政策提言

日本酒の品質保証を目指した
ラベリング政策
~酒ベリング政策の導入~
南山大学 寳多研究会
1
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策
課題・
展望
参考文
献
なぜ日本酒…?
・お酒は文化
・日本固有のお酒
・全国各地の特色
を生かした酒造り
日本特有の文化を持ったお酒
2
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策
課題・
展望
参考文
献
消費量の低下(ピーク時の3分1)
・日本酒の種類がわからない
・表示内容が難しい
・専門用語が多い
情報の非対称性
情報の非対称性の解消
品質保証、わかりやすいラベリングの提案
3
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策
課題・
展望
参考文
献
海外での日本酒の評価は高い
・輸出の増加
・日本食ブーム
・クールジャパン
・無形文化遺産への動き
・日本酒関税撤廃への動き
海外輸出の前段階としての国内
での市場浸透が目標
4
現状分
析
はじめに
先行研
究
政策提
言
分析
課題・
展望
参考文
献
日本酒 消費量の現状
清酒の国内消費量の推移
単位(千kl)
1800
ピーク時の
半分以下に減少
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
昭和 50
45
55
60 平成 2
元
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
国税庁 平成24年度酒類販売(消費)数量の推移より筆者作成
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
日本酒 財としての位置付け
表示を
信用するしか
ない
探索財
信用
経験
日本酒
財
財
飲まなけ
ればわか
らない
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
日本酒 消費者意見
日本酒の飲酒回数・量が増えた理由
(全1128人中)
健康面
飲んで
8%
その他
15%
みないと
わからない
つきあい
26%
<内訳>
・「おいしい・うまい」
17.9%
・「嗜好変化・おいしく
なる」9.4%
・「知る・分かる・目覚
味 める・出会う・見つけ
51% る」8.1%
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
日本酒 表示方法の移り変わり(一)
【1943~1992】
日本酒級別制度
「特級」「一級」「二級」
【1990~現在】
特定名称表示
全八種類
例:「吟醸」「大吟醸」「特別本造」
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
日本酒 表示方法の移り変わり(二)
任意
記載事項
必要
記載事項
特定名称
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
日本酒 表示方法をめぐる事件
浪花酒造事件
酒類総合研究所
虚偽表示
品質低下
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
先行研究と本稿の位置づ
け
一
二
三
• フランスの原産地呼称管理制度
• 長野県原産地呼称管理制度
• 本稿の位置づけ
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
フランス原産地呼称管理制度
目的◆
20世紀初頭に脱税の多かったワイン市場を規制
製品ブランド化で差別化戦略を制度的に支援
競争優位性の向上
AOC製品と非AOC製
品とでは売上高が異な
る・・・
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
長野県原産地呼称管理制度
◆目的◆
地域振興+県産農林水産物の消費促進
細かい認証基準
役割ごとの委員
会の設置
より消費者からの
信頼性を高める
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
本稿の位置づけ
•全国統一の日本酒に関する認証基準及び認証制度
第三者機関の設置
消費量増加
品質保証
さらには・・・
日本産日本酒
の売り出し
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
分析
一
二
• 認証マークは有効な手段であるか?
• 認証マークのメリット
• 他の機関を参考にして…
三
四
五
• 認証機関、運営体制、トレーサビリティ方法
• 第三者機関の内部構造
• 日本酒の品質をつかさどる原料
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
一、認証マークは有効な手段であるか?
アンケート:清酒を選ぶ際にどのような情報が役に
立っているか
店頭POP
「ラベルを見ている」
3%
飲食店の説明
約85%
6%
その他
7%
酒販店の説明
6%
その一方で…
インターネッ
ト
「ラベルの情報に対
2%
知人の口コミ
して満足している」
27%
47.5%
須藤茂俊ら「清酒ラベル情報に
関する認識度調査」(2003)より
満足度
半数以下!
ラベル表示
26%
コマーシャル
9%
広告
3%
新聞・雑誌記
評判・話題性
事
9%
2%
国税庁「インターネットによる消費者調査アンケート」(2005)より筆者作成
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
二、認証マークのメリット
製造者にとって
のメリット
• 他商品との差別化
• 新たな市場の拡大
認証機関にとっ
てのメリット
消費者にとって
のメリット
• 認知度の向上
• ブランドの確立
• 正しい情報を取得で
きる
• 安心して消費できる
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
認証機関・資金
MSC
(海洋管理協議会)
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
三、他の機関を参考にして
トレーサビリ
運営体制
ティ
カーボン・オフセット
Wine-Link
1)認証機関の中立性が確保された、信用性の高い認定マー
クを製品に使用する。
2)資金はライセンスの使用料・料金体系を売上高に応じ設
定。
3)認証は「第三者機関」に委託し、中立性を保つ。
4)「情報」という付加価値をさらに加える。
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
四、第三者機関の内部構造
受付
環境庁 カーボン・オフセット制度よ
「一事務局三委員会制」を取り入れる
り
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
五、日本酒の品質をつかさどる原料
整粒歩合
酒米
精米歩合
特上、特等、1等、2等、3等の5段
階
(高い方が粒が揃っている)
特定名称酒ごとに異なる。
(歩合が高いほど良い)
麹
特定名称酒は15%以上使用され
ているものに限られている。
水
(財)日本醸造協会によって厳格な
基準を定められている。
醸造アルコール
酒税法により特定名称酒は白米
の質量の10%以下に定められて
いる。
1つの機関で審査をする
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
政策提言
一
二
三
四
• マークによる品質保証
• AR技術の導入
• 第三者認証機関
• 基準と認証方法
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
認定 & ARマーク
・情報の
非対称性
解消
・品質保証
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
スマートフォン用無料アプリケーショ
ン
店頭で日本酒に貼ってある
マークをアプリケーションを
起動して写真を撮影する
アプリケーション内で日本酒
の商品・品質情報を確認
購入
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
酒ベリング制度認証機関
• 事業者の申
請受付・登録
• ラベルの付
与
• 運営委員会 ・登録認
証委員会・制度事務
局における監査
• 酒ベリング認定を受
けた企業の調査
登録のための
審査・認証
酒ベリン
グ制度事
務局
登録認証
委員会
監督委員
会
運営委員
会
• 本制度に必要な基準類
の制定及び改廃にかか
わる審議
• スマートフォン用無料
アプリケーションの運
営
はじめに
現状分
析
先行研
究
政策提
言
分析
課題・
展望
参考文
献
マークの認証方法
現物検査の委託
申請
酒ベリング
制度事務局
企業
ラベルの付与
登録認証委
員会
成果の報告
監査
監督委員会
運営委員会
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
酒ベリング制度認証基準
清酒の製
法品質表
示基準
醸造用水
として備
えるべき
要件
酒税法
酒ベリング制度認証基準
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
今後の課題と展望
課題
•第三者機関の運営などに関する資金面の分析
•本稿に対する生産者側意見の調査
• 普通酒への認定マークの貼付
展望
国内での酒ベル普及 国内消費量増加
さらに・・・
海外市場展開 海外での酒ベル普及 海外消費量増加
そして、 古き良き歴史のある酒造の保持促進へ・・・・
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
《先行論文》
津谷好人(2008)フランスの原産地呼称管理(AOC)制度にみるブランド化戦略
http://uuair.lib.utsunomiya-u.ac.jp/dspace/bitstream/10241/7527/1/16_sec12.pdf
大石卓史、大南絢一、田村典江、八木信行(2010)「水産エコラベル製品に対する消費者の潜在的需要の推定」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan/76/1/76_1_26/_pdf
甲斐 諭(2009) 「情報の非対称性」の解消を目指した食料経済学の研究課題
https://nakamurau.repo.nii.ac.jp/index.php?active_action=repository_view_main_item_detail&page_id=13&block_id=17&item_id=84&item_no=
1
行本 雅・丸山達也・村上佳世・林 健太(2010)消費者の信念と情報開示
http://www.kier.kyoto-u.ac.jp/DPJ/DP1006.pdf
日本貿易振興機構(JETRO)パリ・センター(2011)
フランスにおける農林水産業等に関する知的財産保護の取り組http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000567/aoc_shusei.pdf
日本政策投資銀行NY駐在員事務所(2005)米国における日本酒の展開
http://www.dbj.jp/reportshift/area/newyork/pdf_all/sake.pdf
日本政策銀行新潟支店(2012)清酒業界の現状と将来展望(国内市場)
http://www.dbj.jp/pdf/investigate/area/niigata/pdf_all/niigata1202_02.pdf
日本政策投資銀行地域企画部(2013) 清酒業界の現状と成長戦略~「國酒」の未来~
http://www.dbj.jp/pdf/investigate/etc/pdf/book1309_02.pdf
宇都宮仁・橋爪克己「清酒・ビール・ウイスキーの飲酒動機に関する調査」酒類総合研究書報告(2007)
http://www.nrib.go.jp/data/pdf/syutyo0201.pdf
倉光 潤一・宇都宮 仁・橋爪 克己「酒類に関する国民ニーズ調査」(2008)
http://www.nrib.go.jp/data/pdf/syutyo0102.pdf
酒文化研究所 月刊酒文化「趣味・嗜好と酒の選択との関係を探るー飲酒実態調査2004よりー」
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
《参考文献》
澁谷覚 「ネット上の消費者情報探索とネット・クチコミのマーケティング利用」財団法人吉田秀雄記念事業団AD STUDIES
vol.20 pp11-15(2007)
神戸伸輔(2004)『入門 ゲーム理論と情報の経済学』日本評論社
寳多康弘・馬奈木俊介(2010)「資源経済学への招待-ケーススタディとしての水産業-」ミネルヴァ書房
《データ出典》
日本経済新聞「純米酒に醸造アルコール混入 大阪の浪花酒造」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2601E_W3A220C1CC0000/、2013年2月26日
MSC日本事務所 石井幸造「MSC認証制度とは」
http://www.pref.aichi.jp/cmsfiles/contents/0000045/45827/shiryou2.pdf#search='MSC%E8%AA%8D%E8%A8%BC%E5%88%B6%E5
%BA%A6%E3%81%A8%E3%81%AF'、2013年8月
東京海上リスクコンサルティング株式会社「食品事業者のトレーサビリティと企業の対応」
http://www.tokiorisk.co.jp/risk_info/up_file/2004020513.pdf#search='%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%
93%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3+%E4%BC%81%E6%A5%AD+%E5%AE%9F%E6%96%BD'、2003年
あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センター「技術解説『酒造用原料米の品質を評価する-酒米分析-』」
http://www.aichi-inst.jp/shokuhin/other/up_docs/news1206-2.pdf#search='%E9%85%92%E7%B1%B3+%E5%93%81%E8%B3%AA、
2012年6月
国税庁「『清酒の製法品質基準』の概要」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/hyoji/seishu/gaiyo/02.htm、1989年11月
長野県庁HP「長野県原産地呼称管理制度概要」より
(http://www.pref.nagano.lg.jp/marketing/sangyo/brand/nac/documents/seido25_1023.pdf) 2013/10/29データ取得
MSCホームページ(http://www.msc.org/about-us-ja/copy_of_about
独立行政法人酒類総合研究所HP http://www.nrib.go.jp/gui/sosiki.htm
カーボン・オフセットの取組に対する第三者認証機関による認証基準(Ver. 1.0)
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset/guideline/cc-tpc.pdf
我が国におけるカーボン・オフセット のあり方について(指針)
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset/guideline/guideline080207.pdf
MSC(海洋管理協議会)年次報告書2010/2011年度
http://www.msc.org/documents-ja/msc-brochures-ja/annual-report-archive-ja/annual-report-2010-11-japanese
MSC インターナショナルエコラベル使用許諾システム- MSCI ライセンス料金体系
http://www.msc.org/get-certified-ja/documents-ja/ecolabel-useja/copy2_of_MSC30a830b330e930eb8868793a898f52476d888cbb8005541130514f7f7528.pdf
はじめに
現状分
析
先行研
究
分析
政策提
言
課題・
展望
参考文
献
《データ出典》
国税局「酒類販売(消費)数量の推移」http://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/shiorigaikyo/shiori/2013/pdf/006.pdf#page=1
(株)かっぺHP http://www.kappe.co.jp/
(株)モトックスHP http://www.mottox.co.jp/?index.html
(株)KIRIN HPより(お酒と文化)http://www.kirin.co.jp/csr/arp/enjoy/culture.html
国税庁「国税庁統計年報書」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/shiori-gaikyo/shiori/2012/pdf/006.pdf
(株)有信HP日本酒清酒ラベル表示について
http://www.label-seal-print.com/article/13599649.html
日新酒類株式会社「日新酒類株式会社ホームページ」http://www.nissin-shurui.co.jp/、2013年10月
農林水産省HP 玄米の検査規格
http://www.maff.go.jp/j/seisan/syoryu/kensa/kome/k_kikaku/index.html
国税庁HP 清酒の製法品質表示基準
http://www.nta.go.jp/tokyo/shiraberu/sake/abc/pdf/0632.pdf
(財)日本醸造協会の「醸造用水の現状と問題点」
http://www.jozo.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2011/09/356db1862ac5b9cc2112becfbbbc2bf9
ご清聴ありがとうございました