Next Generation Mobile Networking

ネットワークと
コミュニケーション技法
第9回
- LAN -
講義内容
1.LANの概要
2.構成技術
・ネットワーク
・インタフェース
・プロトコル
3.LANアクセス方式
2
LANの歴史
 1960年代
:SAGE防空システム(DOD,IBM)
 コンピュータ同士によるコミュニケーションの実用性実証
 1970年代
:DODが異機種コンピュータ間通信
のためのプロトコル開発を先導
 TCP/IPの誕生
 1970年代
:IBM社、プロトコルの公開
 インターオペラビリティの推進
 1982年
:Ethernet販売(Xerox)
 1980年代
:TokenRing販売(IBM)
 1980年代中頃 :単一オープンプロトコル開発
 1990年代
:異種プロトコルの共存
:クライアント/サーバ:ネットワーク資源の共有
3
イーサネット
・米国ゼロックス社が提唱した名前(1973年)
(どのベンダー製品でも相互接続できるよう
に汎用性を重視)
・1982年にゼロックスは商標権を放棄
→製品名ではなく、様々な機能を包含したLAN
全体の呼称となっている。
4
LANのトポロジー
スター型
バス型
・電話配線のようにハ
ブ等でデータの交換
を行う
・断線による影響は少
ないが、高速性に欠
ける
・通信路を
共有
・CSMA/CD
(イーサ
ネット)
ループ型
・環状高速道のように
一方通行でデータが
流れる
・トークン・リング
・高速性にすぐれるが、
断線に弱い
5
LANの構成
基幹LAN
ルータ
支線LAN
ハブ
フロアLAN
6
LANの広がり
★LAN (Local Area Network)
・同一構内
★WAN (Wide Area Network)
・都市間、国家間
7
インターネットワーキング
ルータ
ルータ
LAN
WAN
LAN
ルータ
LAN
8
ネットワークモデル
ネットワークインタフェースカード
インターネット
ネットワーク端末
ルータ
イーサネットケーブル
ハブ
ネットワーク対応機器
9
ネットワーク機器
★リピータ
 同一アクセス方式LANの接続。
再生中継器
★ブリッジ
 異種アクセス方式LANの接続も可能。
フィルタリング(パケットの通過、非通過)
★ルータ
 ルーティング
★ゲートウェイ
 異種プロトコルLANの接続
10
リピータ
LAN同士をつなぐ中継器。OSI参照モデルの第1層
(物理層)で動作する。
リピータ
イーサネット
ケーブル
カスケード接続
ハブ
クライアント クライアント クライアント
ハブ
クライアント クライアント
クライアント
11
ブリッジ
MACアドレスをもとにデータ転送制御を行う。OSI参
照モデルの第2層(データリンク層)で動作する。
クライアントD
へのパケット
他のLANの
パケットなの
で通過
データリンク層
左側LAN
のアドレス
テーブル
(クライア
ントA, B)
右側LAN
のアドレス
テーブル
(クライア
ントC, D)
クライアントC
へのパケット
同一LANの
パケットなの
で通過禁止
物理層
クライアントA クライアントB
クライアントC クライアントD
12
ルータ
ネットワーク(LAN)同士をOSI参照モデルの第3層
(ネットワーク層)で中継し、相互接続する。
異なるLAN
A, B, Cを互
いに接続
クライアント
クライアント
ルータ
LAN A
ルータ
クライアント
クライアント
LAN B
クライアント
クライアント
LAN C
13
ルーティング
ルータによるデータパケットの中継機能
スタティックルーティング:通信経路を記述したルー
ティングテーブルに従ってデータを手動で宛先のネッ
トワークまで中継を行う。
ダイナミックルーティング:最新のルーティングテーブ
ルをルータ間でRIP(Routing Information Protocol)な
どで通信を行い、テーブルを自動的に作成し、それに
基づき経路選択を行う。
14
クライアント/サーバ
★クライアント
 ネットワーク環境でファイルやプリンタあるい
はサービスなど共有資源を利用する側のコン
ピュータやプログラム
★サーバ
 ネットワーク環境で、ファイルやプリンタあるい
はサービスなど共有資源を提供する側のコン
ピュータやプログラム
15
クライアント/サーバ
ファイルサーバ
プリンタサーバ
メールサーバ
LAN
クライアントB
クライアントC
クライアントA
16
サーバ
★ファイルサーバ
 クライアントが作成した、データやプログラムなど
のファイルを保存する。
 共有で利用できるだけの十分なハードディスク容
量がある。
 同じファイルに複数の人が同時にアクセスしても
混乱しないように制御する。
★プリンタサーバ
 クライアントから、ネットワーク経由で依頼された
印刷ジョブを受け付け印刷する。
 複数のクライアントから依頼された印刷ジョブを一
旦ハードディスクに保存し、プリンタがあいたら次
の印刷ジョブを実行するスプーリング機能を持つ。
17
ネットワークインタフェースカード
★LANアダプタ、LANカードとも呼ぶ
 ノート型パソコン用にはPCMCIA(PC)カード、USBタイプ
★コンピュータとネットワークケーブルの間のインタ
フェース
 PCの主メモリとのデータのやりとり
PCI (Peripheral Component Interface)バス
 変換
①パラレル・シリアル変換
②速度変換
 ネットワークケーブルとのデータのやりとり
①電気信号変換
②ケーブルへのアクセス制御
③ケーブルと物理的に接続
18
ネットワークインタフェースカードの構成
PC
主メモリ
PCI (Peripheral Component Interface)バス
ネットワークインタフェースカード
バッファ
①パラレル・シリアル変換
②バッファリング
ペアケーブル
信号
変換
①電気信号変換
②アクセス制御
③物理的接続
19
MACアドレス
(Media Access Control)
コンピュータやルータなどネットワーク機器が個
別にもっているハードウェアアドレス(宛先アドレ
スと送信アドレス)
メーカで製造時点で割り当てられている
物理アドレスとも呼ぶ
第2層プロトコルで使用する
パソコンのLANカードを変えると、MACアドレス
は変わるが、IPアドレスはそのまま
24
0
メーカコード
47
製品番号
20
LANカード/アダプタ
PCMCIAカード型(PCカード)
USBタイプ
PCI (Peripheral Component
Interconnect)タイプ
21
ネットワークケーブル
 シールド無しツィストペアケーブル
 UTP(Unshielded Twisted Pair) Cable
 シールド付きツィストペアケーブル
 STP(Shielded Twisted Pair) Cable
 同軸ケーブル
 光ファイバーケーブル
22
シールド無しツィストペアケーブル
 10BaseTケーブルで利用
 カテゴリー1(音声用)~カテゴリー5
(100Mbit/s用)
 RJ-45コネクタ使用
 柔軟に曲がるので工事が容易で安価
 雑音に弱く、長く伸ばせない
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シールド付きツィストペアケーブル
 IBMデータコネクタ使用
 雑音に非常に強い
 トークンリングLAN専用
 ケーブルが太く、工事に難点あり
24
同軸ケーブル
 10Base2、10Base5 ケーブルに使用
 イーサネットの基幹系に使用
 BNCコネクタ使用
10Base2
25
光ファイバーケーブル
 FDDI (Fiber Distributed Data Interface)に使用
 ST光ファイバーコネクタ使用
 信号はガラス繊維の中を伝わる光のパルスな
ので、外部の電流雑音の影響を一切受けない
26
IEEE802.3規格
IEEE802.3規格のLAN→10BASE5
10: ケーブル上のデータ伝送速度が10Mbit/s
BASE: ベースバンド伝送技術を使用
(ディジタル信号のパルス波形をそのまま伝送)
5: 1本のケーブル最大長が500m
 10BaseT
 電話線と同じツイスト・ペアケーブル(カテゴリー3)を使用、
10Mbit/s、最大100m
 10Base2
 Thin(細い)イーサネットとか呼ばれ,1/4インチ同軸ケーブ
ルを使用、10Mbit/s、最大185m
27
LAN用ケーブル
伝送速度
100Mbit/s
名称
伝送媒体
100BASE-T2
2対UTP(カテゴリ3)
100BASE-T4
4対UTP(カテゴリ3)
100BASE-TX
2対UTP(カテゴリ5)
100BASE-FX
2心光ファイバー
1000BASE-T
1Gbit/s
1000BASE-LX
1000BASE-SX
シングルモード/マルチ
モード光ファイバー
UTP: Unshielded Twisted Pair
28
LANの標準化
★標準化の背景
 オープン化
 モジュール化
 マルチベンダー化
 インターオペラビリティ(相互運用性)
★標準化の利点
 ユーザ主導
 選択の多様性
 柔軟なシステム構成
 機能拡張の容易性
 マルチベンダー化による低コスト化
★標準化機関
 IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)
802委員会
 ANSI(American National Standards Institute) X3委員会
29
LANの技術標準
・802.1 上位レベルインタフェース及びアーキテクチャ
・802.2 論理リンク制御
・802.3 CSMA/CD(搬送波検知多重アクセス・衝突検出機能付)
・802.4 トークンバス
・802.5 トークンリング
・802.6 MAN
・802.7 ブロードバンド
・802.8 光ファイバー
・802.9 ISLAN(統合サービスLAN)
・802.10 セキュリティ
・802.11 無線LAN
他(802.17まで)
30
OSI
開放型システム相互接続
OSI: Open System Interconnection
目的に合わせ、幅広い選択肢(モジュール)の中か
ら最適なものを選択し、組み合わせて利用できる
通信規約(プロトコル)を7階層(モジュール)に分割
 第1層:物理層
 第2層:データリンク層
 第3層:ネットワーク層
 第4層:トランスポート層
 第5層:セション層
 第6層:プリゼンテーション層
 第7層:アプリケーション層
31
ネットワーク機器と
OSI参照モデルとの対応
応用層
プレゼンテーション層
ゲートウェイ
セション層
トランスポート層
ネットワーク層
ルータ
データリンク層
ブリッジ
物理層
OSI参照モデル
リピータ
インターネットワーク機器
32
プロトコル -OSI参照モデル-
第
7
層
アプリケー
ション層
エンドツエンドでアプリケーション制御を行う
第 プレゼンテ
6
層 ーション層
エンドツエンドでデータの表現形式の制御を行う
第
5 セション層
層
エンドツエンドで通信モードの制御を行う
第
4 トランス
層 ポート層
第 ネット
3
層 ワーク層
第
2
層
データ
リンク層
第 物理層
1
層
エンドツエンドでデータ伝送を行うための制御を行う
エンドツエンドでネットワークの通信経路の制御を行う
隣接ノード間でデータを伝送するための制御を行う
物理媒体を相互に接続するための条件
33
第1層:物理層
★物理的条件
 使用するネットワークケーブル
 (例)10BaseT
★機械的条件
 使用するコネクタの形状
 (例)RJ-45コネクタ
★電気的条件
 各ピンの意味
 各ピンの信号レベルや特性
34
第2層:データリンク層
★隣接するノード間あるいは、ノードとターミナル間
で信頼性の高いデータ伝送を保証する。
主な機能
 ①データリンクコネクションの確立と解放
 ②データのフレーム化
 ③フレームの伝送順序の決定
 ④フレームの伝送確認とフロー制御
 ⑤伝送誤りの検出
 ⑥再送制御
例
 イーサネット、FDDI
35
第3層:ネットワーク層
★ネットワークを介して、エンド・ツー・エンドで
通信相手の指定と通信経路の制御を行う。
主な機能
 アドレッシング機能(通信相手の指定)
 ルーティング機能(通信経路の制御)
例
 IPプロトコル
36
第4層:トランスポート層
★ネットワークを介して、エンド・ツー・エンドで
ユーザデータの転送を行う。
主な機能(TCPの例)
 データの分解・組み立て
 順序制御
 応答確認
 再送制御
 ウィンドウ制御
 フロー制御
例
 TCPプロトコル、UDPプロトコル
37
第5層~第7層
第5層:セッション層
★通信モードの管理等を行う。
第6層:プレゼンテーション層
★ユーザデータの表現方法を制御する。
主な機能
 コードセットの指定
 データ圧縮方法の指定
 暗号化の有無
第7層:アプリケーション層
★アプリケーションの制御を行う。
例
 SMTPプロトコル(電子メール)
 FTPプロトコル(ファイル転送)
38
TCP/IPの位置付け
Transmission Control Protocol/Internet Protocol
第
7
層
アプリケー
ション層
第
6 プレゼンテ
層 ーション層
アプリケ
ーション層
第
5 セション層
層
第
4 トランス
層 ポート層
第
3 ネット
層 ワーク層
第
2
層
データ
リンク層
第
1 物理層
層
トランス
ポート層
インター
ネット層
ネットワー
ク・インタ
フェース層
TELNET
FTP
NMTP
rlogin
SMTP
POP3
SNMP
DHCP
MIME
Socket
NETBIOS
TCP
UDP
IP
PPP
Ethernet
トークン・
リング
FDDI
ATM
39
LANのアクセス方式
★CSMA/CD方式
 Carrier Sense Multiple Access with Collision
Detection
 送信可能状態確認、送信開始、衝突検知、再送信
 バス型配線
 小規模LAN用(Ethernet)
★トークンリング方式
 トークンの放出、トークンの転送、トークンの受信と
データ送信、受信データの返送、受信データ確認と
トークン放出
 リング型配線
 大規模LAN(FDDI)
40
CSMA/CD方式
-送信可能状態の確認-
A
B
C
Carrier Sense
D
E
41
CSMA/CD方式
-送信の開始-
A
C
B
データ
D
C
送信の開始
(A, B, Eが送信してい
ないことを確認してか
らCへ送信)
E
42
CSMA/CD方式
-衝突の検出-
A
C
B
衝突
データ
C
データ
A
衝突したパケットは
廃棄する。
D
E
43
CSMA/CD方式
-再送信-
A
C
B
データ
10秒後
D
C
データ
A
5秒後
E
44
トークンリング方式
-トークン(token)放出-
トークン(token):LANのリング内に一つしか存在しない送信権を表す情報信号
A
トークン
E
D
B
制御情報を端
末間で循環
B
トークンは局間を固
定した順序で通過し、
トークンを持ってい
る局のみが送信の
権利を持つ。
C
45
トークンリング方式
-トークンの転送-
A
D
E
トークン
B
C
C
46
トークンリング方式
-データの送信-
A
D
E
データ
B
トークン
C
E
C
47
トークンリング方式
-コピーデータの返送-
A
D
E
C
データ
コピー済み標識
B
トークン
C
C
48
トークンリング方式
-トークンの解放-
A
D
E
トークン
データ
B
D
C
廃棄
C
49
大規模LAN(FDDI)
FDDI: Fiber Distributed Data Interface
支線LAN
イーサネットLAN
基幹LAN
FDDIのLAN
光ファイバーケーブル
伝送速度100Mbit/s
ブリッジ
支線LAN
支線LAN
ブリッジ
ブリッジ
イーサネットLAN
イーサネットLAN
ブリッジ
イーサネットLAN
支線LAN
50
課題
1.MACアドレスついて説明せよ。
2.LANの代表的なアクセス方式について
説明せよ。
51