企業法Ⅰ講義資料 No.03 File No.01 株式と株主 I. 株式の概念 II. 株主の権利と義務 テキスト参照ページ:35~48p 1 Ⅰ 株式の概念 1:株式の意義と特色① • 「株式」とは:株式会社の社員たる地位を細分化し、 割合的単位の形で表したもの →株主(株式の所有者)の個性喪失 • 社員たる地位:会社に対する種々の権利・義務 • 細分化:小額の資本を広範に集めやすい • 持分均一主義:個々の株式の内容は全て均一 – 例外:種類株式(108条) • 持分複数主義:各株主は、その保有する株式の数 に応じた地位を有する→株主と会社間の法律関係 2 の画一化・容易化に資する 持分複数主義 • 株主の数がどれだけ多くなろうと、会社はそ れぞれの株主について持株数に応じた扱い をすればよい • 持分会社:持分単一主義(持分不均一主義) – 出資額に応じて大きさの異なる1個の持分を有 する – それぞれの社員の出資額に応じて扱いが異なる (ただし、「出資額=持分の大きさ」に応じない利 益配当も定款自治により認められる) 3 1:株式の意義と特色② • 「株式不可分の原則」:cf.株式分割(183) – 1個の株式をさらに細分化し、1個の株式に含まれる諸 権利(議決権・配当請求権など)を部分的に分けて行使、 譲渡することはできない • 株式の併合または分割によって一株に満たない端 数が生じる場合 – 端株制度の廃止→一株に満たない端数は競売し代金 を端数の持ち主に分配 • 株式の共有:共同引受、相続などにより生じる – 原則として、株主としての権利を行使する代表者1名を 決め、氏名または名称を会社に通知する (106) 4 2:株式の権利性① • 株式にはどのような権利が含まれている か?→「社員権」(通説) – 株主が社員たる地位において会社に対して有す る諸種の権利の総体を社員権と呼ぶ • 社員権:「自益権」+「共益権」(後に詳述) – 自益権:株主自身が会社から経済的利益を受け ることを目的とする権利 – 共益権:株主が会社の経営に参加し、経営を監 督することを目的とする権利 5 2:株式の権利性② • 通説→株式の相続、譲渡によって自益権とと もに共益権も当然移転し、譲受人は、共益権 も自己の利益のために行使してよい ※社員権否認論:株式に共益権は含まれない という見解(両者を含む社員権という概念を 認めない) ⇒この見解の中にも社員権否認説、株式債権 説、株式会社財団説等がある 6 3:株式の無額面化 • 従来は額面株式と無額面株式のいずれを発 行することも自由とされたが、平成13年の商 法改正により、額面株式が廃止され、全ての 株式が無額面となり、無額面株式という用語 も消えた • 株券:一株あたりの額面の定めはなく、株券 には株式数のみが表示(100株券、1000株 券など) 7 4:株式の内容についての特別の定め • 株式会社が発行する全部の株式の内容につい て、3通りの特別な事項を定めることができる (107Ⅰ) • 全株式が同一内容のため、後述する種類株式 (108Ⅰ)とは異なる点に注意 ① 譲渡制限株式(2⑰、107Ⅰ①) ② 取得請求権付株式(2⑱、107Ⅰ②) ③ 取得条項付株式(2⑲、107Ⅰ③) 8 譲渡制限株式(107Ⅰ①) • 定義:譲渡による当該株式の取得について 当該株式会社の承認を要する旨の定めの ある株式 • 定款で定めなければならない事項(Ⅱ①) イ)譲渡による取得につき会社の承認を要する旨 ロ)一定の場合に株主または取得者からの承認請 求に対する承認をしたものとみなすときは、そ の旨および当該一定の場合(136、137Ⅰ参 照):株主間の譲渡については、承認をしたも 9 のとみなす等 譲渡制限株式(107Ⅰ①) • 承認請求の方法(138) • 当該株式会社の承認:原則として、取締役会設置 会社では取締役会、それ以外の会社では株主総 会の決議。ただし、定款で他の機関を承認機関と 定めることができる(139Ⅰ) • 定款の別段の定め:株主間の譲渡につき承認不 要(有限会社型)、特定者に対する譲渡には代表 取締役の承認または承認不要、取締役会設置会 社でも株主総会あるいは代表取締役を承認機関と する等 10 取得請求権付株式(107Ⅰ②) • 定義:当該株式について、株主が当該株式会社に 対して、その取得を請求することができる旨の定め がある株式(株主の権利として取得請求可能) • 定款で定めなければならない事項(Ⅱ②) イ)株主が会社に対して、有する株式を取得することを請 求できる旨 ロ)社債を取得対価とする場合、当該社債の種類および 種類ごとの各社債の金額の合計額またはその算定方 法 ハ)新株予約権を取得対価とする場合、当該新株予約権 の内容および数またはその算定方法 11 取得請求権付株式(107Ⅰ②) ニ)新株予約権付社債を取得対価とする場合、当該新株 予約権付社債の社債に関するロに規定する事項およ び新株予約権部分に関するハに規定する事項 ホ)株式等(株式、社債および新株予約権)以外の財産を 取得対価とする場合、当該財産の内容(親会社株式、 金銭など)および数もしくは額またはこれらの算定方法 ※以下会社法における「株式等」という文言についての 定義規定であることに注意 ヘ)取得請求権の行使期間 • 取得請求の手続や財源規制につき166以下参照 12 取得条項付株式(107Ⅰ③) • 定義:一定の事由が生じたことを条件として、株式 会社が株主の同意を要せず、これを取得できる権 利の付された株式(無償取得を含むと解される) • 定款で定めなければならない事項(Ⅱ③) イ)一定の事由が生じた日に当該株式会社がその株式を 取得する旨およびその事由 ロ)会社が別に定める日が到来することをもってイ)の事 由とするときはその旨(会社が特定の取得日を決める ことができる)(168参照) ハ)一部の取得条項付株式を取得する場合はその旨およ び取得する株式の一部の決定方法(169参照) 13 取得条項付株式(107Ⅰ③) 二)社債を対価とする場合、当該社債の種類および種類 ごとの各社債の金額の合計額またはその算定方法 ホ)新株予約権を取得対価とする場合、当該新株予約権 の内容および数またはその算定方法 へ)新株予約権付社債を取得対価とする場合、当該新株 予約権付社債の社債に関するロに規定する事項およ び新株予約権部分に関するハに規定する事項 ト)株式等以外の財産を取得対価とする場合、当該財産 の内容および数もしくは額またはこれらの算定方法 • 取得請求の手続や財源規制等につき170条以下 参照 14 CHECK! • 取得請求権付株式および取得条項付株式の取得 の手続はどのようなものか、効力発生時期はいつ か、またその際のそれぞれの株主の法的地位はど うなるか? ※株券発行会社の場合は?(166Ⅲ、219参照) • 会社成立後、普通株式に107Ⅰ②または③の定め を設けるためにはどのような手続が必要か? ※110条に注意 • 108Ⅰ⑤、⑥の定めを設ける場合はどうか? 15 5:異なる種類の株式(種類株式) • • 株式が割合的単位である以上、その権利内容は 均一でなければならないが、必要に応じて、定款 に株式の権利内容およびその数(発行可能種類 株式総数)等を定めることにより、権利内容の異 なる2種類以上の株式を発行することができる (108Ⅰ、Ⅱ)→旧商法の数種の株式の他、譲渡 制限株式なども種類株式として発行できるように なった) ただし、委員会設置会社および公開会社は、役 員選任権付種類株式を発行することはできない (108Ⅰ但書) 16 ①②優先株・劣後株(108Ⅰ①②) • 「優先株」:会社が発行する標準的な株式(普通 株)に比べて、剰余金の配当、残余財産の分配ま たはその双方について優先的な取り扱いが認めら れる株式 ⇒業績不振の会社が資金調達する際に、優先株で 新株発行すると、株主を集めやすくなる • 「劣後株」:普通株に比べて劣後的な取り扱いを受 ける株式 ⇒業績好調な会社が新株発行により資金調達する 場合に、劣後株を利用すると、既存の株主(普通 株主)の利益を害さずに資金調達できる 17 ①②優先株・劣後株 • 剰余金の配当:当該種類の株主に交付する配当 財産の価額決定方法、剰余金の配当をする条件 その他剰余金の配当に関する取扱いの内容を定 款で定める(108Ⅱ①) • 残余財産の分配:当該種類の株主に交付する残 余財産の価額決定方法、残余財産の種類その他 残余財産に関する取扱いの内容を定款で定める (108Ⅱ②) 18 参考:トラッキング・ストック • 会社の特定の事業部門や子会社の業績のみに株 価が連動する仕組みの種類株式 • 「剰余金の配当に関して内容の異なる種類の株式 を定めた場合、定款で上限額またはその他の算定 基準の要綱を定めておくことを条件に、具体的配 当額については、募集新株の発行を決定する株主 総会または取締役会に細目の決定権を付与する 旨を定款に定めることができる(108Ⅰ①・Ⅱ①・ Ⅲ)」こととなり、H13商法改正によるトラッキング・ ストックの法的有効性が維持された 19 ③議決権制限株式(108Ⅰ③、Ⅱ③) • 株主総会において議決権を行使できる事項および 当該種類の株式につき議決権の行使の条件を定 めるときはその条件を定款で定める • 議決権を全く与えない無議決権株式も含む(無議 決権株式は必ずしも優先株でなくてもよく、剰余金 の配当がなされなくても議決権が当然には復活し ない • 公開会社では、議決権制限株式の数は、発行済 株式総数の2分の1を超えてはならない。超えた場 合は直ちに必要な措置をとらなければならない (115):無効になるわけではない 20 ④譲渡制限株式(2⑰) • 定義および定款で定めるべき事項は、107条 1項1号および2項1号に同じ(108Ⅰ④、Ⅱ ④) • 公開会社(2⑤)も種類株式としての譲渡制 限株式を発行することがあり得る • 107条の場合を区別するため便宜上、譲渡 制限種類株式と呼ぶこともある • 会社から譲渡制限株式の相続人等に対する売渡 請求(174)制度についても確認しておくこと:自己 21 株式の取得で詳述 考えてみよう! 1. 譲渡制限株式の発行が認められるのはな ぜか? 2. 会社成立後、全ての株式に譲渡制限を付 けるためにはどのような手続が必要か? 3. 種類株式発行会社が一部の種類の株式 に譲渡制限を付ける場合(108Ⅰ④)はどう か? 22 ⑤取得請求権付株式(108Ⅰ⑤) ⑥取得条項付株式(108Ⅰ⑥) • 基本的には107条におけるそれぞれと同じ • 種類株式発行会社であることから、取得対価 として当該株式会社の他の種類の株式を交 付することができる(108Ⅱ⑤ロ、⑥ロ) – この場合は当該他の株式の種類および数また はその算定方法を定款で定める • 定款を変更して取得条項を付すためには、 当該種類の株主全員の同意が必要(111Ⅰ) 23 旧商法との関係 • 義務償還株式→現金を対価とする取得請求権付 株式に相当 • 転換予約権付株式→他の種類の株式を対価とす る取得請求権付株式に相当 • 随意償還株式(会社が償還の請求をできるもの) →現金を対価とする取得条項付株式に相当 • 強制転換条項付株式(議決権のある株式から無議 決権株式へ等)→他の種類の株式を対価とする取 得条項付株式に相当 24 ⑦全部取得条項付種類株式 • 会社が株主総会の特別決議によってその全部を 取得する定めのある種類株式(108Ⅰ⑦、171Ⅰ、 309Ⅱ③) • 民事再生法や会社更生法によらない100%減資を 一度の株主総会で行うことができる • 例)債務超過で支援企業等からの資金調達をして 再建する場合、支援企業等以外の株主の存在が 障害になる – 既存株主の株式を全部取得条項付とする定款変更 – 取得条項付でない別の種類の株式を発行する旨の定 款変更 – 既存株主の株式を全部取得する株主総会決議 25 ⑦全部取得条項付種類株式 • 取得対価の内容およびその割当、取得日について は株主総会決議(特別決議)で定める(171Ⅰ) • 無償取得とすることも可能 • 有償取得の場合は財源規制あり(461Ⅰ④) • 対価に不服のある株主は、裁判所に価格決定請 求できる(172) • 理由説明義務:取締役は、株主総会において、全 部取得条項付種類株式の全部を取得することを必 要とする理由を説明しなければならない。 – 全部取得条項付種類株式を取得する条件について、法文上は債務超過また は正当な理由があるとき、といった要件は規定されていないが、理由説明が 26 不十分であれば、総会決議の瑕疵になり得る ⑧拒否権付種類株式 • 株主総会(取締役会設置会社の場合は株主総会 または取締役会)において決議すべき事項のうち、 当該決議の他、その種類の株式の種類株主総会 の決議があることを必要とする旨の定めがある種 類株式(108Ⅰ⑧):いわゆる黄金株 • 種類株主総会の決議を必要とする事項および決 議を必要とする条件を定めるときはその条件を定 款で定めなければならない(108Ⅱ⑧) • 株主総会の特別決議事項について、当該特別決 議に加えて、拒否権付種類株主総会の決議を必 要とするなど(公開会社でも譲渡制限できる) 27 ⑨役員選任権付種類株式 • その種類株式の種類株主総会において取締役ま たは監査役を選任する旨の定めのある種類株式 (108Ⅰ⑨) • 定款で定めるべき事項(108Ⅱ⑨) イ)種類株主総会で取締役または監査役を選任することおよび選 任する数 ロ)他の種類株主と共同して選任することとする場合は、他の種類 株主の有する株式の種類および共同して選任する役員の数 ハ)イ・ロに掲げる事項の変更条件がある場合は、その条件および 条件成就後のイ・ロに掲げる事項 ニ)その他法務省令で定める事項 • 定款の定めのみなし廃止について(112参照) 28 定款変更の特則 • ある種類の株式の内容として、譲渡制限の定め (108Ⅰ④)または全部取得条項付種類株式の定 め(108Ⅰ⑦)を設ける場合の定款変更は、定款変 更の決議の他、当該種類の種類株主、取得請求 権・取得条項の内容として当該種類の株式を対価 として取得する定めがある種類株主それぞれの種 類株主総会決議が必要(111Ⅱ) • 譲渡制限の場合は特殊決議(324Ⅲ①)、全部取 得条項の場合は特別決議(324Ⅱ①) • 決議に反対の種類株主には、株式買取請求権が 29 認められる(116Ⅰ②) 6 発行可能株式総数(113) • 発行可能株式総数についての定款の定めは廃止 できない(1項) • 定款を変更して発行可能株式総数を減少させる 場合、変更後の発行可能株式総数は、当該定款 変更の効力発生時の発行済株式総数を下回るこ とはできない(2項) • 定款を変更して発行可能株式総数を増加させる 場合、変更後の発行可能株式総数は、当該定款 変更の効力発生時の発行済株式総数の4倍を超 えることはできない(3項)⇒非公開会社にはこの 30 制限は適用されない 6 発行可能株式総数(113) • 新株予約権の新株予約権者が、予約権の行 使(282)により取得する株式の数は、発行可 能株式総数から発行済株式(自己株式を除 く)の総数を控除して得た数を超えてはならな い(4項) • 敵対的買収に対する対抗措置として新株予約権を 発行する場合、予約権の行使により発行済株式総 数が発行可能株式総数を超えることとなる場合は、 定款を変更して発行可能株式総数を増加させなけ ればならない(113Ⅲ)⇒株主総会の特別決議が必 31 要 7 発行可能種類株式総数(114) • 定款を変更して発行可能種類株式総数を減少す る場合も同様に発行済の当該種類株式総数を下 回ることはできない(1項) • 取得請求権付株式、取得条項付株式の取得対価 として他の種類の株式を交付する場合、株主が 取得する他の種類株式の数は、当該種類株式の 発行可能種類株式総数から発行済種類株式を控 除した数を超えることはできない(2項①②) • 新株予約権の内容が種類株式である場合も同様 (2項③) 32 Ⅱ 株主の権利と義務 1:株主の権利(105Ⅰ) 1. 2. 自益権と共益権 自益権:剰余金配当請求権、残余財産分配請求権、 新株予約権、株式買取請求権、名義書換請求権、株 券交付請求権(株券発行会社に限る)など 共益権:議決権、株主提案権、質問権、総会招集権、 総会決議取消訴権、役員等の解任請求権、代表訴訟 提起権、違法行為差止請求権、帳簿閲覧権、解散請 求権など(株主の経営に対する監督是正権) 単独株主権と少数株主権 株主の権利のうち、各株主が単独で行使できる権利 を「単独株主権」と呼び、総株主の議決権の一定割合 以上または一定割合以上の株式数を有する株主の33 みが行使できる権利を「少数株主権」と呼ぶ 2:株主の義務・責任 • 出資履行義務(34、63、208、104):株主になろう とする者は、会社に対して株式の引受価額を限度 に出資を履行する義務を負う=株主有限責任 →厳密には、株式引受人の義務。全額払込制によ り株式を引き受けた者(株式引受人)は、株主とな る時点で全額出資を履行していなければならない ので、株主となった後は会社に対して何ら義務を 負わない 34 3:株主平等原則(109Ⅰ) 1. 2. 3. 意義 「株主は、株主としての資格に基づく法律関係に ついて、その有する株式の内容および数に応じ て平等の取扱いを受ける」 平等原則に反する行為:平等原則に反する定 款の定め、株主総会決議、取締役会決議、代表 取締役の行為などはすべて無効→多数決の濫 用から少数株主を保護する機能を果たす 平等原則の例外:種類株式は例外ではなくなっ た。少数株主権、単元株制度における単元未満 株式について議決権を有しないとすることなど は、平等原則に対する法定の例外 35 3:株主平等原則(109Ⅱ、Ⅲ) • 非公開会社についてのみ認められる例外(109Ⅱ) ⇒105条1項各号に掲げられる権利(剰余金配当請 求権、残余財産分配請求権、株主総会における議 決権)につき株主ごとに(人的属性に基づいて)異 なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる • 例:株式数によらない頭数多数決、全株主に同額 配当など • 種類株式ではないが、異なる取扱いにより損害を 被るおそれのある株主のために、有する株式を種 類株式とみなして法定種類株主総会制度を適用す 36 る(109Ⅲ) 4 反対株主の株式買取請求権 • 会社が定款変更等一定の行為をする場合には、 当該行為に反対の株主は、会社に対し、自己の有 する株式を公正な価格で買い取ることを請求する ことができる(116Ⅰ)。これを反対株主の株式買取 請求権という。 • 旧商法より広い範囲で認められるようになり、議決 権の有無にかかわらず買取請求権が認められる こととされた(116Ⅱ①ロ)。 • 「決議なかりせばその有すべかりし公正なる価格」 が単に「公正な価格」に統一された。 37 • 手続の内容については別紙資料参照 株式買取請求権が認められる場合(116) 1. 全部の株式について譲渡制限の定めを設ける定 款変更(107Ⅰ①参照) 2. ある種類の株式につき、譲渡制限種類株式また は全部取得条項付種類株式とする定めを設ける 定款変更(108Ⅰ④、⑦参照) 3. 以下の行為をする場合に、ある種類の株式を有 する種類株主に損害を及ぼすおそれがあるとき (種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定 めがある場合に限る:322Ⅱ)⇒原則として損害を 受けるおそれのある種類株主の種類株主総会決 議が必要(322Ⅰ) 38 116Ⅰ③に掲げる行為 イ)株式の併合または株式の分割 ロ)株式無償割当(185) ハ)単元株式数についての定款変更 二)株主割当で行う株式引受人の募集 ホ)株主割当で行う新株予約権の引受人の募 集 ヘ)新株予約権無償割当(277) 39 5 新株予約権買取請求権 • 全部の株式の内容として譲渡制限を設ける旨の定 款変更またはある種類の株式につき、譲渡制限種 類株式または全部取得条項付種類株式とする定 めを設ける定款変更を行う場合に、要件をみたす 新株予約権者は、会社に対し、自己の有する新株 予約権を公正な価格で買い取ることを請求できる (118Ⅰ)。 • 前者の場合は全部の新株予約権者 • 後者の場合はその種類の株式を目的とする新株 予約権の新株予約権者 40 新株予約権買取請求権制度の趣旨 • 旧商法は、将来行使される新株予約権が発行さ れている場合は、譲渡制限の定めを設ける定款 変更決議をすることができないものとされていた (旧商348Ⅲ)。 • 会社法は、定款変更を認めた上で、不利益を受 ける新株予約権者に買取請求権を与える形で救 済手段を確保した。 • 手続の詳細は別紙資料参照 41 利益供与の禁止(120) • 株式会社は、何人に対しても、株主の権利の行使 に関し、財産上の利益の供与をしてはならない (120Ⅰ) • 株主以外の者への利益供与も禁止される • 会社または子会社の計算(経済的効果の帰属)で 行われるものに限る(取締役らのポケットマネーに は規制は及ばない) • 特定の株主への無償での財産上の利益供与は、 権利行使に関してなされたものと推定される。有償 であっても、対価が著しく不均衡な場合も同様 42 (120Ⅱ)
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