政治リーダーの広報 コミュニケーション戦略

政治リーダーの
広報コミュニケーション戦略
―高度コミュニケーション時代において
政治課題を完遂するためにー
広報学会 第4回オピニオンショーケース
早稲田大学公共経営研究科
1
服部智恵子
早稲田大学大学院・公共経営研究科 服部智恵子
2009年3月5日
今日の発表
政治広報とは何か。
政治広報が、その使命を果たす最も良い方法は、何か。
私は、「グランドデザイン」提示競争時代を提案したい。
発表概要
1.政治広報コミュニケーションとは(用語の定義と整理)
2.高度コミュニケーション時代とは
3.完遂すべき政治課題の変化
4.新しい時代の到来
5.提案 「グランドデザイン」提示競争時代
6.政治リーダーに必要な能力と責任
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早稲田大学大学院・公共経営研究科 服部智恵子
2009年3月5日
1.政治広報コミュニケーションとは(用語の定義と整理)
(1)政治広報について
1)政治広報とは
政治リーダーが、政治的目的を達成するために、その
置かれた環境との間で行う双方向コミュニケーション。
2)政治広報の使命 ― 目的と責任
市民・国民の政治参加と良好な政治選択。
3)政治広報とプロパガンタの相違点
①広報倫理の有無
(目的達成の為の情緒的あるは否定的メッセージの発信の回避)
回避 ⇔ 回避を辞さない
②コミュニケーションの方向
双方向 ⇔ 一方通行
③オーディエンスの既得知識への上書き意図の有無
オーディエンス尊重 ⇔ オーディエンス否定
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2009年3月5日
(2)政治リーダーについて
1)政治リーダーとは
政策形成においてリーダーシップを発揮する者。
2)政治リーダーの例
①政治家(首相・党首・首長)
②議員のなかでリーダーシップを発揮する人
③政治集団・政策集団の代表
3)政治リーダーとステークホルダー
①政治リーダー ⇔ 自身が属する政治集団、組織
②政治リーダー ⇔ 支持団体、後援会
③政治リーダー ⇔ パブリック(選挙民、有権者、市民)
④政治リーダー ⇔ マスメディア
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2009年3月5日
(3)政治広報の種類
政治家
広報
演説
(スピー
チライ
ティング)
政策広報
政策広報
政治
政治家
広報
ワーディング
5
選挙広報
(政治
CM)
選挙戦略
メッセージ
演説の
政党広
報
政治広報
※「行政広報」「政府広報」は含まない
政治CM
メディア
リレー
ションズ
危機管理
メディア
対応
リスク
マネージ
メント
メディア
対策
クライシス
コミュニ
ケーション
プレゼン
テーション
早稲田大学大学院・公共経営研究科 服部智恵子
イシュー
マネージメ
ント(井之
上,2005)
2009年3月5日
(4)政治における広報コミュニケーションとは
政治広報
政治
コミュニケー
ション
コミュニケー
ション
政治広報コミュニケーション (用語使用の理由と政治コミュニケーションとの関係)
①広報という言葉のみでは一般的に理解が偏る恐れから、実際の場面で
すでに「広報コミュニケーション」という言葉が使用されている。
②政治広報においては、特に有権者に対して双方向であることを理解・認識させたい。
③学問における政治コミュニケーションを基礎とする、あるいは重なる部分がある。
しかし、政治広報は最終的に政治目的達成のための、ビジネス的実行(実務)の
存在がある。
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2009年3月5日
(5)政治広報コミュニケーション戦略の必要性
政治リーダー
メ
ッ
セ
ー
ジ
発
信
ツール・メディア
コントロール
パブリック
街頭演説・政治報告会
広報誌・紙(チラシ等)
可能
古
典
的
ホームページ
コントロール
現
代
的
ネットメディア
不可・不可能
マスメディア(印刷、放送)
メディアリレーションズ
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2009年3月5日
対
面
的
フ
ィ
ー
ド
バ
ッ
ク
媒
介
的
2.政治における高度コミュニケーション時代とは
(1)広報ツール(チャンネル)の多様化
1)古典的広報ツール
街頭演説
(駅頭、辻立ち、キャラバン等)
政治報告会 (時局講演会、政治集会等)
広報誌・紙
(チラシ、新聞など)
⇒選挙区がある以上、効果的
2)現代的広報ツール
ホームページ
ネットメディア (ネット放送、ブログ、動画、掲示板など)
マスメディア (印刷メディア、放送メディア)
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(2)レベルの高度化
1)透明性が問われる
事後でも遡及して問われる
ex.かんぽの宿一括売却問題
2)説明責任を求められる (アカウンタビリティー)
現代に顕著な公的立場の責任
3)納得が必要
不利益分配時代(高瀬,2005)の民主主義のコスト
ex.後期高齢者医療制度
国会で正統な手続きを経ても、不可になる。
4)コミットメントの要求の高まり
市民社会の政策・政治への影響
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ex.年越し派遣村
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(3)世論が力を持つ時代
1)メディア政治
メディアの政治への影響 (様々な理論と仮説)
世論調査の動向が政権に影響する
政治の劇場化
テレビ政治
2)シニシズムの政治報道(J.N.カペラ/K.H.ジェイミソン,1997)
日本でもその傾向あり、しかし一部異なる因子の発見
(飽戸、服部,2008)
3)ネット世論の誕生
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3.政治リーダーが完遂すべき政治課題の変化
(1)選挙の公約を提示する時代
支持の確保
⇒ 「投票」が選択と支持の結果
(2)政策・マニフェストを提示する時代
支持の確保 + 政策の提示と実行
⇒ 「世論調査」が選択と支持の結果
(3)ビジョンや「グランドデザイン」を提示する時代
公約 + マニフェスト + グランドデザイン(GD)提示構築
⇒ 「GDへのコミットメント」が選択と支持の結果
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4.政治と広報をとりまく社会の変化

フラット化する社会

ソフトパワーの時代

クリエイティブクラスの出現

クラウドの知(集合知)
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政治と広報、
前提の変化
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5.グランドデザイン提示競争時代(服部仮説)
(1)グランドデザインとは
・その国や地域の将来像、全体構想である。
・ガバナンスの範囲が明示され、長期的なもの。
・政治哲学や理念をもとに、ビジョンをより実行可能・具体的に
したもの。
・数値目標はなく、目指すべき姿が描いてある。
・これをもとにマニフェストに落とし込むことができる。
・提示されたのちパブリックの参加で修正、構築される。
・具体的検証がされるもの (イデオロギーとの違い)
・政治哲学とマニフェストの間にあるもの。
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(2)グランドデザインの
マニフェストや政治リーダーとの関係
例・レストランに例えればマニフェストはメニュー、政権はシェフ(水上,2008)。
するとグランドデザインはレストラン(服部)ということになる。
レストラン
グランドデザイン
シェフ
政権・
・レストランを建築するとき(新しい店をつくる)
・レストランを選ぶとき(複数のレストランから)
・シェフを代えるとき(同じレストラで)
・シェフを選ぶとき(様々なシェフから)
・客がシェフで店を選ぶとき
政治リーダー
メニュー
マニフェスト
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・メニューを変更するとき(同じ店で)
・客がメニューから選ぶとき
・客がメニューで店を選ぶとき
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(3)グランドデザインの構築過程
グランドデザイン(GD)は、提示されたのちパブリックの参加で修正、構築される。
クラウドの知恵(J.スロウィッキイ,2004)の結集。
(ビジョンとの相違)
①それぞれの政治リーダーが、それぞれの政治哲学をもとに、実行可能で魅力的な
グランドデザインを提示。有権者は複数提示されたGDを選択し参加することが可能。
⇓
②フィードバックとコミットメントを得て構築されていく。 (ウィキペディアのように )
⇓
③GD構築と並行してGDに基づくプログラムが実行され、その結果が広く共有される。
⇓
④参加を経て構築された複数のGDから、有権者は一つのGDを選択することができる。
ex. 沖縄21世紀ビジョンhttp://www.21okinawa.net
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ex.鳥取県智頭町百人委員会
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(4)グランドデザイン提示競争時代の
広報コミュニケーション戦略の意味
政治リーダー
パブリック
ツール・メディア
フォーラム・市民集会・報告会
グ
ラ
ン
ド
デ
ザ
イ
ン
提
示
コントロール
可能
広報誌・紙(チラシ等)
古
典
的
ホームページ
コントロール
ネットメディア
不可・不可能
現
代
的
マスメディア
グランドデザインの提示と構築と選択
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対
面
的
コ
ミ
ッ
ト
メ
ン
ト
媒
介
的
6.政治リーダーに必要な能力と責任
政治に真の政治参加と良好な政治選択が求められる現代は、
政治リーダーに広報コミュニケーション能力と広報学が
必要不可欠な時代である。
1)政治リーダーの広報
2)GD構築のシステム設計能力
広報の様々なツール、ノウハウをどう使うか、工程表は?
3)GD構築システムのオペレーション能力
どのようにラポール形成し、どれだけコミットメントしてもらうか
4)提示された複数のGDから、支持選択されるための
広報コミュニケーション
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本日の発表
政治広報とは何か。
政治広報が、その使命を果たす最も良い方法は何か。
私は「グランドデザイン」提示競争時代を提案する。
発表概要
1.政治広報コミュニケーションとは(用語の定義と整理)
2.高度コミュニケーション時代とは
3.完遂すべき政治課題の変化
4.新しい時代の到来
5.提案 「グランドデザイン」提示競争時代
6.政治リーダーに必要な能力と責任
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参考文献①

『体系パブリックリレーションズ』

『パブリックリレーションズ』

『広報・パブリックリレーションズ入門』

『プロフェッショナル広報戦略』

『自民党改造プロジェクト』

『PR会社の時代』

『好かれる方法 -戦略的PRの発想』

『メディアと広報』

『戦争広告代理店』

『プロパガンタ』

『メディア政治時代の選挙』

『メディアと政治』

『武器としての言葉政治 -不利益分配時代』

『情報政治学講義』

『テレビ政治 -国会報道からテレビタックルまで』

『メディアは政治を動かすか』

『現代メディアと政治』

『政治コミュニケーション リーディングス』

『政治コミュニケーション』

『輿論と世論』
19
スコット・M・カトリップ/アレン・H・センター/グレン・M・ブルーム著
井之上喬
日本評論社
猪狩誠也
世耕弘成
世耕弘成
矢島尚
宣伝会議
ゴマブックス
新潮社
東洋経済新聞社
尾関謙一郎
高木徹
日本広報学会監修
矢島尚
新潮新書
宣伝会議
講談社
A.プラトカニス / E.アロンソン
飽戸弘
誠信書房
筑摩ライブラリー
蒲島郁夫・竹下敏郎・芹川洋一 有斐閣アルマ
高瀬淳一
講談社選書メチエ
新評論
草野厚
星浩
朝日選書
NTT出版ライブラリーレゾナント
谷藤悦史
大石裕
佐藤卓巳
高瀬淳一
一藝社
谷藤悦史、大石裕編訳
一藝社
ケイ草書房
新潮選書
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参考文献②

『歴代主相の言語力を診断する』
東照二
研究社

『言語学者が政治家を丸裸にする』

『政治報道とシニシズム(Spiral of Cynicism)』 J.N.カペラ/K.H.ジェイミソン ミネルヴァ書房

「広報学への接近」「広報学への接近Ⅱ」

「テレビ政治時代のメディア接触と政治観・マスメディア観
東照二
文芸春秋
君島邦雄
広報学会研究会報告書
~日本の現状と調査研究の可能性~ 」 放送研究と調査2008年11月号

『政治を変える情報戦略』

『創発するマーケティング』 DNP創発マーケティング研究会

『フラット化する社会(The World Is Flat)』

『クリエイティブクラスの世紀 (The Rise of the Creative Class)』

『ソフトパワー (Soft Power)』 ジョセフ・S ・ナイ

『みんなの意見は案外正しい (The wisdom of the crowds)』

沖縄21世紀ビジョン うちなーの未来をみんなで考えよう

智頭町百人委員会
20
水上慎士
飽戸弘/服部弘
日本経済新聞出版社
日経BP企画
トーマス・フリードマン
日本経済新聞社
リチャード・フロリダ
ダイヤモンド社
日本経済新聞社
J.スロウィッキイ 角川書店
http://www.21okinawa.net
http://www1.town.chizu.tottori.jp/dd.aspx?menuid=1406
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