Suzaku observations of the HESS unidentified sources 松本浩典、内山秀樹、兵藤義明、鶴剛、小山勝二(京大理)、馬場彩(理研)、植野優(東工大理)、すざくチーム Abstract: 我々はHESS望遠鏡で発見された三つのTeVγ線未同定天体 HESSJ1614-518, HESSJ1616-508, HESSJ1804-216をすざく衛 星で観測した。本ポスターでは、X線CCD(XIS)による観測結果を紹介する。HESSJ1614とHESSJ1804の場合は、広がったX線 対応天体が見つかった。一方HESSJ1616には明らかなX線対応天体は見つけられなかった。どの場合でも flux(TeV)/flux(X) は非常に大きな値を示し、このことはこれらの天体が陽子加速現場であることを示唆するのではないか。 1. introduction 3. HESSJ1616-508 最近HESS望遠鏡により初のTeVγ線による銀河面サーベイが行われ、いくつもの未 同定γ線天体が発見された (図1)。TeVγ線は、高エネルギー粒子の加速現場であ ることを物語る。しかし、その粒子は電子と陽子のどちらなのだろうか? もし電子ならば、星間磁場と衝突し 容易にX線を出す(シンクロトロン放 射)。一方、もし陽子だとすると、濃 い星間物質との衝突などの特殊な 条件がなければ、一般にはX線は 出ない。 HESSJ1804-216 HESSJ1614-518 HESSJ1616-508 図1. HESS望遠鏡によるTeVγ線銀河面 サーベイ(Aharonian et al. 2005, 2006)。 本ポスターで紹介するHESSJ1614, HESSJ1616, HESSJ1894を示す。 従ってTeVγ線で明るく、X線で暗い 天体が存在すれば、それは陽子加 速器の有力候補である。暗いX線天 体、特に広がったものの探査は、す ざくが最も得意とする分野である。そ こで我々はHESS銀河面サーベイで 見つかった未同定γ線天体のうち、 広がったものを三つ選び、すざくで 観測を行った。 すざくで45ks観測した結果、明らかなX線対応天体は見つからなかった。0.6-3keV bandの左下の明るい構造は、視野外のSNR RCW103の影響。詳しくは Matsumoto et al. 2006, PASJ, すざく特集号, astro-ph/0608475。 TeVγ線 3-12keV 0.6-3keV 図5: HESSJ1616のイメージ。TeVγ線はHESS望遠鏡、X線はFI CCD(XIS0+2+3)による。 4. HESSJ1804-216 もっとも軟らかいγ線スペクトルを持つ。すざくで40ks観測し、二つ天体を発見(図6)。 src Aは広がっており、src Bは点源。src AはChandra, Swift XRTでも検出されている (Cui & Konopelko 2006, Landi et al. 2006)。src BはChandra, Swiftでは検出されておら ず、おそらくtransient。詳しくは Bamba et al. 2006, PASJ, すざく特集号, astroph/068310。 2. HESSJ1614-518 A 最も明るい未同定γ線天体。すざくで50ks観測した結果、γ線のピークに一致した、 広がったX線天体(図2の src A)が見つかった。 TeVγ線 C A B 3-10keV TeVγ線 0.4-3keV 図6: HESSJ1804イメージ。TeVγ線はHESS望遠鏡、X線はFI CCD(XIS0+2+3)による。src A は広がっており、Chandra, Swiftでも検出。src Bはおそらくtransient。 3-10keV B 0.4-3keV 図2: HESSJ1614イメージ。TeVγ線はHESS望遠鏡、X線はFI CCD(XIS0+2+3)による。src Aは 今回初めて発見されたX線天体。src Bとsrc CはSwift XRTでも検出されている点源 (Landi et al. 2006)。 図3: src A のスペクトル。 NH=11(±8)e22cm-2 Γ=1.7(±1.2) F(2-10keV)=4.3e-13erg/s/cm2 NH=0.2(<2.2)e22cm-2 Γ=-0.3(±0.5) F(2-10keV)=2.5e-13erg/s/cm2 src Aはfeaturelessなスペクトルをして おり (図3)、power-lawでfitできる。 図7: (左)src A (右) src Bのスペクトル。 NH=3.8(±0.9)e21cm-2 Γ=2.0(±0.1) F(2-10keV)=5.3e-13erg/s/cm2 5. まとめ 図4: src B のスペクトル src Bのスペクトルもfeatureless (図4)。 ただし、非常に軟らかいスペクトル。 thermal起源かもしれない。 NH=9.9(±1.0)e21cm-2 Γ=3.4(±0.2) F(2-10keV)=2.4e-13erg/s/cm2 表1に観測結果をまとめる。いずれの場合もflux(TeV)/flux(X-ray)が大きい (Cf. Crab ~0.03, RXJ1713-394~0.06)。電子起源で説明しようとすると、磁場がマイクロガウス 以下にならなければならない。すなわち、TeVγ線で明るくX線で暗い。このことは陽子 加速現場であることを示唆するのではないか。 表1: 観測結果のまとめ Γ(TeV) F(1-10TeV) erg/s/cm2 Γ(X) F(2-10keV) erg/s/cm2 F(TeV)/F(X) HESSJ1614 (src A) 2.46 1.8e-11 2.0 5.3e-13 34 HESSJ1616 2.35 1.7e-11 --- <3.1e-13 >55 HESSJ1804 (src A) 2.71 1.0e-11 1.7 4.3e-13 23
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