財政-第15講 4.租税理論と税制改革(9) 2008年6月3日 第1限 1 戦後日本の税制改革 シャウプ税制改革(1949-50年) 抜本的税制改革(1987-88年) 今後の税制改革の方向性 授業アンケート(中間)についてのコメント 2 戦後日本の税制改革 3 シャウプ税制改革(1949-50年) 4 シャウプ勧告(1949年) →日本税制の調査報告書・全面改革案 シャウプ税制改革(1949-50年) 税体系:所得課税(所得税・法人税)中心型 地方財源の強化 5 シャウプ税制の崩壊(高度成長期以降) 所得税 総合課税:(超過)累進税率 →分離課税:単一税率+低率(←第10講) ex.利子所得,譲渡所得(株式譲渡益) →a.貯蓄増強による資本蓄積の促進 b.株式市場での取引活性化 6 抜本的税制改革(1987-88年) 7 シャウプ税制の崩壊 →× シャウプ税制の再建 ○ ヨーロッパ型の新しい税制…資料7-5 抜本的税制改革(1987-88年) =税体系:所得課税(所得税・法人税)中心型 →所得課税・消費課税(消費税)並立型 ⇔cf. 消費課税の導入構想 一般消費税(1979年) 売上税(1987年) 8 所得税の減税 =a.累進税率のフラット化…資料10-1 b.所得控除の拡大 法人税の減税 =法人税率引下げ…資料12-2 消費税(税率3%)の創設(1989年4月~) ⇒所得税・法人税の減税=消費税の創設(増税) 9 抜本的税制改革の背景(←cf. 第14講) 所得税の累進税率 ⇒累進税率のフラット化 ⇒全ての世代に負担を求める消費税の創設 経済の低成長(石油危機後~バブル経済前) ⇒税収の安定性:消費税>所得税・法人税 所得税のクロヨン問題への対応 ⇒水平的公平を確保するためのコスト 10 抜本的税制改革以降 所得税=累進税率のフラット化…資料10-1 法人税=税率引下げ…資料12-2 消費税=税率引上げ(3%→5%)(1997年4月~) ⇒所得課税・消費課税並立型の進展 11 今後の税制改革の方向性 12 今後の税制改革の方向性 ①財政赤字縮小 『歳出・歳入一体改革』(2006年)(→第19講) 歳出:11~14兆円削減⇔歳入:2~5兆円増加 ②所得格差是正 ③経済成長・活性化 ⇒政府税制調査会答申(2007年11月)では? 13 政府税制調査会答申(2007年11月) 所得税 所得控除の縮小 累進税率フラット化の見直し →cf. 累進性再強化(2007年~)…資料10-1 法人税 税率引下げの見送り 消費税 税率引上げ(←社会保障財源の確保) 14 今後の課題(①+②) 所得税増税 所得控除の縮小⇔クロヨン問題の解消 (←第10講) 分離課税の金融所得課税(←第9講) 消費税増税 軽減税率の適用?(←第14講) 益税問題の解消 15 参考資料の出典等 資料7-5…財務省[2007]『わが国税制・財政の現状全般に関する資料』 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/016.htm 資料10-1…財務省[2007]『所得税など(個人所得課税)に関する資料』 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/035.htm 資料12-2…財務省[2007]『税のはなしをしよう。』 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/1910_1516.pdf 参考文献 石弘光[2006]『タックスよ、こんにちは!-茶の間で語らう親子のために』 (日本評論社) 石弘光[2008]『税制改革の渦中にあって』(岩波書店) 森信茂樹[2007]『抜本的税制改革と消費税-経済成長を支える税制へ-』 (大蔵財務協会) 星野次彦編[2007]『図説 日本の税制 (平成19年度版)』(財経詳報社) 税制調査会[2007]『抜本的な税制改革に向けた基本的考え方』 http://www.cao.go.jp/zeicho/tosin/pdf/191120a.pdf 16 第16講の予定 5.財政赤字と公債理論(1) 財政赤字関連指標 プライマリー・バランス(基礎的財政収支) 17
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