エアゾール缶等の収集処理時の 事故発生状況と今後の課題 富士常葉大学 杉山涼子 Ⅰ-3-20 1 研究の背景 • 生産量 エアゾール缶 5.3億本 コンロ用カセットボンベ 1.4億本 • エアゾール缶等による収集・処理時の火災事故の 発生 • 平成18年2月エアゾール製品処理対策協議会と (社)全国都市清掃会議及び中央適正処理困難指 定廃棄物対策協議会との覚書 エアゾール缶の中身排出機構の装着 カセットコンロのヒートパネル化 市区町村への廃エアゾール製品簡易処理機を譲与 消費者への相談窓口の整備と中身排出機構の使用方法 を周知 Ⅰ-3-20 2 既存研究からの知見 • 収集時において圧縮車で火災事故が発生し やすい • 事故防止のためには、消費者は中身を使い 切って排出することが重要 • 実際には中身の残った缶がごみとして排出さ れている →火災事故件数等の事故発生状況と、分別排 出方法や収集車両、穴あけ指導等の自治体 の施策と関連づける研究は行われていない Ⅰ-3-20 3 研究の目的 • 全国の自治体におけるエアゾール缶等によ る火災事故の現状を把握し、事故発生要因 を明らかにする • より安全な収集・処理を行うための方策を検 討する Ⅰ-3-20 4 調査方法(アンケート調査) • 対象:全国の10万人以上の市及び東京23区 の287自治体 • 調査票の送付及び回収は郵送 • 平成22年4月27日~6月15日 • 調査票の回収状況: 発送数 287票 有効回答数 206票 有効回収率 71.8% Ⅰ-3-20 5 車両火災 事故件数1 • 最近5年間に事故発生 84.5% • 平成21年度に限ると 64.1% • 5年間すべてのデータを回答した158自治体 1,013、1,045、983、860、884 • 平成21年度 197自治体 合計1,008件 Ⅰ-3-20 6 車両火災 事故件数2 • 平成21年度の人口10万人当たりの事故発生 件数: 平均 1.5件(うち不燃ごみ1.4件) 事故件数ゼロ~最大19.1件 • 平成21年度の1,008件のうち 不燃ごみが93.9% Ⅰ-3-20 7 車両火災発生品目 エアゾール缶 30.7% エアゾール缶 またはコンロ 用カセット 5.6% コンロ用 ライター カセット 11.1% 16.3% その他 6.4% 原因不明 30.0% 52.5% Ⅰ-3-20 8 破砕施設 火災事故件数1 単独で施設を保有している149自治体 • 最近5年間に事故発生 45.6% • 平成21年度に限ると 29.1% • 5年間すべてのデータを回答した135自治体 216、257、245、263、217 • 平成21年度 146自治体 合計275件 Ⅰ-3-20 9 破砕施設 火災事故件数2 • 平成21年度の人口10万人当たりの事故発生 件数: 平均 0.7件 事故件数ゼロ~最大18.6件 • 人口10万人当たりの車両火災事故件数との 単相関係数 -0.07 Ⅰ-3-20 10 エアゾール缶等の分別収集方法 可燃ごみ・ 普通ごみ 1.0% 使い切った缶 缶・金属等の 資源 40.8% 有害ごみ・ 別収集 36.4% その他 2.9% 不燃ごみ 18.9% 缶・金属等 の資源 不燃ごみ 3.4% 1.0% 中身の残った缶 収集して いない 73.3% 有害ごみ・ 別収集 22.3% Ⅰ-3-20 11 不適正な排出時の対応 その他 1.0% 特に対応は していない 10.2% ステッカーを 貼るなどして 収集しない 37.9% ごみから 分けて収集 38.8% Ⅰ-3-20 不明 12.1% 12 穴あけPR指導 • 以前から指導している 64.1% • 以前は指導していたが現在は指導して いない 20.9% • 以前から指導していない 12.1% Ⅰ-3-20 13 分別の変更 • 最近5年間でのエアゾール缶等の分別変更 変更した 21.8% 変更していない 77.2% エアゾール缶等を別に出す 16自治体 資源として出す 10自治体 有害ごみに出す 4自治体 Ⅰ-3-20 14 分別方法別の人口10万人当たりの 不燃ごみの車両火災事故件数 全体 缶・金属等の資源 有害ごみ・別収集 不燃ごみ(圧縮車) 不燃ごみ(非圧縮車) 件数 平均 分散 標準偏差 最大値 最小値 197 1.4 6.3 2.5 18.6 0.0 80 1.5 10.9 3.3 18.6 0.0 71 1.2 2.5 1.6 8.3 0.0 30 1.9 3.3 1.8 7.4 0.0 8 0.4 0.3 0.6 1.6 0.0 Ⅰ-3-20 15 分別方法別の母平均の差の 検定結果 不燃ごみ(非圧縮車)との比較 自由度 有害ごみ・別収集 22 缶・金属等の資源 64 不燃ごみ(圧縮車) 34 Ⅰ-3-20 P値 0.0081 0.0079 0.0004 16 不適正な排出時の対応別の人口10万人 当たりの不燃ごみの車両火災事故件数 特に対応はしていない ごみから分けて収集 ステッカーを貼るなど して収集しない 件数 平均 分散 標準偏差 最大値 最小値 20 2.2 18.1 4.3 18.6 0.0 78 1.4 4.0 2.0 9.9 0.0 73 1.2 Ⅰ-3-20 6.1 2.5 18.2 0.0 17 穴あけ指導の有無と人口10万人当たりの 不燃ごみの車両火災事故件数 • 以前から指導している 1.5件 • 以前は指導していたが現在は指導して いない 1.5件 • 以前から指導していない 1.1件 Ⅰ-3-20 18 分別変更の有無による人口10万人当たり の不燃ごみの車両火災事故件数 変更 あり 変更 なし 有害ごみ・別収集へ変更 資源へ変更 以前から有害ごみ・別収集 以前から資源 件数 平均 分散 標準偏差 最大値 最小値 31 1.1 1.2 1.1 3.9 0.0 7 5.4 46.7 6.8 18.2 0.0 39 1.2 3.7 1.9 8.3 0.0 72 1.2 6.6 2.6 18.6 0.0 Ⅰ-3-20 19 車両火災事故の発生しにくい 排出収集方法(ベストプラクティス) • ①~③すべてを満たす方法をベストプラク ティスとする ①有害ごみなどの別収集や資源で分別収集 ②不適正に排出された缶は他のごみと分けて 収集したり取り残したりする ③過去5年以内に分別変更していない Ⅰ-3-20 20 ベストプラクティスとそれ以外の人口10万 人当たりの不燃ごみの車両火災事故件数 ベストプラクティス ベストプラクティス以外 件数 平均 分散 標準偏差 最大値 最小値 86 0.9 1.9 1.4 6.8 0.0 111 1.8 9.4 3.1 18.6 0.0 Ⅰ-3-20 21 考察1 (1)エアゾール缶の分別方法 →不燃ごみ収集は避ける (2)不適正排出された缶への対応 →特に不燃ごみへの混入を防ぐように収集作業員 の現場での対応が効果的 (3)市民へのPR啓発 →中身を使い切るというルールや分別方法を守る ようPR啓発が必要 Ⅰ-3-20 22 考察2 (4)穴あけ指導の効果 →穴あけ指導の是非について再検討する必要あり (5)収集車両 →非圧縮車で収集すれば事故は削減できるが 積載効率は低下 (6)中身の残った缶への対応 →新たな回収ルートの整備が必要ではないか Ⅰ-3-20 23
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