スライド 1

継続意識調査の年齢別回収率の
動向について
山田 茂(国士舘大学)
2014年9月5日
日本行動計量学会(東北大学)
1
問題意識
• 近年の各種の調査:回収率が大幅低下
調査結果の解釈に制約
• 年齢層間で回収率に大きな相違
転居後も住基台帳に⇒「調査不能」の一部
若年層の実家を訪問・配達
・最低の20代は中年になると…
⇒同一方法による継続調査の年齢別回収率
2
80
%
対 抽出標本
70
60
回収率
50
40
30
スキ利用+拒否
20
10
他人はスキを利用
0
1983年
1993年
1998年 2003年
国民性調査
2008年
3
80
%
社会意識 郵送・面接 2011年 回収率
70
郵送
面接
60
50
40
全体
20代 30代 40代 50代 60代
共通の調査票 郵送の督促は葉書1回
70~
4
70
%
NHK
60
2013年「日本人の意識」調査
面接 回収率
男性
50
女性
40
30
20
10
0
10代後半
20代
30代
40代
5
16
14
%
2009年全国 面接 対抽出総数
転居
12
住所不明
10
8
6
4
2
0
男性計 20代
30代
女性計 20代
30代
有坂(2010)「面接調査の訪問状況記録の検証」
6
有権者数が下回る地域
2
%
1
0
-1
-2
男性
-3
-4
-5
女性
2010年国調人口を
同年9月の有権者数は
国調の漏れが
多いはずの大都市で下回る7
1 考察する調査結果の範囲
*共通の方法:無作為抽出
・長期間:共通性が高い質問文・分量
・1970年代以降実施分
*公表された回収率:10歳階級別が大半
「コーホート」別比較:10年間隔のデータ必要
8
全国調査:政府機関ほか
*内閣府政府広報室
毎年、1980年代から実施月ほぼ固定
20歳以上 10日~3週間
「国民生活に関する世論調査」:1974~2014年
「社会意識に関する世論調査」:1974~2014年
「外交に関する世論調査」:1975~2013年
*統数研「国民性調査」:面接 20歳以上
1983~2008年 5年周期
• 日銀「生活意識に関するアンケート」
2006年~郵送 3か月周期 20歳以上。約4週間
9
全国調査:メディア
• NHK「日本人の意識」調査:面接
1973年~2013年、5年周期。16歳~,土日
(継続的な質問は少ない)
・時事面接:1994年~2014年:20歳~、毎月4日間
• 読売面接: 1994年~ 2014年 有権者、土日
(寉田:1987年~2007年 毎年3月分、土日)
・日経RDD :2003年~2013年 毎月3~4日間
有権者 土日
10
2)特定地域を対象とする調査
• 同一調査方法:大部分は郵送法
• 都道府県・市によるもの。
• 「疑似コーホート」:居住10年未満が10%未満
⇒同一母集団からの標本とみなせる
• 人口移動が比較的少ない大都市圏外
11
利用可能な調査結果
*除外:
・調査方法変更:
2000年以降8道県・大都市圏外の市でも。
・特定の年齢層・主題(保育・教育・環境・景観等)
:大部分単発
・大都市圏内の地域:
10年以内の転入者が多い 例 入間 14.6%
宇都宮 9.3%
*利用可能な調査:主題:自治体行政全般
⇒10年間隔実施は少ない
12
2 回収率の水準に作用している要因
*定量的な検討:郵送か面接か
郵送法の督促・回数 (公表一部)
質問数 実地調査の期間
*定量的な検討が難しい要因
主題:共通 内閣府・国民性・「日本人の意識」
変動大 メディアの月例調査・自治体
・対象者の調査主体への認識
・レイアウト・質問の配列・形式など
13
3 考察の方法
• 公表された年齢別回収率(回収/抽出)を比較
• 年齢別回収率が公表されていない場合
仮定
抽出標本の年齢構成
≒直近の住基人口の年齢構成
⇒年齢別回収率を計算
• 住基人口の年齢構成は 94年3月から利用可能
14
③回収標本
:回収率の分子
②抽出:回収率の分
母
①母集団:
住基台帳⇒3か月⇒有権者名簿
15
年齢層別回収率の代用
①抽出標本の実回収率:R/D
②代用回収率:R/P
75%
・・・時点の差 抽出誤差
国民生活 面接 2014年6月
65%
代用回収率
実回収率
55%
45%
35%
25%
20代
30代
40代
50代
60代
70代+
代用回収率:抽出標本の年齢構成を1月の住基台帳で代用
16
抽出標本の構成⇒年齢層別回収率
例 20代の回収率=20代のR/20代のD
=(20代R/全年齢R)×(全年齢R/20代D)
=回収分20代比率
×(全年齢R /全年齢D)×(全年齢D/20代D)
=回収分20代比率×全体回収率×抽出20代比の逆数
17
4 年齢層別・疑似コーホート回収率の変動
以下の年齢は最終調査時のもの
1)全国 若年ほど低い 最近10年 全体と逆も
• 「国民生活」:男女30代・男性60代だけで上昇
• 「社会」:男性60代、女性30・40代で上昇
• 「外交」:男性60代、女性30・40代で上昇
• 「国民性」:30代・40代・50代前半で上昇
• 日銀: 30・40代で上昇
18
80
%
75
国民生活 男性
年齢は2014年調査時
70
男性計
30代
40代
50代
60代
65
60
55
50
45
1974年 1984年 1994年 2004年 2014年
19
90
85
%
国民生活 女性
80
女性計
30代
40代
50代
60代
75
70
65
60
55
50
1974年 1984年 1994年 2004年 2014年
20
80
75
%
社会意識 男性
70
男性計
30代
40代
50代
60代
65
60
55
50
45
40
1974年 1984年 1994年 2004年 2014年
21
90
%
社会意識 女性
85
80
女性計
30代
40代
50代
60代
75
70
65
60
55
1974年 1984年 1994年 2004年 2014年
22
75
外交 男性
70
年齢は2013年調査時
65
男性計
30代
40代
50代
60代
60
55
50
45
1975年 1983年 1993年 2003年 2013年
23
90
%
外交 女性
85
80
75
女性計
70
30代
65
40代
60
50代
55
60代
50
1975年
1983年
1993年
2003年
2013年
24
80
%
国民性調査
70
60
50
40
30
全体
25-29
30-34
35-39
40-44
45-49
50-54
55-59
60-64
年齢は2008年調査時
65-69
1983年 1988年 1993年 1998年 2003年 2008年25
70%
日銀 生活意識アンケート 郵送
65%
60%
年齢は2014年6月調査時
06年の8歳下と対応
全体
55%
30代
40代
50%
50代
45%
2006年
2014年
60代
26
メディア
• NHK「日本人の意識」:
男性40代以外で下げ止まり。女性30代上昇。
(以下 年齢別抽出標本比率を母集団で代用)
• 読売面接:60代は安定。50代以下では低下。
• 時事面接:30代・40代で上昇。他は低下。
• 朝日郵送:60代は上昇。他では低下。
・日経RDD:40代以外上昇
「有権者有無確認前に拒否」を「不能」に算入も
27
85
80
%
NHK「日本人の意識」 面接 男性
75
男性計
30代
40代
50代
60代
70代
80代
70
65
60
55
50
45
40
1973年 1983年 1993年 2003年 2013年
初回は10代後半
28
90
85
%
NHK 同上 女性
80
女性計
30代
40代
50代
60代
70代
80代
75
70
65
60
55
50
45
40
1973年 1983年 1993年 2003年 2013年
29
80%
読売 面接 以下は住基人口で抽出年齢比率代用
70%
全体
60%
30代
40代
50%
50代
60代
40%
30%
1994年
2004年
94年・04年は3月、
2014年2月
2014年
30
85%
時事 面接
75%
全体
65%
30代
40代
55%
50代
45%
60代
35%
1994年
2004年
2014年
31
90
朝日 郵送
%
全体
80
20代
70
30代
40代
60
50代
50
60代
40
70~
2004年10月
2014年
32
90%
有権者有無未確認世帯除外
回答率 5月
80%
日経RDD
有権者未確認世帯を
含む回答率
70%
全体
30代
40代
50代
60代
60%
50%
40%
30%
2003年
2013年
2003年
2013年 33
2)特定地域についての調査
• 制約:大都市圏外でも若年層は移動が多い
合併による市域の変更
• 年齢別回収率:
年齢層別抽出を行っている場合:少ない
• 疑似コーホート回収率として扱える:少ない
秋田県・熊本県・沼津市:30代は上昇
34
80%
70%
熊本県 郵送
秋田県 郵送
70%
60%
60%
50%
50%
全体
30代
40%
40%
2003年
40代
2013年
50代
30%
両県とも 居住10年以上が
95%
60代
20%
2003年
2013年
35
70
%
沼津市
郵送法 コーホート回収率
年齢は2013年調査時
65
全年齢
60
30代
55
50
40代
45
50代
40
60代
35
1993年
2003年
2013年
36
回収率の共通の傾向
• ほぼ20代が最低、60代まで上昇。
10代後半は20代より高い。
• 20代の10年後=30代:ほとんど上昇
•
40代よりは低い
• 30代の10年後=40代:大部分上昇
• 男女・トピック・調査方法で相違
(了)
37