スライド 1 - 京都産業大学

企業法Ⅰ講義資料 No.03
File No.02
 株式と株主
I. 株主名簿
II. 株式の譲渡
III. 自己株式の取得(買受)
テキスト参照ページ:101~112p,48~80p,86~88p
1
Ⅰ 株主名簿①
1. 株主名簿の定義
「株主及び株券に関する事項を明らかにするため、会
社法上、株式会社に作成(121)および備置(125Ⅰ)が
義務づけられた帳簿または電磁的記録」
2. 機能(存在意義)
株式会社では、株主の数が多数で、それが絶えず変動
することが予定されている(株式の自由譲渡性、相続な
ど)ので、会社と株主の法律関係を確定し、株主管理
事務を確実・簡便に処理するためのもの
⇒株主の権利行使は株主名簿の記載に基づ
いてなされる
2
Ⅰ 株主名簿②
1. 株主名簿の記載事項(121、132):株主・株式・株
券に関する基本情報、その他必要に応じて、登
録質(148)、株券発行会社における株券不所持の
申出(217Ⅲ)の記載などを記載・記録する
2. 株主名簿記載事項を記載した書面の交付等:株
券を発行しないのが原則となったため、それに代
わる書面等の交付を会社に請求できることとした
(122Ⅰ~Ⅲ)⇒株券発行会社には適用されない
3. 株主名簿管理人(123):株式会社に代わって株
主名簿の作成、備置きその他の事務を行う者⇒
3
設置する場合は、定款で定める(911Ⅲ⑪参照)
参考:株式振替制度
株主名簿
甲株式会社
(発行会社)
名義書換
実質株主通知
(総株主通知)
振替機関
振替株式
振替株式
配当・招集通知等
Aは証券会社に口座を開設し、
株の売買を委託する。
口座管理機関(金融
商品取引業者等)
甲会社
株主A
4
参考2:株式振替制度
• 社債、株式等の振替に関する法律(社債株式振
替)による株券振替制度の施行日(一斉移行日)
に上場会社の株券は一斉に電子化され、証券は
無効となる
• 上場会社は、一斉移行日を効力発生日として、株
券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款変
更決議をしたものとみなされる
• 一斉移行日は、2009年1月5日
• 制度の詳細は「ほふり」で検索
5
Ⅰ 株主名簿③
1. 株主名簿の備置きおよび閲覧(125Ⅰ、Ⅱ)
1.
2.
株主名簿は会社の本店または株主名簿管理人の営業所に備
え置かなければならない
株主および債権者は、原則として営業時間内は、いつでも請
求の理由を明らかにして、閲覧・謄写等の請求ができる
2. 閲覧拒絶事由(125Ⅲ)
 権利の確保または行使に関する調査以外の請求
 業務遂行の妨害または株主共通の利益を害する目的での請
求
 請求者が会社と実質的競争関係にあるとき
 利益を得て情報を漏洩する目的での請求
 請求者が過去2年以内に利益を得て情報を漏洩した者である
6
Ⅰ 株主名簿④
 名義書換
 株式の譲渡は当事者間では意思表示(株券発
行会社においては意思表示と株券の交付)だ
けで足りる(127、128Ⅰ本文)が、会社に対する
関係では、株主名簿の名義を自己に書き換え
てもらわなければ会社その他の第三者に対抗
できない(130I)
 株券発行会社においては、株券の占有が第三
者対抗要件なので名義書換は会社に対する対
抗要件となる(130Ⅱ)
7
Ⅰ 株主名簿⑤
 名義書換請求権(133Ⅰ):株式を承継取得
した者(株式取得者)は、会社に対して名義
書換の請求をすることができる(自己株式
の取得については132②)
 株券の不発行が原則⇒名義書換の請求は、
原則として株式取得者と株主名簿上の株主
またはその相続人その他の一般承継人と
共同でしなければならない(133Ⅱ)
 利害関係人の利益を害するおそれがない場合
として法務省令で定める場合は単独請求でき
8
る(会施規22)
名義書換に関する論点
※株式譲受人からの名義書換請求を会社が
拒絶できるか?(大判昭3.7.6参照)
※名義書換未了の株主の権利行使を会社が
認めることができるか?(最判昭30.10.20、百
選15事件参照)
※名義書換失念と新株引受権の帰属(百選16
事件参照)
9
Ⅰ 株主名簿⑥
• 株主として権利行使ができるのは、原則とし
て権利行使時の株主名簿上の株主である。
• 他方、現実に権利行使する日以外の時点の
株主に権利行使させる必要性もある。そのた
めの制度として基準日がある(124Ⅰ)
• 株主名簿の閉鎖制度はH16改正により廃止された
→大量の株主の権利行使を円滑確実にする事務処
理上の便宜の制度
→株主総会で議決権を行使しうる株主、利益配当を
受けうる株主を確定させるため等に基準日が定め
られる
10
Ⅰ 株主名簿⑥
1.
2.
3.
4.
5.
一定の日(基準日)を定めて、基準日において株主名簿
に記載されている株主(基準日株主)を権利行使できる
者と定めることができる(124Ⅰ)
会社は、基準日株主が行使できる権利の内容を定めな
ければならない:3ヶ月以内に行使すべき権利に限る(124Ⅱ)
基準日は定款で定めるか、基準日を定めるたびにその2
週間前までに公告しなければならない(Ⅲ)
基準日株主が行使できる権利が総会議決権である場合、
会社は、基準日後に株式を取得した者の全部または一
部を当該権利を行使することができる者と定めることが
できる⇒明文化(Ⅳ)ただし、基準日株主の権利を害す
ることはできない
Ⅰ~Ⅲは、登録株式質権者に準用される
11
株主に対する通知の省略
1. 所在不明株主:会社の株主に対する通知・
催告は株主名簿の住所宛に発せられる
(126)
→株主が転居届を怠ると、通知・催告が届かなくなる=
所在不明株主:通常到達すべきであったときに到達した
とみなされる
2. 5年以上継続して通知・催告が到達しない
場合、会社は当該株主に対して通知・催告
をしなくて良い(196Ⅰ)
←株主の権利は消滅しないため、株主の請求があれば
配当金を支払わなければならず、議決権の行使も認め
12
なければならないため、会社の管理コストが大きかった
所在不明株主の株式競売(197)
• 株式競売制度:所在不明株主(かつ5年間継続
して剰余金配当を受領していない者)の有する株式
を競売し、その代金を従前の株主に支払う
(197Ⅰ)制度
• 株式売却制度:競売以外の方法による任意
売却もできる(市場価格による売却・裁判所の許可に
よる任意の売却、会社自身が買い取る)
• 会社が買い取る場合は所定の事項を定め(取締
役会設置会社は取締役会決議)、財源規制に服
する(461Ⅰ⑥)
13
Ⅱ 株式の譲渡
1. 株式譲渡の意義
2. 株式譲渡自由の原則
3. 株式譲渡の制限
14
1 株式譲渡の意義
• 「売買、贈与あるいは交換など法律行為に
よって株式を移転すること」(特定承継)
←株式は相続、合併のような包括承継、強制執行
による競売等によっても移転する
※株式の譲渡は、原則として意思表示のみに
より当事者間では効力を生じる(127):株券
発行会社の株式は意思表示+株券の交付
(128Ⅰ)
15
2 株式譲渡自由の原則
(株式の自由譲渡性)
• 株式会社においては、株主は有限責任しか負わず、
会社債権者にとっては会社の資本のみが債権の
引当であるため、株主に対する出資の払い戻しは
認められない。したがって、株主にとって唯一の投
下資本の回収手段である株式譲渡の自由は可及
的に保障されねばならない。(必要性)
• 他方、株式会社の社員(株主)たる地位は割合的
単位である株式に細分化されるため、株主の個性
は問題にならず、自由譲渡性を認めても支障はな
い。(許容性)
16
3 株式譲渡の制限
•株式の自由譲渡性は可及的に保障され
ねばならないが、会社の事務処理上の
便宜等政策的要請から法律の規定によ
る制限を受ける他、同族的閉鎖会社等
人的関係の強い会社の需要から、定款
により株式の内容として譲渡制限を設け
ることができる等一定の例外が認められ
ている
17
(1)法律による制限①
① 時期による制限:
権利株の譲渡(50Ⅱ・208Ⅳ)⇒会社に対抗でき
ない
株券発行前の譲渡(128Ⅱ)⇒会社に対して効力
を生じない
※最判昭47・11・8民集26・9・1489、百選14事件参照
② 自己株式の取得規制(155):会社が自ら発行した
株式を買い取ることは、出資の払い戻しと同じこ
とであり、従来は原則として禁止されていた。平
成6年の改正以後、数度の改正により段階的に
規制が緩和(後述)
18
(1)法律による制限②
③ 子会社による親会社株式の取得の禁
止(135):後述
④ 独禁法上の株式取得・保有制限
(独禁9~11):市場支配による不当な
競争制限を防止
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(2)定款による制限
① 譲渡制限株式(107Ⅰ①、108Ⅰ④)
② 単元未満株式の譲渡制限(189Ⅲ):
⇒単元未満株式について、会社は単元未
満株券を発行しない旨を定款に定めること
ができる。この定めがあると株券発行会社
の単元未満株式は譲渡できなくなる
• 単元未満株主は会社に対して単元未満株
式の買取請求をすることができる(192Ⅰ)
• 単元株制度については、No03-3で扱う
20
(3)契約による制限
 契約自由の原則に反せず、譲渡自
由の原則の趣旨に反しない限りで
有効
① 株主相互間の契約:株主同士で売買の
予約を行う、など
② 会社以外の第三者と株主との間の契約
③ 会社と株主との契約(百選21事件解説
参照)
21
(4)株式の譲渡にかかる承認手続
① 譲渡制限株式(2⑰):わが国の大半の株式会社が同
族的な閉鎖会社であり、経営者にとって好ましくない者
が株主として経営に参加してくることを防ぐ(乗っ取り防
止)ため、譲渡による取得につき、株式会社の承認が必
要とする制限を株式の内容に関する定款の定めとして
認めた(107Ⅱ①、108Ⅱ④)
② 承認請求(136,137):株主または株式取得者は、
会社に対して譲渡制限株式の譲渡による取得の
承認をするか否かの決定をすることを請求できる
・ただし、取得者からの請求には133Ⅱと同様の
方法によることが必要(137Ⅱ)
22
(4)株式の譲渡にかかる承認手続
①承認するか否かの決定は、原則として株主総会(取締役
会設置会社は取締役会)決議による。ただし、定款で他の
承認機関を定めることもできる(139Ⅰ)
②承認するか否かの決定は承認請求者に通知(139Ⅱ)
③承認請求に際して、請求者は、「会社が譲渡を承認しない
場合は、会社側から指定買取人(先買権者)を指定するか、
会社が買い取る」ことを請求する場合はその旨も明らかに
しなければならない(138Ⅰハ、Ⅱハ)
④会社が③の請求を受けた場合に承認しない決定をすると
きは、会社が買い取るか、指定買取人を指定することがで
きる(140Ⅰ、Ⅳ)
23
(4)会社または指定買取人による買取
⑤ 会社が買取る場合には、株主総会の特別決議により、
その旨および買取る対象株式の数を定めなければなら
ない(140Ⅰ・Ⅱ、309Ⅱ①):自己株式取得の一例
⑥ 指定買取人(対象株式の全部または一部を買取る者)
の指定は、株主総会の特別決議(取締役会設置会社で
は取締役会決議)によらなければならない(140Ⅳ・Ⅴ、
309Ⅱ①)
⑦ ⑥の指定買取人は、定款で予め指定しておくこともでき
る(140Ⅴ但書)
⑧ 会社が自ら買取る場合には、財源規制(461)がある
⑨ 買取決定の通知(141、142)
⑩ ⑨の通知を受けた承認請求者は、相手方の承諾を受け
た場合に限り、請求を撤回できる(143)
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(4)売買価格の決定
1. 会社または指定買取人との間の売買価格の決
定は、当事者間の協議により、協議が調わない
場合は、買取の通知のあった日から20日以内に、
裁判所に対し、売買価格の決定の申立をするこ
とができる(144Ⅰ・Ⅱ・Ⅶ)。
2. 裁判所への申立てがなされた場合は、裁判所が
譲渡承認請求時における会社の資産状態等を
考慮して売買価格を決定する(144Ⅲ・Ⅳ)
3. 協議が調わず、裁判所に対する申立てもない場
合は、一株あたり純資産額に対象株式数を乗じ
25
た額が売買価格となる(144Ⅴ)
(4)承認したとみなされる場合
1. 承認請求から2週間以内に承認しない旨の通知
(139Ⅱ)をしなかった場合(145①)
2. 承認しない旨の通知(139Ⅱ)の日から40日以内
に買取の通知(141Ⅰ)をしなかった場合。ただし、
指定買取人が買取る旨の通知(142Ⅰ)を139Ⅱ
の通知の日から10日以内にした場合を除く(145
②)
3. その他、法務省令で定める場合(145③、会施規
26)
4. 会社と譲渡承認請求者との合意により別段の定
26
めをしたときはこの限りではない(145但書)
Ⅲ 自己株式の取得
1:自己株式取得規制の趣旨と規制緩和
•
取得規制の趣旨:株式の財産的価値に着目すれば、会社が自己株式を取得
することは理論的に可能であるが、次のような弊害を防止するため、法定の例
外を除き、自己株式の取得は原則として禁止されてきた。
①会社の財産的基盤を危うくする:有償取得により出資の返
還・払戻しと同様の結果が生じる、特に会社の業績悪化
により株価が下がると二重の損害を被る
②株式取引の公正を害する:相場操縦やインサイダー取引
に利用される
③株主平等原則に反する:一部の株主からのみ高値で買い
取る等
④経営者の支配権維持に悪用される:敵対的な企業買収に
対する防戦買い(経営者が会社の資産を自己の地位の
維持のために使うことになる)
27
2:平成13年商法改正による自己株式取得の規制
 自己株式の手続規制・取得方法
(株主平等原則の維持)
 自己株式の買受(有償取得)には、商法に別の
規定がある場合を除き、原則として、定時総会の
決議(普通決議)が必要(旧商210Ⅰ⇒会社156)
 「決議すべき事項」(旧商210Ⅱ①)
 次の定時総会終結時までに買い受ける予定の株式
の種類、総数および取得価額の総額
 つまり、定時総会で今後1年間に自己株式の買受を
行うこと、およびその枠を定めて取締役会に授権し、
財源規制の範囲内で目的を問わずに取得・保有する
28
ことができる
「別段の定めある場合」
1. 株主の株式買取請求に応じる場合:買受規制
を受けない
2. 会社が譲渡制限株式の買受人になる場合:特
別決議が必要(旧商204ノ3ノ2⇒会社140Ⅰ)
3. 取締役会の決議による場合(子会社からの買
受:旧商211ノ3Ⅰ①⇒会社163、定款の定めに
基づく市場取引等での買受:旧商211ノ3Ⅰ②
⇒165Ⅱ)
29
3:会社法上の自己株式取得規制
•
①
②
③
会社が自己株式を取得できる場合(155)
取得条項付株式の取得(168以下参照)
譲渡制限株式の譲渡承認請求者からの取得
株主との合意による取得(自己株式取得の原
則的手続:156以下参照)
④ 取得請求権付株式の株主からの請求による取
得(166以下参照)
⑤ 全部取得条項付種類株式の株主総会決議に基
づく取得(171以下参照)
30
3:会社法上の自己株式取得規制
⑥ 176Ⅰによる相続人等への売渡請求をした場合
⑦ 単元未満株式の買取請求に応じる場合
⑧ 所在不明株主の株式の売却における買取
⑨ 一株に満たない端数の売却における買取
⑩ 事業全部の譲受けに伴う取得
⑪合併に伴う承継
⑫会社分割に伴う承継
⑬その他法務省令で定める場合(無償取得等)
⑦、⑩~⑬→手続規制・財源規制なし
31
原則的取得手続
1. 予め株主総会の普通決議で所定の事項を定める
定時・臨時を問わない(156Ⅰ)
1. 取得する株式の数(種類株式発行会社では株式の種類および
種類ごとの数)
2. 取得対価の内容およびその総額(金銭等:当該会社の株式等
を除く)
3. 株式を取得できる期間(1年を超えることはできないが、1年以
内で自由に定めることができる)
•
この手続は、株主との合意による取得についてのみ適用される。それ以外
の155所定の場合には、別途取得手続が定められる(156Ⅱ)。
2. 市場取引または公開買付(金商27の2Ⅵ)によって自己
株式を取得する場合は、157条以下の手続は不要(公
正な価格での取得、株主間の平等が担保されるため:
165Ⅰ)⇒上場企業向け
32
原則的取得手続
3. 取締役会設置会社は、市場取引等により自己株式を取
得することを取締役会決議によって定めることができる
旨を定款で定めることができる(165ⅡⅢ):財源規制
(461Ⅰ②)
4. なお、子会社が保有する親会社株(親会社にとっての自
己株式)を子会社から取得する場合、156Ⅰの規定によ
る株主総会の授権に基づいて取得すれば、157条以下
の手続は不要
取締役会設置会社の場合は、株主総会ではなく、取締
役会決議でよい(163):財源規制(461Ⅰ②)
33
市場取引等以外の方法による買受手続(新
設)
1. 市場取引等以外の方法で取得する場合は、株主総会決
議による授権の枠内で、具体的な取得に関する事項の
決定を取締役(取締役会設置会社の場合は取締役会)
が行う(157Ⅰ、Ⅱ):数回に分けて取得する場合はその
つど具体的取得条件を決する:財源規制(461Ⅰ③)
1. 取得する株式の数
2. 一株あたりの取得対価の内容および数もしくは額また
は算定方法
3. 取得対価の総額
4. 株式の譲渡しの申込期日
34
市場取引等以外の方法による買受手続
2. 株主に対する通知(158):株主(取得する種類の種類株
主)に対し、157Ⅰ各号の事項を通知しなければならな
い(公開会社(=上場しているとは限らない)は公告でよい)
3. 譲渡しの申込(159):通知を受けた株主が譲渡を申し込
むための手続(Ⅰ)
・会社は157Ⅰ④で定めた期日に株主からの譲渡しの
申込を承諾したものとみなされる(Ⅱ本文)
・ただし、申込総数が取得総数を超える場合は、按分し
た割合で承諾したものとみなされる(Ⅱ但書)
⇒株主平等原則への配慮
※157~159は、非上場会社に公開買付類似の手続を
認めたもの
35
特定の株主からの取得
•
市場取引等による取得や上記手続によらず、特定の株
主からの取得も可能であるが、160条以下の手続に従
わねばならない。
1. 株主総会の授権にあわせて、株主に対する通知
(158Ⅰ)を特定の株主に対してのみ行う旨を特別決議
により定めることができる(160Ⅰ、309Ⅱ②括弧書)
2. 株主への通知:上記の定めを設ける場合、株主に対して
「特定の株主に自己を加えたものを特別決議の議案と
することを会施規28条で定める時(原則株主総会の2
週間前)までに請求できる旨(160Ⅲ):売主追加請求
権」を通知しなければならない(160Ⅱ)
ただし、定款で売主追加請求権を排除することもできる
(164)
36
特定の株主からの取得
3. 「特定の株主」は、156Ⅰの株主総会において議決権を
行使することはできない。ただし、他にその総会で議決
権を行使することができる株主がいない場合は、この限
りではない(160Ⅳ)
4. 決議が成立した場合は、特定の株主のみ(売主に追加
された株主を含む)に取得価格等具体的取得条件の通
知(157Ⅰ、158Ⅰ)をすればよい(160Ⅴ)
5. 取得する株式が市場価格のある株式で、かつ取得対価
が当該株式一株の市場価格として法務省令で定める方
法により算定される額を超えない場合は、売主追加請求
権を排除できる(161)。ただし、160Ⅰの特別決議は必
要:相互保有の解消のため特定の大株主からの取得を
確実にするため等
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特定の株主からの取得
• 相続人等からの取得の特則(162):非公開会社に
おいては、株主の相続人その他の一般承継人から
当該株式を取得する場合は、当該相続人等を除く
株主総会決議(156Ⅰ、160Ⅰ)があれば、相続人
等のみから自己株式を取得できる(他の株主の売
主追加請求権が排除される)。ただし、当該相続人
等が当該株式の議決権を行使した後は適用され
ない(162)
• 会社にとって好ましくない者が株主になることを防
止する要請と、相続人等の相続税支払資金捻出
38
手段としての活用の要請をみたす
特定の株主からの取得
• 会社の側から相続人等に対して当該株式の売渡を請求す
ることもできる(174):予め定款でその旨を定めておくこと
が必要
• 非公開会社においては、相続その他の一般承継の場合
にもその承継につき会社の承認を必要とするのと同様の
効果がある
• 売渡請求をする場合は、そのつど株主総会の特別決議が
必要(175)
• 財源規制(461Ⅰ⑤)
• 売渡請求は会社が相続等を知った日から1年に限られる
(176Ⅰ)
39
• 価格決定の手続については177条参照
4:財源規制(資本維持の要請)
1. 「分配可能額」の範囲内(461Ⅰ柱書き):自己株
式の取得、剰余金の分配等に関する財源規制
が一本化
2. 違反の場合は業務執行者等は、連帯して賠償
責任(462Ⅰ):立証責任の転換された過失責任
(462Ⅱ)
→任務懈怠責任ではなく、資本充実責任である
ので、責任の全額免除はできない。ただし、総株
主の同意があれば、行為時の分配可能額を限
度として賠償義務を免除できる(462Ⅲ)
3. 「取得価額」の総額制限(株主との合意による場
合:156Ⅰ②)
40
4:財源規制(資本維持の要請)
1. 欠損填補責任→自己株式取得等の結果、欠損
が生じたときは、職務を行った業務執行者は、会
社に対して連帯して欠損額の賠償責任を負う
(465Ⅰ):過失責任(無過失立証責任)
2. 免除には総株主の同意が必要(465Ⅱ)
3. ただし、取得財源として準備金の減少(448)、資
本金の減少(447)が認められるため、それらを財
源に加えることで、欠損の発生を回避することが
できる(441、461Ⅱ)
41
自己株式取得規制違反の効果
1. 業務執行者等の連帯賠償責任:違法に自己株式
を取得し、あるいは取得手続に違反すると金銭
等の交付を受けた者、職務を行った業務執行者
その他関与者は、連帯して損害賠償責任を負う
(462)他、罰則を科される(963Ⅴ①)
2. 違法な自己株式取得の効力(百選25事件、争点
Ⅰ39「違法な自己株式の取得」参照)
→ 平成13年改正前の通説・判例は、原則として無効
(最判昭43.9.5民集22.9.1846)だが、相手方からの
無効主張は認められないとする(相対的無効)←
株式譲渡によって望む結果を得ているし、無効
理由は?
主張を認めると相手方に投機の機会を与えてしまう
42
5:自己株式の法的地位①
①処分義務(改正前211)の廃止:会社は取得した自
己株式を、期間の制限なく保有できる(いわゆる
金庫株として保有できる)
②保有自己株式の地位:発行済株式総数は変化し
ない(当然に消却されるわけではない)
→議決権・その他の共益権はない(308Ⅱ):取締
役が支配の強化に利用しないように
→剰余金分配請求権もない(453)
→残余財産分配請求権もない:これを認めると清
算が終了しなくなるため(504Ⅲ)
43
5:自己株式の法的地位②
(承前)
→自己株式に自益権が認められないことに関して、新株引
受権、株式併合・株式分割を受ける権利が認められるか
について、学説上争いがあった:自己株式の財産的価値
を維持するために認める見解が有力だった
⇒会社法は株式分割等全部の株式について効力が発生
するものの他、自益権を認めない(無償割当:186Ⅱ等参
照)
③開示:貸借対照表、事業報告に記載される:平成13年改
正により自己株式の資産計上は否定され、純資産の部
(株主資本)の控除項目として扱われることとなった
44
6:自己株式の処分・消却①
①処分:公開会社は、取締役会決議でいつでも自由に処分
(売却など)できるが(199Ⅱ、201Ⅰ)、自己株式の処分は、
経済的実体が募集新株の発行と類似するため、原則とし
て、これと同様の規制が加えられる(199以下、200条を除
く)
※株式譲渡制限会社における自己株式の処分については、
株主に与える影響が大きいことから、原則として、株主総
会の特別決議が必要(199Ⅱ、309Ⅱ⑤)
• 譲渡制限会社も自己株式の処分に関する決定を取締役
(取締役会設置会社においては取締役会)に委任すること
ができるが、その委任は株主総会の特別決議によらなけ
ればならない(200Ⅰ、309Ⅱ⑤)
45
6:自己株式の処分・消却②
②株式の消却:会社法上、株式の消却とは
自己株式の消却のみを意味する
⇒会社は保有する自己株式をいつでも消却す
ることができる
• この場合、取締役(取締役会)は、消却する
自己株式の数(種類株式発行会社は自己株
式の種類と種類ごとの数)を定めなければな
らない(178)
• 会社は遅滞なく株式失効の手続をとらなけれ
ばならない
46
7:子会社による親会社株式の取得の
禁止(135) ①
①子会社が親会社の株式を取得することは原則として禁止
(135Ⅰ):親会社の経営者が不当に自己の支配力維持に
利用するおそれが高いため
②例外的に許容される場合(135Ⅱ):
1.他の会社の事業全部の譲り受け
2.合併後消滅する会社からの承継
3.吸収分割による承継
4.新設分割による承継
5.その他、 法務省令で定める場合
6.三角合併等の目的のために親会社株式を取得する場
合(800Ⅰ)
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7:子会社による親会社株式の取得禁止
②
③ 保有する親会社株式の地位:議決権その他の共益権
(帳簿閲覧権など)はない(308Ⅰ括弧書き)
→自益権や議決権を基準としない共益権(監督是正権)
は認められる
④ 処分:例外的に取得した親会社株式は相当の時期に処
分しなければならない(135Ⅲ)
⑤ 違法な取得:自己株式取得と同じ
⇒原則として無効であるが、譲渡人からの無効請求は認
められない。また子会社は譲渡人の悪意を立証しなけ
れば、無効の主張をできない(取引の安全)と解する
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