ネイションとエスニシティ 分裂と統合のヨーロッパ 民族と国家 異文化理解 冷戦終了と新しいヨーロッパ • 東西冷戦の終了 – ベルリンの壁崩壊(1989.11.9) – 東西ドイツの統合(1990.10.3) – 8月革命とソ連解体(1991) • 分裂と統合のヨーロッパ – チェコスロヴァキア、ユーゴスラビアの解体 – ECからEUへ 国家の枠組みの弱体化 民族間の摩擦の顕在化 少数民族独立運動 文化 政治の弱体化 政治 経済 経済統合への圧力 国境を越えた取引の増大 部族の成立 • 人間のアイデンティティ – 家族、親族、部族、国家、人類、生物 – 修身斉家治国平天下 • 親族から部族へ – 大家族制 – 家長同士の緩い同盟 – 同盟の持続と深化 民族の成立 • 部族間の抗争から民族の成立へ – 部族間の競争と対立 – 民族の成立 • 曼陀羅システム – 部族の緩い結合 – 強力なリーダーの出現と民族の隆盛 – 民族のアイデンティティの成立 曼陀羅システム 曼陀羅図 古代における世界像の成立 中国の例 北狄 西戎 中華 南蛮 東夷 古代文明の世界像 • 階層システム(Hierarchical System)の成立 – 中華と蛮夷(蕃夷) – Barbarian(←Barbari)の概念 • 野蛮人 • 非ギリシャ人、非ローマ人、非キリスト教徒 – ユダヤ教のGentile(異邦人)の概念 • 文化的な高さと軍事力の強さ – 中華の軍事力の低下は何をもたらすか 古代世界における覇権争い • 古代中国の覇権争い – 中原に鹿を追う – 鼎の軽重を問う • 金庸『鹿鼎記』の意味 • 春秋時代と戦国時代の相違 – 権力の根源 • Max Weber (1919), Politik als Beruf – 伝統、カリスマ、法 • 覇者と王者 国家の成立と国際社会 • 国民国家(Nation State)システムの成立 – ウエストファリア条約(1648年10月24日) • 30年戦争の講和条約 • 超国家的な権力による統一の断念 – 神聖ローマ帝国の空洞化 – 教皇の地位の低下 • 国際社会の発見 – 対等な主権を有する諸国家の並立 – 国益の追求と勢力均衡 国民国家の発展 • 絶対王政による中央集権化 – フランスの絶対王政とフランス革命(1789) • フランスの強大化 – ドイツ国家の成立を目指して • フィヒテ(Johann Gottlieb Fichte, 1762~1814) • ベルリン大学初代哲学教授 • 講演「ドイツ国民に告ぐ」 • 国民というアイデンティティ ネイションとエスニシティ Ethnicity 民族 Nation 国民 民族とは何か • 民族のアイデンティティ – さまざまな視点 • 言語の共有 • 文化や宗教の共有 – 歴史的経過による変容 • エスニシティ – 国家の成立とエスニシティの変容 ネイションとは何か • 国民の成立 – 「民族=国民」か • 欧米におけるNation – イギリス • イングランド、スコットランド、ウェールズなどはNation – カナダ • 英語系Nationとフランス語系Nationという概念の存在 – アメリカ • Nation=国民 – ドイツ語やロシア語のニュアンス – 国民より民族のニュアンスが強い? 国民の一体性の基礎 • 国民の創造 – 言語の統一、教育における国民意識の涵養 – 政治化したエスニシティとしての「民族」 • 想像の共同体(ベネディクト・アンダーソン) • 多民族国家 – アメリカの例 • メルティング・ポットからサラダ・ボウルへ • 星条旗への忠誠 • 多言語主義はアメリカを崩壊させるか? – スペイン語の拡大 民族と国家の現状と課題 • 一民族一国家の理念と現実 – 国家の大きさはどの程度が適当か – 各地域の経済状況の違いのもたらすもの • クエート問題、アチェ独立運動(インドネシア) • 一民族多国家と多民族一国家 – 一民族が複数の国を創っている場合 – 一民族が複数国で少数民族となっている場合 – 一国に複数の民族が存在する場合 • 拮抗している場合 • 多数派と少数派の場合 民族の中の対立 • 南北朝鮮問題 – アメリカとソ連の外交交渉 – 朝鮮戦争 – ドイツ統合は先例となるか • 台湾問題 – 中国と台湾の政治と経済 • ヨーロッパにおける民族と国家の状況 – 文化の共通性と国家としての独立 独立への闘争 • ユダヤ人問題 – シオニズム運動 – イスラエルの建国(1948) • イギリスの外交の混迷の後遺症 • クルド人問題 – オスマン帝国崩壊の副産物 – 英仏によって恣意的に引かれた国境 • トルコ、イラク、イラン、シリア、アルメニア – 独自の国家を持たない世界最大の民族集団 • 2500万~3000万人 • トルコやイラクでの独立運動 西洋主導の国際化の負の遺産 • 西洋の国家概念の不適切さ – 曼陀羅システムと西洋の国家観の齟齬 • 植民地分割の後遺症 – アフリカの国境のもたらしたもの • 民族の移動空間を横切る国境 • 植民地の独立と民族問題 – 多民族国家 – 国境による民族の分断 多民族国家の諸問題 • 多様性の中の統一? – 共通のアイデンティティの存在 • 独立戦争によるアイデンティティの確立 • 教育によるアイデンティティの確立 • 国の中の独立運動 – 歴史の重み • チベット問題 – 宗教の違い • ミンダナオ島問題(フィリピン) ヨーロッパにおける分裂の諸相 • 冷戦構造の終了と分裂への潮流 – 東欧諸国のさまざまな対立 • 押さえられていたマグマの噴出 • 民族問題の難しさ – 民族のアイデンティティとは何か • 人種的な共通性 • 歴史的な対立の記憶 • 分裂する国家 – ユーゴスラビア – チェコスロバキア ユーゴスラビアの成立 • 第一次世界大戦の終結(1918) – オーストリア・ハンガリー帝国の崩壊 • 南スラブ人の国家建設 – セルビア、モンテネグロ、クロアチア、スロベニア • セルブ=クロワート=スロベーヌ王国成立 • ユーゴスラビア王国に改称(1929) • 第二次大戦中の枢軸傀儡政権 – クロアチア人によるセルビア人虐殺 ユーゴスラビアの崩壊 • チトー政権下の融合政策 – 融合への努力 • 融合のため、過去の対立に関する議論回避 • 分権化の進展 • セルビア・モンテネグロ(2003) – ゆるやかな国家連合へ • モンテネグロの独立(2006) – 国家連合の解消 チェコスロヴァキアの成立 • 第一次世界大戦の終結(1918) – オーストリア・ハンガリー帝国の崩壊 • チェコスロバキアの成立(1920) • 民族的問題 – チェコ人とスロヴァキア人 • オーストリア支配下のチェコ • ハンガリー支配下のスロヴァキア • 最大のマイノリティとしてのドイツ人の存在 • 第二次世界大戦中の枢軸傀儡政権 – スロヴァキア人とドイツ人の共闘 チェコスロヴァキアの崩壊 • 各国による浸食とスロヴァキアの独立 – ポーランド、ハンガリーへの領土割譲(1938) – スロヴァキア独立(1939) • 第二次世界大戦の勃発と終了 – ロンドンにチェコスロヴァキア亡命政権 – ドイツ敗北とスロバキア独立政府の消滅 • チェコとスロバヴァキアへの分裂 – 「プラハの春」と連邦への改組(1968) – 共産党政権の崩壊(1989) – チェコとスロヴァキアの分離(1993) 民族のアイデンティティと言語 • 言語政策の必要性 – 文化の核としての言語 – 共通語の制定 • 日本における標準語制定 – 公用語問題 • さまざまな問題 – 言語の多様性 – 植民地の言語問題 アメリカの言語政策 • アメリカ合衆国の公用語? – 英語公用語制定論とその批判 • 英語とフランス語(独立当初) • 英語への同化の進捗と事実上の英語の公用語化 • スペイン語の浸食 – 英語公用語制定論の再燃 • English OnlyかEnglish Plusか – 2言語使用教育の目的 • 英語への橋渡しか2言語の共存か カナダの言語政策 • カナダの言語状況 – 英語圏とフランス語圏 • アメリカ独立戦争とカナダ • ケベック分離・独立運動(1960~) – その他の言語 • 先住民の言語 – 英語での授業と第2言語としての母語 • その他の移民の言語 – メルティング・ポット論 • 二言語多文化主義 – 二言語・二文化主義と非英米系の反発 – 英仏二公用語の枠の中での多文化主義 • 遺産言語教育 さまざまな国のさまざまな言語政策 • イギリス – 英語による他言語の浸食 • 地域少数言語保存の試み – スコットランド語、ゲール語、ウェールズ語など • インド – 公用語そのものの曖昧性 • 国の公用語と州の公用語との関係 • フィリピン – タガログ語とフィリピノ語 • アフリカ諸国 – 自国語中心か外国語中心か アフリカの公用語 • 外国語公用語国・地域 – アラビア語 アルジェリア、エジプトなど – ポルトガル語 アンゴラなど – スペイン語 カナリア諸島など – フランス語 セネガル、コートジボワールなど – 英語 ガーナ、ナイジェリアなど • アフリカ土着語公用語国・地域 セイシェルなど • 複数公用語国・地域 – アラビア語+土着語 ソマリアなど – フランス語+土着語 ブルンジ、マダガスカルなど – 英語+土着語 ボツワナ、エチオピアなど • 複数外国語公用語国・地域 カメルーン、チャドなど
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