輸血の生理学 大阪大学輸血部 倉田義之 各血液成分の量・分布 体内分布 血液成分 含有量 血中寿命 1日産生量 赤血球 13-16 g/dl 120日 血小板 20-30万/μl アルブミン 凝固因子 血管内 リザーブ 血管外 リザーブ 0.83% 98.5% 1.5% 10日 12.8% 70% 30% 4-5 g/dl 40日 4-5% 35-40% 60-65% ー 1日 10-250% ー ー 循環血液量の算定 • 一般的には体重の約7%、あるいは1/13で 計算する – 肥満者や成人女性では6~6.5%、小児で8%、 新生児で9~10%とする • 計算式を用いる方法 – 男:TBV=0.168H3+0.050W+0.444(ℓ) – 女:TBV=0.250H3+0.063W-0.662(ℓ) – H:身長(m)、W:体重(Kg) 酸素平衡曲線 • Hbは酸素分圧が高い肺 で酸素と結合する • 酸素分圧の低い末梢組 織・臓器で酸素を解離す る • この曲線はpH、炭酸ガス 分圧、温度、赤血球内 2,3DPG量により変化す る • 保存血では2,3DPGが低 下するため酸素は解離し にくくなる Hbの酸素運搬能 • 酸素運搬能=Hbx1.35x心拍出量 – 1gのHb分子は約1.35mlの酸素を結合できる。 – 成人の正常安静時の心拍出量はほぼ5ℓ/分 – Hbを15g/dlとすると酸素運搬能は1ℓ/分となる • 酸素消費量=酸素運搬能x酸素抽出率 – 酸素抽出率は動脈血酸素飽和度と混合静脈 血酸素飽和度の差。通常は25%程度 • 体重50Kgのヒトの基礎代謝レベルでの酸 素消費量は150ml/分なのでHbが少々低 下しても酸素運搬能には余裕がある アルブミンの生理的役割 • 血漿膠質浸透圧の維持 – 血漿膠質浸透圧の約80%はアルブミンによって保持 されており重要な役割を果たしている • キャリア蛋白としての機能 – 血中の金属イオン、ビリルビン、尿酸、遊離脂肪酸、 ホルモンや薬剤などと結合し、輸送する役割がある • 蛋白補給源としての意義 – アルブミンは分解後はほとんど再利用されないので 蛋白補給源としての意義はない
© Copyright 2024 ExpyDoc