PowerPoint プレゼンテーション

Perspective of
Periventricular Leukomalacia
名古屋大学大学院医学研究科 小児科学
講師 奥村彰久
PVLとは
PVLと新生児脳波
PVLの病態の解析
PVLの早期マーカーは?
PVLとは
PVLはなぜ重要か
脳室周囲白質軟化症
Periventricular Leukomalacia (PVL)
新生児期頭部エコー
乳児期MRI
脳室周囲白質軟化症 研究の現状
脳室周囲白質軟化症 研究の現状
脳室周囲白質軟化症 研究の現状
脳室周囲白質軟化症 研究の現状
安城更生病院および第2青い鳥学園小児科に
通院中の脳性麻痺児のうち、頭部MRIが撮影され
た239例について調査した。
正期産児(GA≧37週)
早産児(GA≦36週)
115例
124例
早産児 124例
・周産期病変 118例 (95%)
正期産児型病変 8例
BBTL単独
広範白質障害
(SCL or SCL+PVL)
BBTL+皮質/白質障害
MCE
早産児型病変 110例
PHP
5
PVL
99
PHP+PVL
6
1
4
1
2
・出生前病変 2例 (2%)
先天性水頭症
1
神経細胞遊走障害 1
・核黄疸
1例 (1%)
・異常なし
3例 (2%)
安城更生病院におけるPVL発生率
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1989-1993
1994-1998
206
250
40 (16%)
PVLなし
PVL
28 (10%)
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QuickTime
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生存例における在胎週数別PVL発生率
-26W
27-28W
29-30W
31-32W
4/19 (21%)
9/40 (23%)
0/14
5/51 (10%)
11/56 (20%)
14/101 (14%)
13/72 (18%)
9/114 (8%)
・PVLは早産児の脳性麻痺の最もありふれた原因で、在
胎週数27-32週の早産児の約10%に発生する。
・PVLは脳性麻痺全体の4割程度を占め、単独疾患とし
て最も高率である。
・PVLの発生率は現在までのところ明らかな減少傾向を
示していない。
・新生児脳波の特徴
・新生児脳波のPVLへの応用
新生児脳波の特徴
1)全睡眠段階を評価できる。
2)急速な大脳成熟を反映して、脳波パターン
による成熟度の評価が可能である。
3)脳障害発生機転から回復機転を、短時間の
うちに繰り返し観察できる。
脳室周囲白質軟化症 研究の現状
脳波の利点
鋭敏である。
リアルタイムの情報が得られる。
非侵襲的である。
脳室周囲白質軟化症 研究の現状
急性侵襲に対する脳波所見の経時的変化
急性侵襲
正常
脳
波
活
動
量
回復期異常
急性期異常
時間経過
脳室周囲白質軟化症 研究の現状
脳損傷受傷時期と脳波所見
出生
出生前受傷
出生時受傷
出生後受傷
子宮内
出生後
脳室周囲白質軟化症 研究の現状
生後合併症の影響を評価する
A
B
C
D
脳室周囲白質軟化症 研究の現状
早産児における脳波の診断的意義
早産児における脳波の診断的意義
PVLの診断率
脳波と頭部エコーとの比較
PVL
(n=49)
PVLなし
(n=239)
エコー所見
脳室周囲高輝度
全てのエコー異常
31 (63%)
37 (76%)
6 (3%)
46 (19%)
脳波所見
II度以上の急性期異常
回復期異常
上記のいずれか
31 (63%)
43 (88%)
45 (92%)
22 (9%)
39 (16%)
56 (23%)
早産児における脳波の診断的意義
PVLの診断率
脳波と頭部エコーとの比較
鋭敏度
特異度
PPV
NPV
エコー所見
脳室周囲高輝度
全てのエコー異常
0.63
0.76
0.97
0.81
0.84
0.45
0.93
0.94
脳波所見
II度以上の急性期異常
回復期異常
上記のいずれか
0.63
0.88
0.92
0.91
0.84
0.77
0.58
0.52
0.45
0.92
0.97
0.98
早産児における脳波の診断的意義
急性期異常の程度とPVLの重症度
なし
正常
n=203
I度
n=25
軽度
II度
n=31
III度
n=27
IV/V度 中等度
0
重度
25
50
n=9
75
100
早産児における脳波の診断的意義
脳波の記録時期と診断的意義
早産児における脳波の診断的意義
・脳波は頭部エコーに比べPVLに対する鋭敏度
が高く、特異度は同等であった。
・出生後早期の急性期異常の程度はPVLの重症
度とよく相関した。
異常鋭波の臨床的意義
異常鋭波の臨床的意義
Disorganized pattern
AF3-C3
C3-O1
AF4-C4
C4-O2
AF3-T3
T3-O1
AF4-T4
T4-O2
・デルタ波の変形
・異常鋭波の出現
・尖鋭なbrush
異常鋭波の臨床的意義
中心部陽性鋭波(PRS)
AF3-C3
AF3-C3
C3-O1
C3-O1
AF4-C4
AF4-C4
C4-O2
C4-O2
AF3-T3
AF3-T3
T3-O1
T3-O1
AF4-T4
AF4-T4
T4-O2
T4-O2
前頭部鋭波(FS)
後頭部鋭波(OS)
異常鋭波の臨床的意義
FS
正常児
PVL
重度
中等度
軽度
鋭敏度
特異度
PPV
NPV
なし
53
8
0
5
3
OS
あり
9
23
10
6
7
0.74
0.82
0.72
0.87
なし
59
6
0
2
4
あり
3
25
10
9
6
0.81
0.90
0.89
0.91
PRS
なし
あり
62
0
17
14
1
9
6
5
10
0
0.45
0.82
1.00
0.78
異常鋭波の臨床的意義
FS+OS+PRS
FS+OS
FS+PRS
OS+PRS
FSのみ
OSのみ
PRSのみ
なし
重度PVL
9
1
中等度PVL
3
3
軽度PVL
0
6
0
0
0
0
0
1
0
2
0
0
1
0
0
0
1
1
0
3
正常
0
1
0
0
8
2
0
51
異常鋭波の臨床的意義
・異常鋭波はdisorganized patternの特徴的な要
素である。
・後頭部鋭波はPVL児に高率に出現し鋭敏度が
高い。
・中心部陽性鋭波は出現率は低いが、出現し
た症例は中等度以上のPVLである。
・出現する鋭波の種類が多いほど、PVLは重度
である。
PVLの受傷時期の推定
PVLの受傷時期の推定
brain insult
EEG
EEG activity
activity
acute
acute stage
stage
abnormalities
abnormalities
chronic
chronic stage
stage
abnormalities
abnormalities
time
time
EEG
EEG within
within 72
72
hours
hours of
of life
life
acute
acute stage
stage
abnormalities
abnormalities
(-)
(+)
(+)
(-)
chronic
chronic stage
stage
abnormalities
abnormalities
(-)
(-)
(+)
(+)
ANJO KOSEI HOSPITAL
PVLの受傷時期の推定
EEG within 72 hours of life
acute stage
abnormality
chronic stage
abnormality
presumed timing
of injury
negative
negative
n=7
postnatal
positive
negative
n=14
perinatal
negative
positive
n=3
antenatal
positive
positive
n=2
antenatal
ANJO KOSEI HOSPITAL
PVLの受傷時期の推定
Infants with normal EEG within 72 hours of life
(postnatal injury)
Day0
case1
10
20
40
c
died (day21)
c
diplegia
c
4
c
5
6
7
outcome
died (day78)
c
2
3
30
c
diplegia
diplegia
c
died (day76)
diplegia
C :: cystic
cystic degeneration
degeneration on
on ultrasonography
ultrasonography
ANJO KOSEI HOSPITAL
PVLの受傷時期の推定
Infants with acute stage abnormalities only within 72 hours of life
(perinatal injury)
Day0
case 8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
10
20
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
C
outcome
diplegia
diplegia
diplegia
diplegia
diplegia
diplegia
diplegia
diplegia
diplegia
normal
diplegia
diplegia
normal
diplegia
ANJO KOSEI HOSPITAL
PVLの受傷時期の推定
Infants with chronic stage abnormalities within 72 hours of life
(antenatal injury)
Day0
10
20
case22
C
outcome
diplegia
23
C
diplegia
24
C
diplegia
25
26
C
C
diplegia
diplegia
ANJO KOSEI HOSPITAL
PVLの受傷時期の推定
or
or
EEG
EEG within
within 72
72 hours
hours
presumed
presumed timing
timing
of
of brain
brain injury
injury
postnatal
postnatal
n=6
n=6
perinatal
perinatal
n=14
n=14
date of cystic
formation
26±13
18±4
antenatal
antenatal
n=5
n=5
14±1
*
postnatal
hypotension
4/6
*
FHR
abnormalities
0/5
**
2/14
0/5
*
10/13
4/5
*
*:
*: p<0.05
p<0.05 **:
**: p<0.01
p<0.01
ANJO KOSEI HOSPITAL
嚢胞性PVLの推定受傷時期
初回脳波
推定受傷時期
CSA±ASA
6例(18%)
出生前
ASAのみ
21例(63%)
出生周辺
正常(後にASA)
2例(6%)
出生後
正常
4例(12%)
不明
ASA:急性期異常、CSA:回復期異常
PVLの受傷時期の推定
脳波とエコーとの比較
脳波による推定受傷時期と
嚢胞形成時期
嚢胞の拡がりと形成時期
PVLの受傷時期の推定
・経時的な脳波変化から推定すると、PVLの
大半は出生直後までに脳侵襲を受けている
と推測された。
・頭部エコーにおける嚢胞形成時期は病変の
広がりと相関するため、頭部エコーでは
PVLの受傷時期の推定は困難であった。
・新生児脳波はPVLを頭部エコーより鋭敏に反映する。
・急性期異常の程度はPVLの重症度と相関する。
・異常鋭波は慢性期異常の主要な成分であり、出現する異
常鋭波の種類はPVLの重症度と相関する。
・経時的に脳波を記録することにより、PVLの受傷時期を推
定することができる。経時的脳波変化から推定されるPVL
の受傷時期はほとんどの例で出生前か出生周辺である。
PVLの病態・発症機構についての考察
PVLと低CO2血症
PVLと低CO 2 血症の関係
PVLの児には正常予後であった児に比べ
て高率に低CO 2 血症がみられる。
低CO2 血症はPVLの原因である??
脳室周囲白質軟化症 研究の現状
PVLと低CO2血症
過剰な人工換気
低CO 22 血症
autoregulation
脳血管収縮
大脳の低潅流
PVL
脳室周囲白質軟化症 研究の現状
PVLと低CO2血症
PVLと低CO2血症
PVLと低CO2血症
PVLと低CO2血症
PVLと低CO2血症
PVLと低CO2血症
PVL
低CO2 血症
人工換気設定
自発呼吸
脳室周囲白質軟化症 研究の現状
過剰な人工換気
低CO 22 血症
autoregulation
脳血管収縮
大脳の低潅流
PVL
脳室周囲白質軟化症 研究の現状
過剰な人工換気
低CO 22 血症
autoregulation
脳血管収縮
大脳の低潅流
PVL
脳室周囲白質軟化症 研究の現状
PVL児の脳血流動態
PVL児の脳血流動態
PVL児の脳血流動態
過剰な人工換気
低CO 22 血症
autoregulation
脳血管収縮
大脳の低潅流
PVL
脳室周囲白質軟化症 研究の現状
PVLと低CO 2 血症
低CO 22 血症
脳侵襲
autoregulation
脳血管収縮
loss of
autoregulation
大脳の低潅流
PVL
PVL
従来の仮説
低CO 22 血症
RI低下
我々の仮説
脳室周囲白質軟化症 研究の現状
PVL児の出生直後の全身状態
PVL児の出生直後の全身状態
SNAP: Score for Neonatal Acute Physiology
合計37項目につき入院後24時間で最も悪い値を
その項目のスコアとする。スコアは正常が0点、異常
の程度により1点、3点、5点と割り振られている。各
項目のスコアの合計をその児のSNAPスコアとする。
PVL児の出生直後の全身状態
PVL児の出生直後の全身状態
PVL児の出生直後の全身状態
・SNAPでみると、PVL児の出生後の全身状態は人工
換気を必要としない正常予後の早産児よりは良くない
が、人工換気を必要とする正常予後の早産児と同等
である。
・したがって、出生直後の全身状態からはPVLの発症
を予測することができない
本当か?
PVL児の出生後早期の特徴
その後の検討から
・高率に人工換気を要するが、容易に人工換気から離脱
する
RDSでなくショック肺?
・過剰な自発呼吸によると思われる低CO2血症をしばし
ば認める。
・出生後早期に乏尿がしばしばみられ、出生翌日のNaは
腎前性腎不全?
低く、K・creatinineは高い。しかし、生後数日で逆に尿量
が増加し、電解質・creatinineも正常化する。
胎内でのストレスを示唆!
PVL児の出生前の状態
PVLと産科的因子
PVLと産科的因子
PVLと産科的因子
・PVL児は正常児に比べAPGAR scoreが低い。
・PVL児は正常児に比べ臍帯が長い。
・妊娠中毒症による早産児にはPVLは1例も無かった。
・リトドリンによる陣痛抑制とPVLとの関連は無かったが、
PVL児では母体へのインドメサシンの投与が高率で
あった。
・PVL児では正常児に比べCAMが高率の傾向であった
が、有意差を認めなかった。
早産児の胎児心拍曲線の
パワースペクトラム解析
脳室周囲白質軟化症(PVL)を発症する早産児は、胎児
心拍曲線でflip flapまたはvariabilityの増加を高率に呈す
る。(Okamura et al. Int J Gynecol Obstet 1997.)
原波形
180
175
170
Excel上
に再現
165
160
155
150
145
140
0
パワースペクト
ラム曲線
2
4
6
8
10
ピーク周波数
ピークパワー
トータルパワー
p < 0.05
3
2.5
1000
2200
900
2000
1800
800
2
1600
700
1400
1.5
600
1
0.5
PVL群
対照群
1200
500
1000
400
800
PVL群
対照群
PVL群
対照群
50% Frequency Edge
90% Frequency Edge
75% Frequency Edge
4.5
7
4
6.5
10
9.5
3.5
6
9
3
5.5
2.5
5
PVL群
対照群
8.5
PVL群
対照群
PVL群
対照群
1-2 cpm
2-3 cpm
3-4 cpm
550
450
500
400
450
350
400
300
250
350
250
200
300
200
250
150
200
100
PVL
300
150
100
PVL
対照
p <0.05
350
PVL
対照
4-5 cpm
5-6 cpm
p <0.05
250
175
150
200
125
150
100
100
75
50
50
PVL
対照
PVL
対照
対照
6-7 cpm
7-8 cpm
150
200
125
150
100
100
75
50
50
0
PVL
p <0.05
PVL
対照
対照
8-9 cpm
9-10 cpm
p <0.01
p <0.05
100
90
90
80
80
70
70
60
60
50
50
40
40
30
PVL
対照
PVL
対照
早産児の胎児心拍曲線のパワースペクトラム解析
・PVL群においてトータルパワーが大きく、胎児心拍の
変動が大きいことが示された。
・周波数帯域別では比較的速いサイクルの胎児心拍
変動が増加していた。
産科的管理との関係の検討が必要
陣痛抑制との関係?
PVLと感染・炎症
PVLとendotoxinとの関係
PVLとendotoxinとの関係
PVLとendotoxinとの関係
PVLと感染・炎症
個人的な意見
・単胎においては切迫早産は炎症と密接に関係する。
・PVL児において出生時の炎症性サイトカインが上昇
しているという複数の報告がある。
・したがって、単胎においては炎症とPVLとに何らかの
関連はあると考える。
・しかし、サイトカインの上昇がPVLの原因であるのか、
PVLが発生する過程に随伴する現象であるのかは
はっきりしない。
・児側には必ずしもエンドトキシンのような炎症を惹起
するような物質は検出されるとは限らない。
PVLと感染・炎症
個人的な意見2
・多胎においては、炎症とPVLとの関係はさらに複雑で
ある。
・双胎そのものが早産の原因となりえる。
・名古屋大学周産母子センターではPVLのほとんどが
双胎であり、臨床的CAMを欠く例が多い。
・双胎では、2児ともPVLになることは多くない。CAM・高
サイトカインがPVLの原因とするとこの現象は説明し
にくい。
臍帯血を用いた検討
臍帯血中hANP・BNPとPVL
・PVLは胎内での虚血性ストレスが主たる原因であると推定
される。
・動物実験で間欠的臍帯部分クランプにより、白質病変をき
たし得ることが報告されている。
・PVL児の出生前の胎児心拍モニターでflip flopが高率に観
察されている。Flip flopは間欠的臍帯部分クランプの動物
実験で観察された心拍数変動に酷似している。
・胎児の体循環の血管抵抗は、極めて低いと予想される
Studyの仮説
・PVLが間欠的臍帯圧迫による虚血に起因すると仮定する。
・本来血管抵抗が低い胎児においては、臍帯圧迫は心の後
負荷を著しく増大させると予想される。
心負荷マーカーはPVLの発生と関連して変動する可
能性がある。
結果
hANP・BNPとPVL
hANP 150
(pg/ml)
BNP 400
(pg/ml)
300
100
200
50
100
0
0
PVLなし
cPVL
PVLなし
cPVL
臍帯血中のEPOとPVL
・PVLの児は胎内で低酸素性虚血性ストレスに曝され
ていると推測される。
・したがって、低酸素に対し何らかの適応が起きてい
る可能性がある。
・IUGRの児ではしばしば多血症を認める。
・PVL児でも同様の変化がないかを検討するため、臍
帯血を用いてEPOを測定した。
EPO
(mU/ml)
90
80
70
60
50
40
F
F
F
F
F
30
20
10
0
F
F
F
F
F
F
F
F
正常児
PVL
F
F
PVLの臍帯血マーカーの探索
・PVL児では、出生後早期に一過性に乏尿を認める。この
仕組みを解明するためにACEを測定する。
・PVLでは血管内皮障害が起きている可能性があり、血管
内皮障害を反映するセレクチンを測定する。
・また、PVLには虚血の関与が考えられ、虚血再潅流によ
る脳障害には酸化ストレスが関与している可能性が高い
ため、MDA-LDL・8-isoprostaneを測定して酸化ストレスを
調べる。
(IU/l)
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
(U/l)
2500
2000
F
(ng/ml)
70
ACE
F
F
F
F
F
F
F
F
F
F
F
F
F
F
60
F
50
F
40
F
F
F
F
F
F
F
F
F
F
F
F
F
30
20
F
10
正常児
PVL
MDA-LDL
P-セレクチン
0
(pg/ml)
140
正常児
F
PVL
8-isoprostane
F
120
F
100
1500
80
1000
60
500
0
40
F
F
F
F
F
F
F
F
F
F
F
正常児
PVL
20
0
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正常児
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PVL
・現在までPVLの病態を示唆する臍帯血
マーカーは見出すことができなかった。
まとめ
・PVLは早産児の神経学的後障害の主たる原因であり、
その把握・受傷時期の推定などに脳波が極めて有用で
ある。
・脳波所見からPVLの大半で受傷時期は出生前または出
生周辺までであり、脳波所見以外にも胎内ストレスを示
唆するいくつかの所見が得られている。
・サイトカインなどPVLと関連のある因子が浮かび上がっ
てきてはいるが、決定的な因子は依然として明らかに
なっていない。
共同研究者
・渡邊一功
・早川文雄
・根来民子・夏目淳・加藤徹・糸見和也・丸山幸一・久保
田哲夫・石原尚子・鈴木基正・城所博之・辻健史・倉橋
宏和、その他の名大小児神経研究室の先生がた
・早川昌弘・大城誠・深見英子・長谷川正幸、その他の名
大新生児研究室の先生がた
・板倉敦夫、その他の名大産科の先生がた
・安城更生病院・名古屋大学医学部附属病院などの脳
波室の技師のかたがた
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