稲葉ゼミ第2回書評 「おいしいハンバーガーのこわい話」

稲葉ゼミ第3回書評
「おいしいハンバーガーのこわい話」
エリック・シュローサー、チャールズ・ウィルソン
宇丹貴代実[訳]、草思社
2007年5月1日第1刷発行
06A2050H
木内 健司
概要
ハンバーガー(ファストフード)はおいしいけれ
ど、その裏側には驚くような話、こわい話がた
くさんある。食べる前に知ってもらいたい大切
なことをこの本は教えてくれる。
例)・フライドポテトがおいしいのは、意外な香
料が入っているから。
・アメリカや日本で使われている食品用の着
色料の中には、ほかの国で使用が禁止され
ているものもある。

1、ハンバーガーはこうして生まれた
・チャーリーという少年がミートボールをつぶし
て二枚のパンにはさんだ⇒ハンバーガー
ハンバーガーという名⇒ドイツのハンブルグ
・初めはあまり流行らなかった・・・
しかし、マクドナルド兄弟がスピーディーサービ
スシステムを取り入れて流行らせていった。
その後、レイ・クロックがフランチャイズ方式に
よって世界的に普及させる。
2、子どもは大事なお客様
・アメリカの子どもが大企業の宣伝ターゲットに
(その理由)
①アメリカで子どもが左右する消費の金額は年間50
00億ドル以上。
②子どもを連れてきた親などの消費も獲得
『実際にマクドナルドが行っていること』
①ドナルド・マクドナルドというキャラクター
②子どもたちへのアンケート
③ハッピーセット(作るほうはハッピーじゃない)
④ウォルト・ディズニーをお手本に
などなど・・・
3、マックジョブって何のこと?
「マックジョブ」とは・・・内容がつまらなくて、賃
金が低くて、手に職がつかない仕事のこと。
・アメリカでは、ファストフード業界がどの業界よ
りも最低賃金を支払われる従業員の比率が
高い。また、労働条件も悪い。
・アメリカでは2000年11月にマックユニオンと
いう労働組合が出来た。
・ちなみに、日本では2006年5月にマクドナル
ドの従業員が労働組合を新しく作った。
4、フライドポテトなどの秘密
・今日、巨大な3つの会社がアメリカの冷凍フライドポテト市場
の約80%を支配している。そのため、じゃがいも農家が苦し
んでいる。
・どうすれば牛脂を使わずにビーフの味を⇒天然香料
匂いはときに、味の90%を決めることすらある。
・ストロベリーシェイクも香料を使えば、イチゴを使わずに作るこ
とが出来る。このとき使用する「人口いちご香料」には、50
以上もの科学物質が含まれている。
・香料の研究は進んでいて、作ろうと思えばゲロ味や泥味も作
れる。実際売れるかは別として・・・・
・着色料も問題で、ノルウェイ・フィンランドなどで禁止されてい
るタートラジンといものは、アメリカや日本では使用している。
(日本では、タートラジンは黄色4号または食用黄色4号)
5、牛や鶏はどんな目にあっている?
・現在アメリカで最も牛肉を買っているのはマクドナル
ド。精肉業界は大手4社で市場の84%を占める。個
人牧場主が経営困難に。
・チキンマックナゲットのために「ミスター・マクドナル
ド」という新しい種類の鶏が作り出された。この新種
は胸が異様に大きく膨らんでいる。
・牛や鶏は残酷な処理方法で行われていて、中には
人間が行わなくてはいけない作業もある。そのよう
な人たちは8時間で1万回ナイフをふるっている。
←粗悪な労働条件
6、ファストフード中毒
・アメリカでは肥満のために「胃のバイパス手術」が増え
ている⇒ファストフードの普及
ファストフード⇒食物繊維が少なく栄養価が低い。反対
に、塩分もでんぷん質も糖分も、脂肪分も、カロリーも
高い。
・長寿の沖縄も変わってしまった
沖縄の昔ながらの食事は世界でも1,2位を争うほど健
康的で、世界のどの地域の人よりも寿命が長く、100
歳以上の人の割合も高かった。
マクドナルド開店後⇒1人あたりのハンバーガーレストラ
ンの数が日本一多く。肥満の割合も、日本一大きい。
7、現在の動向
「狂牛病をきっかけに広がった疑問」
原因⇒安いタンパク源として牛の餌に牛の死骸を入れた。
「マクドナルドのイメージチェンジ」
①食肉加工会社にFDA(食品医薬品局)の規則に従うことを命じた。
②「動物を人道的に扱うように」という指導。しかし、食肉処理場で働く人間
を守るために厳しい規則を求めることはしなかった。
③健康的なメニューの導入⇒しかし、注文する人が少ないため、健康的な食
事に結びついていない。
「アメリカでのファストフードを見直す動き」
①オーガニックレストラン
②学校に菜園を作る
私見
・ファストフード業界のいろんな角度からの裏側
について書かれていて、すごく興味をもって
読むことができた。
・ファストフード業界について考えるだけで、さま
ざまな社会的な問題(食品、衛生、労働、健
康など)について考えさせられると感じた。
・食品について興味がある方にオススメ。
・ちなみに、著者の好きな食べ物は、フライドポテト、チーズ
バーガー、チョコレートシェイクで、好きだからこそこのような
本を書いたのだなと自分は思う。