“共貨”による日本再建構想 Version 1.0 September 25,2002 公文 俊平 地域情報化研究会共貨分科会 いま日本はどこに? 近代日本の六十年長波の中で 英国覇権 米国覇権Ⅰ 1.主権国家 産業化 1915 命 1825 0.プロト工業化体制 2002/09/28 情報化 1975 意識Ⅰ 制度 0 革 3.情報社会 2.産業国家 国家化 1855 米国覇権Ⅱ 2035 意識Ⅱ 制度Ⅰ 明治憲法 1885 戦 争 意識Ⅲ 制度Ⅱ 沈 昭和憲法 1945 1.近代主権国家体制 没 制度Ⅲ 平成憲法? 2005 2.高度産業化体制 3.情報化体制 Kumon@GLOCOM 日 本 の 現 在 位 置 今日の歴史的課題 日本近代第三の危機への対処 今回の危機は経済的沈没の危機 革命・内戦と敗戦に次ぐ危機(2005) 第三の制度改革期としての2000年代 通貨・金融・財政システムの崩壊 新体制の目標は、地方分権化と地球化 その実現戦略としての情報化 第三次産業革命と第一次情報革命 2002/09/28 Kumon@GLOCOM 基本的政治理念: 新通貨をてことした浮上をはかる 共貨利用の全国的普及 →地方分権社会構築の最重要基盤 共貨を推進する新政治勢力形成 →智民革命の担い手 世界の経済・社会再建の普遍的モデルを 日本から 2002/09/28 Kumon@GLOCOM 商品交換ネットワークと貨幣 ノードは個々の商品 有向リンクは売りと買い:選好差あり 自己組織的ネットワーク スケール・フリーのネットワーク ノードの追加と消失が常態 いくつかの“ハブ”商品をもつ 貨幣は、ボーズ=アインシュタイン凝縮体 バラバシのネットワーク論、ゾーハーの量子社 会論 2002/09/28 Kumon@GLOCOM 貨幣の二つの基本形式 対内貨幣:決済・分配手段が根源 当該経済システムの内部から生まれる貨幣 「われわれが決めた」から貨幣は貨幣 権力体による一方的決定 コミュニティによる共同決定 対外貨幣:交換手段が根源 当該経済システムの外部から来る貨幣 「連中が使う」から貨幣は貨幣 2002/09/28 Kumon@GLOCOM 貨幣の三大機能 価値尺度 交換・支払い手段(通貨) 価値保蔵手段 2002/09/28 Kumon@GLOCOM 広義の通貨の三つの機能 経済的交換の媒介(市場での交換手段) 社会的交換の媒介(互酬の手段) 再分配の媒介(納付・給付手段) 公共財・サービスの供給費用負担 富・所得の再分配 2002/09/28 富者から貧者へ 貧者から富者へ Kumon@GLOCOM 市場と通貨の三つのレヤー グローバル市場の通貨(グローバル通貨) ナショナル(非貿易)市場の通貨 バーチャル通貨(ドラッカー) 現金通貨と預金通貨 ローカル市場の通貨(地域通貨) 未発達→今回はここを狙う 2002/09/28 Kumon@GLOCOM 第三次産業革命の意味 出現局面:1950-2025 物質(鉄)→エネルギー(石油・電力) →情報(貨幣を含む?) 主導産業はコンピューター産業 私的貨幣の技術革新とグローバル化 それとも貨幣の進化は第二次産業革命の成熟か? 突破局面:2000-2075 貨幣の地域電子通貨化? 新主導産業は?BNIC or 機会開発産業? 2002/09/28 Kumon@GLOCOM 既存通貨の問題点 グローバル通貨 投機的、国民・地域経済に破壊的影響も 世界的なグローバリゼーション反対の動き ナショナル通貨 価値の不安定:インフレとデフレ 2002/09/28 流動性の罠(ゼロ利子率) ハイパーインフレの罠 地域にとどまりにくい:中央に流出 Kumon@GLOCOM 今回の危機の根源 70年代半ば以降の方針転換に失敗 土建・モノ作り路線への固執 本来は第二次産業革命の成熟に進むべき 角栄の“遺伝子” 官僚主義の硬直性 サービス産業の本格的展開 環境問題への対処 第三次産業革命でもダウンサイジングに遅れ 2002/09/28 Kumon@GLOCOM 日本通貨システム(円)の危機 流動性の罠 長期デフレから 人為的ハイパーインフレへ 2002/09/28 Kumon@GLOCOM 日本金融システムの危機 新規貸し付け不能 もともとなかった審査能力、 担保システムの動揺 不良債権問題 闇の勢力との癒着 メーンフレームの呪縛、過剰機能 2002/09/28 Kumon@GLOCOM 全国的財政・税制も危機に 国債依存は限界に 地方財政も危機に 地方債も発行が困難に 地方交付金・補助金体制も持続困難に 不況による税収減(個人・法人所得税) 所得税依存型の近代財政の終焉? “所得”、“利益”概念のあいまいさ 2002/09/28 Kumon@GLOCOM 所得の定義= 一定期間内の消費+資産純増 農業型フロー・モデルの限界 工業型設備投資モデルの限界 サービスや知本や関係財を処理できない マルクス的“資本”G-W-W’-G’ ρ=(1-β)γ-α 完全リース型フロー資本主義に対処できない 金融型収益資本還元モデルの危うさ K=R/i 2002/09/28 Kumon@GLOCOM 米国も危機に クルーグマンの反省 米欧テレコムのメルトダウンに始まる世界大不況 日米経済の差異の消滅 金融政策の余地 財政政策の余地 不動産バブル ガバナンス構造 ∴日本が開く突破口は 世界的普遍妥当性をもちうる! 2002/09/28 Kumon@GLOCOM 共貨(地域電子通貨)のねらい 国民通貨と税・財政制度の危機に対処 (耐久財型)公共財の供給不足に対処 累積債務からの解放:新規発行可能な通貨 流動性の罠からの解放:流通する通貨 供給資金の創出 費用分担の仕組み 地域経済の危機に対処 地域内の交換・互酬・再配分を媒介・刺激 2002/09/28 Kumon@GLOCOM 共貨の基本的特徴(1) その発行権を地域がもつ地域通貨 発行ルールも:額、時期、対象、減耗率 対内貨幣だが、三大機能すべてをもつ 耐久公共財提供主体への通貨の一方的供給 返済義務なし(シーニョレッジの利用) 引当は、供給される公共財 一定率でのシームレスな減耗 減耗率は公共財の減価率に対応 注意:減耗率と“利子率”は無関係 2002/09/28 Kumon@GLOCOM 共貨の基本的特徴(2) 内的貨幣 通用範囲は地域(合意した主体) 主体間合意にもとづく:発行・流通・減価 共貨受け取りの賛意表明:自治体、企業他 “最初の買い手”と“最初の売り手”の重要性 地域内を共貨が循環することで、新しい地域 商品(財・サービス)の生産と流通を支援 地域内再配分の媒介者(納・給付と互酬) 2002/09/28 Kumon@GLOCOM 共貨の基本的特徴(3) 徴税機能の一部組み込み 公共財供給費用の広く薄い分担の仕組み 贈与の奨励→再分配機能も組み込める コミュニティの既存共有資産を引当とする発行と 分配も可能(各人の初期保有) マイナスの残高を一定限度内許すことでの、貸し 付け機能・起業支援機能の組み込みもある程度 可能 このシステムが有効なのは供給能力過剰型経済 2002/09/28 Kumon@GLOCOM 共貨の基本的特徴(4) 分散的電子通貨:電子財布と電子通帳 多数の国民通貨や地域通貨を同時に保持可能(し かし異種通貨間の直接互換はない) 財布は持ち歩く、通帳は安全な場所に保管 相互に無線暗号通信で同期 その基本的仕組み自体は全国共通も可能 電子財布の持ち主は行く先々でその地域の地域通貨 を使用することが可能 商品取引や互酬を通じた、通貨間の間接交換は自由 地域間に合意が成立すれば、いくつかの通貨の合 体は可能:Software Defined Money 2002/09/28 Kumon@GLOCOM
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