プロジェクト管理 (情報システム開発におけるプロジェクト管理) 第2回 2009年11月28日(土) (2009年11月20日版) • スコープ・マネジメント • コミュニケーション・マネジメント 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 1 プロジェクト管理シラバス 講義計画(2009年度) • 11/28 [1] 情報システム開発とプロジェクト プロジェクトとは • 11/28 [2] PMBOKの内容-1 スコープ、コミュニケーション • 11/28 [3] PMBOKの内容-2 タイム、コスト • 12/05 [4] PMBOKの内容-3 品質、人的資源 • 12/05 [5] PMBOKの内容-4 リスク、調達 • 12/05 [6] PMBOKの内容-5 統合 • 12/12 [7] CMM 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 2 プロジェクト管理シラバス 講義計画(2009年度) • 12/12 [8] 演習 プロジェクト計画、ツールの使用 • 12/12 [9] 事例(1) • 12/19 [10] 事例(2) • 12/19 [11] 事例(3) • 12/19 [12] 事例(4) • 12/19 [13] まとめ 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 3 記述の一般形 X・マネジメント • X・マネジメントとは • • • • • • X・マネジメントのプロセス X.1 プロセス X.2 プロセス ・・・・ X.n プロセス ・・・・ 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 4 X・マネジメント • • • • • X.n プロセスとは X.n.1 プロセスのインプット X.n.2 プロセスのツールと技法 X.n.3 プロセスのアウトプット X.n.3 プロセスのアウトプットに記載され る項目 • X.n プロセスに関する特記事項 注)X.n.m はPMBOKの章番号、節番号 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 5 5.スコープ・マネジメント • 5.スコープ・マネジメント(project scope management)とは プロジェクトのスコープ(範囲)を定義する 成果物スコープと作業スコープとからなる – プロダクト(成果物)のスコープ(product scope) 納めるもの、作り出すもの 完了:要求仕様に基づくものができあがった – プロジェクト(作業)のスコープ(project scope) 成果物を得るための作業 完了:計画作業を達成した 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 6 スコープマネジメント • プロダクト(成果物)のスコープ (ウォータフォールモデル開発工程) • プロジェクトのスコープ 要求定義 プロダクトのスコープ 要求定義書 外部設計 外部設計書 内部設計 内部設計書 コード プログラミング プロジェクト マネジメント 結合テスト 試験成績書 システムテスト 試験成績書 運用テスト プロジェクトのスコープ 完成システム 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 7 5.スコープ・マネジメント • 5.スコープ・マネジメントの5つのプロセス 5.1 立ち上げ(initiation) (PMBOK2000) →統合マネジメントへ(PMBOK2004) 5.1 スコープ計画(scope planning) 5.2 スコープ定義(scope definition) 5.3 WBS作成 5.4 スコープ検証(scope verification) 5.5 スコープコントロール(scope change control) 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 8 5.1 スコープ計画 • 5.1 スコープ計画 スコープとはプロジェクトの範囲を示す • 5.1.1 インプット – – – – – 2009年度 組織の現状環境 組織のプロセス資産 プロジェクト憲章(project charter) プロジェクト・スコープ記述書暫定版 プロジェクトマネジメント計画書 プロジェクト管理(2) 46pages 12 5.1 スコープ計画 • 5.1.2 ツールと技法 – 専門家の判断 – 各種書式、標準 • 5.1.3 アウトプット – プロジェクト・スコープ・マネジメント計画書 (scope management plan) • • • • 2009年度 プロジェクト・スコープ記述書の作成プロセス WBSの作成プロセス 途中の要素成果物の検証、受け入れプロセス プロジェクト・スコープ記述書の変更プロセス プロジェクト管理(2) 46pages 13 5.1 スコープ計画 • プロジェクト・スコープ・マネジメント計画書 – – – – 2009年度 プロジェクト・スコープの管理方法 スコープ変更の反映方法 スコープの想定される安定度 スコープ変更の識別・分類方法 プロジェクト管理(2) 46pages 14 5.2 スコープ定義 • 5.2 スコープ定義 プロジェクトのスコープ(範囲、成果物、作 業)を明確にする • 5.2.1 インプット – – – – – 2009年度 組織のプロセス資産 プロジェクト・スコープ記述書暫定版 プロジェクト憲章 プロジェクト・スコープ・マネジメント計画書 承認済み変更要求 プロジェクト管理(2) 46pages 15 5.2 スコープ定義 • 5.2.2 ツールと技法 – – – – プロダクト分析(何を成果物とするか) 代替案 専門家の判断 ステークホルダ分析 • 5.2.3 アウトプット – プロジェクト・スコープ記述書 – 承認済み変更の取り込み – プロジェクト・スコープ・マネジメント計画書(更 新) 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 16 5.1 スコープ計画 • プロジェクト・スコープ記述書 – – – – – – – 2009年度 プロジェクトの制約条件 プロジェクトの前提条件 プロジェクト初期組織 初期段階で見通したリスク スケジュール、マイルストーン 資金の制約 コスト見積り プロジェクト管理(2) 46pages 17 5.3 WBS作成 • 5.3 WBS作成 プロジェクト・スコープ記述書を作業レベル に分解する • 5.2.1 インプット – – – – 2009年度 組織のプロセス資産 プロジェクト・スコープ記述書 プロジェクト・スコープ・マネジメント計画書 承認済み変更要求 プロジェクト管理(2) 46pages 18 5.3 WBS作成 • 5.3.2 ツールと技法 – WBSテンプレート – 要素分解 • 5.3.3 アウトプット – – – – WBS WBS辞書(WBS構成要素を説明) プロジェクト・スコープ記述書(更新) プロジェクト・スコープ・マネジメント計画書(更 新) – スコープ・ベースライン 19 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 5.2 スコープ定義 • WBS(Work Breakdown Structure) – プロジェクトの成果物を作成するための作業 を階層的に策定したもの – スコープ記述書には、最終成果物、要素成果 物が定義されている – これを獲得するために、どのような作業が必 要かをさらに細かくブレークダウンしたもの • ベースライン(Base line) – 実績を測定し、コントロールする(是正する)た めの基準となるもの 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 20 5.2 スコープ定義 要するに、変更は、言 われるままに行うので 変更要求の発生 はなく、正式にオーソラ (「要求済み変更Requested Change」と呼ぶ) イズして行う。また、確 ↓ 実に行う。すべて記録 変更要求のオーソライズ する。 (正式の会議で承認) (「承認済み変更要求Approved change request」と呼ぶ) ↓ 変更要求への対策を提案 (「提案済み是正処置Proposed corrective actions」と呼ぶ) ↓ しかるべき是正処置 (「承認済み是正処置Approved corrective actions」と呼ぶ) ↓ 実施済み是正処置 • 変更の手順 参考書(1) – – – – – 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 21 WBS • WBSの例(プロジェクトで行われる作業をす べて階層的に洗いだす)(作業の階層構造を あきらかにする→スコープマネジメント) 0. 在庫管理システム開発 プロジェクト 2.1 ハードウェア 2.2 画面設計 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2009年度 ・・ ・ ・ ・ 2.0 システム設計 外部設計 1.0 システム分析 要求定義 2.3 帳票設計 3.0 ソフトウェア設計 内部設計 2.4 システム機能 2.5 DB概念設計 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ プロジェクト管理(2) 46pages 22 5.4 スコープ検証 • 5.4 スコープ検証 成果物や作業が正しくなされたことを検証 する。公式な承認を得る • 5.4.1 インプット – WBS、WBS辞書 – プロジェクト・スコープ記述書 – プロジェクト・スコープ・マネジメント計画書 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 23 5.4 スコープ検証 • 5.4.2 ツールと技法 – 検査 • 5.4.3 アウトプット – 受入れ済み成果物 – 要求済み変更 – 提案済み是正処理 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 24 5.5 スコープ・コントロール • 5.5 スコープ・コントロール スコープの変更をきちっと管理する 変更手続きに則る • 5.5.1 インプット – – – – – 2009年度 プロジェクト・スコープ記述書 WBS、WBS辞書 実績報告書 承認済み変更要求 プロジェクト・スコープ・マネジメント計画書 プロジェクト管理(2) 46pages 25 5.5 スコープ・コントロール • 5.5.2 ツールと技法 – スコープ変更管理システム – 差異分析(計画と実績の差異) – 追加の計画 • 5.5.3 アウトプット – – – – – – – 2009年度 プロジェクト・スコープ記述書(更新) WBS、WBS辞書(更新) スコープ・ベースライン(更新) 要求済み変更 提案済み是正処置 組織のプロセス資産(更新) プロジェクト・マネジメント計画書(更新) プロジェクト管理(2) 46pages 26 5.5 スコープ・コントロール • 変更要求の原因 – 外部要因(法律など) – プロダクトおよびプロジェクトのスコープ定義 時の見落とし、勘違い – 付加価値の改良 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 27 情報システム開発プロジェクトの スコープ・マネジメント • プロジェクトの定義(プロジェクト計画書) 1.目的とゴール 2.プロジェクト推進方針 3.適用範囲 4.成果物 5.参考資料 注)プロジェクト計画書は、後述の「統合マネジメン ト」の範疇 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 28 情報システム開発プロジェクトの スコープ・マネジメント • システム開発の留意点 1.計画の更新、who、when 2.仕様変更管理プロセス(手続き)を明確にし、 関係者の合意を得る 3.レビュー日程がスケジュールに含まれている こと 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 29 10.コミュニケーション・マネジメント • 10.コミュニケーション・マネジメントとは プロジェクト当事者(ステークホルダー stakeholder)間での意思疎通を図る プロジェクト失敗の多くはコミュニケーション不足 コミュニケーションのインフラ(しくみ)構築 ほうれんそう(報告、連絡、相談) • 10.コミュニケーション・マネジメントの4つ のプロセス 10.1 コミュニケーション計画 10.2 情報配布 10.3 実績報告 10.4 ステークホルダー・マネジメント 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 30 10.1 コミュニケーション計画 • 10.1 コミュニケーション計画 プロジェクト当事者の識別 コミュニケーション要求の分析 かかわり方 – 内容 誰が誰へ、どのような情報を、どのように伝え るかを定める who, whom, what, when, how 適宜見直す 注) 顧客への窓口は1本化する、会議体系を 定める、障害や変更要求の報告フォロー手続 きなど 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 31 10.1 コミュニケーション計画 • 10.1.1 インプット – – – – 組織の環境 組織のプロセス資産 プロジェクト・スコープ記述書 プロジェクト・マネジメント計画書(制約条件、 前提条件) • 10.1.2 ツールと技法 – コミュニケーションに対する要求分析 – コミュニケーション技術 • 10.1.3 アウトプット – コミュニケーション・マネジメント計画書 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 32 10.2 情報配布 • 10.2 情報配布(information distribution) 当事者が必要とする情報をタイムリーに提 供すること • 10.2.1 インプット – コミュニケーション・マネジメント計画書 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 33 10.2 情報配布 • 10.2.2 ツールと技法 – – – – コミュニケーション・スキル 情報検索システム 情報配布手法 教訓プロセス • 10.2.3 アウトプット – 組織のプロセス資産(プロジェクト経験の蓄 積) – 要求済み変更 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 34 10.3 実績報告 • 10.3 実績報告(performance reporting) プロジェクトの進捗を報告すること 状況、出来高、今後の予測 • 10.3.1 インプット – – – – – – 2009年度 作業結果(作業パフォーマンス情報) 完成時予測値 品質管理測定結果 プロジェクト・マネジメント計画書 承認済み変更要求 要素成果物(途中での中間的な成果) プロジェクト管理(2) 46pages 35 10.3 実績報告 • 10.3.2 ツールと技法 – – – – – 情報提示ツール パフォーマンス情報の収集・編集 状況レビュー会議 タイム報告システム コスト報告システム • 10.3.3 アウトプット – – – – – 2009年度 実績報告書 予測 要求済み変更 提案済み是正処置 組織のプロセス資産(更新) プロジェクト管理(2) 46pages 36 10.3 実績報告 • アーンド・バリュー分析(earned value analysis) – 計画予算(PV, planned value) どの作業をいつおこなうかが決まり、その作業の計 画コスト、これを時間軸上で集計したもの – 実績コスト(AC, actual cost) 作業ごとに発生した実績コストを時間軸上で集計した もの – アーンド・バリュー(EV, earned value) どの作業をいつおこなうか、その作業の計画コスト、 これを時間軸上で集計したもの – アーンド・バリュー・マネジメントシステム(EVMS, earned value management system) 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 37 10.3 実績報告 • アーンド・バリュー分析 • 効率の計算 – コスト効率 CPI=EV/AC (報告日時点) Cost Performance Index – スケジュール効率 SPI=EV/PV (報告日時点) Schedule Performance Index • 予測(forecast) いままでと同じ効率でこれからも進むとして、総コ スト、完成工期を予測する 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 38 10.3 実績報告 • アーンド・バリュー分析 コスト 計画総コスト 計画予算(PV) 実績コスト(AC) アーンド・バリュー(EV) 報告日 チェック日 2009年度 計画完成日 プロジェクト管理(2) 46pages 時間 日程 39 10.3 実績報告 PV:計画したスケジュールの作業の計画コスト(予算)の累計値(時間 軸で積分したもの) EV:出来上がった作業の計画コスト(予算)の累計値(時間軸で積分 したもの)(作業が終わったかどうかの視点) AC:出来上がった作業の実績コスト(予算)の累計値(時間軸で積分 したもの)(時間がどれだけかかったかの視点)(内製の場合とする) コスト軸 計画総コスト 時間×単価=コスト 計画予算(PV) 実績コスト(AC) アーンド・バリュー(EV) 報告日 チェック日 2009年度 計画完成日 プロジェクト管理(2) 46pages 時間軸 日程 40 10.3 実績報告 CPI=EV/AC SPI=EV/PV CV=EV-AC コスト差異 SV=EV-PV スケ ジュール 差異 コスト 計画総コスト 実績コスト(AC) 計画予算(PV) アーンド・バリュー(EV) 報告日 チェック日 2009年度 計画完成日 プロジェクト管理(2) 46pages 時間 日程 41 10.3 実績報告 予測総コスト=計画総コスト/CPI コスト CPI=EV/AC <1なら超過 SPI=EV/PV <1なら遅れ 予測総コスト 計画総コスト 実績コスト(AC) 計画予算(PV) アーンド・バリュー(EV) 報告日 チェック日 計画完成日 予測完成日 予測完成日数=計画完成日数/SPI 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 時間 日程 42 10.4 ステークホルダー・マネジメント • 10.4 ステークホルダー・マネジメント ステークホルダーとのコミュニケーションを マネジメントする • 10.4.1 インプット – コミュニケーション・マネジメント計画書 – 組織のプロセス資産 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 43 10.4 ステークホルダー・マネジメント • 10.4.2 ツールと技法 – コミュニケーション手段 – 課題ログ(課題をすべて集めたもの) • 10.4.3 アウトプット – – – – – – 2009年度 解決済み課題 承認済み変更要求 承認済み是正処置 組織のプロセス資産(更新) プロジェクト・マネジメント計画書(更新) プロジェクト管理(2) 46pages 44 10.コミュニケーション・マネジメント • 情報システム開発における考慮点 – コミュニケーション計画 窓口、会議体系 – プロジェクト管理情報の共有 メール、電話、口頭などの情報 各種様式の制定 情報管理者(入力、更新など)の設置 – 実績報告 実績時間の計上方法 出来高の測定方法 工程進捗フォローの方法 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 45 第2回のまとめ • 今回の内容をまとめなさい。 • レポート用紙1枚程度。 (手書きよりも、ワープロが望ましい、皆さん の手元に残るので) • 期限:次回(12月5日)の最初に回収。 2009年度 プロジェクト管理(2) 46pages 46
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