赤十字の歴史と概況 日本赤十字社 総務局 組織推進部 青少年課 角田 敦彦 • • • • • 赤十字の生い立ち 赤十字のマークと諸原則 国際的な赤十字運動 日本における赤十字活動 これからの赤十字は? 赤十字の生い立ち きっかけは? • 1859年、北イタリアのソルフェリーノ におけるフランス・サルディニア軍と オーストリア軍の激しい戦い • 1862年、デュナンの「ソルフェリーノ の思い出」出版 • 1864年、初の赤十字規約(後のジュ ネーブ条約)が結ばれる デュナンの提案 • ボランティアの救護団体を平時から組 織すること • この目的のために国際的な条約を結ん でおくこと 赤十字の誕生 スイス国旗の配色を反転させ、赤十字のマークが誕生した。 赤十字マークの二つの意味 • 保護 – 戦争・紛争時に傷病者を保護するための要 員や施設を保護するためのしるし – このマークを掲げている人や施設は、中立 のものとして保護されなければならない • 表示 – 赤十字に関係のある物や施設、人を表す 赤十字マークの誤用・濫用 • 赤十字マークの使用の制限 – 赤十字のマークや赤十字という言葉は、平 時、戦時を問わず、誰でも、どんな団体、 会社であろうと、それをまねたり、似せた マークや名前を使うことは常に禁止されて いる • どんな使い方をすると誤用・濫用にな るでしょうか? 赤十字と赤新月 • 白地に赤十字 – 大きさや色の濃淡には厳密な規定はない • イスラム教国の多くでは赤い三日月 – 1929年のジュネーブ条約改正にあたり正式 に承認された • その他のマーク – 赤獅子太陽、第4のマーク? 赤十字運動の七つの原則 • • • • • • • 人道 (Humanity) 公平 (Impartiality) 中立 (Neutrality) 独立 (Independence) 奉仕 (Voluntary Service) 単一 (Unity) 世界性 (Universality) 人道 (Humanity) • 赤十字は、戦場において差別なく負傷 者に救護を与えたいという願いから生 まれ、あらゆる状況下において人間の 苦痛を予防し軽減することに、国際的、 国内的に努力する。その目的は生命と 健康を守り、人間の尊重を確保するこ とにある。赤十字は、全ての国民間の 相互理解、友情、協力及び堅固な平和 を助長する。 公平 (Impartiality) • 赤十字は、国籍、人種、宗教、社会的 地位または、政治上の意見によるいか なる差別をもしない。赤十字は、ただ 苦痛の度合いにしたがって個人を救う ことにつとめ、その場合、最も急を要 する困苦をまっさきに取り扱う。 中立 (Neutrality) • 全ての人からいつも信頼をうけるため に、赤十字は戦闘行為の時、いずれの 側にも加わることを控え、いかなる場 合にも、政治的、人種的、宗教的また は思想的性格の論争には参加しない。 独立 (Independence) • 赤十字は独立である。各国赤十字社は、 その国の政府の人道的事業の補助者で あり、その国の法律に従うが、常に赤 十字の諸原則に従って行動できるよう その自主性を保たなければならない。 奉仕 (Voluntary Service) • 赤十字は利益を求めない奉仕的救護組 織である。 単一 (Unity) • いかなる国にもただ一つの赤十字社し かありえない。赤十字は全ての人に門 戸を開き、その国の全領土にわたって 人道的事業を行わなければならない。 世界性 (Universality) • 赤十字は世界的機構であり、その中に おいて全ての赤十字社は同等の権利を 持ち、相互援助の義務を持つ。 国際的な赤十字運動 国際赤十字を構成する3つの要素 • 赤十字国際委員会(ジュネーブ) • 国際赤十字・赤新月社連盟(ジュネー ブ) • 各国赤十字・赤新月社 各国赤十字社 (177カ国) 赤十字国際委員会 赤十字・赤新月 国際会議 ジュネーブ条約 加入国 (189カ国) 国際赤十字・ 赤新月社連盟 日本における赤十字活動 • 1877年(明治10年)博愛社設立 • 1887年(明治20年)日本赤十字社に改 称 • 1952年(昭和27年)日本赤十字社法制 定(特殊法人となる) 日本赤十字社の組織 • 日本赤十字社は社員をもって組織する。 (個人:約1700万人、法人約34万法 人) • 社員の拠出する社費を主な財源とする、 独立した機関である。 日本赤十字社の事業 • • • • • • 国際救援・開発協力 災害救護活動 救急法・家庭看護法等の講習 赤十字ボランティア 青少年赤十字 社会福祉活動 など 国際救援・開発協力 • 主な救援活動:インドネシア・スマトラ島地 震救援、東ティモール医療援助、トルコ・台 湾地震復興支援、ユーゴスラビア連邦復興支 援、など • 主な開発協力事業:ネパール飲料水供給事業、 バングラデシュ災害対策、カンボジア医療協 力、ラオス血液事業、ベトナムマングローブ 植林、など 災害救護活動(国内) • 主な活動:有珠山火山活動による災害、 三宅島火山活動による災害、東海地方 を中心とする豪雨災害、鳥取県西部地 震による災害、など 医療事業 • 公的医療機関として機能 • 全国に92の病院を設置 • 災害時の医療救護活動(56病院が災 害拠点病院として指定) • 救命救急センターの運営(24/143) 看護婦養成 • 災害救護活動に従事する看護婦養成を 目的として始まった。 • 年間約2000名を養成 • 医療の高度化,専門分化に対応できる 質の高い看護婦養成を目指す。 血液事業 • すべての輸血用血液を国内(献血)で 確保 • 年間約600万人の協力 • 安全な血液の供給・確保のため、検査 体制を整備 救急法・家庭看護法等の普及 • 救急法、水上安全法、雪上安全法、家 庭看護法、幼児安全法 | 青少年赤十字の健康安全プログラム 赤十字ボランティア • 地域奉仕団、青年奉仕団、特殊奉仕団 | 全国で3,885団、約405万人 • 個人ボランティア ー 約2,900人 青少年赤十字 • 学校教育の中で展開される活動である • 全国の幼稚園・保育所、小学校、中学 校、高等学校で採用 | 9,789校(約20%)、約230万人 社会福祉事業 • 全国で約31カ所の乳児院、身体障害者 施設、特別養護老人ホームを運営(行 政からの受託運営を含む) • 介護保険制度に対応するホームヘル パーの養成事業 これからの赤十字は? 90年代の教訓を生かし、 • ニーズの変化に柔軟に対応 • 情報化に対応し、外部との情報の共有 化の推進 • 目に見える活動(透明性) • ボランティアの活性化を推進する。 THE POWER OF HUMANITY (人道は限りない力) 「個々人の意志の強さであると同時に、 それが集まった行動の力でもある。こ の2つの要素は、苦痛を和らげ、人間 の尊厳への尊重をもたらし、そして、 最終的にはより人間的な社会を創造す るために動員されなければならな い。」 (第27回赤十字・赤新月国際会議決議) 詳しくは日本赤十字社本社・支部 まで 日本赤十字社 総務局 組織推進部 青少年課 Edited by Atsuhiko KAKUDA
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