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Notes on Voronoi Diagrams for Pure
Quantum States
1,2Kimikazu
Kato, 3Mayumi Oto,
1,4Hiroshi Imai, and 5Keiko Imai
1
Department of Computer Science, Univ. of Tokyo
2 Nihon Unisys, Ltd.
3 Toshiba Corporation
4 ERATO-SORST Quantum Computation and Information
5 Department of Information and System Engineering,
Chuo Univ.
本研究の目的
ボロノイ図を用いて・・・
– 量子状態のなす空間の幾何的構造を理解したい
– 量子状態のなす空間上で定義される距離の関係
を明らかにしたい
なぜそうしたい?
•量子通信路の性能評価のための基礎となりうる
•連続的な空間を離散的に評価するにはボロノイ
図が便利
量子通信路とその容量
量子状態
(連続構造)
量子通信路
量子状態
光子
コーディング
送りたいメッセージ
(離散構造)
10010111000101100
0000010010010・・・・
ノイズ
デコーディング
復元されたメッセージ
10010111000101100
0000010010010・・・・
この通信路の容量を定量的に評価したい
空間と距離
付随する距離
ユークリッド空間
ユークリッド距離
自然な埋め込みが存在
量子状態のなす
空間
ダイバージェンス
d 2  1 次元凸体

ここの構造を
知りたい!
純粋量子状態のなす
空間
2d  2 次元超平面
測地線距離
Fubini-Study距離
Bures距離
関係を知りたい
なぜボロノイ図なのか?
• 2種類の距離について、「どのくらい似ている
か」を示すために有効な指標である
• 連続構造を離散構造で近似して考えるため
の道具として有効だと考えられる
– 実際にHolevo容量の数値計算[Oto, Imai, Imai ’04]の
一部として、ボロノイ図が利用されている
– それ以外にも、量子情報関連で通信容量の計算
などに将来応用されるかもしれない
量子状態
• 密度行列は、素粒子の状態の確率的分布を
あらわす
• 密度行列  は、次の条件を満たす複素行列
である
– エルミート
– 半正定値
– トレースが1
  *
 0
T r  1
• 行列のサイズがdxdであるとき、これをd準位
と呼ぶ(特にd=2のときは1-qubitと呼ぶ)
純粋状態
単一素粒子の状態を表す

pure
 vv
*
v は列ベクトル
*
ただしv は随伴行列
混合状態
純粋状態以外の状態
純粋状態の確率的混合を表す
pure
i i
i
ただしpi は少なくとも2つ以上は0でない
 p
こう表されることと
rank
は同値
pure
1
rank  2
と同値
得られた結果
• 1-qubit(d  2)の純粋量子状態について、い
くつかの距離でのボロノイ図が一致すること
を示した
・・・
ダイバージェンス
ユークリッド距離
Fubini-Study距離
• 3準位以上(d  3)の純粋量子状態について
は、上記のボロノイ図の一致は起こらないこ
とを示した
ダイバージェンス
ユークリッド距離
行列のパラメータ表現
1-qubit(2x2行列)の場合
  *
 0
T r  1
1  1  z x  iy 
, x, y, z  R, x 2  y 2  z 2  1
  
2  x  iy 1  z 
中身が詰まった球になる:Bloch球と呼ばれる
純粋状態に対応するのは球の表面
d準位(dxd行列)の場合
  *
T r  1
 0
一般には非常に複雑な不等式に
純粋状態のなす部分空間は複雑な構造
ボロノイ図
与えられたn点について、点の近接関係による支配
関係を示した図
点Aの支配領域
例:
点B
点A
a
c
点C
b
d
点D
min{a, b, c, d }  a が成り立つ
量子状態の距離
• Fubini-Study距離
cosdFS (, )  Tr
• Bures距離
dB (, )  1 Tr
(ただし、上記は純粋状態における距離)
ダイバージェンス
古典版:
Kullback-Leiblerダイバージェンス
2つの確率分布 pi i , qi i の間の距離
DKL ( P || Q)   pi (log pi  log qi )
i
量子版:
量子ダイバージェンス
D ||    T r (log  log )
 1

 log 1





*
*

X
log


X

ただし、   X 
のとき


 X と定義


log d 
d 


したがって、  の固有値が0になるところでは定義されない。
特に、純粋状態では定義されない
注意:これは「2つの状態の近さ」を表すが、距離の公理は満
たしていない。
定理1[Kato, Oto, Imai, Imai ’05]
• 1-qubitかつ純粋状態(Bloch球)については、
以下のボロノイ図は一致する
– Fubini-Study距離
– Bures距離
– Euclid距離
– 測地線距離
– ダイバージェンス
注意:ダイバージェンスは純粋状態については定義され
ていないので、その極限をとる
ダイバージェンスは純粋状態では定義できない
D ||    T r (log  log )
 は純粋状態でもいいが、  が純粋状態は定義できない
純粋状態では固有値0がある
log 0 は定義できないが、 0 log 0 は自然に0と定義できる
しかし、ダイバージェンスのボロノイ図は純粋状態でも
定義できる!
「縮小してから膨張させる」
を固定してボロノイ図を考えてから
をとる
極限をとる
混合状態のみで定義
されるボロノイ図
自然に純粋状態に延
長できる
1-qubitのHolevo容量の数値計算[Oto, Imai, Imai ’04]
量子通信路:量子状態に対するアフィン変換
Holevo容量:量子通信路による像の、ダイバージェンスでの最小包
含球の半径
最小包含球の中心になる
のは第2要素
数値計算のアイデア:離散的に均等な点を取って、その像を計算
均等に点をプロット
その像の最小包含球を計算
(ダイバージェンスの意味で)
注意:実際にはこの図のようにならずもっとゆがんだ形になる。
最小包含球は4点で決まることが知られている[Hayashi et al. ’04]
実際の最小包含球の様子













x'
























x











 (x, y, z)  (x', y', z'), y'  A y b













z'
z













0.6
0
A  0 0.601
0
0
0 ,
0
b













0.5













0.021
0
0.495
なぜこれが重要??
2つの意味で、重要なアプリケーション
ボロノイ図を計算過程で使用
最小包含球を
求める部分で(最遠点ボロノイ図)
2つの距離(ユークリッド距離、ダイバージェンス)
についての近接関係の一致(定理1)が近似計算
の有効性を保証
均等な点のプロットはユークリッド距離の意味で、最小包
含球の計算はダイバージェンスの意味であることに注意
3準位以上のケース[Kato, Oto, Imai, Imai ’06, to appear]
3準位以上では、ユークリッド距離とダイバー
ジェンスに関するボロノイ図は一致しない
定理2[Kato, Oto, Imai, Imai ’06, to appear]
•密度行列のなす空間は、ある超平面による切り口では中身
のつまったEllipsoidとなり、純粋状態はその表面に対応する
•その純粋状態上でダイバージェンスによるボロノイ図は、そ
れをアフィン変換によって得られる球の測地線によるボロノイ
図に等しい
アフィン変換で球に変換
切り口上のボロノイ図
測地線のボロノイ図と一致
証明のアイデア
密度行列の全体:
幾何的に複雑でよくわ
からない
??
ある超平面による切り
口を考える
うまく超平面を選ぶと、単純
な幾何構造が現れる
この上でボロノイ図が一致しな
いことを示す
計算の過程
ダイバージェンスの計算がしやすい!
超平面
で切り取る
の条件の下、
rank=1となるための必要十分条件:
半正定値になるための必要十分条件:
中身の詰まったEllipsoid
Case 1:1点
Case 2:1点
or
Case 3:
1-qubitのときと構造が似ている。
「縮小してから膨張させる」という手法が
ここでも使える。
Ellipsoidの表面
例
注意:資料中Example 1は間違い!
正しくは、
一致する
ダイバージェンス
ユークリッド距離
Example 3
一致しない
ダイバージェンス
ユークリッド距離
まとめ
• 1-qubitの純粋状態では、いくつかの距離に
関するボロノイ図が一致することを示した
・・・
• 3準位以上では、上記の一致性は成り立たな
いことを示した
課題
他の切り口は? 他のパラメタライゼーションは?
Thank you
ありがとうございました