青年期における 信頼対象と希望職業の関連

青年期における
信頼対象と希望職業の関連
高澤 健司
(中央大学文学部)
[email protected]
http://homepage.mac.com/tkswk/
これまでの研究
高澤(2004年発達心理学会)
「おとな」のイメージを調査
専門学校生…社会的側面重視
中学生………外見的側面重視
高澤(2004年教育心理学会)
成人イメージと信頼対象の関連を調査
親子関係
信頼対象の有無 が成人イメージの形成に影響
高澤(2005年発達心理学会)
成人イメージと希望職種の有無の関連を調査
希望職種ありの群
成人イメージにおいて社会的関係や経験重視
→キャリア教育に対して職業だけでなく,成人後 の
人生全体を含めた指導の有効性を示唆
目 的
信頼対象(現在最も頼りにしている人)と希
望職種の有無の関連を検討することによっ
て,青年期における対人関係と職業の関
係を検討することを目的とする。
方 法
質問紙法で2003年9,10月に実施
調査協力者:都内公立中学生289名(男132名, 女157名)
都内専門学校生175名(男60名, 女114名, 不明1名)
質問紙:希望職種の有無
信頼対象…現在において頼りにしている人を複数挙げ
てもらった後,その中で最も頼りにしてい
る人を選択
してもらう。今回はこの「最も
頼りにしている人」を分
析対象にした。
結果と考察
信頼対象の分布
属性によって
大きな差は見られず
上位5群である「母親」
「友人」「父親」
「自分」「いない」と下位
群を「その他」として分析
対象とした
中学生 専門学校生
母親
84
56
友人
50
25
父親
40
19
自分
19
15
いない
17
9
恋人
4
15
きょうだい
8
10
祖母
5
0
学校の先生
3
2
親せき
2
2
塾の先生
3
0
祖父
2
0
配偶者
0
2
その他
22
6
合計
259
161
合計
140
75
59
34
26
19
18
5
5
4
3
2
2
28
420
希望職業の有無
全体
あり318名(68.5%),なし114名(24.6%),不明32名(6.9%)
中学生
あり189名(65.4%),なし85名(29.4%),不明15名(5.2%)
専門学校生
あり129名(73.7%),なし29名(16.6),不明17名(9.7%)
全体
中学生
不明
7%
不明
5%
専門学校生
なし
17%
なし
29%
なし
25%
不明
10%
あり
66%
あり
73%
あり
68%
信頼対象と希望職種の有無のクロス表
信頼対象
母親
友人
希望職種あり
94 (69.6%)
53 (77.9%)
希望職種なし
41(30.4%)
15 (22.1%)
合計
135(100.0%)
68(100.0%)
( )内は各信頼対象群内における割合
父親
41 (75.9%)
13 (24.1%)
54(100.0%)
自分
18 (58.1%)
13 (41.9%)
31(100.0%)
いない
15 (65.2%)
8 (34.8%)
23(100.0%)
その他
69 (84.1%)
13 (15.9%)
82(100.0%)
「希望職種なし」が上回る群は見られなかった
クロス表に対するカイ二乗検定
5%水準で有意差が見られた
(χ2(5)=11.35, p<.05)
残差分析
「自分」群……「希望職種あり」が有意に少なく(p<.05),
「希望職種なし」が有意に多い(p<.05)
「その他」群…「希望職種あり」が有意に多く(p<.05),
「希望職種なし」が有意に少ない(p<.05)
「最後に頼りになるのは自分」と考えている群
は他の群と比較して希望職種をもっていない。
先行分析において指摘した
「モデルの存在」
が影響していると思われる
最後に頼りになるのは自分であると思っているものの,それ
は将来の自分の姿に裏打ちされたものではなく,将来の姿
の模索が反映されていると思われる
以上を踏まえると…
青年期における信頼対象と
希望職種の有無の関連
信頼されるおとながいるもしくは目標となるお
とな像があることが,
将来の働く自分の展望につながることが明ら
かになった。