お客さま情報の記憶方法 教育用テキスト 2010年1月21日 近畿経済産業局 委託先:株式会社 エルネット 大阪市西区靭本町1-10-24 日鉄本町ビル10F TEL:06-6479-3130 0 背景 お客さまに「最高の瞬間」をお届けするために… 人に好かれる六原則 • • • • • • 誠実な関心を寄せる。 笑顔で接する。 名前は、当人にとって、最も快い、最も大切な響きを持 つことばであることを忘れない。 聞き手にまわる。 相手の関心を見抜いて話題にする。 重要感を与える―誠意をこめて。 「人を動かす」: How to Win Friends and Influence People デール・カーネギー、1937年発表 1 今日の目的 たくさんのお客さまの、色々な事柄を 記憶できる「自分」になる ・お客さまをお名前でお呼びできる ・そのお客さまに合ったサービスができる お客さまに喜んでいただき、「最高の瞬間」をお届けできる 2 自己紹介 1: お名前、ご所属 2: 仕事で「やりがい」を感じるのはどんな時ですか? 3: この研修で何を学びたいですか? 3 調査概要 目的: 高次元のサービスを提供する優秀者の 「お客さま情報を記憶するノウハウ」を見える化 課題: 記憶方法の要素・ポイントの抽出 方法: 優秀者数名を観察・ヒアリング調査 日程: 2009年10月15日~22日 優秀者の記憶方法は 1)効率的 2)根拠があった →認知心理学の知見に基づいていた 4 お客さま情報の記憶ノウハウ 5 記憶のしくみ 吸収する ・顔・行動の覚え方 ・名前・会社の覚え方 ・情報のまとめ方 保存する ・記憶にとどめる 方法 思い出す ・思い出す方法 6 もくじ 吸収する 1 顔・行動の覚え方 ①最初の3秒に心の中で写真をとる ②最も特徴的な部分 ③よく似たタレント、動物、物 ④自分の感情と一緒に 2 顔・行動+名前・会社の覚え方 ①実際のストーリーで ②想像で作ったストーリーで ③意味のない情報は語呂合わせで ④情報は「会社情報」で整理 保存する 思い出す ①繰り返す(新情報を加えて) 見る、口に出す、聞く、書く ②間隔を空ける ③「寝る前」「会社から帰る前」に ④お会いした後、30~60分以内に再度 手がかりは「会社」「ノート」「ストーリー」で 7 記憶する項目 会社 役職 名前 その他情報 ホテル内利用施設、会員 訪問理由 顔・行動 部屋番号 年齢 8 記憶のしくみ 吸収する 保存する 思い出す ・顔・行動の覚え方 ・名前・会社の覚え方 ・情報のまとめ方 9 もくじ 吸収する 1 顔・行動の覚え方 ①最初の3秒に心の中で写真 ②最も特徴的な部分 ③よく似たタレント、動物、物 ④自分の感情と一緒に 2 顔・行動+名前・会社の覚え方 ①実際のストーリーで ②想像で作ったストーリーで ③意味のない情報は語呂合わせで ④情報は「会社情報」で整理 保存する 思い出す ①繰り返す(新情報を加えて) 見る、口に出す、聞く、書く ②間隔を空ける ③「寝る前」「会社から帰る前」に ④お会いした後、30~60分以内に再度 手がかりは「会社」「ノート」「ストーリー」で 10 吸収する─ 顔・行動の覚え方 ①第一印象 最初の3秒に心の中で写真をとる ・ 容姿 ・ 体格(背の高さ、痩せ型、など) ・ 顔の特徴(目、鼻、耳、ヒゲなど) ・ メガネ ⇒特徴を映像として覚える (出典) 初頭効果 一提示順序が最初の情報が、より長期記憶内に 定着するため再生率が高くなる 遅延時間が自由再生の系 列位置曲線の 終わりの部分に及ぼす影響 (Glanzer&Cunitz1966;ラック マンら1988一部改正) 11 吸収する─ 顔・行動の覚え方 ②特徴 最も特徴的な部分を探す ●容姿 ・体格(背の高さ、痩せ型、など) ・顔の特徴(髪型、目、鼻、耳、ヒゲなど) ・服装 ・持ち物(宝石、同じブランド) ●行動 ・時間を気にする ・持ち物を大事そうにする、など →インパクトがあるのはどこ? 細い目 / 丸い鼻 大きな口 /シャープな輪郭 大きなタレ目 小さな鼻 / 小さな口 V1 V2 V3 細い目 / 薄い唇 シャープな輪郭 V4 特徴化 最も特徴的な部分を探しながら見ることによって、顔の記憶が促進される 12 吸収する─ 顔・行動の覚え方 ③イメージ よく似たタレント、動物、物を探す 『タレントさんの○○さんに似ている』 『笑った顔が動物の○○っぽい』 『○○の花のような雰囲気』 パピヨン たんぽぽ 芸能人の○○ 桃 芸能人の△△ V1 ひまわり イメージ化 抽象的な理論 ─ 図に描いたり具体的な例にする 13 吸収する─ 顔・行動の覚え方 ④感情 お客さまをお見かけしたときの 『自分の感情』と一緒に覚える ・叱られた クレーム・苦情 (例)「荷物を持たなかった」など ・怖そう ・冷たくされた あの人、あんまり挨拶を返してくれないな・・ ・喜んでもらった V1 V2 思い出せる割合 3週間後 3ヵ月後 言われる 70% 10% 言われる+見せられる 72% 32% 言われる+見せられる+体験する 85% 65% 感情化 驚いたり感動するなど感情が伴うと、記憶が長続きする 体験化 体験したことは思い出しやすい 14 もくじ 吸収する 1 顔・行動の覚え方 ①最初の3秒に心の中で写真 ②最も特徴的な部分 ③よく似たタレント、動物、物 ④自分の感情と一緒に 2 顔・行動+名前・会社の覚え方 ①実際のストーリーで ②想像で作ったストーリーで ③意味のない情報は語呂合わせで ④情報は「会社情報」で整理 保存する 思い出す ①繰り返す(新情報を加えて) 見る、口に出す、聞く、書く ②間隔を空ける ③「寝る前」「会社から帰る前」に ④お会いした後、30~60分以内に再度 手がかりは「会社」「ノート」「ストーリー」で 15 吸収する─ 顔・行動+名前・会社の覚え方 ①ストーリー(事実) 「顔・行動の特徴」と「会社・お名前」を 関連づけるストーリーで覚える ●「お客さまの行動」と「会社の業務内容」を結びつける ・「ノートパソコンを使っている」⇔「コンピュータ会社」 →会社の業務内容を調べる V1 V2 V4 V5 V3 ●「お客さまの容姿」と「名前」を結びつける ・「細くてかわいい感じ」⇔「細川」 ●お客さまと自分の会話を映像として記憶する ・なるべくお話をして、その出来事・状況を覚える ・「こんなことがあった」と同僚と話をする 精緻化 個々の情報よりもストーリー(物語)の方が記憶に残りやすい (ストーリーを作りながら、情報を付加すると、 バラバラな情報よりも記憶に残りやすい) ストーリーを作りながら記銘す る方略の効果 (Bower & Clark, 1969) 16 吸収する─ 顔・行動+名前・会社の覚え方 ②ストーリー(想像) 「顔・行動の特徴」と「その他の情報」を 想像で作ったストーリーで覚える ●「お客さまの行動」と「ホテル内の場所」を結びつける ・「ウチワをあおぐ」⇔「セラーバーで」 ・「大またで座る」⇔「ロイヤルヘルスクラブで」 覚えやすい: ▲▲なので■■ 覚えにくい: ▲▲なのに■■ V1 (V2) V3 V4 V5 17 吸収する─ 顔・行動+名前・会社の覚え方 ③語呂合わせ 意味のない情報(部屋番号など)は 語呂合わせや意味づけする ・車のナンバー (例) 594 コクヨ 8601 日本ハム ・部屋番号 ・年齢 くやしや V1 有意味化 無意味な情報には意味づけすると記憶しやすい V2 V3 いろつや √2=1.41421356 「ヒトヨヒトヨニヒトミゴロ」 18 吸収する─ 顔・行動+名前・会社の覚え方 ④整理 覚えたい情報は、「会社」で整理して組織化 ●最初のメモを右図の ように作成する 会社 ●お客さま情報ノートは、 「会社」でまとめる 名前 顔・行動 体制化 情報をまとめ、整理して覚える郡化・カテゴリーでまとめる 憶えたい内容を何らかの基準で整理し全体を組織化する 役職 その他 属性 19 記憶のしくみ 吸収する 保存する 思い出す ・記憶にとどめる 方法 どんな記憶も時間とともに忘れる →長期貯蔵庫に送る 20 もくじ 吸収する 1 顔・行動の覚え方 ①最初の3秒に心の中で写真 ②最も特徴的な部分 ③よく似たタレント、動物、物 ④自分の感情と一緒に 2 顔・行動+名前・会社の覚え方 ①実際のストーリーで ②想像で作ったストーリーで ③意味のない情報は語呂合わせで ④情報は「会社情報」で整理 保存する 思い出す ①繰り返す(新情報を加えて) 見る、口に出す、聞く、書く ②間隔を空ける ③「寝る前」「会社から帰る前」に ④お会いした後、30~60分以内に再度 手がかりは「会社」「ノート」「ストーリー」で 21 保存する ①何度も繰り返して覚える(新しい情報を加えながら) 1)何度も見る 「手元資料の情報を覚えるときは、時間を分けてそのつど全体をみる」 「基本の情報に新しい情報をどんどん追加していく」 2)何度も口に出す 3)何度も聞く 「資料を見ながら声に出す」「自分の声で言ったことを耳に入れていく」 4)何度も書く 「資料の内容を何度も紙に書くことがメイン」 リハーサル: 記憶を貯蔵するには「記憶するべき項目を何度も唱えること」が有効 繰り返した回数が多いほど記憶に残る 維持リハーサル: 単純に情報を繰り返す→ 短期貯蔵庫にそのまま維持 精緻化リハーサル: 新しい情報を付加しながら繰り返す→ 長期貯蔵庫に転送 22 保存する ②間隔を空けて見直す 一気に覚えようとせず、1日4、5回見直す 「データファイルの作成を前日の夜にし、作成し終わってから覚える。 翌朝、出社後にもう1回見直す」 「手元資料の情報を覚えるときは、時間を分けてそのつど全体をみる」 △ 夜 、 帰 る 前 朝 、 会 社 に 来 た ら 昼 食 後 に 夕 方 に 5 ( 回 38 ○ × 一 晩( に 68 一回 気) に 回 8 ) 日 リハーサル方法: 記憶は単純に連続して情報を繰り返すよりも、断続的に繰り返したほうが効果的である 与えられた情報を記憶するため: (1)連続して繰り返すことで記憶: 68回 (2)断続的に繰り返した場合、覚えるのに必要とされた回数の平均は38回 ブルーノ・ファスト博士 『繰り返しを通しての習得に関する大学の研究』 23 保存する ③「寝る前」「会社から帰る前」に見直す ●見直して覚える努力をした後は、難しいことを考えずに就寝 「データファイルの作成を前日の夜にし、終わったら覚える。 22時に記憶して帰宅して、晩酌をして1時ごろ就寝する。」 「営業時間が終わった後、全員で今日のお客さま について話をする」 記憶の忘却: 忘却は記銘後に行なわれたさまざまな精神活動の干 渉(思考・感覚刺激)によって発生する そのため、記憶する努力をした後に、考え事や様々な 刺激をうけずに就寝すると、記憶に残りやすい (寝ている間に情報が整理される) 24 保存する ④メモをとった後、30~60分以内に見直す (普段は、お会いした後すぐメモをとりましょう) 「データファイルの作成を前日の夜にやる。作成し終わってから覚える。」 30~60分 以内に 記憶の忘却: 記憶は、最初の30分か1時間で半分以上忘れてしまう 「エビングハウスの保持曲線」 25 記憶のしくみ 吸収する 保存する 思い出す ・思い出す方法 26 もくじ 吸収する 1 顔・行動の覚え方 ①最初の3秒に心の中で写真 ②最も特徴的な部分 ③よく似たタレント、動物、物 ④自分の感情と一緒に 2 顔・行動+名前・会社の覚え方 ①実際のストーリーで ②想像で作ったストーリーで ③意味のない情報は語呂合わせで ④情報は「会社情報」で整理 保存する 思い出す ①繰り返す(新情報を加えて) 見る、口に出す、聞く、書く ②間隔を空ける ③「寝る前」「会社から帰る前」に ④お会いした後、30~60分以内に再度 手がかりは「会社」「ノート」「ストーリー」で 27 思い出す 思い出す手がかりは「会社」「ノートの映像」「ストーリー」 「キーとなる情報は会社。会社をキーとしてすべての情報を覚える。」 「ノートのどこにあったかを思い出す」 「自分がどう行動したかを思い出して、その状況を思い出す。」 会社 役職 名前 その他 属性 顔・行動 ペグ(掛け釘)法 ①あらかじめ釘(ペグ)となる言葉を覚えておく ②覚えたいと思う言葉や句をその釘言葉にひっかけていく 28 ノウハウのベースは「お客さまへの関心」 記憶ノウハウ お客さまへの関心 「好きこそものの上手なれというのが、人と接するのがすき」 「顔を覚えるためというより、喜んでもらうために声かけをする」 「お客さまから声かけしてもらえること、名前覚えてくれることもある。 それが嬉しい。」 29 最後に お客さまに「最高の瞬間」をお届けするために… 人に好かれる六原則 • • • • • • 誠実な関心を寄せる。 笑顔で接する。 名前は、当人にとって、最も快い、最も大切な響きを持 つことばであることを忘れない。 聞き手にまわる。 相手の関心を見抜いて話題にする。 重要感を与える―誠意をこめて。 「人を動かす」: How to Win Friends and Influence People デール・カーネギー、1937年発表 30 End of the Presentation 31
© Copyright 2024 ExpyDoc