関節リウマチ関連遺伝子と その予後予測への利用の可能性 理化学研究所 遺伝子多型研究センター 関節リウマチ関連遺伝子研究チーム 山田 亮 高地 雄太 川井田 礼美 森 美賀子 小林 香子 川口 喬久 川上 弘人 山本 一彦 第49回 日本リウマチ学会総会・学術集会 パシフィコ横浜 平成17年4月19日 Contents • 予後予測 – 従来型予後予測 – 決定論と確率論 – ゲノム・その他遺伝子解析と予後予測 • 遺伝子解析成果 – 関連遺伝子と感受性遺伝子 – 解析手法と関連遺伝子 • ゲノム:感受性遺伝子解析 • トランスクリプトーム • プロテオーム • 今後の展望? 私、リウマチでしょうか? 母のように手の形が変わって しまうんでしょうか? 治りますか? いいお薬ありますか? 副作用はありませんか? 診断 広義の予後予測 診断確定後のいわゆる予 後予測と加療介入の効果 予測 医学研究 ~遺伝子解析を含め~ 病因解明 予後予測・発病予測 治療・発病予防 予後予測 • いつ予測するか – 診断時 – 治療方針決定時 – 治療方針変更時 • 何を予測するか – この先どうなるか • 病型 • 治療反応性 • 個体差 • 個人差 • 状態差 を類型化する 何を根拠に予測するか 疾患亜分類 個体差 病態差 個体差の由来 <決定要因> 遺伝要因 + 環境要因 × <確率要因> <決定要因> 遺伝要因と環境要因 <決定要因>(遺伝要因 + 環境要因) x 確率要因(1) 1 2 3 4 5 6 7 5/7 <決定要因>(遺伝要因 + 環境要因) x 1 2 3 4 5 6 7 確率要因(2) すべての情報を 集めても確かな ことがいえるわ けではない 1/7 すべての情報が集められるわけではない すべての情報を集めても確かなことがいえるわ けではない 技術の進歩 情報収集方法の進歩 収集した情報の利用法の進歩 予後予測 確率に左右されるとはいえ・・・ 台風の進路予想と”関節リウマ 地震発生の予想と“発作性疾患”? 入手情報の改善と予測の改善 技術の進歩 • 観天望気 – 夕焼けは晴れ – 月が暈(かさ)をかぶ ると雨 ひまわり6号による1億3000 万画素の写真(H17.3.24) 技術は進歩しても 過去と未来に移動して観測することはできない 時間の要素を考慮してみる 前病状態と発病の経過(モデル) 前病状態 発病 発症者 有症状態 無症状・病的プロセス存在状態 健康状態 非発症者 時間 病勢と遺伝因子・環境因子 ~情報収集方法という観点から見ると~ 時間経過 受精・出生 発病転機 症状出現 診断 臨床フォロー 症状 遺伝因子 疾患マーカー すべての情報が集められるわけではない 環境因子 情報収集 情報収集のタイミング 切片情報と永続的遺伝情報 トランスクリプトーム・プロテオーム ゲノム・多型 時間経過 受精・出生 発病転 機 症状出 現 診断 臨床フォロー 症状 遺伝因子 疾患マーカー 環境因子 情報収集 予後予測のための情報 • 発病→診断時 – – – – – 現病歴 既往歴・社会歴 家族歴 現症 臨床検査 • 発病後経過 – 症状推移・治療反応推移 • 自覚 • 他覚 – 臨床検体検査 – 臨床画像検査 • 総合判定(各種スコア化) • 発病→診断時 – – – – – 自覚 環境因 遺伝因 現症 臨床検査 時系列 時系列 永続的 瞬間 瞬間 • 発病後経過 – 症状推移・治療反応推移 • 自覚 • 他覚 時系列 時系列 – 臨床検体検査 – 臨床画像検査 • 総合判定(各種スコア化) 疾患関連遺伝子研究の進展とともに 予後予測のために強化される情報 • 発病→診断時 – – – – – 現病歴 既往歴・社会歴 家族歴 現症 臨床検査 • 発病後経過 – 症状推移・治療反応推移 • 自覚 • 他覚 – 臨床検体検査 – 臨床画像検査 • 総合判定(各種スコア化) • 発病→診断時 – – – – – 自覚 環境因 遺伝因 現症 臨床検査 時系列 時系列 永続的 瞬間 瞬間 • 発病後経過 – 症状推移・治療反応推移 • 自覚 • 他覚 時系列 時系列 – 臨床検体検査 – 臨床画像検査 • 総合判定(各種スコア化) 現行マーカー 逐次変化・量的マー カー 疾患型分類:中間形 質・質的マーカー 永続的(遺伝子)マー カー 疾患遺伝子解析から得 られてくる情報に基づく マーカー 分子マーカー CRP、サイトカイン、その 他分子 トランスクリプトーム プロテオーム 自己抗体(RF、抗CCP抗 体、その他自己抗体) 発現パターン mRNAレベル タンパクレベル HLA-DRタイプ 感受性多型 RA関連遺伝子とは RA感受性遺伝子 (DNAに刻まれたもの) 全遺伝子 RA病態関連遺伝子 (病的状態において特徴的な役割を果たす遺伝子) RA関連遺伝子 トランスクリプトーム・プロテオーム RA感受性多型を有する遺伝子 ゲノム・多型 感受性多型 PADI4 PTPN22 HLA-DR FCRL3 SLC22A4/5 トランスクリプトーム プロテオーム 現況 ~疾患感受性多型解析の立場から~ 技術の進歩 情報収集方法の進歩 →この恩恵を受けて、新規感受性遺伝子多型の検出がなさ れている 収集した情報の利用法の進歩 →解釈はまだ、その緒についたばかり 関節リウマチ感受性多型 4遺伝子のpopulation attributable risk 遺伝子名 相対危険度 感受性アレ ル・ホモ 遺伝形式 感受性アレル 頻度 人種・民族 Population attributable risk 感受性アレル・ ヘテロ PADI4 2.0 1.4 Additive model 37% 日本人 0.29 SLC22A4 1.9 0.9 劣性形式 31% 日本人 0.05 FCRL3 2.2 1.1 劣性形式 35% 日本人 0.15 PTPN22 * 2.3 1.7 Additive model 北米白人 0.11 *日本人には、該当多型なし 9% HLA-DR ~ Shared epitope仮説~ Wucherpfennig et al. PNAS 1995. Genes Ergothioneine Carnitine SLC22A4 SLC22A5 RIL Exons RA,Crohn SNPs Crohn Psoriatic Arthritis Heat shock elementRUNX1 binding site L503F binding site Tokuhiro, S. et al. Peltekova, V. D. et al. Barton, A. et al. Yamazaki, K. et al. 10kb IRF1 A functional variant in FCRL3, encoding Fc receptor-like 3, is associated with rheumatoid arthritis and several autoimmunities ITAM *PNAS 2001、 Davis RS.ら論文より 改変引用 ITIM hemi ITAM FCRL3タンパク質の構造 Ⅰ型膜タンパク。細胞外は6つのイムノグロブリン様ドメインから成り立ち、 細胞内には、チロシンモチーフ(ITAM,ITIM,hemi-ITAM)が存在する。 By Kochi 自己免疫疾患感受性多型のオーバーラップ MΦ Anti-oxydant transporter A network of protein–protein interactions in yeast by Benno Schwikowski, Peter Uetz3 & Stanley Nature Biotechnology 18 :1257 - 1261 (2000) 感受性アレルを持つ持たないという基準でRA患者を分類することも可能である X SNP x Y 患者によるクラスタリング 患者 SNP • SRC, RIKEN • – 関節リウマチチーム • • • • • • • • • 鈴木亜香理 高地雄太 徳廣臣哉 川井田礼美 森 美賀子 小林香子 山中美也子 菅野栄美 山本一彦 – 東京大学病院アレルギー・リウマチ内科 • 沢田 哲治 – 三共株式会社 • – 中村祐輔 研究協力臨床施設 – 東京大学病院アレルギー・リウマチ内科 – (独)相模原病院 • 當間 重人 松井 利浩 – 日本医科大学附属病院リウマチ科 – 情報解析研究チーム • 川口喬久 • 川上弘人 • 角田達彦 共同研究 – • • 永島 正一 吉野 槇一 行岡病院・松原メイフラワー病院・県立山梨中央病院・ (独)大阪南病院・鳥取大学整形外科 京都大学医学研究科附属ゲノム医学センター – 疾患ゲノム疫学解析分野
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