インターネットはIPで通信する • ドメイン名で指定されたWEBも、 メールアドレスで指定された宛先も、 IPアドレスに変換する必要がある。 IPデータグラム ヘッダ データ 1 IPアドレスとドメイン名 • 目に見えないリソース • IPアドレス(例) 133.9.81.1 192.5.216.4 192.168.0.1 • ドメイン名(例) waseda.ac.jp waseda.jp 早稲田大学.jp 2 IPアドレスの管理 pp.134--135 • 日本国内のIPアドレスはJPNICが管理 ICANN (IANA) (IPv4) APNIC JPNIC プロバイダ(IPアドレス管理指定事業者) 利用者 ※) http://www.apnic.net/info/reports/index.html 3 JPNIC http://www.nic.ad.jp/ja/ip/index.html 4 IPv4 アドレス在庫枯渇問題 • そもそも、どのような問題なのか? http://www.nic.ad.jp/ja/ip/ipv4pool/ • 地域インターネットレジストリ(RIR)における 未分配の IPアドレス の在庫がなくなる RIR 5 何年頃に枯渇が予想されるか Projected IANA Unallocated Address Pool Exhaustion: 17-Jun-2011 Projected RIR Unallocated Address Pool Exhaustion: 25-Mar-2012 Geoff Huston http://www.potaroo.net/tools/ipv4/index.html 6 JPNICによる別の推計法 • RIRに対応する世界の5地域について、次の要 因でIPv4アドレスの需要予測を行う 1. 政府最終消費支出 政府による消費財への支払い、公務員の給料 2. 総固定資本形成 総固定資本形成=民間住宅投資+民間設備投資+公共投資 3. インターネット利用者数 4. ブロードバンド利用者数 5. 電子商取引市場 • 5地域の合計による枯渇予測時期は前のスラ イドの時期よりも少し 早い 7 枯渇すると誰が困るのか • 現在のインターネットが直ちに停止する訳で はない • 新しく IP アドレスの割り当てを受けることが できなくなる IANA APNIC JPNIC ISP 利用者 • 新しい利用者は、どのような対策をとるか • その利用者と通信をするために既存の設備 を変更する必要があるのか、ないのか 8 どのような対策があるのか(1) • 割り当てを受けているのに未利用のアドレス を返却してもらう • 未利用のアドレスを流通させるために IP アド レスの 取引市場 を設けるという提案がある http://www.potaroo.net/tools/ipv4/index.html 9 問題点(1) • 回収によって再利用が可能となると想定され るアドレス規模は、多くても世界的なアドレス 需要の 数ヶ月分 に過ぎないと思われる。 参考文献 [1] JPNIC「IPv4アドレス在庫枯渇問題に関する 検討報告書(第一次)」 p.39, 2007年12月. http://www.nic.ad.jp/ja/pressrelease/2007/20071207-01.html 10 どのような対策があるのか(2) • NAT を用いてグローバルな IP アドレスの 必要個数を減らす http://www.nic.ad.jp/ja/ip/ipv4pool/ipv4exh-report-071207.pdf NAT 11 問題点(2) • プライベートアドレス+NATでは、グローバル アドレスと同じサービスが出来ない場合がある (IP電話、テレビ会議、P2P応用など) 次のスライド • 従来のNATが対応してきた実績は数万利用者 の規模である • 既にNATを用いている利用者を、さらにNATを 用いて収容する場合には、多段のNATとなる。 プライベートアドレスの 衝突 の可能性がある。 12 NATによる変換 • Network Address Translator, Network Address Port Translator (NAPT). グローバルアドレス NAT プライベートアドレス 10.0.0.0~10.255.255.255 10/8 172.16.0.0~172.31.255.255 172.16/12 192.168.0.0~192.168.255.255 192.168/16 13 NAT越え (NAT traversal) • 魏, 後藤, 山田, 吉田「Symmetric NAT に対応するTCP/UDP NAT 越え の新技法」情報処理学会70回全国大会, 3ZL-3, 2008年3月. 14 どのような対策があるのか(3) • IPv6 を用いれば膨大な数の IP アドレスを 利用することができる • そもそも IPv6 は、IPv4 アドレスが不足する ことを見越して設計されている IPv4 32ビット = 232 約40億 IPv6 128ビット = 2128 15 問題点(3) • 新規に IPv6 で利用を開始するクライアントは そのままでは IPv4 のネットワークに接続でき ない(トランスレータなどが必要) • 新規の IPv6 のサーバはクライアントが IPv6 対応にならなければサービスを提供できない • 利用者のアクセス回線が事業者に依存する 場合がある 次のスライド 16 アクセス網提供事業者 • フレッツはトンネルを使う IP IP IP IP トンネルとは、パケットを他のパケットのデータ として包み込んで(カプセル化)送ること 「NTT西のフレッツはNTT東とどう違う?」 IPpro http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071017/284759/ 17 IPv4 と IPv6 の混在時代 • ある論者は地下鉄と地上の鉄道の譬え話を 使って相互乗り入れの難しさを指摘している http://www.unixuser.org/~euske/doc/ipv6ex/ Daniel J. Bernstein, and 新山 • 駅の名前の文字数が制限されているとする いずれ駅が足りなくなる(IPv4枯渇) そこで大規模地下鉄を作る(IPv6) • ただし相互に乗り入れるためには変換が必 要となる(translate) 18 IPv4 と IPv6 のデュアルスタック • 現在のインターネットで IPv6 が利用できる機 器は、大抵 IPv4 も使用することができる デュアルスタック の例 • そのままの方法で IPv6 を拡大するのでは IPv4 のアドレスが相変わらず必要になる 過渡期にはtranslatorがIPv4, IPv6の橋渡し をする 19 CPE: Customer Premises Equipment 20 デュアルスタック IPv6アドレス + プライベートIPv4アドレス • IPv4枯渇の最終解はIPv6 IPv6アドレスでの接続を提供 • IPv6対応出来ない古いサーバ、古いWindows のために IPv4の接続も最低限のレベルで維持 – IPv4アドレスが枯渇するので、少量のIPv4をISPの NATにより共有してやりくりする – IPv4プライベートアドレスでの接続を提供 – IPv4の接続はISPのNAT経由となり多くの制限があ る。P2Pなどのアプリケーションを使うためには最終 的には IPv6 対応が必要 21 JPNIC 報告書 [1] の結論 • アドレス回収、NATによるグローバルアドレス の削減、いずれも限定的な効果に留まる • 本格的な解決は IPv6 の導入 ただし、IPv4 と IPv6 の相互接続を可能とする ように、トランスレータ、デュアルスタックなど の準備を進めなければならない 22
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