判決・裁決紹介 - 中国税理士会

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中 国 税 理 士 会 報
中国税理士会報「TAINS 判決・裁決紹介」タイトル一覧
所得税
平成22年6月30日裁決〔J79-2-16〕
2012年4月10日
(No.579)
(平成23年4月号∼平成24年3月号)
(平成24年3月15日現在)
2011年4月10日(No.567)14頁
(所得区分)請求人が営んでいた税理士事務所を他の税理士に承継するに際して受領した金員に係る所得は、譲渡所得には該当しないとした事例(棄却)
平成20年1月31日東京地裁八王子支部〔Z258-10882〕
2011年7月10日(No.570)7頁
(文書提出命令)民事訴訟法220条4号ロ(文書提出義務)に規定する「公務員の職務上の秘密」、「その提出により公共の
利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある」の意義(認容)(確定)(申立人勝訴)
平成22年2月10日富山地方裁判所〔Z888-1606〕
2011年10月10日(No.573)15頁
(青色事業専従者該当性)有資格者であっても、青色事業専従者といえるためには、実際に事業に従事する必要があり、
単に資格を有するだけでは足りず、実際には他の従業員を指導し、現場で検査するといった業務を行っていない以上、原
告の営む事業に専ら従事していたとは認められないとした事例(棄却)【情報公開法第9条第1項による開示情報】
平成22年7月21日裁決〔F0-1-392〕
2011年11月10日(No.574)23頁
(医師の必要経費)クリニックを経営する医師の所有する4艇の船舶、海辺の建物等に係る経費、交際費等は、事業と直接の関係を持ち、かつ業務の
遂行上通常必要な支出とは認められないので、その一部は必要経費に算入されないとした事例(一部取消し)
【情報公開法第9条第1項による開示情報】
平成23年10月17日裁決〔F0-1-403〕
2011年12月10日(No.575)18頁
(住宅借入金等特別控除)登記簿上「増築」と表示されているが、家屋の現況及び建築経過等を総合し実質的に判断すると、請求人の家族が同
居するために新築された家屋と認められ、措置法41条1項の規定が適用されるとした事例(全部取消し)
【情報公開法第9条第1項による開示情報】
平成23年12月2日裁決〔F0-1-415〕
2012年2月10日(No.577)10頁
(相続税と所得税の二重課税)所得税法は、相続により取得した資産の譲渡に関し、相続時までの値上がり益について、相続税及び
所得税の双方の課税ベースに含まれることを前提に、その課税方法につき取得価額引継方式を採用したものというべきであり、値上
がり益について所得税を課すことを容認していると解するのが相当であるとした事例
(棄却)
【情報公開法第9条第1項による開示情報】
平成22年10月20日東京高等裁判所〔Z888-1628〕
2012年3月10日(No.578)18頁
(弁護士の必要経費)控訴人の妻が事業に従事した稼働時間が事務員の勤務時間の4分の1を超えることはないと推定され、また、
弁護士業務において自動車を必要とするのは、自宅と駅との往復、顧問先及び地方の裁判所等への往復が主なものであり、1台を
超える自動車が事業の遂行上必要であったとは認め難いとした事例(棄却)
【情報公開法第9条第1項による開示情報】
平成24年1月16日最高裁〔Z888-1626〕
2012年3月10日(No.578)19頁
(収入を得るために支出した金額)支払保険料のうち受取人以外の法人の保険料経理部分は、所得税法34条2項にいう「その収入
を得るために支出した金額」に当たるとはいえず、これを本件保険金に係る一時所得の金額の計算において控除することはでき
ないとした事例(原判決中、第1審被告敗訴部分・破棄差戻し、第1審原告の上告・棄却)
【裁判所ホームページ最高裁判所判例集】
法人税
平成22年6月22日裁決〔J79-1-04〕
2011年4月10日(No.567)14頁
(過少申告加算税)調査開始前に、請求人から関与税理士に従業員の横領行為発覚に伴う修正申告書の作成を依頼し、調査初日、同税理士から調査担当者に対して事
実関係を説明するなどした後の修正申告書の提出は、
「更正があるべきことを予知してされた」修正申告書の提出には当たらないとした事例(全部取消し、一部取消し)
平成23年4月14日京都地方裁判所〔Z888-1590〕
2011年7月10日(No.570)8頁
(役員退職給与)学院長及びa校校長からの退職並びに再定義後の学院長及びセンター長への就任により、その性質、内容、労働条件等におい
て重大な変動があったということができるから退職所得に当たるとした事例(全部取消し、一部取消し)
【情報公開法第9条第1項による開示情報】
平成19年7月9日裁決〔F0-2-369〕
2011年8月10日(No.571)34頁
(損金算入時期)マンション管理費及び修繕積立金につき法人税法上の損金算入時期及び消費税法上の課税仕入れ該当性について判断した事例(棄却)
【情報公開法第9条第1項による開示情報】
平成22年8月3日裁決〔F0-2-376〕
2011年11月10日(No.574)24頁
(青色申告承認取消処分の取消し)被合併法人が、関連法人の広告宣伝費を一部負担したことにつき、仮装取引とはいえ
ないとして、青色申告承認取消処分を取り消した事例(全部取消し)【情報公開法第9条第1項による開示情報】
平成23年1月25日裁決〔J82-3-11〕
2011年12月10日(No.575)19頁
(役員給与)役員給与の減額理由が業績悪化改定事由に該当しないから減額後の定期給与の額を超える部分は定期同額給与とはいえず損金の額に算入することができないとした事例(棄却)
平成22年11月10日裁決〔F0-2-393〕
2012年2月10日(No.577)11頁
(第二次納税義務)審査請求人が滞納法人の預金口座から出金した金員について、原処分庁は無償譲渡等の判断の対象となる財産の処
分行為の存在自体の確認ができていないとして、納付告知処分を取り消した事例(全部取消し)
【情報公開法第9条第1項による開示情報】
平成22年9月1日裁決〔F0-2-400〕
2012年2月10日(No.577)12頁
(低額譲渡)請求人が関係法人から譲り受けた非上場株式の価額の算定に合理性が認められず、純資産価額により算定され
た価額、すなわち時価を下回る低額譲渡に当たると判断した事例(一部取消し)
【情報公開法第9条第1項による開示情報】
2012年4月10日
(No.579)
中 国 税 理 士 会 報
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相続税
平成23年2月18日最高裁判所判決〔Z888-1572〕
2011年4月10日(No.567)15頁
(武富士事件)贈与を受けた時において、贈与税の課税要件である国内における住所を有していたということはできないとして贈与税決定処分を取り消した事例(破棄自判)
(確定)
(納税者勝訴)
【裁判所ホームページ最高裁判所判例集】
平成22年4月26日裁決〔F0-3-254〕
2011年5月10日(No.568)13頁
(相続財産)被相続人が相続人である請求人らに対して有する立替金返還債権を放棄したことによる利益は、甲の相続財産に該当しないとした事例(全部取消し)
【情報公開法第9条第1項による開示情報】
平成22年5月28日裁決〔F0-3-258〕
2011年6月1日(No.569)14頁
(相続財産の範囲)被相続人の配偶者である請求人名義の証券口座に保護預かりされていた同人名義の本件株式は、被相続人の財産であり、当該株式に係
る配当金を請求人が受領していたことは、被相続人からの贈与であるという原処分を取り消した事例(全部取消し)
【情報公開法第9条第1項による開示情報】
平成22年6月11日裁決〔F0-3-257〕
2011年6月1日(No.569)15頁
(小規模宅地の特例)被相続人夫婦は、終身の介護を受けることを前提に介護型の有料老人ホームに入園し、生活をしていたと認められ、生活の拠点
がなお本件家屋に置かれていたとは認められず、小規模宅地の特例の適用は認められないとした事例(棄却)
【情報公開法第9条第1項による開示情報】
平成23年9月28日広島地方裁判所判決〔Z888-1619〕
2012年1月10日(No.576)28頁
(売買契約中の土地に係る相続税の課税財産)手付契約に基づく解除権の行使は、「解除権の行使によって解除された」場
合に該当するので、解除の遡及効は、課税関係に影響を及ぼし、売買契約は、その成立時点に遡って消滅することになる
ことから、本件売買契約に係る相続税の課税財産は、各土地建物であったとした事例(全部取消し)
(確定)
(納税者勝訴)
平成23年8月26日東京地方裁判所判決〔Z888-1618〕
2012年1月10日(No.576)29頁
(小規模宅地の特例)相続開始の直前における被相続人らの生活の拠点が老人ホームにあったことは明らかであり、家屋敷地が小規模宅地の特例に規定
する被相続人等の「居住の用に供されていた宅地」に当たらず、特例を適用することはできないとした事例(棄却)
【情報公開法第9条第1項による開示情報】
平成23年3月23日裁決〔F0-3-269〕
2012年1月10日(No.576)30頁
(重加算税)請求人らが、本件相続人ら名義の預金等について相続財産であることを認識した上で、相続財産を過少に申
告することを意図して当初申告をしたとは認められないとした事例(一部取消し)
【情報公開法第9条第1項による開示情報】
平成23年5月11日裁決〔J83-1-03〕
2012年3月10日(No.578)20頁
(重加算税)相続税の申告に当たり、相続財産の一部について、相続人がその存在を認識しながら申告しなかったとしても、重加算税の賦課要件は満たさないとした事例(一部取消し)
消費税
平成23年3月22日裁決〔F0-5-112〕
2011年6月1日(No.569)16頁
(課税仕入れに係る支払対価該当性)マンションを競売により買い受けた際に請求人が必ず負担することとなる各滞納管理費等は、各マンションの購入対
価の一部として、消費税法第30条第1項に規定する課税仕入れに係る支払対価に該当しないとした事例(棄却)
【情報公開法第9条第1項による開示情報】
平成22年9月21日裁決〔J80-5-09〕
2011年8月10日(No.571)35頁
(課税資産の譲渡等の対価の額)請負代金のうちに法人税法上寄附金の額に含まれる金額があるとしても、当事者
間で取り決めた実際の取引額であれば、消費税法上は課税資産の譲渡等の対価の額に含まれるとした事例(棄却)
地方税
平成23年3月25日最高裁判所判決〔Z999-8278〕
2011年5月10日(No.568)13頁
(固定資産税の住宅用地の特例)居住用家屋となる予定の新家屋の建築工事が現に進行中であることが客観的に見て取れる状況の下では、
土地は「敷地の用に供されている土地」に当たるとした事例(一部破棄自判、その余の上告棄却)
(確定)
【裁判所ホームページ最高裁判例集】
その他
平成23年7月15日最高裁判所判決〔Z999-5220〕
2011年9月10日(No.572)24頁
(消費者契約法10条)賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、賃料の額、更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、
消費者契約法10条にいう「消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないとした事例(一部破棄自判、一部棄却・却下)
(確定)
【裁判所ホームページ最高裁判例集】
平成23年7月12日最高裁判所判決〔Z999-5218〕
2011年9月10日(No.572)25頁
(消費者契約法10条)いわゆる敷引特約を定め、賃借人が明確に認識した上での賃貸借契約の締結は、賃貸人、賃借人双方の経済的合理性を有す
る行為と評価すべきであるから、敷引金の額が賃料の額等に照らし高額に過ぎるなどの事情がなければ、これが信義則に反して消費者である賃借
人の利益を一方的に害するものということはできないとした事例(原判決中、上告人敗訴部分変更)
(確定)
【裁判所ホームページ最高裁判例集】
平成22年7月13日東京地方裁判所判決〔Z999-5210〕
2011年10月10日(No.573)16頁
(負担付死因贈与契約)認知症により意思能力を欠く状態で締結されたものであるとして、その無効の請求等を求める本件負担付死因贈与契
約は、事情を総合すれば意思能力がなかったと認めることはできないとした事例(一部認容、一部棄却)
(控訴後和解)
【判例時報2103号50頁】
平成21年10月26日東京地方裁判所判決〔Z999-0124〕
2011年10月10日(No.573)17頁
(税理士損害賠償)被告(税理士)は、各確定申告書等の作成に当たり、原告の所得を適正に申告するために必要な資料の精査や事実確認等を怠っており、本件
委任契約に基づき、税理士として果たすべき職務上の注意義務に違反したと認められ、原告の損害賠償請求を認めた事例(認容)
(確定)
【判例タイムズ1340号199頁】
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中 国 税 理 士 会 報
2012年4月10日
(No.579)
所得税
大阪地方裁判所平成21年(行ウ)第201号所得税更正処分取消等請求事件(全部取消し)
(納税者勝訴)
国側当事者・国(明石税務署長)
平成24年2月28日判決
【債務免除益/所基通36−17適用の可否】
一次(概要)
からも明らかである。
4 所得税法9条1項10号や所
とが著しく困難である部分の
金額の範囲にとどまり、債務
得税法施行令26条と同様に、
者が債務免除によって弁済が
債務者が「資力を喪失して債
著しく困難な債務の弁済を免
1 病院事業を営む原告は、A
務を弁済することが著しく困
れたにすぎないといえる場合
機構及びB機構から総額24億
難」である場合という文言を
においては、これを収入金額
1,033万円余の債務免除を受
用いる基本通達36−17におい
に算入しないことを定めたも
けた。本件は、原告が債務免
ても、債務者が資力を喪失し
のと解するのが相当であり、
除益を事業所得の総収入金額
て債務を弁済することが著し
このような解釈は、所得税法
に算入せずに平成17年分所得
く困難であるか否かの判断
36条の趣旨に整合するものと
税の確定申告をしたところ、
は、債務免除が行われる直前
いうべきである。
処分行政庁からその一部であ
の財産状況を前提に行うこと
7 基本通達36−17にいう「資
る10億2,116万円余を事業所
を予定していると理解するの
力を喪失して債務を弁済する
得として総収入金額に加算す
が自然である。
ことが著しく困難であると認
判 示 事 項
る内容の更正処分等を受けた
5 以上に検討したところに加
められる場合」とは、所得税
ため、本件債務免除益には所
え、基本通達36−17の文言か
法9条1項10号及び所得税法
得税基本通達36−17の適用が
らは、債務免除を受ける直前
施行令26条同様、債務者の債
ある旨主張し、更正処分等の
の状態において、債務者が資
務超過の状態が著しく、その
取消しを求めた事案である。
力を喪失して債務を弁済する
者の信用、才能等を活用して
2 被告は、納税者が、債務免
ことが著しく困難であること
も、現にその債務の全部を弁
除後においても納税資力がな
を要件としていると理解する
済するための資金を調達する
く、これに課税しても徴収不
のが自然であることに照らす
ことができないのみならず、
能になることが明らかである
と、基本通達36−17は、債務
近い将来においても調達する
場合でなければ、債務免除益
免除を受ける直前において、
ことができないと認められる
を収入金額に算入しないこと
債務者が資力を喪失して債務
場合をいうと解するのが相当
は正当化できない旨主張す
を弁済することが著しく困難
であり、同通達の趣旨にも沿
る。
である場合には、当該債務免
うものである。
3 相続税法8条ただし書1号
除益を各種所得の金額の計算
8 本件債務免除は合理的なA
は、同条本文の例外として定
上収入金額又は総収入金額に
機構企業再生スキームに準じ
められた規定であるところ、
算入しない旨の取扱いをする
たスキームに基づき行われて
債務者が資力を喪失して債務
旨を定めているものと解すべ
いるものであり、原告の資産
を弁済することが困難である
きである。
状況について、監査法人の調
か否かの判断時期が債務免除
6 基本通達36−17本文は、当
査が実施され、それらを踏ま
の直前であることは、同規定
該債務免除の額が債務者に
えて本件債務免除が行われた
の趣旨からも、またその文言
とってその債務を弁済するこ
ものである。認定事実を総合
2012年4月10日
(No.579)
7
中 国 税 理 士 会 報
すると、原告は債務免除を受
債務を弁済することが著しく
れるものと解するのが相当で
ける直前において資力を喪失
困難である部分の金額の範囲
ある。
して債務を弁済することが著
にとどまるものと認められる
判決年月日 H24−02−28
しく困難であり、かつ、債務
から、本件債務免除益につい
国税庁訴資 Z888−1636
免除の額が原告にとってその
ては基本通達36−17が適用さ
(重加算税/隠ぺいの意図) アフィリエイト(インターネット広告)事業を営む請求人の
所得税等に係る重加算税について、当初から売上げの一部を除外して所得を過少に申告す
ることを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められない
として、その一部が取り消された事例(平成17年分所得税に係る過少申告加算税及び重加
算税の各賦課決定処分・全部取消し、平成18年分∼平成20年分所得税に係る重加算税の各
賦課決定処分・一部取消し、平成19年及び平成20年課税期間の消費税及び地方消費税に係
る重加算税の各賦課決定処分・一部取消し・平23−06−06裁決)
【東裁(所・諸)平22−217】
【情報公開法第9条第1項による開示情報】
一次(概要)
は別に、隠ぺい、仮装と評価
すべき行為が存在し、これに
が明らかである。
4 上記3以外の売上げの一部
合わせた過少申告がされたこ
については、請求人が、毎年、
とを要するものである。しか
同じ時期に生じた売上げの大
1 請求人は、平成17年からア
し、重加算税制度の趣旨にか
半を申告する中で、①取引開
フィリエイト(インターネッ
んがみれば、架空名義の預金
始当初の一定期間に生じた売
ト広告)事業を開始し、イン
口座等の利用や資料の隠匿等
上げ、②取引の最中の1か月
ターネット上のいわゆる広告
の積極的な行為が存在したこ
ないし5か月間に生じた売上
代理店であるアフィリエイ
とまで必要であると解するの
げ、③毎月の定期的な売上げ
ト・サービス・プロバイダー
は相当でなく、納税者が当初
とは異なる原因により生じ
(ASP)7社及び APS 以外の
から所得を過少に申告するこ
た、当月の売上げの一部、④
13社を相手に、請求人名義又
とを意図し、その意図を外部
他のASPとは入金の時期が異
は架空名義で登録をしてア
からもうかがい得る特段の行
なる取引により生じた売上
フィリエイト事業を行ってい
動をした上で、その意図に基
げ、⑤ASP以外の会社に対す
た。各売上げは、請求人名義、
づいて過少申告をしたような
る不定期の取引により生じた
A名義、B名義の3つの口座
場合には、重加算税の課税要
売上げ等についてのみ、入力
のいずれかに振り込まれた。
件が満たされるものと解すべ
をせず、申告もしなかったの
本件は、請求人が、売上金額
きである。
であるから、請求人が誤った
〔裁 決 の 要 旨〕
の一部に申告漏れがあるとの
3 A名義口座に振り込まれた
入力やずさんな入力をしてい
原処分庁の調査結果に基づき
売上げ全部及びB名義口座に
たことにも照らすとき、申告
修正申告をしたところ、所得
振り込まれた売上げの一部に
されなかった理由が、請求人
税及び消費税に係る重加算税
ついては、請求人が、これら
の主張するとおり、売上げか
等の賦課決定処分を受けた事
の全部を、パソコンを利用し
ら意図的に除外したからでは
案である。
た帳簿作成において意図的に
なかったと見る余地は、十分
2 国税通則法68条1項に規定
入力せず、その結果、作為的
にあるというべきである。
する重加算税を課するために
に所得を過少に申告したので
加えて、請求人は、調査の当
は、納税者のした過少申告行
あるから、過少申告行為とは
初から、請求人名義及びB名
為そのものが隠ぺい、仮装に
別の積極的な「隠ぺい」と評
義の各口座の入金状況に関す
当たるというだけでは足り
価すべき行為をし、これに基
るデータのすべてを提供して
ず、過少申告行為そのものと
づいて確定申告に及んだこと
いたことが認められる。
8
中 国 税 理 士 会 報
5 以上の状況を考えると、B
名義口座及び請求人名義口座
2012年4月10日
(No.579)
特段の行動をしたとも、認定
修正申告書の提出は、「調査
することができない。
があったことにより当該国税
に振り込まれた各売上げの一
6 平成17年分の重加算税につ
について更正があるべきこと
部については、請求人が、過
いては、過少申告加算税相当
を予知してされたものでない
少申告行為そのものとは別の
額を超える部分を取り消すべ
とき」に当たる。したがって、
積極的な「隠ぺい」と評価す
きである。しかし、請求人は、
重加算税は、過少申告加算税
べき行為をしたとは認定でき
法定申告期限から3年以上経
相当額の部分も含めて、その
ないし、当初から売上げの一
過して修正申告をしており、
全部を取り消すべきである。
部を除外して所得を過少に申
不申告金額につき「偽りその
裁決年月日 H23−06−06
告することを意図し、その意
他不正の行為」をしたとは認
コード番号 F0−1−431
図を外部からもうかがい得る
定することができないから、
出典:税理士情報ネットワークシステム(TAINS) 平成24年3月13日現在
税法データベースは日々更新されています。最新の情報でご確認ください。
TAINS ホームページ https://www.tains.org/tains/index.jsp
TAINS中国ユーザー会から
寄付金の贈呈
平成24年2月22日、中国税理
会の解散の事由は、有限会社日
容の充実を図りつつ判決情報等
士会館において、税理士情報
税連情報サービスとTAINS 全
の蓄積を続けていますので、引
ネットワーク(TAINS)中国
国ユーザー会が一般社団法人日
き続きTAINSをご活用くださ
ユーザー会の冨永純治会長から
税連税法データベースに一本化
い。
中国税理士会の原田啓吾会長に
されるために、平成23年3月31
対して、寄付金40万円の贈呈が
日をもって TAINS
行われました。
全国ユーザー会が解
こ れ は 、 TAINS 中 国 ユ ー
ザー会が平成23年12月31日を
散したことを受けて
のことです。
もって解散したことに伴い、そ
運営する組織が様
の残余財産を、今後 TAINS の
変わりしたTAINS
運営に協力していただく中国税
ですが、これまでど
理士会に対し、活動を支援する
おり、税法に関する
目的で寄付したものです。
判決・裁決等の情報
なお、TAINS 中国ユーザー
(広報部 伊禮 広正)
提供と、さらなる内
TAINS からの寄付金贈呈
TAINSからのご案内
今月の定期便にTAINSの紹介パンフレットと税法データベースの検索代行サービスのチラシを同封
しております。ぜひご利用ください。