50-17:25 総合討論(モデレータ:淺間一) 9 © K.Ueda/RACE/U-Tokyo
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