グローバル・ガバナンスとは Global Governance 統治、協治、共治 G.G. 終わらない紛争 核兵器の拡散と新たな核開発 ・テロの恐怖 G.G. ・貧富の格差 シャンペングラス構造 絶対的貧困 飢餓に喘ぐ人々 G.G. 資源の無駄使いと人類の破滅 i.e.コンピューターの大量生産、 大量廃棄は地球環境に重大な 影響を及ぼす かつては 平和とは賢いほうがしのぶこと 今は どうやって紛争や経済的な格 差や環境問題を解決するか、 何が誰と行うかが問われてい る。 ←問題とする対象が変化 Global Governance こうした地球的な課題(global issues)を、解決する枠組みのコ ンセプト 具体的な対象領域:安全保障か ら経済問題まで もともとの世界は 互いの不信に基づいた 自助(self-help)システム ←アナーキー(anarchy=無秩序) な世界 国内社会では 権力が集中 権威は一元化 ルールには強制力が担保されて いる 国際関係では 中央政府がないので ・権力は分散 ・権威は無数かつ微力 ・法的拘束力があっても強制力は ない 共有地の悲劇 (Tragedy of the commons ) 放牧地で各人が家畜に存分の 牧草を食べさせたら、牧草は枯 渇。 しかも放牧地は共有地 (commons)であるため、自分だ け自制しても効果はない。 Prisoner’s Dilemma ナッシュの均衡からパレート最適 に至るためには、プレイヤーの 間の協力が必要。 そのためには信頼関係が必要。 Prisoner’s Dilemma しかし、国際関係においては、そ うした信頼関係と、それに基づく 約束の有効性を誰も保障してく れない。 約束が破られる例 国家は、約束(=国際法や政治 的合意)を破ることが、もし国際 法上で許されなくとも、or 政治的 に非難されても、実際には可能 である。 i.e. 武力行使の違法化 約束が破られる例 日朝平壌宣言(Sep. 17, 2002) 双方は、朝鮮半島の核問題の包 括的な解決のため、関連するす べての国際的合意を遵守するこ とを確認した。 日朝平壌宣言(2) また、双方は、核問題及びミサイ ル問題を含む安全保障上の諸 問題に関し、関係諸国間の対話 を促進し、問題解決を図ることの 必要性を確認した。 United States ブッシュ政権) 京都議定書の枠組みからの脱 退方針 CTBTの死文化 なぜ約束が破られるか 破約にいたる2つのパターン 国際的な合意が形成された後に ①世論、あるいは議会が国際的 合意に反発 i.e. パットナム two-level game 破約のパターン(2) ②当該政府の政権交代 特に、大国や提唱国の政権交代 の影響は大きい。 こうしたことが繰り返されるので 国際関係ではルールの形成に 慎重。 またルールが形成された後も、 互いの不信がなくなるとは限らな い。 さてここから Governance without Government (J.N.Rosenau) 両者の違いは? Government system 階層秩序に基づく memberを特定 決定過程への形式的参加必要 例えば・・・ Government system の特徴 意思決定が 効率的 有力者の意見が通りやすい(拒 否権プレイヤーの存在を認める) 制度、機構中心。 情報共有に制限。 Government systemの定義 プリント② 82頁参照。 Governance system 「この指とまれ」システム 関心があるアクター(行為体)が 意見を表明する。 構成員を特定する必要はない。 決定過程に参加する義務はない。 その定義 プリント② 82頁参照。 Governance in IR ガバナンス actor(国際機構、国家、NGO、 個人、多国籍企業、など) Governance without Government order + intentionality 秩序を維持するための意識 的活動が必要 ただし 誰が合意に責任をもつかは不問。 ←「やれる範囲での活動」の集 合にすぎない。 ・誰に忠誠心(loyalty)を抱くか? ここで質問です。 皆さんは 「地球市民」ですか? 実は G.G.論には as framework 枠組み (今まで説明) as norm (規範) (これから説明) の2種類がある。 GG as norm Commission on Global Governance (グローバル委員会) “Our Global Neighborhood” (邦訳『地球リーダシップ』1995) この委員会の紹介 国連50年を機にBrandtの呼び かけで緒方貞子、J.Delors など 28名の有識者が集まった独立集 団。 global communityを うまくmanageする方策を検討。 Who’s Who Sadako Ogata 1991-2000 国連難民高等弁務官 2002 アフガン復興東京会議の 共同議長 現在、「人間の安全保障委員会」の共同議長 いくつかの現状分析 中規模の国のGNPよりも売上高 が多い多国籍企業がある。 世界各国の軍事予算の総計は、 国連PKOの予算428倍にあたる。 国連はどうあるべきか United Nations is seen as ‘them’, not ‘us’. [But] the UN is ‘us’. http://www.un.org/ 委員会の提言 4つの提言 ①国家中心の安全保障から人々 や地球の安全保障へ ②富の格差の拡大に配慮 提言(続き) ③国連の制度改革 ④global neighborhood では 強者も弱者も法の下では平等と いう原則に。強いられて隣人にな るのではなく、良き隣人に。 リーダシップが重要。 Neighborhood without leadership is dangerous neighborhood. 理想の地球社会 家にたとえると Global Governance Global neighborhood まずは国の安全から 国家の安全保障 人間の安全保障 地球の安全保障 Security National security International / regional security Global security 安全保障のジレンマ 国家が防衛目的だけで軍備を 備えていても、自助のシステム の下では、敵の意図が最悪の 場合を想定して、軍拡は進む. Next, figure figure 互いに正確に軍事力を測れない。 Security dilemma 軍拡競争へ 「仮想敵国」:仮想でしかないの に、敵国をつくる必要性 <同盟のジレンマ> 同盟(alliance)の定義は 「ある国家が他国と力を結合して、 力を増大させ、外交的立場を強 化する方法」 (See figure) 同盟には2つの種類がある 二国間同盟 (bilateral alliance) 多国間同盟 (multilateral alliance) 例えば 日米同盟(1951-) 米韓同盟(1953-) 中ソ同盟(1950-60’s前半) ハブとスポークからなるハブ構造 大韓民国 中華民国 日本 (台湾) フィリピン Harry S. Truman トルーマン(民主党) Truman Doctrine Korean War U.S.- Japan alliance 日本はアメリカに捨てられるので はないかと恐れていた。 「捨てられる恐怖」 1951年 日米安保条約調印 1960年 日米安保条約改正 See, プリント③ 捨てられる恐怖 アメリカは本当に日本のことを 守ってくれるのだろうか? =「捨てられる恐怖」 捨てられる恐怖 なぜなら日本にソ連が核攻撃し たとき、アメリカはソ連に大規模 には報復しないだろう。 なぜなら日本のためにアメリカ はワシントンやNYを犠牲にした くはないからだ。 日米安保条約の前提は そもそも日米安保体制の前提は、 ソ連が日本を攻めてきたら、アメ リカはソ連に核攻撃をかける。 ソ連も核兵器をもっているが、米 ソ核戦争はさけたいので、うか つに日本を攻撃しない。 日米安保条約の前提は 結果的に、アメリカは日本を核 兵器で守っている。 これを核抑止力といい、「核の 傘」と比喩される。 核の傘は、さしているからふらない。 普通の傘は、雨がふってからさ す。 核の傘は雨がふる前にささなけ れば意味がない(抑止のためな ので)。 しかし、本当に核の傘は機能し ているのだろうか? 捨てられる恐怖 日本は核武装をすることが政治 的にできない。 ゆえにアメリカの核の傘に頼る しかない。 捨てられる恐怖 そうすると、なんとしてもアメリカ に見捨てられないように努力を しなければならない。 そのために自衛力を増強した。 その後 アメリカは、60年代にベトナム戦 争で失敗し、海外での通常兵力 を削減する方向に。 重ねてアメリカの財政赤字、貿 易赤字(双子の赤字)が問題に。 その後 →アメリカは日本に軍事力を増 やすよう再三求めていった。 そのうち、日本はある恐怖にか られるようになった。 それは・・・ 巻き込まれる恐怖 アメリカに軍事力が近づき、日 米同盟が密になってくると、敵か らはアメリカ=日本とますます思 われる。 日本に直接関係のなかったは ずの戦争が日本に飛び火する 可能性が高くなる。 Double dilemma そこに同盟vs.敵国の間に「安全 保障のジレンマ」が発生する。 軍備の拡大が止まらない。 こうして、同盟のジレンマと安全 保障のジレンマの二重のジレン マが生じる。 これが同盟のジレンマ 日米同盟は、もともと大国と小 国の非対称型の同盟。 さらに、アメリカは日本を守る義 務があるが、その逆はない。 これが同盟のジレンマ アメリカは軍事大国だが、日本 は(50年代までは)軍事小国 だった。 日本は、大国に捨てられたくな いと思っていたが、軍事力を増 やした結果、そのうち巻き込ま れる恐怖に。 冷戦後、日米同盟は強化 1990年 イラクのクウェート侵攻 1991年 湾岸戦争(Gulf War) が契機 Gulf War 1991 湾岸戦争で、アメリカは 多国籍軍(multilateral forces) を 編成。 しかし日米同盟は強化された 日本は憲法の制約もあり国論 は分裂。 too late, too little と アメリカに酷評された。 「湾岸戦争シンドローム」 William J. Clinton 1992-2000 民主党政権 日本外交の迷走 細川政権から森政権まで 日本とアメリカの蜜月 1997年 新ガイドライン合意。 後に周辺事態法として国内立法。 2001年 テロ対策特別措置法 で洋上給油などの対米協力。 2004年 イラクに自衛隊を派遣。 冷戦後も日米同盟が存続する理 由 政府見解としては次の4つ。 ①国際社会に依然として不確実 性が強いのでアメリカの抑止力 必要 冷戦後も日米同盟が存続する理 由 ②日米同盟関係は両国の協力 の政治的基礎であり、安保条約 でそれが保障されている ③アジア太平洋地域の安全の ためアメリカの存在は重要であ る 冷戦後も日米同盟が存続する理 由 ④日本が軍事大国にならないと いう日本の基本的立場に信頼を 与えている 冷戦後も日米同盟が存続する理 由 リアリズム(現実主義)は①③ ネオリベラル(新自由主義制度 論)は②④ 同盟には2つの機能がある Realist view(現実主義者の考 え) 敵国の力に対抗する 同盟には2つの機能がある Neo-liberal institutionalistの考え 一旦形成されると、同盟それ自 体に意味がでてくる ex.制度、兵器体系、官僚組織、 ネットワーク →同盟は、「便宜上の結婚」では ない! topic イラクのWMD(大量破壊兵器)開発 は、イランに対抗するためだった? (前回配布プリント 裏) まとめ National security and international security の双方の視点が必要 <安全保障> main topic の一つ、 安全保障の話です。 新しい単元です。 大量破壊兵器(WMD) の恐怖 プリント④ WMD(大量破壊兵器)について プリント④ PSI(大量破壊兵器拡散防止構想) NSG(核供給国グループ) PSI (拡散防止構想 ) 生物兵器・化学兵器 対人地雷など →プリント参照 新しい単元です。 国連平和維持活動(PKO) ─鳩と僧侶 命の価値 鷹に追われる鳩の話。 U.S.: No casualty doctrine 「DNAのもつ価値」が増大 1.2 国際刑事裁判所(ICC) 2002年条約発効 1.3 予防外交 紛争をどのように防止するか :Conflict Prevention 1.3.1紛争は予測可能か?早期警 戒 もし早期警戒が成功すればいい のだが、政治家を行動させるのは 難しい。 risk management のコストをどれ だけ払うか。 1.3.2 いつ、だれが介入するか 国連介入のタイミングは難しい。 not as early, but not so delayed. Artistic Skill. 1.3.2 いつ、だれが介入するか i.e.1982 Forkland Conflict (Argentina vs.UK) 1.3.2 いつ、だれが介入するか アメリカの仲介(ヘイグ国務長官) が失敗→国連が調停。 成功したが、アルゼンチンの軍部 が結局拒否。 1.3.3どういうときに失敗するか 当事者に紛争解決の意思がない ときには国連は無意味。 逆に、key player がスクラムをく むと、問題解決の可能性が大き い。 1.3.3どういうときに失敗するか 成功例として、カンボジア。 復習をしましょう 10問です。 新しい単元です。 11 「人間の安全保障」 とグッド・ガバナンス (human security and good governance) プリント⑥-Ⅱ参照 reference 篠田・上杉編『紛争と人間の安全保障』国際 書院 human security 1994 人間開発報告書(UNDP) 武器によってではなく、開発によって 人間の安全保障は達成される その後・・・(→ next page) human security Canada) 人々の権利、安全あるい は生命に対する広範な脅威からの 自由 Japan) 人間個人の生命と尊厳の維 持・保護 ODAの基本方針(2003年)でも 2)「人間の安全保障」の視点 紛争・災害や感染症など、人間に対する直 接的な脅威に対処するためには、グローバル な視点や地域・国レベルの視点とともに、 個々の人間に着目した「人間の安全保障」の 視点で考えることが重要である。 ODAの基本方針(2003年)でも このため、我が国は、人づくりを通じた地域社 会の能力強化に向けたODAを実施する。ま た、紛争時より復興・開発に至るあらゆる段 階において、尊厳ある人生を可能ならしめる よう、個人の保護と能力強化のための協力を 行う。 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index.html Good governance =良い統治 国家レベルの統治の運営のあり方 主として ①議会制民主主義 Good governance ②経済・社会的資源配分における権 力行使のあり方 ③政治腐敗がないこと ←80年代のIMFの構造調整政策の 失敗 各IOのgood governance の位置づ け OECDの場合 市場競争 市場競争 社会的公正 社会的公正 good Good governance governance Au revoir !
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