これから(超高齢社会)の電子政府・電子自治体を考えるシンポジウム 先行する韓国の行政改革・ 日本がめざす国民本位の電子行政 2010年5月19日(水) 10:30 ~ 17:15 東京大学安田講堂 辻井重男 中央大学研究開発機構教授 1 電子政府の準備度 - 2010年ランキング 順 位 国 名 準備度指数 1 韓国 0.8785 2 米国 0.8510 3 カナダ 0.8448 4 英国 0.8147 5 オランダ 0.8097 6 ノルウェー 0.8020 7 デンマーク 0.7872 8 オーストリア 0.7863 9 スペイン 0.7516 10 フランス 0.7510 17 日本 出典:国際連合の関連サイトに掲載された情報による 2 電子行政 項 目 日本と韓国(1) 日 本 韓 国 17位 1位 開発度 0.715 0.879 オンラインサービス 0.673 1.000 通信インフラ 0.524 0.639 人的資源 0.950 0.993 市民参加 0.757 1.000 国連による評価準備度指数 3 音楽というのはいくら部分部分を 正確に演奏できても、全体の流れが生ま れないと聞くに堪えない。 私の三味線は、どうもその流れというもの がないらしいのだ。 有馬 稲子 (日本経済新聞 「私の履歴書」 2010年4月22日 朝刊) 4 教養とは (ヘーゲル) 個別から普遍へ至る 精神のダイナミズム 電子行政は普遍から個別へ 5 情報処理 【2010】 Vol.51 No.5 通巻543号 50周年記念特集号 特集 情報処理技術の未来地図 電子行政・総合科学・ 現代社会と教養・人材育成 ー情報セキュリティ視点からの起承転結ー 辻井重男 中央大学研究開発機構 6 さて、現代人の教養とはなんだろうか。大正教養主義は個人 的人格形成に重きがおかれ、戦後は大学の教養課程を中心と する大衆教養主義の時代が続いた。1990年代の教養課程の 縮退に伴って、教養の没落という文化現象が起きたが、最近、 また、教養論議が復活している。 筆者は、情報セキュリティの視点から、 「教養とは、遍在化する矛盾相克を超克するた めの総合的止揚力を涵養すること」 と定義している。総合的という表現には文理連携と同時に、理 念的世界と現実的世界の融合という二重の意味を込めたつも りである。 7 理念 文 理 現実 (経済・技術等) 8 電子行政 項 目 公的個人認証 日本と韓国(2) 日 本 韓 国 普及率低い 国民の約半数 (150万に達していない) 約2000万 電子行政 システム全体 の中で考えるべき 9 自由の拡大 Expansion of Freedom 三止揚 3 Aufheben プライバシー 保護 安全性向上 Improvement of Security Protection of Privacy Copyright©2006 Shigeo Tsujii 三止揚 10 韓国が電子行政で世界トップに躍進した理由 何故、韓国が電子行政で世界トップに躍進したのか、 私の俄か韓国出羽守の目で観たところ、次のような 理由・動機によるものと思われる。 1.歴史的経緯による国民共通番号の普及 2.危機感 - 1997年の経済危機感 3.大統領制とノムヒョン大統領の IT志向 4.人間の本性に根ざした巧妙な手法 - 経済的インセ ンティブの付与 5.上昇機運と精神構造 これらについて、説明を加えておこう。 11 科学技術予算の伸び 日本 韓国 1.1倍 2.9倍 中国 米国 EU 4.3倍 1.8倍 2.1倍 内外の頭脳集積「グローバルCOE」 若手研究者 育成の拠点 事業縮減の中、支援訴え 世界を視野に、相互に刺激 日本経済新聞 2010年5月17日 真壁利明(慶応義塾常任理事) 12 ユビキタス社会にふさわしい基礎自治体の リスクマネジメント体制の確立 京都大学防災研究所 林 春男 (独)科学技術振興機構 社会技術研究開発センター 研究開発プロジェクト(平成18年度採択課題): 「ユビキタス社会にふさわしい基礎自治体リスクマネジメント体制の確立」 より 13 生活再建支援を可能にするには 「ヒト・家・被害」を結びつける 被災者台帳が必須 人 家 被害 被災者台帳 14 生活再建支援の原点は被災者台帳 の構築 地図上での照合 (地理空間情報) 住民基本 台帳 人 家 未登記 物件 住登外 窓口入力 建物被害 調査 被害 建物被害 データ 被災者台帳 課税台帳 15 災害時の被災者に対する生活再建支援 2007年新潟県中越沖地震の柏崎市を事例に検討 人口90000人 応急危険度判定 世帯33000世帯 建物被害認定調査・外観目視 60000棟 建物被害認定再調査・内観目視 3000棟 60000件 家屋被害認定調査結果のデータベース構築 り災証明書発行 60000棟/33000世帯 被災者対象個人/世帯/地域の確定 公費解体 生活再建 応急修理 支援金 応急仮設 住宅 生活再建相談窓口に おける申請ベース 義援金 の配分 国民健康 保険減免 復興 基金 介護保険 減免 固定資産 税減免 保育料 の減免 庁内業務中心で対応 住宅再建支援・生活再建支援 16 さまざまな部局で同時並行的に 実施される業務を整理統合:被災者台帳 国民健康 義援金配分 保険減免 (福祉) (福祉) 介護保険 減免 保育料減免 (福祉) 建物被害 再調査 (福祉) 人 生活再建 支援金 家 被害 り災証明書 発給 (復興支援室) 被災者台帳 復興基金 (復興支援室) 公費解体 仮設住宅 (復興支援室) (環境) 応急修理 固定資産 税減免 (建設) (税務) 17 迅速に建物被害認定調査を 実施できなければならない 建物被害 調査 住民基本 台帳 人 家 被害 (市町村) 被災者台帳 課税台帳 (都税事務所) 18 建物被害調査結果はデジタルデータ化 されなければ利用できない 建物被害 調査 住民基本 台帳 人 家 被害 建物被害 データ 被災者台帳 課税台帳 19 もっとも重大な問題!! 住民基本台帳・課税台帳には 人、家、被害をつなぐ共通項目がない 建物被害 調査 住民基本 台帳 人 家 被害 建物被害 データ 被災者台帳 課税台帳 20 り災証明申請受付発給システムを活用 して り災証明発給業務をマネージする 地図上での照合 地理空間情報 (地理空間情報) 住民基本 台帳 人 家 Geo-Wrap 被害 建物被害 調査 建物被害 データ 被災者台帳 未登記 物件 住登外 窓口入力 課税台帳 21 サービスごとに異なるIDを用いるセクトラルモデル 【セクトラルモデル】 発行 国民 ID 番号 暗号生成 ソース ID 逆引き 不可能 × 暗号生成 サブ ID1 サービス1 暗号生成 類推 不可能 × 隠蔽する ID 発行 暗号生成 サブ ID2 サブ ID3 サービス2 サービス3 利用する ID 22 出典:NTTコミュニケーションズ(株)等の資料による 韓国の場合 国税庁 データ ベース 自治体 データ ベース ・ ・ ・ ・ ・ 行政情報共同利用センター 23 提案:暗号化された状態のまま処理をして個人情報を守る方式 国税庁 自治体 データ ベース データ ベース eKA eKB eKA eKB IDKA ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ IDLB 鍵変換 鍵変換 暗号化された状態で処理 IDB IDA 行政情報共同利用センター 第三者機関監視 自己情報管理利用番号 ID データ データ A氏 B氏 IDA IDB 秘密鍵 dKA,dLA ・・・ 秘密鍵 dLA,dLD ・・・ データ ・ ・ ・ ・ 行政・公共・民間機関に 散在する個人情報を自己 の管理下に置き活用 24
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