第8章 オプション価格とオプション価値

8章 オプション価格とオプション価値
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<考慮する不確実性>
考慮する不確実性
=政策により変化する個人が直面する不確実性
=事象の発生確率が政策により変化
考慮しない不確実性
=アナリストが入手できる情報に関する不確実性
=事象の発生確率は政策により変化せず
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不確実性を伴うプロジェクトと期待純便益
pi=状態iの発生確率( i  1, 2)
p1  p2=1
I i0=政策(変化)前の状 態iの下での所得( income)
I i1=政策(変化)後の状 態iの下での所得
Si  I i1  I i0=政策による状態 iの下での所得の増分

E(S )=
2
i 1
pi Si:政策の期待便益( expectedsurplus)
S  {( p1 , S1 ), ( p2 , S2 )}
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ダム事業のケース:
<所得Iitの表( i  1, 2 ; t  0,1)>
政策 t
ダムあり(1)
ダムなし(0)
湿潤(1)
110
100
乾燥(2)
100
50
状態
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p1  p2=0.5
i
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橋事業のケース:
<所得I itの表( i  1, 2 ; t  0,1)>
政策 t
p1  p2=0.5
橋あり(1)
橋なし(0)
地震なし(1)
200
100
地震あり(2)
100
80
状態
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i
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(問題 8-1)「ダム事業のケース」で政策の期待便益 E (S ) を求めなさい。
p1=p2  0.5
S1  I11  I10  110  100  10
S2  I 21  I 20  100  50  50
E ( S )=i 1 pi Si  0.5 10  0.5  50  30
2
(問題 8-2)
「橋事業のケース」で、政策の期待便益 E (S ) を求めなさい。
p1=p2  0.5
S1  I11  I10  200  100  100
S2  I 21  I 20  100  80  20
E ( S )=i 1 pi Si  0.5 100  0.5  20  60
2
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支払意思額曲線(willingness-to-pay locus)
 i=政策(変化)後の状 態iの下での支払い( payment)
ci  I i1   i=政策(変化)後の状 態iの下での純所得( net income)
u  U (c):期待効用関数
EU 0  i 1 piU ( I i0 ):政策前の期待効用
2
WTPL ( 1 ,  2 )  i 1 piU ( I i1   i )  EU 0
2
WTPL(1 ,  2 )  0:支払意思額曲線
なお、 WTPL(S1 , S 2 )  0だから (S1 , S 2 )は支払意思額曲線上に存在する。
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支払意思額曲線と政策による所得の増分
2
WTPL(1 ,  2 )  0
S2
S1
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1
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期待純便益E(S)の図解
2
WTPL(1 ,  2 )  0
 2  1
S2
p11  p2 2  E(S )
p1
p2
S1
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E (S )
1
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オプション価格とオプション価値
オプション価格 OP( option price)
=政策実施前に政策実施に対して支払っても 良いと思う最大金額
 WTPL(OP, OP)  0
OV  OP  E(S ):オプション価値(
option value)
(注)OVはマイナスになる可能性がある。
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OPとOVの図解
2
WTPL(1 ,  2 )  0
 2  1
S2
OV
S1
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E (S ) OP
p2
p1
1
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状態依存支払金額の最大期待値
とオプション・プレミアム
(1 ,  2 )  状態iのとき  iだけ支払うという契約
FB* (政策導入前に締結可 能な)支払契約のなか での期待支払額の最大値
 最適支払契約における 支払額の期待値
FB*  max p1 1  p2 2
1 ,  2
Fair Bet
s.t. WTPL( 1 ,  2 )  0
OPM  FB*  E(S ):オプション・プレミ
アム( optionpremium)
なお、常に OPM  0が成立する。
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FB*とOPMの図解
2
WTPL(1 ,  2 )  0
 2  1
S2
 2*
Fair Bet Line
OV
S1
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E (S ) OP
OPM
FB *
p2
p1
1*
p2
p1
1
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便益の最も望ましい指標は?
1.
保険市場が整備されていない。
⇒ 便益=OP(option price)
2.
保険市場が整備されている。
⇒ 便益=max(OP, E(S))
3.
保険市場と状態依存型契約が整備されている。
⇒ 便益=FB*
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「ダム事業のケース」で政
(問題 8-3)期待効用関数が u  ln(c) であるととき、
策前の期待効用 EU 、支払意思額曲線 WTPL(1 ,  2 )  0 、オプション
0
価格 OP 、オプション価値 OV 、最適支払契約における支払額の期待値
FB * 、オプション・プレミアム OPM を求めなさい。
EU 0 
1
ln 5000
2
WTPL(1 ,  2 )  0  (110 1 )(100  2 )  5000
OP  105 5025  34.11
E ( S )  30
←(問題8-1)
OV  34.11  30  4.11
FB * 


1 *
1
1   2*  39.29  29.29   34.29
2
2
OPM  34.29  30  4.29
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(問題 8-4)期待効用関数が u  ln(c) であるととき、
「橋事業のケース」で政策
前の期待効用 EU 0 、支払意思額曲線 WTPL(1 ,  2 )  0 、オプション価
格 OP 、オプション価値 OV 、最適支払契約における支払額の期待値
FB * 、オプション・プレミアム OPM を求めなさい。
EU 0 
1
ln 8000
2
WTPL(1 ,  2 )  0  (200 1 )(100  2 )  8000
OP  150 10500 47.53
E ( S )  60
←(問題8-2)
OV  47.53  60  12.47
FB * 


1 *
1
1   2*  110 .56  10.56   60.56
2
2
OPM  60.56  60  0.56
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(問題 8-2)期待効用関数が u  ln(c) であるととき、「橋事業のケース」で政策前の期待効
用 EU 、支払意思額曲線 WTPL(1 ,  2 )  0 、政策の期待便益 E (S ) 、オプション
0
*
価格 OP 、オプション価値 OV 、最適支払契約における支払額の期待値 FB 、オ
プション・プレミアム OPM を求めなさい。
EU 0 
1
ln 8000
2
WTPL(1 ,  2 )  0  (200 1 )(100  2 )  8000
E ( S )  60
OP  150 10500 47.53
OV  12.47
FB * 


1 *
1
1   2*  110 .56  10.56   60.56
2
2
OPM  60.56  60  0.56
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