線形符号(10章) 1 組織符号 組織符号 情報部分と検査部分(冗長部分)が明確に分 離できる通信路符号を組織符号という。 組織符号は以下のように表現できる。 通信路符号=情報部分+検査部分 w ( w1 , w2 , ( x1 , x2 , , wn ) , xk , p1 , 情報部分 , pn k ) 検査部分 ( x , p) 2 2元(n,k)符号 2元(n,k)符号 符号アルファベットの大きさが2であり、 k 符号長が n ビット、情報部分が (通信路)符号を 2元(n,k)符号 という。 このとき、検査ビットは、当然 nk ビットの ビットである。 情報ビットから、検査ビットの作成には様々な方法が考えられ る。この中で、情報ビットを線形写像して(行列演算で)検査 ビットを作成する方法が応用上重要である。 線形符号 3 線形符号 線形符号 情報ビット x ( x1 , , xk )から、検査ビット p ( p1 , , pnk ) を生成する定義式が、線形写像で表されるような通信路符号を 線形符号という。 p1 p11 x1 p21 x2 pk1 xk p p x p x p x n k 1( n k ) 1 2( n k ) 2 k ( n k ) k 4 情報・検査関連行列 線形符号では、検査ビットの定義式は以下のように行 列の形で表現可能である。 p xP ( p1 , , pn k ) ( x1 , この行列 P p11 , xk ) p k1 p1 nk pk ( n k ) を、情報・検査関連行列という。 5 生成行列 線形符号では、情報ビットから符号を行列を用いて表 現可能である。 Ik は k k w xG の単位行列 ( x, p) x I k ( w1 , , wn ) ( x1 , 1 0 0 1 , xk ) 0 P 0 p11 p12 p21 p22 pk1 pk 2 0 0 P この行列G I k ( n, k ) 符号では k n 1 p1( n k ) p2( n k ) pk ( n k ) を、生成行列という。 行列となる。 6 生成行列例 (7,4)ハミング符号は、線形符号である。したがって、 情報ビットから、行列を用いて検査ビットおよび符号 を構成可能である。この行列を示す。 w (w1 , w2 , , w7 ) ( x1 , x2 , x3 , x4 , p1 , p2 , p3 ) ( x, p) p1 x1 x2 x3 p2 x2 x3 x4 p3 x1 x2 x4 7 前のスライドより、(7,4)ハミング符号の情報・検査関 連行列 PH および生成行列 G H が以下のように表 現できる。 1 1 PH 1 0 1 0 GH 0 0 0 1 0 0 0 1 1 1 1 1 0 1 0 0 1 0 0 0 0 1 1 1 1 0 0 1 1 1 1 1 0 1 8 例 生成行列が以下で与えられるとする。 1 0 GH 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 1 1 1 0 0 1 1 1 1 1 0 1 このとき、以下の情報ビットから符号を生成せよ。 (1) (2) x1 (1,0,0,1) x2 (0,1,1,1) 9 w1 x1GH 1 0 (1, 0, 0,1) 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 1 1 1 0 0 1 1 1 1 1 0 1 (1, 0, 0,1,1,1, 0) w 2 x 2G H 1 0 (0,1,1,1) 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 1 1 1 0 0 1 1 1 1 1 0 1 (0,1,1,1, 0,1, 0) 10 練習 前のスライドの生成行列 GH で符号を生成するとする。 このとき、次の情報ビットに対する符号を求めよ。 (1) x1 0001 (2) (3) x2 0110 x3 1101 (4) x4 1110 11 練習 垂直・水平パリティ符号は線形符号である。(9,4)垂直 水平符号に対して、情報・検査関連行列 PO および 生成行列 G を求めよ。 O 12 練習 前のスライドの生成行列 GO で符号を生成するとする。 このとき、次の情報ビットに対する符号を求めよ。 (1) x1 0001 (2) (3) x2 0110 x3 1101 (4) x4 1110 13 検査行列 生成行列 G [ I k 検査行列という。 H [tP P ] に対して、次の形の行列 H を I nk ] p11 p 12 p1( n k ) p21 p22 pk1 pk 2 1 0 0 1 p2( n k ) pk ( n k ) 0 0 0 0 1 14 性質:検査行列 情報ビット x ( x1 , , xk ) に対して、生成行列 G [ I k P ]で 符号 w (w1 , , wn ) が生成されたとする。このとき、検査 行列 H [ t P I nk ] に対して、次式が成り立つ。 wtH 0 ( w1 , p11 pk1 , wn ) 1 0 p1( n k ) pk ( n k ) (0, 0, , 0) 0 nk 1 15 証明 w xG であるので、 w t H x[ I k P]t[ P ( x1 , ( x1 , 1 , xk ) 0 t P] I nk ] 0 p11 1 pk1 p11 p11 p p 21 21 , xk ) pk1 pk 1 w x[ I k p12 p12 p22 p22 pk 2 pk 2 p1( n k ) p11 p1( n k ) pk ( n k ) pk 1 1 0 pk ( n k ) 1 0 p1( n k ) p1( n k ) p2( n k ) p2( n k ) pk ( n k ) pk ( n k ) 16 0 0 0 0 w t H ( x1 , , xk ) 0 0 (0, 0, , 0) 別証明 G t H [Ik 0 0 0 t P]t[ P I nk ] P [Ik P ] I nk PP 0 QED 17 (7,4)ハミング符号の生成行列 は以下のように表現できる。 1 0 GH 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 1 1 1 0 G H および検査行列 H H 0 1 1 1 1 1 0 1 1 1 1 0 1 0 0 H H 0 1 1 1 0 1 0 1 1 0 1 0 0 1 18 実際、 1 0 GH t H H 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 1 1 0 1 0 1 1 0 0 1 0 1 1 1 1 1 1 0 0 1 1 0 0 0 1 1 1 1 0 1 1 0 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 19 練習 垂直・水平パリティ符号は線形符号である。(9,4)垂直 水平符号に対して、検査行列 H を求めよ。 O また、 GO HO 0 t を確かめよ。 20 シンドローム シンドローム 2元 ( n, k ) 線形符号の受信語が y ( y1 , y2 , であるとき、受信語から次式で定義される長さ n k 列 s (s , , s ) をシンドロームという。 , yn ) の2元系 n k 1 s ytH ( s1 , , sn k ) ( y1 , 受信語の誤り位 置を診断するた めの情報 p11 pk1 , yn ) 1 0 p1( n k ) pk ( n k ) 0 1 21 シンドロームの性質 s ytH である。 一方、受信語 y ( y1 , と誤りベクトル e (e1 , , yn ) は符号語 w (w1 , , wn ) , en ) 用いて次のように表現できる。 y we ( y1 , , yn ) ( w1 e1 , , wn en ) したがって、シンドロームに関して次式が成り立つ。 s ytH (w e) t H w tH etH 0 etH 22 このように、実はシンドロームは誤りベクトルのみで定まる。 よって、以下が成り立つ。 s0 誤りなし s0 誤りあり シンドロームにより、 誤りそのものの検出 および 誤り位置の導出 が可能である。(1ビット誤り) 23 シンドロームを用いた誤り訂正 t s y H のように計算可能であ 符号語より、シンドロームが る。このシンドロームが検査行列のt H の i 列と等しいと する。 t このとき、シンドロームと誤りベクトルの関係式 s e H から、誤りベクトルはe (0, , ei 1, 0) であり、送信符 号は w ye ( w1 , , wi , , wn ) ( y1 e1 , ( y1 , , yi ei , , yi 1, , yn en ) , yn ) であることがわかる。 24 練習 以下の各系列は次の検査行列を持つ(7、4)ハミング符号 である。このとき、シンドロームを計算することにより、誤り 訂正を行え。 1 1 1 0 1 0 0 H H 0 1 1 1 0 1 0 1 1 0 1 0 0 1 (1) y1 1110111 (2) y2 0111101 (3) y3 0101000 (4) y4 0100110 25 練習 垂直・水平パリティ符号は線形符号である。(9,4)垂直水平 符号に対して、先ほど求めた検査行列 H O を求いてシン ドローム を計算できる。 1 2 5 s (s , s , ,s ) このシンドロームを用いて以下の符号の誤りを訂正せよ。 (1) y1 110100000 (3) y3 110101001 (2) y2 011010011 (4) y4 000101010 26 情報伝達モデル(複雑版) 情報源符号化 (5、6章) 情報 情報源復号化 (5、6章) 外乱(雑音) 情 報 源 値通 情 表表 報 現現 の 共 )( 2 通信路符号化 (8章) 通 信 路 通信路 (7章) 値通 情 表表 報 現現 の 共 )( 2 通信路復号化 (8章) 受 信 者 27
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