平成23年度税制改正における 中小企業関連税制の結果概要 平成22年12月 中小企業庁 1.中小軽減税率及び法人税率の引下げ 中小企業(資本金1億円以下)は、年所得800万円以下の部分は18% の軽減税率が適用され、年所得800万超の部分は30%の法人税の基本 税率が適用されるが、税制改正により、軽減税率は15%に、基本税率は 25.5%に引下げ。 2.欠損金の繰越期間の延長 現在、過去7年前までに発生した損失は、当期の所得金額から差し引く ことができるが、税制改正により、差し引くことができる損失を過去9年前 までに発生した損失に延長。 ※ なお、大企業は、繰越欠損金の使用を所得金額の80%までに制限。 1 3.雇用促進税制の創設 中小企業が、従業員を10%以上かつ2人以上増加させた場合に、1人 当たり20万円税額控除できる制度を創設(大企業は10%以上かつ5人以 上)。 例)前年度従業員数6名で当年度従業員数8名の中小企業の場合、増加従業員数2名×20万円=40万円の税額控除が可能。 4.環境関連投資促進税制(グリーン投資減税)の創設 エネルギー需給構造改革投資促進税制を廃止し、新たに、中小企業 が、エネルギー起源CO2排出削減等に効果が見込まれる設備等を取得 した場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除を適用で きる制度を創設(大企業は特別償却のみ)。 5.会計検査院の意見表示 会計検査院から意見表示(注)がされた中小企業税制の適用範囲の見直 しについて、平成24年度税制改正に検討を先送り。 注:所得等が高い中小企業への中小企業税制の適用を問題視。 2 6.中小企業関連租特の組換え 中小企業等基盤強化税制等を組み換えて、中小企業投資促進税制を 拡充し、その対象に情報基盤高度化のためのサーバー用OS、データ ベース管理ソフトウェア等を追加。 【廃止・縮減項目】 中小企業等基盤強化税制、留保所得の特別控除、貸倒引当金の特例、 高度化事業に係る買換え特例 7.事業承継税制(非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度)の見直し 事業承継税制の適用にあたって、申請会社の関係者が風俗営業会社 等の株式を一定以上保有してはならないとする要件の見直し。具体的に は、関係者の範囲を、6親等内の親族等から、後継者本人、申請会社等 に絞り込み、要件を大幅に緩和。 (注)親族:配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族。 3 8.消費税の課税の適正化 ① 仕入れ税額控除制度における「95%ルール」の見直し 「95%ルール(売上げの殆どが課税売上の場合、全ての課税仕入等 について仕入税額控除を認める制度)」については、中小企業の事務 負担に配慮し、課税売上高が5億円以下の中小企業には引き続き適用。 ② 免税事業者の要件の見直し 現行制度上、前々期の課税売上高が1,000万円以下の場合には、免 税事業者となるところ、売上が急激に増加する場合(前期の上半期で の課税売上高1,000万円超の場合)には、翌期から課税事業者とする 制度を新たに導入。これに伴い、一般の免税事業者の事務負担に配慮 し、課税売上高に代わり、前期の上半期での支払給与額1,000万円超 を基準として用いる簡易な方法を導入。 9.その他 ① 市区町村向け高度化融資事業の創設に伴う税制措置【新設】 ② 信用保証協会が受ける抵当権の設定登記等の税率の軽減【延長】 ※ 軽減税率は1.5/1000(現行1/1000)に引上げ(本則税率:担保物件に応じ2.5/1000~4/1000)。 ③ 小規模企業者等設備導入資金貸付制度における貸与機関の資金 貸付事業及び設備貸与事業の法人非課税措置【拡充】 ④ 中小企業の事業再生に伴う不動産取得税の軽減措置【延長】 4 (参考) 中小企業の法人税率の改正概要 中小企業 (資本金1億円以下) <約250万社> うち利益計上法人 税率(国税) <73万社> 所得が800万円以下 <約52万社> 所得が800万円超 <約21万社> 30% 4.5% 25.5% 法人税率の 引下げ 22% 3% 現行 18% 本則 19% ※ 国税・地方税で 実効税率約5% の引下げ。 4% 特例 15% (3年間の措置) 中小軽減税率の 引下げ 800万円 注:現行の中小企業に対する軽減税率は、本則22%、平成21年4月1日から平成23年3月31日までの2年間の時限措置18%。 所得 5
© Copyright 2024 ExpyDoc