栄養療法 - 学校法人トップ│聖マリアンナ

①栄養療法とは?
②栄養評価
③術後の栄養管理
④栄養ルート
⑤免疫栄養
①栄養療法とは?
②栄養評価
③術後の栄養管理
④栄養ルート
⑤免疫栄養
栄養療法とは??
低(過)栄養状態に陥っている人を適切
な栄養状態に保つことにより疾患の治療効
果を高めたり生命維持を図ること。
栄養不良が続くと…
①筋委縮
②体重減少
③創傷治癒遅延
④免疫能低下
⑤多臓器不全
⑥入院期間延長
⑦医療費上昇
⑧死亡率上昇
kwashiorkor 急性栄養不良
一般的にタンパク質の欠乏に
起因する症候群
顔・腕・手足の浮腫、発育障
害、皮膚病変、脱毛と毛髪の退
色、脂肪肝・壊死・線維化、肝
腫大やいらだちと感情鈍麻など
を特徴とする。
極度の体重減少はみられない。
大きくふくれたお腹が特徴で、
アフリカや東南アジアの低開発
国で乳幼児にみられる。
marasmus 慢性栄養不良
全般的な栄養不良に陥った
ためにタンパク質、脂質、炭
水化物が不足
この疾患は発展途上国にお
いてしばしば発生、栄養失調
のために吸収と消化が妨げら
れやすくなることによって
いっそう強められる
特徴は、体重の減少である。
これは、身体がエネルギー源
として備蓄しておいた脂肪を
利用するためである
①栄養療法とは?
②栄養評価
③術後の栄養管理
④栄養ルート
⑤免疫栄養
栄養不良を見つけるには…
栄養スクリーニング
1次スクリーニング
主観的包括的アセスメント(subjective global
assessment:SGA)
2次スクリーニング
動的栄養評価
静的栄養評価
SGA
問診・病歴
①年齢、性別
②身長、体重
1週間で1~2%減少、1か月で5%、3か月で7.5%、半年で
10%以上の体重減少
③食物摂取状況の変化
④消化器症状
⑤ADL(日常生活活動強度)
⑥疾患と栄養必要量との関係
理学的所見
①皮下脂肪の損失状態 (上腕三頭筋部皮下脂肪厚)
②筋肉の損失状態 (上腕筋肉周囲)
③腫(くるぶし、仙骨部)
④腹水
⑤毛髪の状態
動的評価
栄養障害の進行、栄養治療に鋭敏に反応
血液生化学指標
1)Rapid Turnover Protein(RTP)
・トランスサイレチン(PA) :肝:2日
・レチノール結合蛋白
:肝:0.5日
・トランスフェリン
:肝:7日
2)蛋白代謝動態
・尿中3-メチルヒスチジン
:筋蛋白異化量反映
3)アミノ酸代謝動態
・アミノグラム :アミノ酸の組成を図示したもの
身体計測指標
1)安静時エネルギー消費量(REE)
2)呼吸商:二酸化炭素排出量/酸素消費量
静的栄養評価
他の因子の影響を受けにくく、長期的な栄養評価の指標
血液生化学指標
1)血清総タンパク,アルブミン,総コレステロール,
コリンエステラーゼ
2)尿中クレアチニン
3)血中ビタミン,微量元素
4)末梢血中総リンパ球数
身体計測指標
1)身長,体重,BMI
2)上腕三頭筋部皮下脂肪厚(TSF)
3)上腕筋囲(AMC)
4)握力
皮内反応
1)遅延型皮膚過敏反応
総合的栄養評価
PNI:prognostic nutrition index
Buzbyの式 1980年
158-(16.6×Alb)ー(0.78×TSF)-(0.22 ×TFN)-(5.8×DHC)
TFN:トランスフェリン mg/dl
TSF:上腕三頭筋皮下脂肪厚(mm)
DHC:遅延性皮膚過敏反応
0・・・反応なし、1・・・5mm未満の硬結、2・・・5mm以上の硬結
50以上高度リスク、40から50中リスク40以下は低リスク。
小野寺も使用
では栄養管理って?
栄養スクリーニング
栄養アセスメント
栄養管理の計画
栄養管理の実施
モニタリング
治療効果の判定
治療終了
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⑤免疫栄養
エネルギー量の決定
まずは基礎エネルギー量(basal energy expenditure :
BEE))
Harris‐Benedictの式
男性[66.47 + 13.75W+ 5.0H-6.76A]
女性[655.1 + 9.56W+ 1.85H-4.68A]
W:体重(kg) H:身長(cm) A:年齢(年)
次にBEEから全エネルギー消費量(total energy
expenditure : TEE)を算出
TEE=BEE × activity factor × stress factor
activity factor
寝たきり:1.0
歩行可:1.2
労働:1.4〜1.8
活動係数
stress factor
ストレス係数
手術:(術後3日まで)
1.2→胆嚢・総胆管切除、乳房切除
1.4→胃亜全摘、大腸切除
1.6→胃全摘、胆管切除
1.8→膵頭十二指腸切除、肝切除、食道切除
臓器障害:1.2+1臓器につき0.2ずつup(4臓器
以上は2.0)
熱傷:熱傷範囲10%毎に0.2ずつup(Max 2.0)
体温:1.0℃上昇→0.2ずつup
癌:1.1~1.3
術後は…
PD、食道手術はストレス係数は1.8とか
なりのカロリー投与となっていたが…
→近年は侵襲が大きくてもそこまでエネ
ルギー消費量は高くない。
overfeedingの弊害となりうる。
カロリー :25Kcal/kg/day
タンパク :1.2~1.5g/日
脂肪
:20~30%程度。
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栄養ルート 経腸管
経腸栄養
経口栄養
経管栄養
経鼻
胃内
十二指腸、空腸
経瘻孔
胃瘻
腸瘻
栄養ルート 経静脈
経静脈栄養
末梢静脈栄養
中心静脈栄養
術後栄養ルート選択
栄養ルートの選択
原則:
腸管が使える場合は腸管を使用する
腸管の役割
消化・吸収+人体最大の免疫臓器
栄養素の吸収場所
①ブドウ糖
:上部小腸
②カルシウム :十二指腸と空腸
③Fe
:十二指腸、空腸
④ビタミンB12 :回腸
⑤胆汁酸
:回腸
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②栄養評価
③術後の栄養管理
④栄養ルート 中心静脈栄養
⑤免疫栄養
中心静脈栄養について
適応
①消化管が機能していない患者が適応
②7日を超える低栄養状態(代謝要求の50%以下)
留意点
①CV感染ではコアグラーゼ陰性ブドウ球菌、黄色ブドウ球
菌、腸球菌、カンジダ。
→末梢血管静脈栄養でも起こり得る。
②グルコース過剰で高血糖
高血糖高浸透圧症候群、糖尿病性ケトアシドーシス
③穿刺の際に合併症のリスク
④肝臓、胆嚢合併症
脂肪肝、胆石、胆嚢炎
⑤bacterial translocation
中心静脈栄養での各栄養素
①水分
:30~40ml/kg/日
②エネルギー :30~60kcal/kg/日
③アミノ酸
:1.0~2.0/kg/日
④必須脂肪酸 :脂肪乳剤は0.1g/kg/h以下
ω-3脂肪酸が3g、ω-6脂肪酸が9g
⑤ビタミン
:B1は3mg/日以上
⑥微量元素
:鉄、セレン、マンガン
ただし腎不全、肝不全ではタンパクを減らし、アミノ酸を増やす。
呼吸不全では非タンパクカロリーを脂肪乳剤に。
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②栄養評価
③術後の栄養管理
④栄養ルート
⑤免疫栄養
免疫療法とは??
強い侵襲により生体の免疫能が低下する
ことに対し、生体防御能を増強し、予後を
改善させる目的の利用療法。
侵襲早期の経腸栄養は腸管免疫を増強し
抵抗力を維持する。
免疫栄養に使用されるもの
①アルギニン
急性期投与は避ける
T細胞の機能障害改善、インスリン抵抗性改善、
②核酸
タンパク質合成、細胞分裂維持
③グルタミン
免疫担当細胞のエネルギー
④ω-3系多価不飽和脂肪酸
アラキドン酸カスケードの代謝産物酸性抑制
→抗炎症、細胞免疫低下の抑制
→これらを多く含んだ経腸栄養を使う
①
栄養管理が必要となる体重減少はどのくらい
1週間で1~2%
1か月で5%
3か月で7.5%
6か月で10%以上
②
トランスサイレチン(PA)の半減期
2日
③PNIのBuzbyの式における高度リスクは
50以上
④
免疫栄養において急性期の投与を避けるべ
き栄養素は?
アルギニン
⑤
中心静脈栄養においてビタミンB1の推奨
投与量は?
3mg/日以上
⑥
呼吸不全の患者においてはどのような栄養
管理を行うべきか?
炭水化物の代謝による二酸化炭素産生を
最小限に抑えるため、非タンパクカロリー
を脂肪性のものに置き換える
⑦
中心静脈栄養の肝合併症は?
脂肪肝、肝腫大による疼痛
⑧
脂肪乳剤の投与速度
0.1g/kg/h以下
⑨
栄養評価の動的評価とはどのようなもの?
栄養障害の進行、栄養治療に鋭敏に反応
⑩
入院時すべての患者に行うべき栄養評価
は?
一次スクリーニング、主観的栄養評価法
(SGA)