宿輪純一報告 「欧州債務危機で確認された決済システムの 重要性と今後の決済システム改革: 高められる決済システムの機能と今後の決済リスク 管理に対する一考察」に対する予定討論 2012年6月9日 証券経済学会 第77回全国大会 (於関東学院大学) 掛下達郎 1 報告者と決済業務との関連 – 富士銀行 決済事業企画部。三和銀行 決済業務部。 UFJ銀行 決済業務部。三菱東京UFJ銀行 決済事業部。 – メンバーとして参加した研究会 ADB「ABMI: Asian Bond Market Initiative」 金融庁「決済に関する研究会」 財務省「ASEANの為替制度と域内金融市場の発展に関する研究会」 経済産業省「グローバル財務研究会」 全銀協「大口決済システム検討部会」「全銀システム検討部会」「SWIFT委員会」 – 共著『決済システムのすべて』、『証券決済システムのすべて』東洋経済新報社 報告の要旨 – BIS CPSS & IOSCO 『金融市場インフラのための原則』 – – – – – 資金・証券といった分類をなくし、金融市場を一つの基準で対応するという画期的な もので、世界のFMIを一体化させるものである。 金融市場インフラ(FMI:Financial Market Infrastructure) 決済リスク:「FMIの管理」こそ決済リスクの管理 決済方式とリスク削減 FMIの強化 今後はリンクに:アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)~Asia Link~ 2 先行研究1 つる見誠良[1991],『日本信用機構の確立 一日本銀行と金蝕市場-』 有斐閣,1992年度日経・経済図書文化賞受賞 – はしがき – 本書の目的は日本信用機構の形成・確立の過程を、決済制度と金融市場 の二つの視角から照射し、新しい像を提出するところにある。 – 日銀創出のはるか以前から自立的な活動を続けていた民間金融市場を日 銀がこのとき(世紀転換期一引用者)つかみ、預金決済を軸に日銀を頂点と する信用機構が出現した。 – 序章 課題と展望 – 第1節 分析視角一信用機構の確立 – 明治初期の金融変革:「株式担保金融を軸に日銀を頂点とする縦割りの信 用機構」 吉野俊彦「オーバーローン」論 石井寛治「産業金融」論 野田正穂・伊牟田敏充「株式担保金融」論 3 先行研究2 – 通説トライアングルを特徴づけるアプローチは、資金フロー・アプローチの視 角である。 – これが表の世界とすれば、その裏側にもう一つの世界がある。資金移転は それだけでは完了しない。その裏側で支払決済がすんで初めて完了する。 Litan, Robert E. [1987], What Should Banks Do? Brookings Institution Press. (馬淵紀寿・塩沢修平訳『銀行が変わる―グラス=スティーガル体 制後の新構図』日本経済新聞社,1998年) – アメリカ民主党系のブルッキングス研究所,ナローバンク論の提唱者 – 銀行は,取引決済の管理と金融仲介の提供という自らの二重の機能を,一 体化した天啓と受け止めた。 Stiglitz, Joseph E. and Greenwald, Bruce [2003], Towards a New Paradigm in Monetary Economics, Cambridge University Press.(内藤純 一・家森信善訳『新しい金融論―信用と情報の経済学 』東京大学出版 会, 2003年) – 決済の記述はない 4 若干のコメント 決済をどのように金融の世界で位置付け,捉えるのか? – 資金フロー・アプローチとの関連は? 資金フローを円滑におこなう金融市場インフラ(FMI:Financial Market Infrastructure) ? – 「FMIの管理」こそ決済リスクの管理の意味は? 決済方式とリスク削減 – 決済金額を削減では資金フローを円滑におこなうFMIの意味がないので,決 済時間を削減する? – グロス決済とネット決済では同一の取引でも決済金額が異なるのでは? 今後はリンクに:アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)~Asia Link~ – リンクとは? リンクの経済効果は? リスク削減? 5
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