A-1 磁歪振動子を用いたキャビテーション発生と 殺菌・浄化作用に関する研究 The Study of Generation of Cavitation by Magnetostrictive Actuator and Effect of Sterilization and Purification 電子情報工学専攻 中村 翔太郎 発表の流れ 1. はじめに 研究背景・目的 キャビテーション発生装置による微生物の殺菌メカニズム 2. キャビテーション発生装置 3. キャビテーション発生装置の殺菌・浄化作用の検証 大腸菌の損傷評価 自然界における菌類の殺菌効果の検証 4. まとめ 1. はじめに 研究背景・目的 キャビテーション発生装置による微生物の殺菌メカニズム 2. キャビテーション発生装置 3. キャビテーション発生装置の殺菌・浄化作用の検証 大腸菌の損傷評価 自然界における菌類の殺菌効果の検証 4. まとめ 研究背景 水槽内にレジオネラ菌等の菌が存在 → 肺炎などの病気の原因 殺菌 塩素 2次生成物 有害物質 光触媒によるラジカルを利用した薬品を使用しな い水質浄化の研究 キャビテーション発生機構を提案し,クーリングタワー水槽 などの,薬品を使用しないバイオ環境の浄化を目指す キャビテーション現象 液体を微小時間内に断熱膨張させると,無数の小さな泡が発生・ 崩壊する現象 気泡(キャビテー)崩壊時に微小空間に大きな熱・圧力衝撃波 ・超音波洗浄などで有効利用 液体 沸騰 ・TiO と併用でラジカル発生 2 圧 力 P 固体 Pv 気体 キャビテーション 温 度 水の状態図のモデル キャビテーション衝撃波 二酸化チタンの励起過程 キャビテーション崩壊エネルギー >3.2 eV ・ キャビテーション崩壊エネルギーにより TiO2が励起され,電子eCBと正孔hVBが 生じる ・ チタン表面の吸着水や酸素と反応し, ラジカル生成 ヒドロキシルラジカル H2O ・OH hVB+ + H2O → H+ + ・OH hvb+ eeb- ・OH ・ 活性酸素の中では最も反応性が高く, 最も酸化力が強い ・ たんぱく質や脂質,核酸(DNA,RNA) などあらゆる物質と反応するため,農 薬などの難分解性化学物質を分解で きる TiO2 O2 + eCB- → O2+ + e -) TiO2 → (h O2 TiO CB ・O2 2 VB スーパーオキサイド アニオンラジカル 装置駆動によるキャビテーション発生と微生物への影響 機械的メカニズム Gaiant magnetrostrictive actuator Unit:mm 103 磁歪アクチュ エータ 振動エネルギー 193 Piston – cylinder mechanizn ピストン- シリンダ機構 160 水媒質 化学的・バイオメカニズム キャビテーション TiO2励起 ラジカル生成 (・OH,・O2) 衝撃波 大腸菌殺菌 ウイルス不活性化 装置駆動によるキャビテーション発生と微生物への影響 Unit:mm 103 RNA 193 ウイルス粒子 DNA・RNA 大腸菌 RNA流出 160 キャビテーション発生装置 ? 研究目的 Giant magnetostrictive actuator 103 Unit:mm Magnetostrictive material (Terfenol-D) 大腸菌が装置駆動によりどのような 状態になるか 193 Exciting coil Piston-cylinder mechanism 160 ・ 紫外線吸収法による損傷評価 ・ 電気泳動法による損傷評価 <自然界の菌類における殺菌効果の検証> 浅野川の支流の水を用い、装置駆動により自然界の菌類が 殺菌できるか検証 1. はじめに 研究背景・目的 キャビテーション発生装置による微生物の殺菌メカニズム 2. キャビテーション発生装置 3. キャビテーション発生装置の殺菌・浄化作用の検証 大腸菌の損傷評価 自然界における菌類の殺菌効果の検証 4. まとめ 磁歪現象 強磁性体に磁界を印加すると,磁界方向に寸法変化を起こす 現象 Magnetic field キャビテーション発生装置 超磁歪アクチュエータは超磁歪素子Terfenol-Dの伸縮によって 変位を得る装置 項目 パラメータ 超磁歪素子 Terfenol-D 励磁コイルの巻数 1200 turn 定格起磁力 6,000 AT 最大磁気歪量 120 mm 発生力 8,300 N キャビテーション発生装置 Unit:mm Giant magnetostrictive actuator 超磁歪アクチュエータの振動が水媒質 に伝わり,キャビテーション発生を狙う 20 Magnetostrictive material (Terfenol -D) 120 Exciting coil <求められる振動子の性能> Piston -cylinder mechanism ・真空発生のための数百 kgの発生力 ・小型 <Terfenol-D> 超磁歪素子 素子のサイズ f20×120 mm 最大磁気歪量 120 mm 発生力 8,300 N 160 キャビテーション・ラジカル 発生領域 1. はじめに 研究背景・目的 キャビテーション発生装置による微生物の殺菌メカニズム 2. キャビテーション発生装置 3. キャビテーション発生装置の殺菌・浄化作用の検証 大腸菌の損傷評価 自然界における菌類の殺菌効果の検証 4. まとめ 大腸菌の損傷評価 水系に生息する細菌のモデル:大腸菌 2 mm長,直径0.5 mmfの棒状菌であり,環境中に存在する主要なものの ひとつ サルモネア菌・赤痢菌などの水系感染性細菌と似た特徴を持ち, 日本の水道法では検出されてはならない菌に指定 2 mm 大腸菌E. coli (Escherichia coli) 透析膜を用いた検証方法 ・ 分画分子量15,000 Da,細菌類などの高分子は通れず,水分子(分子量18 Da) は通過可能 ・ 透析膜内にキャビテーション,ラジカルが生成 Dialysis film XL1-Blue TiO2 Particles Dialysis film H2O H2O H2O H2O Bacillus 透析膜を用いた検証方法 Exposure(振動印加有) Control(振動印加無) Exposureと平均温度が 等しくなるよう調整 Unit:mm 103 193 サンプル TiO2 Particles Dialysis film 160 キャビテーション,ラジカルの 影響を個別に検証 光によるTiO2励起を 防ぐため遮光 暗所密閉 紫外線吸収法による大腸菌の損傷評価 紫外線吸収法 多くの有機物は紫外部に特有の吸収帯をもっており,その 特徴を利用して物質を定量する方法 紫外線吸収の極大 タンパク:280 nm DNA・RNA:260 nm 装置駆動後の大腸菌液に対し, 分光光度計にて吸光度を計測 細胞膜 DNA・RNA 大腸菌 紫外線吸収法によるタンパク・DNA流出の評価結果 駆動条件:5 Arms,240 Hz,30 min Absorbance wevelength to 280 nm E2 * * C2 0 E1 50 100 150 200 Frequency of vibration [Hz] Absorbance wevelength to 260 nm 1.2 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 -0.1 1 E2 0.8 0.6 0.4 * 0.2 0 C2 -0.2 0 C1=0 * * E1 50 100 150 200 Frequency of vibration [Hz] Condition Control 1(C1) Control 2(C2) Exposure 1(E1) Exposure 2(E2) TiO2 - 1 mmf 5 g - 1 mmf 5 g Vibration - - 30 min 30 min ラジカルによる大腸菌の タンパク,DNA・RNA流出 を示唆する結果が得られた DNA電気泳動法による大腸菌の損傷評価 アガロースゲル電気泳動 核酸を長さに応じて分離する手法 Molecules Charge - Electronic field Movement of molecules Gel 核酸の長さが長いほど ゲルの中を進みにくい 核酸を長さで分離可能 + DNA電気泳動法による大腸菌の損傷評価の結果 Giant magnetostrictive actuator 駆動条件:5 Arms,240 Hz,30 min Size marker E2 C1 C2 E1 E2 (Remove RNA) Molecular size 0.95 kbp 193 Exciting coil Piston-cylinder mechanism 160 TiO 2 Particles Dialysis film 21.23 kbp 2.02 kbp Unit:mm Magnetostrictive material (Terfenol-D) Large 5.15 kbp 103 RNA Condition Control 1(C1) Control 2(C2) Exposure 1(E1) Exposure 2(E2) TiO2 - 1 mmf 5 g - 1 mmf 5 g Vibration - - 30 min 30 min Small ラジカルにより,DNA・RNA流出後さらにこれらが分解 されることを確認した 自然界の菌類における殺菌効果の検証 環境中に存在する菌類 ・ ・ ・ ・ 枯草菌 TiO 緑膿菌 コウジカビ アクレモニウム 2 など コロニーアッセイ法による 検証 浅野川の支流 コロニーアッセイ法 大腸菌の生菌数を数えるための手法 1. 寒天培地上に試料の菌液を均一にまき, 37 ℃下で15時間培養 2. 菌は寒天培地上で移動できず,その場で 増殖 → コロニーを形成 3. コロニーの数=大腸菌の生菌数なので コロニーの数を計測する コロニーの数少 殺菌効果大 コロニー 自然界の菌類における殺菌の検証結果 駆動条件:5 Arms,240 Hz,30 min C1 C2 E1 E2 Giant magnetostrictive actuator 自然界の菌類における殺菌の検証結果 103 Unit:mm Magnetostrictive material (Terfenol-D) 193 Exciting coil Piston-cylinder mechanism 駆動条件:5 Arms,240 Hz,30 min Vacteria existence ratio 1.2 160 * * 1 E.coli 0.8 TiO 2 Particles Dialysis film 0.6 0.4 C1-E1間 C2-E2間で有意差 0.2 0 C1 C2 E1 E1 E2 E2 Condition Control 1(C1) Control 2(C2) Exposure 1(E1) Exposure 2(E2) TiO2 - 1 mmf 5 g - 1 mmf 5 g Vibration - - 30 min 30 min ・ラジカルにより,川の水が 93 %殺菌 ・大腸菌と比べ,川の菌類 が弱い傾向にある 1. はじめに 研究背景・目的 キャビテーション発生装置による微生物の殺菌メカニズム 2. キャビテーション発生装置 3. キャビテーション発生装置の殺菌・浄化作用の検証 大腸菌の損傷評価 自然界における菌類の殺菌効果の検証 4. まとめ まとめ キャビテーション発生装置駆動による ・ 大腸菌を用いた損傷評価 ・ 浅野川の支流の水を用いた殺菌効果の検証 <大腸菌の損傷評価> 紫外線吸収法,DNA電気泳動法から,ラジカルにより細胞膜が 分解され,中のDNA・RNA流出 分解 <自然界の菌類における殺菌効果の検証> 自然界の菌類: 240 Hz, 30分間駆動 93 %の菌類を殺菌 ・ 装置駆動後の大腸菌の状態を解明できた ・ 装置が自然界の菌類に対しても有効なことがわかった ・ キャビテーション発生量を増やすなどして殺菌効率の 増大が課題 ご清聴ありがとうございました
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