2013 現代文明論 11 ルソーから学ぶ 自然と社会 ジャン=ジャック・ルソー (1712-1778) 代表的な著作 学問芸術論(1750) 人間不平等起源論(1755) 新エロイーズ(1761) エミール(1762) 社会契約論(1762) 人間不平等起源論 • 人間を文明化し、人類を堕落させたものは、 詩人から見れば金と銀であるが、哲学者から 見れば鉄と小麦である。(岩波文庫版、96- 97頁) 善と悪 • 人間は邪悪である。悲しい連続的な経験がそ の証拠を不用にしている。けれども、本来、人 間は善良である。(147頁) 社会が悪をつくる • 人間社会を賛美したければいくらでも賛美す るがよい。それにしても、社会は必然に、人々 の利害がもつれるにつれて、人々が互いに 憎み合い、互いに表面的には尽くし合い、実 際は想像しうるかぎりのあらゆる危害を互い に加え合うようにしむけているということはや はり真実であろう。(147-148頁) 環境思想の創始者としてのルソー 自然の教訓を軽蔑する代価 (人間不平等起源論の注9) • 何らの偏見も持たないで、社会人の状態を未 開人のそれと比較してみるがよい。そして、ど んなに社会人が、その邪悪さと欲望と悲惨と のほかに、苦痛と死とに向かって新しい問を 開いたかを、できれば研究してもらいたい。も しわれわれを消耗させる精神的苦痛、われわ れを疲労させ、悩ます激しい情念、貧しい 人々の重荷になっている極度の労働、富める 人々が溺れてしまい、ある者はその欲求のた めに、他の者はその過度のために死ぬ、 • なおいっそう危険な放逸な生活、これらにつ いて皆さんが反省するならば、またもし食物 の異常な混合、有害な調味料、腐った食料品、 変造された薬剤、それを売る人たちの詐欺行 為、それを服用させる人たちの誤り、それを 調合する容器の毒、こうしたことを皆さんが考 えるならば、 • また、集まった多数の人々の間の悪い空気のため に発生する伝染病、われわれの生活様式の脆弱さ やわれわれが家の内と外とを往来するために起こ る病気、ないしは、あまりにも不注意に着たり脱いだ りする衣服の使用法や、またわれわれの過度の官 能の欲によって必要な習慣に変えられてしまい、そ れをなおざりにするか、あるいは事欠くかすれば、 やがてわれわれの生命または健康を失うことになる ような医学的処置などのために起こる病気などに、 皆さんが注意を向けるならば、 • なおまた、幾多の都市を全滅させたり、転覆 したりして、その住民を何千も死なせた火事 や地震を、皆さんが考慮に入れるならば、要 するにこれらすべての原因が絶えずわれわ れの頭上に集中する危険を皆さんが合わせ 考えるならば、われわれが自然の教訓を軽 蔑したことに対して、自然がいかに高い代価 をわれわれに支払わせているかが感じられる であろう。(150-151頁) 最近の環境問題の例 • 中国大気汚染 PM2.5 • 中国 工場からの汚染 • 胆管がん(印刷会社) • カネボウ化粧品
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