戦略は体系的に計画されない 戦略クラフティング ヘンリー・ミンツバーク 13-MC009 李 花 戦略クラフティング • 思考や理性ではなく、むしろ長い経験、素材 への愛着、バランス感覚といったものだと思 われる。 • しかし、作者は戦略は偶然に発見されたり、 あるいは自然発生的に創発したり、また環境 によって転換を迫られる時があったりすると 言う。 • 工芸家を「一人だけの組織」を考えれば、彼も マネジャー同様、挑戦しなければならないこと がある。すなわち、戦略の方向性を見極める ために、おのれのケイパビリティを正しく把握 することである。 • マネジャーが陶芸家であれば、戦略は粘土で ある。そして、自社のケイパビリティという過去 と市場の可能性という未来の間に座っている。 陶芸家と同じく、自らが置かれた状況において、 手持ちの知識を活用することである。 戦略は未来の計画であり過去 の踏襲でもある • 戦略は企画され、何かを意図させると共に、 実行に移され、実現される。それがどのよう に取り組まれているは、過去のパターン、あ るいは、「実現された戦略」である。 • 現実の組織では、知らずのうちにパターンそ のものの姿が明らかになり、1つのパターンと して定着してくる。つまり、戦略となってあらわ れる。 • 事例: フォルクスワーゲンのような大企業ではパ ターンの転換を見つけるのは、工芸家の場合よ り簡単である。これは、フォルクスワーゲンなら ば、生産プロセスを大がかりに変更しなければ ならないが、工芸家の場合自分の仕事のやり 方を変えるのが簡単であり、それゆえかえって 見つけにくい。 • 40年代後半から70年代後半まで 車種類の変遷をたどってみると、はっきりした パターンの違いを認識できる。すなわち、長く 「ビートル」に固執していた時期が続く。 • 60年代後半のM&Aや新型モデルの社内開 発によって「ビートル」の代替となるモデルを 模索する時期を経つ。 • 70年代中頃には、スタイリッシュなデザイン の水冷式前輪駆動車へと戦略を転換すると いうパターンが明確になる。 戦略は理路整然と意図され、 計画された産物なのか • 混乱から逃れ、さらに戦略プランニングの周 りに積み上げてきた人為的な複雑性から解 放されるためにも、我々は基本概念に立ち戻 るべきだ。その最たるものは「思考と行動の 関係」である。 • これは工芸家の基本概念であると同時に、戦 略クラフティングのプロセスを解くカギとなろう。 戦略は試行錯誤しながら形成 されていく • 戦略に思慮が欠け多くが間違って認識されて しまったことは動かしがたい事実としても、本 当の問題はもう一歩先にある。つまり、「思考 が先行している。」 • 実際の行動や経験を通じて戦略が自己形成 されることを認めることでも賢くなれる。 プランニングと創発の共存 • 「草の根アプローチ」 ホンダがアメリカのオートバイ市場で大 成功を収めた、戦略は自社製品で乗り回 したことだけだった。つまり、市場の反応を 偶然つかめた。あまねくこのような戦略は 「草の根アプローチ」と呼ぶ。 • 「アンブレラ戦略」 この戦略はプランニング(上層部からの ガイドライン)だけでなく、創発のプロセス (具体的なプランの作成)も含んでいる。く わえて、戦略が途中で発展するように意 図的に管理していくという点で、計画的に 創発を促すアプローチと呼べる。 量子的飛躍理論からの洞察 • 「量子的飛躍理論」の基本的な論点は、組織 は、タイミングを間違えると、まったく異なる行 動様式を採用する。しかし、実際は、ほとんど 同じような方法、あるいは多少改善された方 法が繰り返されているだけである。 • 工芸家と同じく、組織もそのケイパビリティを 活用しながら規定路線に沿って継続的改善 を続けていく。 例: NFBには、「拡散」(安定や均衡から離れるこ と)と「収斂」(安定や均衡へと戻っていくこと)を 場ランスよく繰り返しながら、その焦点を定めた り、ぼやかしたりする傾向が見られた。 しかし、多くの戦略が失敗に終わるのは、ダイ ナミズムを混同してしまった場合、あるいは一 方を無視して他方だけを偏重してしまった場合 である。 優れた戦略を創造するために • • • • • 安定性を統御する。 非連続性を察知する。 ビジネスを理解する。 各種のパターンをマネジメントする。 変化と連続性を融合させる。 戦略クラフティングには、工芸品をつくり上げ るのと同様に未来と現在と過去を無理なく総合 させることが求められるである。
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