組織の立ち上げや推進員等 養成のポイント

組織の立ち上げや推進員等
養成のポイント
立ち上げに当たり,行政で確認すべきこと
• 担当者間での意思統一を図る
担当者(保健師・栄養士等)間で,直接関わる事業,
また,担当する地区またはグループにおける課題解
決について,組織育成の必要性を共通理解する。
• 係内・課内での意思統一を図る
係内・課内で,他の担当者や上司を交えて,行政
だけでは解決が困難な多くの課題の解決に,住民と
の協働が重要であることを十分話し合う。
組織の育成にあたり,どのような課題(人的配置・
予算・住民との協議など)があるのか検討を重ねる。
立ち上げに当たり,行政で確認すべきこと
• 市町村の施策として位置づける
住民組織育成・支援が,職員の異動等に関係なく,
継続的に行われるようにするには,施策の一つとし
て位置づける必要がある。
計画的な育成支援を市町村総合計画,あるいは
保健福祉計画等に入れたり,条例化することにより,
予算等が確保しやすい体制を作っていく。
• 立ち上げの手法の選択
組織育成を何のために行うのか,その目的に応じ
た立ち上げの手法を選択する。
当初は,取り組みやすい手法で開始し,育成経過
を見ながら,新たな手法へ移行することも検討する。
立ち上げにかかる住民とのコンセンサス
• 住民と行政で,地域の課題を共有する
住民側の課題を把握するとともに,行政が把握し
ている課題を提示し,地域の「めざす姿」を話し合う
中で,地域の課題を共有する。
• 対象地域の住民に組織の必要性について説明する
共通の課題の解決に当たり,ひとつの解決策とし
て,住民組織があること,住民による自主的な活動
により,行政と協働で同じ目標に向かって課題を解
決していくことの意義を説明し,理解を得る。
• 組織の役割を明確にする
既存の団体・組織,個人は,他の委員会や協議会
に所属していることが多いため,役割を明確にし,
新たな組織の目的や活動について理解をしてもらう
委員・推進員方式の立ち上げ
○○協議会
○○推進員
代表者等による構成
直接の個人委嘱
一般住民
各種
各種団体・組織
所属する団体・組織が,協議会の
下部組織としてどのような役割を
担うのか明らかにしておく
年次別の育成・研修・到達度等の詳細
な計画を立てておくこと
その活動について類似団体・組織との
相違について協議しておく。
モデル方式の立ち上げ
グループ
同じ健康課題
同じ職場等
学校区
学校区等
モデル地区
波及効果
モデルグループ
波及効果
グループ,地区間の交流も重要
ひとつのグループ育成ではなく,また,一地域だけの事業に終わらないように
最終的な組織全体像を認識しながら育成すること。このため,詳細な組織育
成計画(短期・中期・長期)を策定し,年次別育成状況の見直しを行う。
モデル期間終了後の主体的な活動への移行を促せるように,関係機関・団
体の協力支援体制をつくり,類似の団体や他のグループとの連携を図る。
OB会方式の立ち上げ
食生活改善推進員等
糖尿病友の会
楽しく歩こう会等
OB
推進員
推進員
○年度養成講座
◇年度養成講座
○年度教室
OB
◇年度教室
OB
推進員
△年度養成講座
△年度教室
教室を企画する段階から,教室終了後にOB会として活動することを念頭に置く。
参加者と行政が,学習カリキュラムなどを一緒に企画,役割分担を行う。
教室の運営にあたり,関係する団体・組織からの支援協力を得たり,グループ
や組織間の連携を図るため関係機関・団体と協議を行う。
講座終了後は,気軽な「集い」から開始し,活動の広がりにより,地域活動の「場」
を提供したり,必要な支援を随時行いながら自主的な活動の展開を促す。
当事者方式の立ち上げ
親父の会
子育てサークル
当事者・家族会
当事者やその家族が,組織化することの意義や目的を理解してもらう。
その目的を達成するためには,組織内の学習や活動だけでなく,当事者が地域
でいきいきと暮らせるまちづくりについて,他団体と一緒に学習する機会を持つ
など,他の団体・組織にどう働きかけるかについても議論をしておくことが大切。
立ち上げに当たり,当事者とその家族の負担が大きくならないよう,参加条件は
緩やかにしておき,活動の継続を可能にする支援体制を確立しておくこと。
養成講座のポイント① 核を作る
• 新たに組織を立ち上げるためには,リーダーとなる
人の選任や地区の選択は重要なポイントとなる。
• 以下のような住民を「核」にするとスムーズな導入が
可能になる。
保健活動の中で健康問題に関心を寄せた住民
地域で声かけなど地道にやっている住民
教室等終了後に継続したグループ活動を行って
いる住民たち
• 健診など日々の保健活動でこうした人材の発掘を
養成講座のポイント② やる気おこし
• 住民には,行政から地域の健康問題や身近な話題
提供を行う。
• 必要に応じて外部講師による「住民組織活動につい
て」の講義等を行い,関心を高めてもらう。
• このとき,自身が感じたことや学んだことなどを気軽
に話せるような場づくりを心掛ける。
講話を聴いての感想を述べ合うだけでも有効
自分の発言が尊重されることで,「やる気」に
• 次回へつなげる内容を明確にし,参加者自身が主体
的に参画できる形をとる。
講座毎に何ができるかお互いに意見を出し合い,
思いの確認を繰り返す。
→ 組織づくりへの意欲(やる気)を盛り上げていく
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住民組織活動の意義
① 人の役に立っていることを実感する
② 達成感や満足感が得られる
③ 自分が思ったり考えたりしていることを,活動を通
して実現する
④ 話し合いや活動場面で,自分の役割や出番がある
⑤ 居心地が良い(安心・安全で心やすらぐ時間)
⑥ 学習により新たな知識や知見が得られる
⑦ 自身と家族の健康にプラスになる
⑧ 仲間との出会いとつながり
⑨ 行政との関係が近くなって気軽に相談できる
母子愛育会「知ろう・活かそう 地区組織」より
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ジェンダーとソーシャル・キャピタル
男性(オス・雄)
女性(メス・雌)
群れない
群れる
一人で行動
関係性に学べない
一人で抱え込み,相談できない
周りに合わせる
関係性に学ぶ
関係性に癒される
顕示欲・独占欲・性欲などが強い
食欲,愛情欲,物欲などが強い
プライドが高い生き物
本能とあきらめの生き物
役割,活動目的を示す,創出する
ことが重要,名刺,肩書が重要
日常の中に幸せと
役割を自ら見つけだせる
関係性を構築する場が重要
人に言われても変われない
おだてられないと,いじける
「まあいいか」と現実を
受け入れ続ける
ポイント③ 急がず,確実に基盤づくり
• 組織の必要性が理解できたら,体制づくりに移行
• このとき,一人に多くの負担がかからないよう,住民
ひとり一人が「役割」を持てるようにしておく。
• 一人だけ先に進んだり,途中で意欲が減退すること
がないよう,無理のない進め方で,ことあるごとに話
し合いの機会を持ち,進捗状況を確認し合う。
• 子育て中の推進員等は,子どもを連れての参加も
歓迎する雰囲気が大切
• 欠席したメンバーは,会議の内容をしっかり伝える
欠席したことを非難したり,責めたりしない
養成講座のポイント④ 環境を整える
• 行政は,養成講座の開催と並行して,新たな組織の
立ち上げについて理解を得るため,関係団体・組織
に「根回し」をする必要がある。
• 特に,モデル地区としての立ち上げの場合は,地域
で説明会や懇談会を開催し,住民と十分なコンセン
サスが図れるようにすること。
• このため,地区役員や関係者との事前協議を行い,
会議や学習会の開催時には,司会や進行,挨拶等
地区住民代表がするなどして,行政と協働での組織
づくりであることを住民に理解してもらうことが重要。
• また,養成講座や住民説明の経過などをタイムリー
に広報しておくと,当該地区のみならず将来,全域
での組織育成に向けての意識付けに効果的である。