3 組織再編概論(後編)

3 組織再編概論(後編)
1. 合併(吸収合併・新設合併)
2. 会社分割(吸収分割・新設分割)
3. 株式交換および株式移転
テキスト(11版):第8章
1
2
会社分割
•吸収分割
•新設分割
2
Ⅰ
会社分割の意義と種類
• 会社分割:会社が事業に関して有する権利義務の全部または一
部を、既存の他の会社または新たに設立する会社に承継させる
ことにより、1個の会社を複数の会社に分離独立させること
• 前者を吸収分割といい、後者を新設分割という
• 吸収分割は、グループ企業または純粋持株会社傘下に統合され
た複数の事業会社における重複する事業部門を各子会社に集約
し、組織全体を機能別に再編成するような目的に適している。
• 新設分割は、複数の事業部門を有する会社が、各事業部門を分
離独立させ、スリム化することにより、経営の効率化を図るの
に適している。
• このように、会社分割制度は、①企業の競争力を高めるために、
特定の事業部門を独立専業化させ、経営の効率化や合理化を図
る、②不採算部門を切り離し、収益性を向上させるなど、簡
易・迅速に事業の分離・統合を図ることができる企業再編のた
めの組織法的行為である。
3
会社分割の分類
1. 吸収分割・新設分割:分割をなす会社(分割会社)の権利義
務を承継する会社が、既存の会社(承継会社)か、新たに設
立される会社(設立会社)か、という観点での分類
2. 設立会社または承継会社の株式が分割会社の株主に割当てら
れるか(人的分割)、分割会社に割当てられるか(物的分
割)、という観点での分類
3. 1個の会社が行うか、複数の会社が共同で行うか、という観点
での分類ができる(後者を共同分割と呼ぶ)
4. 会社法は、会社分割を物的分割に統合して規定し(758④、
763⑥)、いわゆる人的分割は物的分割の実施後に分割会社が
剰余金の分配として承継会社または新設会社の株式を分割会
社の株主に分配する(現物配当)ものとされた(758⑧、763
⑫)。ただし、旧商法における人的分割との整合性をはかる
ため、この場合には剰余金分配に関する財源規制は、適用さ
れない(792、812)。
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図3 会社分割の概要(1) 新設分割と吸収分割
新設分割
甲会社
甲会社
A+B事業部門
A事業部門
分割会社
分割をする会社
(分割会社)
乙会社
B事業部門
新たに設立する会社(設立
会社)
吸収分割
甲会社
乙会社
A+B事業部門
C事業部門
分割をする会社
(分割会社)
承継する会社
(承継会社)
甲会社
乙会社
A事業部門
B+C事業部門
分割会社
承継会社
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図4 会社分割の概要(2) 物的分割と人的分割(新設分割の例)
設立会社の株式の交付先による分類
株主
(設立会社(B)の株式は、すべて分割会社(A)に
交付される(物的分割)
株主
A
B
分割会社
設立会社
A+B
分割会社
(2)Aが取得したBの株式を分割会社の株主
に現物配当(剰余金の分配)する
株主
従来の人的分割は、物的分割+剰余金の分配としての設立
会社等の株式の配当という形に整理されることとなった。
A
B
分割会社
設立会社
6
Ⅱ
吸収分割
• 株式会社または合同会社は、承継会社と
の間で、吸収分割契約を締結することに
より、吸収分割を行うことができる
• 合名会社および合資会社は、吸収分割に
おける分割会社となることはできないが、
承継会社となる会社には限定はない(757、
760)
7
1:株式会社に権利義務を承継さ
せる吸収分割
(1)吸収分割契約(758)
(2)効力発生:吸収分割契約で定め
た効力発生日に分割の効力が生じる
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(1)吸収分割契約
①分割会社および承継会社の商号および住所(1
号)
②分割会社から承継する権利義務等に関する事項
(2号、3号)
③吸収分割の対価に関する事項(4号)
④新株予約権の承継に関する事項(5号、6号)
⑤吸収分割の効力発生日(7号)
⑥いわゆる人的分割に関する事項(8号)
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権利義務の承継
• なお、労働者の保護に関しては、「会社の分割に伴
う労働契約等の承継に関する法律(会社分割労働契
約承継法)」が新設され、会社分割をする会社は、
会社分割労働契約承継法2条1項の規定による通知を
すべき日までに、労働者と協議をするものとしてい
る(整備法による改正後「商法等の一部を改正する
法律」附則5条1項)。
• 分割会社が株式会社である場合、その保有する自己
株式や承継会社の株式は、当然には、承継されない。
これらを承継させる場合には、別途これらに関する
事項を定めなければならない(3号)。また、分割会
社が発行している新株予約権にかかる義務は、新株
予約権の承継(5号)の問題となるため、承継される
義務には含まれない。
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新株予約権の承継
• 吸収分割株式会社が新株予約権を発行している場合に
吸収分割に際して承継株式会社が、これを承継するこ
とができる(分割会社が消滅するわけではないので、
必ずしも承継しなければならないわけではない)
• 承継会社は、分割会社の新株予約権者に対して、当該
新株予約権に代えて承継会社の新株予約権を交付する
ことができる:この場合、5号所定の事項およびその
割当てに関する事項を定めなければならない
• 吸収合併の場合と異なり、金銭での買取りは認められ
ない(新株予約権の引き換え)
• ただし、一定の条件をみたす新株予約権者には、新株
予約権買取請求権(787Ⅰ②)が認められる
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いわゆる人的分割
• 従来の人的分割(承継会社の株式の全部または一部を
分割会社の株主に交付する会社分割)と同じ効果を生
じさせるためには、分割株式会社が分割の効力発生日
に
– イ)分割会社の全部取得条項付種類株式(171Ⅰ)の対価と
して承継会社の分割新株(またはこれに準ずるものとして
法務省令で定めるもの、以下分割新株等という)を交付す
る、
あるいは、
ロ)剰余金の配当として承継会社の分割新株等を現物配当
する、
という手続をとることになる
• この場合は、その旨を分割契約において定めておかね
ばならない。剰余金分配に関する財源規制は適用され
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ない(792)
(2)吸収分割の効力の発生等
• 分割契約において定める効力発生日に承継会社が分割
会社の権利義務を承継する(759Ⅰ)
• ただし、債権者保護手続(789条等)において各別の
催告を受けるべき債権者が、各別の催告を受けなかっ
た場合、吸収分割の効力には影響はないが、当該債権
者は、吸収分割契約において分割後に吸収分割会社に
対して債務の履行を請求することができない旨の定め
がある場合でも、吸収分割会社が効力発生日に有して
いた財産の価額を限度として、当該債務の履行を吸収
分割会社に請求することができる(759Ⅱ)
• 同様に、吸収分割契約に分割後、承継会社に対して債
務の履行を請求できない旨の定めがある場合でも、承
継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請
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求できる(759Ⅲ)
(2)吸収分割の効力の発生等
• 分割会社は、割当てられる対価の内容に応じて、
効力発生日に承継会社の株主、社債権者、新株
予約権者、新株予約権付社債の社債権者および
新株予約権者となる(759Ⅳ)
• 吸収分割により承継される新株予約権(吸収分
割契約新株予約権)は、効力発生日に消滅し
(750Ⅳ)、新株予約権承継手続に関する定め
にしたがい、当該新株予約権者は効力発生日に
承継会社の新株予約権者となる(759Ⅴ)
• ただし、債権者保護手続が終了していない場合
または吸収分割を中止した場合は、吸収分割の
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効力は生じない(759Ⅵ)
2:持分会社に権利義務を承継さ
せる吸収分割
(1)吸収分割契約(760)
(2)効力発生:吸収分割契約で定め
た効力発生日に分割の効力が生じる
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吸収分割契約
①分割会社および承継持分会社の商号および住所(1
号)
②分割会社から承継する権利義務等に関する事項(2号、
3号)
・持分会社を承継会社とする吸収分割では、新株予約
権の承継はできない(760②カッコ書)
③承継持分会社の区分と社員の責任等に関する事項(4
号)
④吸収分割の対価に関する事項(5号)
⑤効力発生日(6号)
⑥いわゆる人的分割に関する事項(7号)
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(2)吸収分割の効力の発生等
• 分割契約において定める効力発生日に承継持分会社が
分割会社の権利義務を承継する(761Ⅰ)
• ただし、債権者保護手続(789条等)において各別の
催告を受けるべき債権者が、各別の催告を受けなかっ
た場合、一定の財産の範囲で、なお吸収分割会社また
は吸収分割承継会社に対して債務の履行を請求するこ
とができる(761Ⅱ、Ⅲ)
• 分割会社が承継会社の持分を取得する場合には、分割
契約の定めにしたがい、効力発生日に承継会社の社員
となる。同時に、承継会社は、効力発生日に社員に関
する定款の変更をしたものとみなされる(761Ⅳ)。
分割の対価として承継会社の社債の交付を受ける場合、
分割会社は、効力発生日に社債権者となる(761Ⅴ)
• ただし、債権者保護手続が終了していない場合または
吸収分割を中止した場合は、吸収分割の効力は生じな
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い(761Ⅵ)
Ⅲ
新設分割
• 株式会社または合同会社は、単独で、または複
数の会社と共同で、新設分割計画を作成するこ
とにより、新設分割をすることができる
(762)
• 新設分割により設立する会社には種類の制限は
ない(765参照)
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1:株式会社を設立する新設分割
(1)新設分割計画:設立会社が株式会社である
場合の新設分割計画においては、以下の事項を
定めなければならない(763)
・なお、合同会社のみが新設分割し、株式会社を
設立することも可能である(924Ⅰ②参照)
(2)新設分割の効力発生等:新設会社の設立登
記が効力発生要件(764Ⅰ、766Ⅰ):新設分割
をする会社においては変更の登記が必要(924
参照)
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(1)新設分割計画
①設立会社に関する基本的事項
②設立会社の機関に関する事項
③分割会社から承継する権利義務に関する事項
④分割対価に関する事項およびその割当てに関す
る事項
⑤新株予約権の承継に関する事項およびその割当
てに関する事項
⑥いわゆる人的分割に関する事項
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新設分割の対価
• 新設分割については、株式会社を設立するもの
であるため、対価の柔軟化は認められず(金銭
のみを対価とすることはできない)、分割会社
には、承継する事業に関する権利義務の全部ま
たは一部の対価として、新設分割設立株式会社
の株式が交付される(6号)
• 株式に加えて、社債等(社債、新株予約権、新
株予約権付社債)を交付することもできる(8
号)
• 共同新設分割の場合は、これらの株式や社債等
の割当てに関する事項も定めなければならない
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(7号、9号)
(2)新設分割の効力発生等
• 設立会社の成立の日(設立登記の日)に生じ、分割会社の権利
義務を承継する(764Ⅰ、49、924Ⅰ)
• 新設分割の登記:諸般の手続がすべて完了した日から2週間以
内に本店所在地において設立の登記(分割会社においては変更
の登記)をなす
• 登記が効力発生要件
• ただし、債権者保護手続(810条等)において各別の催告を受
けるべき債権者が、各別の催告を受けなかった場合:新設分割
の効力には影響はないが、当該債権者は、新設分割計画におい
て分割後に新設分割会社に対して債務の履行を請求することが
できない旨の定めがある場合でも、新設分割会社が新設分割設
立株式会社成立の日に有していた財産の価額を限度として、当
該債務の履行を分割会社に請求することができる(764Ⅱ)
• 同様に、新設分割計画に分割後、設立会社に対して債務の履行
を請求できない旨の定めがある場合でも、承継した財産の価額
を限度として、当該債務の履行を請求できる(764Ⅲ)
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2:持分会社を設立する新設分割
(1)新設分割計画:設立会社が株式会社である
場合の新設分割計画においては、以下の事項を
定めなければならない(765)
・なお、株式会社のみが新設分割し、持分会社を
設立することも可能である(924Ⅱ①参照)
(2)新設分割の効力発生等:新設会社の設立登
記が効力発生要件
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(1)新設分割計画
①設立会社に関する基本的事項(1~4号)
②分割会社から承継する権利義務に関する事項
(5号)
③分割に際して交付される社債に関する事項およ
びその割当てに関する事項(6号、7号)
④いわゆる人的分割に関する事項(8号)
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(2)新設分割の効力発生等
• 設立会社の成立の日(設立登記の日)に生じる
(766Ⅰ、49、924Ⅱ)
• 新設分割の登記:諸般の手続がすべて完了した
日から2週間以内に本店所在地においてなす
• 登記は効力発生要件
• ただし、債権者保護手続(810条等)において
各別の催告を受けるべき債権者が、各別の催告
を受けなかった場合、一定の財産の範囲で、な
お分割会社または設立会社に対して債務の履行
を請求することができる点は、株式会社を設立
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会社とする場合と同じ(766Ⅱ、Ⅲ)
3 株式交換
および株式移転
I. 意義
II. 株式交換
III. 株式移転
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Ⅰ株式交換および株式移転の意義
(1)総論(定義)
・株式交換:株式会社がその発行済株式の全部を
他の株式会社または合同会社に取得させ、当該
株式会社または合同会社の完全子会社となるこ
と(2ー31)
・株式移転:一つまたは二つ以上の株式会社がそ
の発行済株式の全部を新たに設立する株式会社
に取得させ、当該設立株式会社の完全子会社と
なること(2ー32)
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Ⅰ株式交換および株式移転の意義
• 株式交換とは、既存の会社間に完全親子会社関
係を創設する制度であり、株式移転とは、既存
の会社が単独で、または他の既存の会社と共同
で完全親会社を新設する制度
• いずれの制度においても、原則として、株主総
会の特別決議により、既存の会社の株主は、そ
の保有する株式すべてを強制的に完全親会社と
なる会社に移転されることとなる
• 株式交換については、その対価として完全親会
社の株式のみならず、金銭その他の財産を割当
てることを認めた(対価の柔軟化)
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(2)株式交換
• 既存の会社間で株式交換契約を締結することで、完全親会社と
なる会社(株式会社または合同会社に限る)は、完全子会社と
なる株式会社の発行済株式のすべてを取得することができ、他
方、完全子会社となる会社の株主は、強制的に完全親会社の株
主等となるか、金銭の交付を受けることとなる
• 完全子会社となる会社の株主:その地位に重大な変動が生じる
• 完全親会社となる会社の株主:事業会社から純粋持株会社へ転
換する場合、事業の遂行に対する株主の監督是正権が、純粋持
株会社を通じた間接的なものとならざるを得ず、その利害に重
大な影響が及ぶ
• そこで、株主保護の観点から、原則として、株式交換契約の締
結と株主総会の特別決議による承認を必要とし、事前および事
後の情報開示制度を設けるなど、合併に準じた手続が設けられ
ている
• 会社債権者:債務者が変動するわけではないため、原則として、
債権者保護手続は義務付けられない(ただし、一定の場合には
債権者保護手続が要求される:789Ⅰ③、799Ⅰ③ )
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株
式
交
換
制
度
の
概
要
甲会社
①株式交換契約
乙会社
②乙社の全株式移転
甲社株主
③甲社の新株の割当
乙社株主
甲会社株主
(甲会社株主+旧乙会社株主)
甲会社
④甲会社が乙会社の100%出資
親会社となる
30
乙会社
(3)株式移転
• 持株会社として完全親会社(株式会社に限る)
を設立するとともに、既存の株式会社がその完
全子会社となるための制度
• 完全子会社となる株式会社の株主は、その有す
る株式を新設される完全親会社へ移転し、完全
親会社の株式等を割当てられ、その株主等とな
る(対価の柔軟化は認められていないが、株式のほか
社債や新株予約権を対価とすることはできる)
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株
式
移
転
制
度
の
概
要
甲社株主
③設立によ
り発行され
る株式の割
当て
甲社株主
②株式
移転
①株式移転承認の
ための株主総会特
別決議
1
完全親会社
甲会社
甲会社
2
持株会社株主
完全親会社
(純粋持株会社)
32
甲会社
Ⅱ
株式交換
• 株式会社は、完全親会社となる株式会社
または合同会社との間で株式交換契約を
締結することにより株式交換をすること
ができる(767)
1. 株式会社に発行済株式を取得させる株式
交換
2. 合同会社に発行済株式を取得させる株式
交換
33
1)株式会社に発行済株式を取
得させる株式交換
(1)株式交換契約(768)
(2)株式交換の効力発生等(769)
(3)株主総会の特別決議による承認
(4)債権者保護手続
(5)株式買取請求
34
1:株式交換契約
①当事会社の商号および住所(1号)
②対価に関する事項(2号)およびその割
当てに関する事項(3号)
③新株予約権の承継に関する事項およびそ
の割当てに関する事項(4・5号)
④株式交換の効力発生日(6号)
※株式交換そのものに関しては、特に登記
の必要はない(完全親会社において発行済株式数
など必要に応じて変更の登記)
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新株予約権の承継
• 株式交換により完全親子会社関係を創設しても、
完全子会社となった会社が発行していた新株予
約権が行使されると、完全親子会社関係が維持
できない
• 旧商法では、新株予約権にかかる義務の承継を
みとめていた
• 会社法は、完全親会社の新株予約権との引換え
という構成となった
• これに加えて、新株予約権付社債に付された新
株予約権をも承継できる旨およびその手続を明
36
確化した
2:株式交換の効力発生等
• 株式交換の効力:株式交換契約において定める効力発
生日に生じ、完全親会社が完全子会社の発行済株式の
全部を取得する(769Ⅰ)
• 完全子会社の株主は、割当てられる対価の内容に応じ
て、効力発生日に完全親会社の株主、社債権者、新株
予約権者、新株予約権付社債の社債権者および新株予
約権者等となる(769Ⅲ)
• 新株予約権を承継する場合、完全子会社の新株予約権
(株式交換契約新株予約権)は、効力発生日に消滅し、
株式交換契約新株予約権の新株予約権者は効力発生日
に完全親会社の新株予約権者となる(769Ⅳ)
• ただし、債権者保護手続(後述)が終了していない場
合または株式交換を中止した場合は、株式交換の効力
は生じない(769Ⅵ)
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2)合同会社に発行済株式を取
得させる株式交換
(1)株式交換契約(770)
(2)株式交換の効力発生等(771)
38
1:株式交換契約
①当事会社の商号および住所(1号)
②対価に関する事項(2号、3号)および
その割当てに関する事項(4号)
③株式交換の効力発生日(5号)
39
2:株式交換の効力発生等
• 株式交換の効力:株式交換契約において定める
効力発生日に生じ、完全親合同会社が完全子会
社の発行済株式の全部を取得する(771Ⅰ)
• 完全親合同会社の社員となる完全子会社の株主
は、効力発生日に完全親合同会社の社員となり、
完全親合同会社の社員に関する定款変更があっ
たものとみなされる(771Ⅲ)
• 社債の割当てを受ける場合は、効力発生日に完
全親合同会社の社債権者となる(771Ⅳ)
• ただし、債権者保護手続が終了していない場合
または株式交換を中止した場合は、吸収合併の
40
効力は生じない(771Ⅴ)
Ⅲ
株式移転
• 1または2以上の株式会社は、株式移転計画
を作成することにより、株式移転をすること
ができる
• 共同株式移転の場合は、当該2以上の株式会社
が共同で株式移転計画を作成しなければなら
ない(772)
41
1
株式移転計画(773)
①株式移転設立完全親会社に関する基本的事項
(1号、2号)
②完全親会社の機関に関する事項(3・4号)
③対価に関する事項およびその割当てに関する事
項(5号~8号)
④新株予約権の承継に関する事項およびその割当
てに関する事項(9号、10号)
42
2株式移転の効力発生等(774)
• 株式移転の効力:完全親会社の成立の日(設立登記
の日)に生じ、完全子会社の発行済株式全部を取得
する(774Ⅰ、49、925Ⅰ)
• 完全子会社の株主は、完全親会社の株主となる
(774Ⅱ)
• 割当てられる対価が株式以外の社債等である場合は、
その内容に応じて、完全親会社の社債権者、新株予
約権者、新株予約権付社債の社債権者および新株予
約権者等となる(774Ⅲ)
• 新株予約権を承継する場合:完全子会社の新株予約
権は、効力発生日に消滅し、新株予約権承継手続に
関する定めにしたがい、完全子会社の新株予約権者
は効力発生日に完全親会社の新株予約権者となる 43
(774Ⅳ)