体験1、「おじ(弟)はいいが兄はダメ」7p • 双子の兄弟がいました。 • 両親は、 • 「おじはいいけど、兄はだめだ」 • と常に言う • 弟はしっかりしていて何でもできるけど、 • 兄の方は運動も勉強もまったくダメ • しかし「気だてはいい」と家族の人は言うのです。 • 私も結婚したばかりの若い頃 • 双子の兄弟がいました、 • 家庭訪問に行くと、 • 「やあ、先生、よう来てくんなした。 さあさあ」 • 昭和46年頃のことです、 •おじいちゃん、おばあちゃんまで、 みんな出て来ます。 •囲炉裏があって、 •囲炉裏を中心に、 • おじいちゃん、おばあちゃん、お父 さん、お母さん、 •彼もそこにちゃんと座っているのです。 •お茶や漬け物を出してくれ •「どうぞゆっくりしてくんなさい。」 •まあ、一杯とお茶がつぎつぎに、 •「いやぁ先生ね、おじはいいけ ど、兄はだめなんだて」、 •おじいさんが、そして、お ばあさんも •「いやぁ先生ね、おらのおじ はいいけどね、兄はだめなん でね」 •家族全員が言うのです。 • 「弟は、いないのですが、 • 兄はちゃんと、おじいちゃん、おばあちゃんの 横に坐っているのです。 • そうするとおばあちゃん、おじいちゃんが、 • 「いやぁ先生ね、おらのおじはいいけどね、兄 はだめなんでね」と言うのです。 • 彼はそれを聞いてニコニコしているのです。 • また何か話があると • 「おじはいいけど兄はだめ」という話になるのです。 • 私は「そんなことはありませんよ」と 言うのですが、 • 私も教員になりたてのホヤホヤでし たので、 • そのおじいちゃん、おばあちゃん、 お父さん、お母さんに • 「生命の教育」を話すような力量 持っていなかったのです。 • 「いや、そんなことはありませんよ。とっても いい子ですよ」と、言うのですが、 • 「いや、おじはいいんだけれど、兄 は、・・・・」 • 「まあこうやって、私らの言うことも何でも聞 いてくれるし、優しいし、いい子なんだけれど、 • ま、勉強とか運動の方はぜんぜんダメで」と、 盛んにお父さんも、お母さんも言うのです。 • 私の • 「いや、そんなことありませんて。 • とってもいい子ですよ。」 • 私の言葉は • 説得力のあるものではなかったのです。 • そうこうしているうちに運動会になりました。 • 6年生は1500メートルの持久走があった。 • 私は体育主任、 • 「ヨーイ、ドン」と、ピストルを・・うっていました。 • すると、そのだめなお兄ちゃんが、 • パーッと最初速く走るのです。 • 最初パーッと速く走るものだから、もちろん先頭、 • 人よりも20メートルも30メートルも速く走る わけです。 • 地域の人たちはみんな、 • 一年生から運動会を見ているから、 • 兄は負けるということは分かるんでしょう。 • 「ほら見ろ、あの兄ゃ、ゆっくり走らねば だめだがな、体が持たんこて」、 • 「ほら、またビリになるがな、言わんこ ちゃね。ほんにゃ兄はダメだて。」 • そのような話が私の所へ聞こえてきました。 • 走るにつれて、案の定、順々に負けてくるわ けです。 • 最初あんまり頑張り過ぎたために、 • 最後にはやっぱりビリになってゴールへ、 • 「ほらみれほら、おじはいいけど兄はやっぱ りだめだね、やっぱりそうなんや」と、 • まあ、昔だからそんな話も出来たのか・・・・ そういう話が私に聞こえてきました。 •そんな声を聞いて、 •私は「ハッ」としました。 •「ああ、可哀想」に・・・・・ •彼は、「頑張りたい気持ちがあり、 •その力をみんなに見せたいんだ。」と、 •私は気づいたのです。 • その頃、私は田沢小の • 校長住宅に宿をとっていました。 • 私の家内と、まだ • 産まれたばかりの長男がいた頃でした。 • 清津峡温泉という • 有名な温泉がある麓のところです。 • 陸上の大会があるので、 • 麓の、温泉近くの村まで、 • 校長住宅からブドウ畑までマラソンの練習 をしていたのです。 • 弟と、運動好きな2・3人の子で • 朝練習を、していました • 私が車に、時には一緒に走ったり、 • あるいは自転車に乗ってタイム計ったり、 • 毎朝、マラソンの練習をしていたのです。 • ブドウ畑に行くと、そこで休憩し、 • ブドウを戴いて帰ってきたのです。 • 私は、彼が頑張りたい、という気持ちが 分かったので、運動会後、彼を呼んで、 • 「君、明日から練習にこないか?」 • 「やだ!」って断るかと思っていたら、 • 「行く!」と言うんです。 •「それじゃあ明日から、先生のと こへ来なさい」 •次の日から、弟も練習に •ちょうどコースの途中に、 •双子の子のぶどう畑があるので す。 •いっぱい作っているわけではな いけれども、 • そこの家の人が、「先生、朝、練習 する時はそのブドウ畑へ行って、 • 休憩時子供にブドウを食べさして」 と言われるので、 • いつもブドウをいただいたのです • 3キロのちょうどいいマラソンコース。 • おじいちゃん、おばあちゃんが、 • 「いや、先生あのな、ブドウを先生もいっぺ食べ て、ゆっくり休ませて、いっぺ練習やってくれ。」 • そんな調子で、ほのぼのとした練習をしていた。 • おじの方は、いつも運動会は一等でしたが、 • 兄の方は、練習もしないし、家の人みんな、 • 「あの子はまあ気立てはいいんだけど、 • 運動は苦手なんだし、勉強もおじみたいにできな いし」という、 • レッテルを貼られていたわけです。 • 毎朝の練習は、 • そのブドウ畑まで走って、 • タイムを計ったりしながら帰ってくるのです • 前から練習している子は、 • なかなかタイムは縮まらないけれども、 • 練習してなかった兄の方は、 • 走れば少しずつ、少しずつ • タイムが縮まる。 • 「おい、シゲル君」 • 「本当に、どんどん速くなるなぁ。」と 言っていると、 • 本当に、毎日速くなってくるのです。 • 「毎日・毎日速くなるじゃないか。すご いな」 • 「そのうちに追いつくんじゃない」 • どんどん力をつけてきました。 •中里村では •村の大会があった •貝野、倉俣、高道山、清津、 田沢小学校の、5校です。 •5校の親善陸上大会が行 われていたのです。 •約2ヶ月の練習で、彼は力をつ けました。 •おじと互角に走るようになったのです。 •コトバの力です •子供を信じ •子供の実相を観る •認めて褒めてやることです • そして、その 親善陸上大 会で、 • 結局そのダ メな兄が 優勝したの です。 • ダメな兄 • その現象を見ず、 • 頑張りたい実相を見 • 褒めた時 • 光があらわれ結局 •ダメな兄が優勝し たのです。
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