スライド 1

これからの大学図書館と大学教育
IAAL理事・東北大学附属図書館総務課長
米澤 誠
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本レクチャーの目次
1.中教審答申の読み解き
2.アクティブ・ラーニングの意味
3.主体的な学びと図書館
4.ライティング教育の重要性
5.アフォーダンスとしての図書館
6.これからの大学教育
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1.中教審答申の読み解き
(学士課程教育の質的転換)
生涯にわたって学び続ける力、主体的に考える力を持った
人材は、学生からみて受動的な教育の場では育成することが
できない。従来のような知識の伝達・注入を中心とした授業
から、教員と学生が意思疎通を図りつつ、一緒になって切磋
琢磨し、相互に刺激を与えながら知的に成長する場を創り、
学生が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修
(アクティブ・ラーニング)への転換が必要である。(p.9)
『新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて ~生
涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~(答申)』、
中央教育審議会、平成24年8月28日
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1.中教審答申の読み解き
(学士課程教育の質的転換)続
すなわち個々の学生の認知的、論理的、社会的能力を引き
出し、それを鍛えるディスカッションやディベートといった
双方向の講義、演習、実験、実習や実技等を中心とした授業
への転換によって、学生の主体的な学修を促す質の高い学士
課程教育を進めることが求められる。学生は主体的な学修の
体験を重ねてこそ、生涯学び続ける力を修得できるのである。
(p.9)
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1.中教審答申の読み解き
(学士課程教育の課題)
学生の学修時間の増加・確保に着目したのは、我が国の大
学生の学修時間が諸外国の学生と比べて著しく短いという現
実を改めて認識したからに他ならない。(p.11)
(学修時間に着目する理由)
学生が(中略)主体的に考える力を修得するには、事前の
準備、授業の受講、事後の展開といった能動的な学修過程に
要する十分な学修時間が不可欠である。(p.13)
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1.中教審答申の読み解き
ここには、教育の実績を欠いた大学教育の実態が恥じらい
もなくさらされている。日本の大学生の学修時間がいかに短
いか、日本の大学教育が授業外での学習をどれほど求めてい
ないか、等々。(中略)だが、いかにそれを実現するかの具
体策の提示となると残念ながら手薄で、しかも有効な手立て
とは思えない。それだけに、「主体的に考える力」の育成と
いう目標も、具体的な実現手段を欠いた理想の提示に見えて
しまう。
刈谷剛彦『イギリスの大学・ニッポンの大学』,中公新書ラクレ,
2012
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1.中教審答申の読み解き
私から見れば、就職活動のために3年間に満たない時間の
もとで、週に10種類以上の授業を細切れで履修させる構造自
体が、こうした目標を実現するための大きな足かせになって
いる。その背後にあるのは、企業の採用活動であったり、非
常勤講師に依存して細切れの授業を提供せざるを得ない私立
大学の財政基盤の弱さであったりする。(中略)研究中心の
そうした大学では、研究業績を志向する個別の教員の裁量に
教育が任されていて、カリキュラムの体系化もままならない。
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1.中教審答申の読み解き
カリキュラムの体系化ができにくく、広く浅い学習になっ
ている。大学側は、週1回(90分)の開講を原則に、多くの種
類の授業を提供する。学生たちは実質3年間で単位を取ろう
とするから、勢い1週あたりの登録授業の種類も数も増える。
そのために、ほとんどの授業が予習を課さない、講義形式の
話を聴いて試験を受ければよい教育に終始する。(中略)そ
の結果、日本の大学生は、大学外ではほとんど学習を要しな
い学生生活を送ることになる。
刈谷剛彦『イギリスの大学・ニッポンの大学』,中公新書ラクレ,
2012
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2.アクティブ・ラーニングの意味
(アクティブ・ラーニングとは)
学生の自らの思考を促す能動的な学習
人はインターネットや各種メディアを媒介として、学校以
外の場でも知識を獲得することが容易になり、学校教育だけ
が子ども・若者の人生形成に必要な知識伝達をおこなう場で
はなくなった。(中略)
このポストモダン教育における重要な取組みがアクティ
ブ・ラーニングである。
溝上慎一「アクティブ・ラーニング導入の実践的課題」、『名古屋
高等教育研究』,第7号(2005)
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2.アクティブ・ラーニングの意味
【アクティブ・ラーニングの事例】
①かつて「洛中洛外図」と呼ばれていた京都の大きな市内地
図を用意
②京都駅で無料でもらえる英語版の地図「KYOTO WALK」をコ
ピーして配る
③1メートル以上ある、大きな洛中洛外図と同じぐらいのサ
イズの紙を用意
④手元の現代版地図を観ながら、大きな洛中洛外図の現代
版・オリジナル観光地図を作成する
北川智子『ハーバード白熱日本史教室』,新潮新書,2012
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2.アクティブ・ラーニングの意味
私たちが当たり前だと思っている一人で教科書を記憶する
という学び方は、人間の長い歴史の中では、近代社会の成立
と同時に発生したものであり、もともと学習は社会で行われ
るコミュニケーションの中に埋め込まれていたのです。
美馬のゆり・山内祐平『「未来の学び」をデザインする』,東京大
学出版会,2005
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2.アクティブ・ラーニングの意味
固定的な教育システム
集
団
教
育
シ
ス
テ
ム
弾力的な教育システム
固定的なクラス
固定学級
大中小学級
弾力的な集団
一人の先生
担任制
チーム制
複数の先生
知識を覚える
一斉授業
総合学習
学び方の学習
受身の授業
教え込み
学習支援
主体的学習
同一内容
教科書
多様な教材
課題学習
一斉進度
固定時間割
弾力的構成
個別進度
単一のメディア
黒板
ICT機器
多様なメディア
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2.アクティブ・ラーニングの意味
固定的な教育システム
教
育
環
境
地
域
弾力的な教育システム
固定的な教室
固定教室
大中小教室
多様な教室
閉じた教室の
集合
教室が
学習の場
学校全体が
学習の場
開かれた連続的
な学習空間
単調な教室
個人机・いす
多様な家具
豊かな学習環境
地域に閉じた学校
教師が教える
学校
地域人材の
教育参加
地域に開かれた
学校
学校のみが
教育の場
地域全体が
学習の場
地域と連携する
学校
「日本建築学会編,建築設計資料集成.総合編(平成13)」を参考に作成
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2.アクティブ・ラーニングの意味
(適切に計画された協同学習法の)最終目的は学習者一人ひ
とりが学習課題の理解を深めることです。結果として記憶が
促進されます。加えて、以下に示す対人間関係能力やコミュ
ニケーション能力、論理的思考能力や建設的評価能力など、
現在社会が求めている幅広い能力の向上も期待できます。
安永悟『実践・LTD話し合い学習法』、ナカニシヤ出版、2006年
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2.アクティブ・ラーニングの意味
(1)学士力の中の汎用的技能
各専攻分野を通じて培う学士力
1.知識・理解
2.汎用的技能
(1)コミュニケーション・スキル
(2)数量的スキル
(3)情報リテラシー
本来はこれら全体が
情報リテラシー
(4)論理的思考力
(5)問題解決力
中央教育審議会大学分科会資料『学士課程教育の構築に向けた答申』(2008)から
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2.アクティブ・ラーニングの意味
(2)企業の期待と大学の取組(文系)
汎用的技能
・2003年、日本経団連調査より抜粋作成
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2.アクティブ・ラーニングの意味
(3)企業の期待と大学の取組(理系)
汎用的技能
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2.アクティブ・ラーニングの意味
(4)企業採用基準での重視ポイント
採用全体
順位
重視するポイント
1
2
3
4
5
6
人柄(人となり)
コミュニケーション力
ポテンシャル(入社後の可能性)
思考力
熱意(志望度、入社意思・意欲)
専門知識
大手企業の理工系採用
順位 重視するポイント
1
コミュニケーション力
2
人柄
汎用的技能
3
ポテンシャル
4
思考力
5
専門知識
6
熱意
・(株)学情の調査(2012年1~2月)による
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2.アクティブ・ラーニングの意味
(5)より広範な学習の視点
研究職
専門職
専門的知識
授業科目
課外活動
(サークル、バイト)
アクティブ・
ラーニング
試験勉強
汎用的技能
一般教養
一般職
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2.アクティブ・ラーニングの意味
国公立および私立大学ともに「学生が自分の考えや研究を発
表する機会がある」授業を受ける機会があった場合に、「分
析や問題解決能力」が増加したと回答している学生の割合が
70%(国公立79.2%、私立70.1%)を超える。[機会がない場
合は、国公立65.4%、私立54.0%。「批判的思考力」、「コ
ミュニケーション力」、「プレゼン力」、「専門分野や学科
の知識の獲得」も同様の傾向]
山田礼子、継続調査からみえてくる学生の現状、『現代の高等教
育』、2012年8-9号)
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3.主体的な学びと図書館
(学修支援整備環境の整備についての課題)
主体的な学修の確立の観点から、学生の学修を支える環境
を更に整備する必要があることである。学長・学部長アン
ケートでは、「きめ細かな指導をサポートするスタッフが不
足」しているという課題意識が強い。その他、専任教員数の
充実、主体的な学修を支える図書館の充実や開館時間の延長、
学生による協働学修の場や学生寮等キャンパス環境の整備、
奨学金の充実など、様々な意見や要望が寄せられた。(p.18)
『新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて(答申)』、
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3.主体的な学びと図書館
日本の教育が大学レベルに至ってもなお、少なくとも文科
系に関する限り、知識の伝達ということに重点が置かれてい
ることを示している。知識の教授を強調する教育のパターン
は、知識の受容という受け身の学習と対応している。受動的
な学習パターンは、学ぶかたちの定型化を必要としない。
その結果、論理的な文章を書けない、人の前で自分の意見
をきちんと話せない、人の話をまともに聞けない、自分で何
かを調べる方法を知らない、そういった学生が、大量に大学
から日本社会へと出ていくことになる。
刈谷剛彦『アメリカの大学・ニッポンの大学』,中公新書ラクレ,2012
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3.主体的な学びと図書館
(ゼミ)発表の担当者でなければ、文献を全部読んでくる
こともあまり必要とはされない。試験ではなくレポートが課
題となった場合でも、きちんとした注、引用、そして参考文
献リストのつけ方、図書館での文献リサーチまでを要求する
ことはあまり多くはない。理科系の場合には多少事情が異な
るだろうが、人文・社会科学系では、学ぶ側の基本的なスキ
ルを細かく特定しているとは言い難い。要するに、学ぶかた
ちがはっきりとしていないということだ。
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4.ライティング教育の重要性
「情報リテラシーとは,情報の必要性を判断し,
アクセスし,評価し,効率的に利用することがで
きる能力のことである」
北米大学図書館協会(ACRL)の定義
「教育内容としては,学内LANを利用するために
必要な操作方法・技術・ルールや,情報セキュリ
ティ,倫理・マナーなどが行われています」
文部科学省『学術情報基盤実態調査』
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4.ライティング教育の重要性
2.汎用的技能
(3)情報リテラシー
情報通信技術(ICT)を用いて,多様な情報を
収集・分析して適正に判断し,モラルに則って効
果的に利用することができる。
これはコンピュータ
リテラシーにすぎない
中央教育審議会大学分科会資料『学士課程教育の構築に向けた答申』(2008)から
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4.ライティング教育の重要性
時代の変化とともに,われわれ自身が変化しなければなら
ない。読み書きと掛け算に毛の生えた程度の最低限のコン
ピュータ・リテラシーから,情報を使ってものごとをなしと
げるという情報リテラシーの域に達しなければならない。そ
れは面白く価値のある挑戦である。
われわれはそのような時代の流れのなかにいる。その流れ
は速い。
(1998年)
P.F.ドラッカー『ネクスト・ソサイエティ』,ダイヤモンド社,2002
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4.ライティング教育の重要性
各専攻分野を通じて培う学士力
1.知識・理解
2.汎用的技能
(1)コミュニケーション・スキル
(2)数量的スキル
(3)情報リテラシー
本来はこれら全体が
情報リテラシー
(4)論理的思考力
(5)問題解決力
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4.ライティング教育の重要性
情報リテラシーのプロセス
必要性の判断
アクセス
評価
効果的な利用
情報の評価
レポート作成
従来の図書館利用者教育で取扱う範囲
情報源の選択
情報探索
教授課程 学生が目標とする到達点を先
に教授し,次に
逆問題とは,結果から逆に要因を
その目標の実現方法を示す
導き,解決策を示す手法。
(←→ 順問題)
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4.ライティング教育の重要性
「大学における書く力」とは、単に定型的な文書・論文の作
成技術ではない。そうした形式技術訓練を超えて、学習経験
を内的に自己と結びつけ、「自分にとって意味ある知識とし
て再構造化する能力」なのだ。したがってそれは「考える
力」と不即不離であり、両者相応じての訓練は、導入教育と
してのみならず、大学全期間、さらに一生を通じての宝とな
るだろう。
井下千以子『大学における書く力考える力』、東信堂、2008年
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4.ライティング教育の重要性
「情報リテラシー」におけるライティング指導方法
①文献の事実に基づいた,客観的な記述
方法と体裁・文章の基本を徹底指導
(=知識伝達型ライティング指導)
②文献の事実と意見を援用した上での,
自分の意見の論述の基本を徹底指導
(=知識形成型ライティング指導)
八洲学園大学eラーニング授業の事例
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4.ライティング教育の重要性
専門的ライティング
専門教育
専門的情報探索法
知識形成型ライティング教育
2次情報データベース利用法
知識伝達型ライティング教育
基礎的ライティング
情報源
基礎教育
基礎的情報探索法
知識形成型ライティング教育
オンライン目録等利用法
知識伝達型ライティング教育
図書館利用法
情報源
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4.ライティング教育の重要性
知識伝達型(knowledge-telling)ライティング能力(1)
● 体裁:
・英数字などの文字種を統一して表記する
・数値の表記を統一する
・レポートの全体構成を整えて記述する
・インデントや行あけなど,読みやすいレイアウトを整える
・見出しを整えて記述する
・章・節を適切に構成する
・複数文章の文意のまとまりで段落を構成する
・本文中で引用・参照した文献を,注番号をつけて記述する
・整った形式で文献リストを記述する
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4.ライティング教育の重要性
知識伝達型(knowledge-telling)ライティング能力(2)
● 文章
・文体を統一する
・文章表現を意識して記述する
・短文を心がける
・読点に注意して記述する
・受動態や主語・述語の一致など,文法に注意して記述する
・推敲する
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4.ライティング教育の重要性
知識伝達型(knowledge-telling)ライティング能力
短文の心がけ
文体の統一
文章・体裁面の有益度
レポートの体裁
1段落1主張
トピックセンテンス
主語・述語の対応
推敲の習慣
%
1文章1情報
0
25
50
75
2008年、山形大学での実施結果
100
34
4.ライティング教育の重要性
知識形成型(knowledge-transforming)ライティング能力
●内容
・経験や感想だけではなく,文献や資料のデータ・情報を活用し
て論述する
・統計的数値の比較により論述する
・取材したデータにより論述する
・事実(もしくは他人の意見)と自分の意見を切り分けて表現する
・文献にある考え方やよい実施事例を援用して論述する
・図書館の実情に則した具体的な施策の提案をする
・信頼できるウェブ情報だけを活用する
・「雑誌記事索引」などで雑誌文献を探索する
・雑誌論文のコピーを入手する
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4.ライティング教育の重要性
知識形成型(knowledge-transforming)ライティング能力
テーマを探す手法
序論の書き方
関連文献収集法
基本情報を知る方法
内容面の有益度
本論のアウトライン
自他の意見の区別
キーコンセプトによる構成
レポートの基本構成
0
%
25
50
75
100
36
4.ライティング教育の重要性
ライティング教育がようやく中心テーマとなった
ということは
今までライティング教育を重視していなかった
おそらくは
ライティングにおける情報源の重要性を認識していない
そして
情報源としての図書館の重要性を理解していない
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4.ライティング教育の重要性
文献に書かれた
他人の意見や事実
[ルール]
自分の意見のように書かない
具体的には
・客観的文章で書く
・引用として記述する
・出所(出典)を明示する
自分の問題意識
自分の見解
[ルール]
自分の意見として書く
具体的には
・主観的文章で書く
・他人の意見をまぜて書かない
他人の著作権を侵害
しないためのルール
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4.ライティング教育の重要性
「入れ子形式」の論述では
文献に書かれた事実
それに対する自分の
問題意識・見解
いかに「数多く」
これらの材料(素材)を
集めるかがポイント
そのためには
文献に書かれた意見
それに対する自分の
問題意識・見解
文献利用と文献検索
が不可欠
ライティングと図書館利用は
表裏一体
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5.アフォーダンスとしての図書館
アフォーダンスとは、「環境が動物に提供する
(afford)もの。たとえば水を知覚するとき、水は飲
むことや汚れを洗い落とすことをアフォードしてお
り、水が提供するその『意味』や『価値』がアフォー
ダンス(affordance)である」1)
1) 渡部信一編,『「学び」の認知事典』,大修館書店,2010
40
5.アフォーダンスとしての図書館
別の言い方をすると、「環境に内在する行為可
能性を意味」し、「個体にとっての環境とは、ア
フォーダンスが時空間的に配置されたものとなる。
個体はその時々のニーズに応じたアフォーダンス
を知覚し、それに応じて行為する」2)のである。
2) 渡部信一編,『「学び」の認知事典』,大修館書店,2010
41
5.アフォーダンスとしての図書館
その翌日から三四郎は四十時間の講義を殆ど半分に減してし
まった。そうして図書館に這入った。広く、長く、天井が高く、左
右に窓の沢山ある建物であった。書庫は入口しか見えない。此
方の正面から覗くと奥には、書物がいくらでも備え付けてある様
に思われる。立って見ていると、書庫の中から、厚い本を二三冊
抱えて、出口へ来て左へ折れて行くものがある。職員閲覧室へ
行く人である。中には必要の本を書棚から取り卸して、胸一杯に
ひろげて、立ちながら調べている人もある。三四郎は羨ましく
なった。奥まで入って二階へ上って、それから三階へ上がって、
本郷より高い所で、生きたものを近付けずに、紙の臭いを嗅ぎ
ながら、-- 読んで見たい。
夏目漱石,『三四郎』
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5.アフォーダンスとしての図書館
アフォーダンス理論によると、「『他人』も、豊富な
社会的アフォーダンスを持っており、相互依存性
の概念によって理解できる」3)ものなのである。
3) T.J.ロンバート,『ギブソンの生態的心理学』,勁草書房,2000
43
5.アフォーダンスとしての図書館
しかしこれからは,基礎教育に加え,方法に係わる知識,
いままでは学校で教えようとさえしなかったものが必要にな
る。特に知識社会においては,継続学習の方法を身につけて
おかなければならない。内容そのものよりも継続学習の能力
や意欲のほうが大切である。ポスト資本主義社会では,継続
学習が欠かせない。学習の習慣が不可欠である。
(1993年)
P.F.ドラッカー『ポスト資本主義社会』,ダイヤモンド社,2007
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6.これからの大学教育
教員/職員の二分法はそろそろやめるべき
そして
授業以外の場面を含めて、学生を育成すべき
すなわち
職員は新たなティーチングスタッフとして機能する
こうして
新たなる大学組織の改革を行うべき
大学教育学会第31回大会(2009)ラウンドテーブルでの井下理氏の発言から
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6.これからの大学教育
学びのかたち
学びのかたち
学びのかたち
アクティブ・ラーニングを理解する
そして
ライティング教育に関与し、貢献する
また
学習での図書館資源の活用を促進する
よって
もっと積極的に教員に働きかけ、教職協働を進める
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6.これからの大学教育
正課内
従来の大学教育
専門教育
教養教育
サービス
ラーニング
語学教育
アクティブ・
ラーニング
社会的
ライティング教育
試験勉強
情報探索法
主体的な学習
就活支援
課外活動
学術的
新たな課題
さらなる支援の必要性
正課外
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6.これからの大学教育
同調的
②限定同調型
学生の自己・社会認識の確立度
は高いが、そこから生じる「かまえ」
と大学教育の意図が必ずしも一致
していない。
アクティブ・
ラーニング
学ぶ楽しみ
学問に対する
受容的
興味
非受容的
④疎外型
自己・社会認識が未確立で、しか
も大学教育の意図との適合度も低
い。したがって授業に興味がもてな
い。
①高同調型
このタイプの学生は自分につい
て自信をもち、しかも将来への展
望が明確。そして大学教育の側
の意図と学生の将来展望が一致。
アクティブ・
ラーニング
学ぶ楽しみ
③受容型
自己認識や将来への展望は必
ずしも明らかではない。とりあえず
大学教育に期待し、その要求に
進んで従おうとする。
非同調的
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6.これからの大学教育
現代の大学教育が変革を迫られているのは、一方で知識社
会化・グローバル化の中で、大学教育の中核にあった高同調
型の学生に対してさらに高質の教育を与えることが必要であ
るとともに、これまで教育システムのいわば「遊び」の部分
として容認されてきた限定同調型の学生を、明確に大学教育
の射程に入れることが要求されるようになっているからであ
る。
金子元久『大学の教育力』,ちくま新書,2007
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6.これからの大学教育
しかも、自己・社会認識度が低い学生が増加しており、大
学教育の射程自体を変化させなければ、受容型あるいは疎外
型の学生は増加せざるを得ない。
こうした状況の中で大学教育は、一方で、その射程をシフ
トさせて、これまで射程に入っていなかった学生をその射程
に入れること、そしてその射程に入った学生に、より強いイ
ンパクトを与えること、この二重の課題が求められているの
である。
金子元久『大学の教育力』,ちくま新書,2007
50
7.参考文献
以下,米澤誠の著作
(1)学習意欲を高める図書館サービス(特集:大学図書館と教育),
大学時報,315,2007,p.38-41
(2)学習・教育基盤としての図書館,カレントアウェアネス,296,
2008,p.23-28
(3)レポート作成におけるコピペ防止策:コピペを超えるライティン
グ授業デザイン,情報管理、52(5),2009,p.276-285
(4)米澤誠,学生の居場所であり、学習指導も担うラーニング・コモ
ンズとしての図書館へ進化,河合塾Gudeline,2009.11
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