脳性麻痺をもつ子どもの教育

修士論文
動作法における父子関係の変容
-訓練初心者である父(筆者)による訓練を通して-
VTR資料
2001年1月19日
鳴門教育大学大学院 障害児教育専攻
安好研究室 野田 晃弘
動作法を用いての親子訓練
-多聞とともに-
訓
練
キ
ャ
ン
プ
(
4
歳
夏
)
1.はじめに
- 多聞のプロフィール -
多聞誕生(H6.10.21)
前期破水により、予定より2か月早く誕生(体重1470g)
仮死出産のため、そのままNICUにて治療を受ける
当初の出産予定日の一週間前に退院
出生時の症状
脳室周囲白質軟化症
運動機能の発達
(動作法を開始するまで)
(
3
歳
夏
)
6か月………定頸
………寝返り
四つ這い(ずり這い)
… 四つ這い(何とか脚も使用)
つかまり立ち、伝い歩き
…………膝立ちでの移動
… 三輪車のペダルを踏み、進む
日常生活の様子
(動作法開始直前:4歳6か月)
基本姿勢は座位(とんび座り)
「4歳誕生日」
自分で食べるも、一部介助を要す
2.動作法との出会い
(平成11年4月)
大学院で安好博光先生にお会い
し、動作法を初めて知りました。
先生の講義を受けるなかで、動作
法を学んでみようと決心しました。
以下は、息子(当時4歳)とともに動
作法に取り組んできた記録です。
研究室を訪ねて
(平成11年4月)
4歳春(大学からの帰途)
安好先生の研究室へ親子共々挨拶に
伺った折、多聞の足首の固さにふれ、
「これでは歩けない!」との明快な話に
納得するものがありました。関節の可動
域を広げ、柔軟にすることが歩行獲得の
第一歩であると知ったのです。
訓練会に参加して
(平成11年5月 附属養護学
校)
動作法の訓練会には、障害
をもつ多くの子どもたち、お母
さん方、そして安好先生はじ
め多くの先生方が参加されて
いました。
「4歳春」
まず、安好先生に予診をして頂きました。
私は、初めてみるダイナミックな訓練の様
子に強い衝撃を受けました。
予診後、足首弛め、腰弛め、肩弛め、
背反らせ等のリラクセイションの方法を
教えて頂きました。
その後、私が多聞のトレーナーとなり、
リラクセイションを中心とした訓練を行な
うことになりました。
初心者の私にとって、また多聞にとっ
ても不安はありましたが、スーパーバイ
ザーの川田先生のおかげで、何とか訓
練を行なうことができました。
終了間際、安好先生のご指導により、
息子が初めて、数秒間立位の保持を
しました。
この訓練会の様子に衝撃を受けた
こととも相まって、「動作法」により、
息子が歩けるようになるかもしれない
と大きな期待を抱きました。この日以来
家庭でも、リラクセイション課題中心の
親子訓練を開始しました。
訓練を始めた頃の経緯
4歳夏
日記より
5月 -多聞 初めて立位の保持をす-
毎日リラクセイションの訓練を多聞に試みる。私の
技法の未熟さと、関節を弛めることに躍起となり、多
聞に度々強い痛みを味わわせてしまう。それでも日を
重ねるにつれ、次第に足首等が柔らかくなってきた。
リラクセイション訓練の後、毎回立位をとらせてきた
が、なかなか自力での保持には至らなかった。が、5
月末、たまたま妻が立位をとらせたところ、わずか数
秒だが立位を保持することができた。足首等が弛み、
体が柔軟になってきたことで、自分の体をコントロー
ルしやすくなったのであろう。また、膝立ち位でも、肩
に力が入らなくなってきている。
6月 -立位の保持時間着実に伸びる-
この時期、立位の保持時間が10秒台に乗り、「立っ
ている」と感じだした頃である。立位の保持時間は、5
秒(10日)、8秒(17日)、14秒(21日)、22秒(28日)と
着実に伸びていった。
片膝立ち位
(キャンプ)
4歳夏
また、今月より片膝立ち位の練習を始め
た。当初筋緊張が強く、私一人では姿勢作
りができず、妻の協力が不可欠であった。
それでも月末になると、左出し脚では膝が
内転するものの数秒間の姿勢保持ができる
ようになった。しかし、右出し脚では強い抵
抗感のため、右脚が前に出ず、片膝立ち位
がとれなかった。
7月
-自ら立ち上がり、立位を保持す-
・立位の保持時間…36秒(3日)、40秒(5日)
・立ち上がり立位保持… 30秒(15日)、40秒(26日)
・立位の際、左脚を少し動かし脚をそろえる…(20日)
・片膝立ち位
・左出し脚…膝立ち位から脚を出し保持する
・右出し脚…形を決めてやると保持可能となる
大学での訓練開始
7月より、大学にて安好先生のスーパーバイズにより、
親子訓練を開始しました。
多聞の動作の特徴
両脚を突っ張るような筋緊張をもつ
立位の安定とともに、少し脚を出し始める
が両脚がくっついたように突っ張り、姿勢を
崩し倒れやすい。
自身の「腰」で体を支える機能が不十分
立位や膝立ち位で膝を屈げていく際、一定
以上屈げると、腰が折れるように前に倒れる
傾向がある。膝が屈がると、連動するように
腰も屈がってしまい、上体を支えきれなくなる。
左脚に体重をのせにくい
下肢、特に左脚の筋緊張が強く、左脚への
体重移動が困難な特徴をもつ。歩行の獲得の
ために、腰及び脚部を機能的に分離させつつ
コントロールすることが重要。
右脚の膝を屈げて体重をのせにくい
立位において右脚に体重をのせ姿勢を保持
する特徴をもつが、立位より右脚を踏み出した
姿勢では右脚の膝を屈げることが困難である。
右脚での上体の支持は、膝を伸ばした状態で
のみ機能するという特徴をもつ。