将来の消防のあり方を考える 消防庁・消防研究センター 室崎 益輝 今日、お話しすること 消防組織体制の強化の必要性や方向性を、国 民の消防防災へのニーズの変化と消防組織体 制の整備の歴史を踏まえて、考察する 消防体制強化の基本的視点 市町村は、居住者の安全性の向上をはかるとい う責務をはたすために、消防組織体制の強化に 持続的につとめなければならない 市町村消防の原則を堅持しつつ(変わらないも の)、ニーズに応える体制の拡充をはかる(変わ るもの)ことが求められている 消防ニーズの動向 その歴史的考察 災害は進化するといわれるが、火災危険と消防 ニーズも進化し続けている ! このニーズに責任を持って応えられる体制が構 築できているか? (1)火災危険の変化・・強風大火からビル火災そし て特殊火災や地震火災へ (2)国民ニーズの変化・・防御に加えて予防、さらに は救急や国民保護も 消防ニーズの動向 対応が急がれる火災危険 消防体制の常備化や広域化の努力にも係わら ず、いまだ克服されない火災危険が国民の生命 や財産を脅かしている・・その背景には、地球の 輪廻、技術の限界、社会の腐敗がある (1)住宅火災・・年間死者1000人の時代に突入 (2)地震火災・・首都直下など巨大地震が切迫 (3)特殊火災・・危険物火災の増加さらに進化も (4)犯罪火災・・放火だけではなくテロ攻撃なども 消防ニーズの動向 予防需要と救急需要の激増 国民の消防へのニーズが質的に向上している ・・行政と技術に対する期待(安全と安心を求め る声)が大きく膨らんでいる (1)予防需要・・防火対象物は約370万件 予防職員一人あたり200~400件 (2)救急需要・・救急出動件数は約500万件 救急隊員一人あたり100~200件 消防体制の歴史 自治体消防の原則 戦後の改革で自治体消防(市町村消防)の原則 が確認された (1)市町村が、消防・防災の第1義的な責任と権限 をもつ (2)消防組織は、地域に密着した形で構築されなけ ればならない 消防体制の歴史 消防組織の強化戦略 増加し進化し続けるニーズに対して、自治体消 防は、(1)組織の常備化と広域化、(2)消防力の 高度化と専門化で対応してきた その結果、強風時大火やビル火災の危険を基 本的には克服するまでに至っている しかし・・・ これからの消防組織 消防組織の強化戦略 広域化の第2段階へ・・単なる量的広域化では なく質的変革を伴った広域化(統合化)へ なぜ、いままで広域化が進まなかったかの反省 も含めて戦略を再構築する必要がある (1)高度な技術の導入・・ハイテクのシステム (2)消防団等との融合・・多重のシステム (3)共助と連携の強化・・協営のシステム これからの消防組織 広域化の方向性 地域密着の原則を堅持しながら、連携と協働の システムの成熟化をはかる 変わらないもの・・自治体消防の原則による地 域密着システム 変わるもの・・連携協働システムによる市民へ の消防サービス これからの消防組織 広域化の留意点 地域の消防ニーズの向上をはかることが基本目 的であることを再確認し、効率化も必要だが消 防力・消防体制の強化を意識的に追求すること 連携の原則(コミュニケーション、コーディネー ション、コラボレーション、コーオペレーション)を、 運営において具体化すること
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