OPMアルゴリズムによる 天体座標リストの同定とその応用 松永典之 (東大・木曽観測所) http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/~nmatsuna/software/ 概要 • OPMとは何か • OPMソフトの紹介 • 応用例の紹介 – 視野調節(高精度ポインティング) 目的 カタログ1 天体の天球座標と 様々な情報 検出天体リスト1 座標系の変換 天体の同定 (例)FITS画像にWCSを入れる カタログ2 天体の天球座標と 様々な情報 検出天体リスト2 座標変換 • 一次変換を考える。 ξ = ax + by + c η = a′x + b′y + c′ (ξ, η) 座標1, (x, y) 座標2 • 赤道座標同士でも、画像上の座標同士でも、 その組み合わせの比較でもよい。 • 目視すること無しに、なるべく高速に安定して 変換式の決定と天体の同定を行いたい。 OPMアルゴリズム • Optimistic Pattern Matching • Tabur, V., 2007, PASA, 24, 189 • “Fast Algorithms for Matching CCD Images to a Stellar Catalogue” • 今まで使われていたアルゴリズムよりも 高速に座標変換式を求める。 – 画素サイズなどは既知である。 – 明るい星同士を比べれば共通する天体が含 まれている。 という「楽観的」な観測のもとで高速。 座標変換式を求める方法 • 相似の三角形をなす3つの星のペアを探す。 – xt=内積 (θではなく、内積を使うのが特徴) – yt=最長辺と最短辺の比 • 三角形のペアが同定できれば、一次変換の 式が求められる。 三角形のペアを探す • • • • 2つのリストから明るい星を約50個ずつ選ぶ。 組み合わせて出来る三角形の(xt, yt)を計算。 ytが大きい方からペアを探していく。 選んだペアから求めた変換式で同定が成功すれば それを採用する。 • 同定を高速に行うためツリー構造(4分木)を利用。 OPMソフト by Matsunaga • C言語で作成。 – 空白行も含めて、5000行程度。 – どのような環境でも動く(はず)。 – PGPLOTをCのプログラムから呼んで描画も可能。 • opm: 2つの入力ファイルから座標の変換式を 求めて、共通する天体の同定を行う。 • opm_match: 座標の変換はせず、同定だけ行う。 • Tabur自身によるソフトも公開されている。 – http://members.tip.net.au/~vello/opm/opm.htm OPMの入力・出力 in1.xym 40.827 699.998 735.464 361.522 789.890 618.256 -13.187 -12.525 -12.386 in2.xym 57.362 503.546 331.661 -10.204 100.861 386.354 6.193 6.516 7.291 画素サイズなど 同定に必要な情報 out # # xref = yref = 1 40.83 78 426.50 2 700.00 -4.55570e-01 xobj + 4.87554e-03 xobj + 361.52 233.07 -60.67 988.21 60.11 224.74 789.89 -65.36 136.35 4.37565e-03 yobj + 2.50086e+02 4.52429e-01 yobj + -2.24435e+02 -13.187 2 233.06 -60.77 6.516 0 -10.945 3 60.97 224.59 7.291 0 -12.525 6 -65.42 136.19 7.462 0 座標変換式と同定した天体のリスト 同定した天体の座標残差 1 pix (x,y)の残差 x残差のヒストグラム y残差のヒストグラム OPMソフトの現在 • http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/ ~nmatsuna/software/OPM.html で公開中。 • 同URLで公開中の他の解析ソフトでも利用。 – ポスターPS26 参照 • IRSF/SIRIUSの解析パイプライン(中島康氏)に 組み込まれている。 • IRSFの視野調節(高精度ポインティング)の シ ステムを作成中。 IRAF/xyxymatchとの比較 input1 (14262天体) FITSで検出した天体のリスト OPM xyxymatch input2 (2432天体) 2MASS記載の天体リスト 約0.4秒で2169天体を同定。 同定に失敗する。両方のカタログから明るい 50天体だけ選ぶと成功するが、約5秒要す。 • xyxymatchはよほど気をつけて使わないと失敗する。 • 成功したとしても、OPMの方がずっと速い。 wcstoolsとの比較 • あらかじめ、2MASSのカタログと画像の検出 天体リストを準備してimwcsを実行して比較。 • 同定するときの速度はそれほど変わらない。 • wcstoolsは同定を行う星の数が200天体以下。 – 精度があまり出ない場合があるようだ。 – そもそもリストの同定をするためには不十分。 OPMが成功しにくい場合 • 明るい天体30~100天体ずつのうちに共通する 星が3天体以上無いといけない。 – 比較する天体リストの波長が異なっている場合。 – 画像で明るい星の多くが飽和している場合。(飽和す る等級がわかっていれば問題ない) • そもそも2つの天体があまり一致していない場合 – 正しい変換式の時には(3~)5割程度の天体が同定で きるのでなければ、成功しても判断がつかない。 応用例:IRSFのための視野調節 • 指向精度は3秒程度 – 架台の経年変化でもう少し 悪くなることもある。 • 1ピクセル(0.45秒)以下の 高精度で視野を調節 – モニタリングで毎回正確に 同じ視野にする。(フラット の誤差を無視できる) – 分光器の設置が計画され ている(PI: 永山貴宏氏) 南アフリカ天文台 IRSF望遠鏡 ソフトの設計 目標座標を入力 (方位角も設定可能) 目標座標へ オフセット 目標座標へ指向 目標座標の周囲の 2MASS天体を抽出 テスト画像を取得 点源を検出 OPMを利用したソフトでテスト画像の 座標系と目標座標を比較 2MASS→視野の天体リスト • 2MASSカタログの必要な部分を抽出 – 約3億4千万天体、16GB – 星の混んだ領域では暗い星を含めない。 • どの領域でも1秒以下でリストを抽出する。 • 抽出した視野を記憶してストックしたリストを利用。 検証実験 • 今週、永山さん(名大)が実験 – だいたいうまく動いている。 – 銀河中心でも、1~2秒でテスト画像をとって WCS & 必要なオフセットを求められる。 – 望遠鏡の指向精度でリミット? • 来週、松永が現地で実験 Please visit my web page!! http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/ ~nmatsuna/software/
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