介護と就業継続に 関する意識調査 (社)神奈川県理学療法士会 会員ライフサポート部 寺尾詩子、清川恵子、大槻かおる、萩原文子、 大島奈緒美、熊切博美、三枝南十 背 景 当部の活動概要 当部では、ライフサイクルと就業継続に関する 問題をテーマに、啓発活動、情報発信、会員支援 事業を行っている これまでは、出産育児に関連した事業を中心に 活動していたが、就業継続に関わる問題は様々で あることを実感している 今回は「家族の介護」から、就業継続に関わる 問題について取り上げ、幅広く会員を支援できる ようにしたいと考えている 介護と育児の就業問題の違い 1.想定がしにくい 介護がいつ始まり、いつ終わるのか 介護負担の内容や変化が多様 介護者としての立場が様々 経済的な負担 2.介護者の年齢層が幅広い 3.周囲に相談しにくい *周囲が理解しにくい *自分の問題として考えにくい *育児との両立支援より取組が遅れている 目 的 家族介護と就業継続に関する問題点を把握し、 会員支援事業につなげていくことを目的に、 下記の点について調査した ■家族介護に直面している会員が どの程度いるのか ■将来の介護についての問題認識は どのくらいあるのか 方 法 ■対象 平成23年7月1日時点の 神奈川県士会理学療法士会会員 3447名 ■調査方法:質問紙、郵送調査 質問内容 基本属性 家族介護負担の有無 介護対象者や内容 将来の家族介護の可能性と不安感 回答方法 基本的には選択肢を設け複数回答 結 果 回答者の内訳 ■有効回答者数 945名(回答率 27.4%) ■就業状況 大学院生 10名 ■男女別回答者数(率) 不明 10名 休業中 15名 就業中 885名 男性 483名(26.1%) 女性 不明 460名(28.8%) 2名 ■年代別 会員数 回答者数 回答率 (名) 1400 (%) 30 1200 1000 20 800 600 400 10 200 0 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上 現在、介護中ですか? 「はい」 43名(4.6%) ■介護中と回答した人の内訳 (年代・性別、就業状況) 8名 20歳代 30歳代 「いいえ」 900名(95.4%) 9名 40歳代 17名 50歳代 60歳代 5名 4名 休業中 2名 就業中 41名 男性 女性 介護状況 ■介護対象者 施 設 8名 祖 父 母 親 内側の円グラフのラベル 親(26名) 祖父母(10名) 配偶者(2名) 子(0名) その他(1名:叔母) 不明(3名) 親 同 居 誰の介護? 祖父母 別 居 親 祖父母 配偶者 11名 21名 ■介護内容 ~自由回答より集計~ 身体介護 20名 家事援助 16名 管理・調整 12名 精神面の ケア 2名 経済支援 3名 ■介護度 要支援 10名 要介護3 6名 要介護2 3名 未申請 3名 ■介護頻度 要介護1 7名 要介護4 4名 要介護5 8名 不明 2名 ~自由回答より集計~ 毎日 11名 週3~5回 5名 休日のみ・ 週1回 6名 不明 14名 月1回 3名 年数回 5名 介護への負担、不安は? ■現在介護中の場合 1)現在の介護の負担・不安は? ない 7名 ある 31名 無回答 5名 2)不安や問題点とは? ・急変時の対応 ・体力面 ・精神面 ・介護量の増加 ・在宅介護が困難 になった時 その他 7名 親族との関係 7名 仕事継続 12名 経済面 16名 ■介護中ではない場合 1)将来の介護の可能性と不安感 なし 46名 介護の 可能性は? あり 541名 どちらとも 313名 なし 63名 不安 あり 496名 2)どんな不安があるか? ・家族の協力が 得られるか ・体力面 ・遠距離 その他 56名 親族との関係 145名 経済面 326名 仕事継続 333名 考 察 1)家族介護は、年代、性別を問わず、 当事者になる可能性がある 2)回答者のほとんどが負担や不安を もっている *介護と就業の問題は、自分の問題として 認識していく必要がある。 *「お互い様」という意識を職場全体で持つ必要 がある 3)調査対象者が限られている *回収率の低さ→調査方法(郵送法)の欠点 *家族介護と就業継続への関心は薄い可能性が ある *ほとんどが就業中の会員の回答であった 休会会員(約250名)は調査対象外であった 今後の課題 ・介護と就業継続に関する情報発信の必要性 ・休会会員への調査 まとめ ■理学療法士であっても、家族介護と就業 継続に関する問題、不安は存在している ■介護の問題は、年代、性別に関わらず 誰でも当事者になる可能性がある ■就業継続の問題に共通して、 「お互い様」と互いの個別事情を 認め合える職場風土が重要である 資 料 「介護を行う労働者の両立支援策に係る調査研究報告書」 21世紀財団(2011年)より 一般企業の介護と就業 ■主な介護者の内訳(平成14年10月~平成19年9月) 総数 56.8万人 性別 男:女 =1:3 *男性が徐々に増加 年代 各年代とも介護者数あり *80歳代が増加中 *40歳、50歳代は男性で増加中 仕事両立者:離職者 = 4:5 ■今後の動向 要介護者数 在宅介護者数 単身者(未婚者) 共働き世帯 兄弟姉妹数 介護負担の分担が難しい 一人にかかる負担大 育児・介護休業法と整備状況 ■介護休業制度 【定義】要介護状態(負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の 障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を 必要とする状態)にある対象家族を介護のためにする休業 【回数】対象家族1人につき、要介護状態に至るごとに 1回 【期間】対象家族1人につき、通算93日まで *時短などの措置が講じられている場合は、それも含まれる *法定通りの限度で定めている事業所 80% *介護休業者の割合 0.06% *介護休業後の退職者割合 18% (「雇用均等基本調査」厚生労働省(平成20年)) ■介護休暇 【内容】1年に5日まで(対象家族が2人以上の場合は10日まで) 介護その他の世話を行うために休暇取得ができる ■介護のための勤務時間短縮等の措置の制度 【内容】対象家族1人につき介護状態ごとに連続する93日以上の期間に 下記の措置のいずれかを講ずる義務 ●短時間勤務制度 ●フレックスタイム制度 ●始業・就業時刻の繰り上げ・繰り下げ ●介護に要する経費の援助措置 *措置制度のある事業所の割合 *措置制度の利用期限 93日まで *措置制度の利用者割合(のべ数) 45.5% 75.9% 0.04% (「雇用均等基本調査」厚生労働省(平成20年)) ■時間外労働を制限する制度 ■深夜業を制限する制度 ■労働者の配置に関する配慮する義務 ■不利益取扱の禁止 企業における 「仕事と介護の両立支援」に向けたポイント 1.自社従業員の介護実態の把握 2.「柔軟な働き方(労働時間・場所の柔軟性確保)」 に関する制度の整備 3.介護に関する専門家や人事スタッフ等への 相談体制の整備 4.介護関連費用等の補助推進 5.情報の周知徹底 6.互いの個別事情を認め合う職場風土の醸成 介護と就業継続に (社)神奈川県理学療法士会 寺尾詩子、清川恵子、大槻 熊切博美、三枝南十 関する意識調査 ライフサポート部 かおる、萩原文子、大島奈緒美、
© Copyright 2024 ExpyDoc