「ブルネル研究会」 ――その人と技術史―― の開設と活動内容 佐 藤 建 吉 (千葉大学 ) 1 趣旨 時代は、絶えずめくるめく変化する。 英国で起こった産業革命は、文字通り 社会に大きな変化を与え、その渦中の ヴィクトリア時代は、英国で最も開花 した時代であったであろう。そして現 代は、世界も、わが国も、大きな変化 が起こっている。過去から現在まで続 いた歴史を見つめ、未来を歴史の目を 通してとらえることは、有意義で価値 あることと考えられる。 三輪修三氏は「機械工学史」(丸善、2000) 技術史、科学技術史を勉強することは、・・・ – ① 現代の・・技術、・・工学の範囲と内容が果てしなく広がっ ている。当事者でもわからなくなっている。危険である。変化の 姿をとらえる。(鳥瞰視観) – ② 重要な工学概念、原理、法則は「与えられたもの」としてで はなく、着想から論争を経て、定着にいたる。その「創造のダイ ナミクス」の中でとらえることができる。内部史、学説史。 – ③ 技術は社会を変える。社会も技術を規定する。社会は技術に 何を求めてきたのか。技術の生成、変転のありさま、未来への手 がかりが得られる。人間の技術の功罪について幅広い視野からと らえることができる。外部史。 – ④ 時代を切り開いた技術者個人を着目することで、個人と決断、 行動の正しさ、あるいは歴史における個人の役割を知る。専門職 業人として生きようとする人の励みと反省を与える。 (演劇舞台 物語観) エンジニアに関わる職業 技術者—科学を実地に応用して自然の事物を改変し・加工し、人間生活に 役立てるわざを職業とする人 技能者— ??技芸を行う腕前 技師—専門技術を職業とする人、エンジニア 技手—会社などで技師 の下に属し、技術をつかさどる者 匠—手先または器械で物を造る仕事、 それを業とする人。細工師、木工 工匠—工作を職とする人 職工— 職人、工匠 職人—手先の技術によって物を製作することを職業とする 人、大工・左官・指物師など 技監—技官の最高級の職名で、設計技監、 特許技監など 技能士—職業能力開発促進法に基づく資格で、職業能 力開発協会等の技能検定試験に合格した者 技術士—技術士法にもと づく資格で、科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項について の計画・研究・指導などを行う者 Engineer – a person whose job involves designing and building engines, machines, roads, bridges, etc. --a person who is trained to repair machines and electrical equipment. --a person whose job is to control and repair engine, especially on a ship or an aircraft. Machinist—a person whose job is operating a machine, especially machines used in industry for cutting and shaping things, or a sewing machine. --a person whose job is to make or repair machines. Technician– a person whose job is keeping a particular type of equipment or machinery in good condition. --a person who is very skilled at the technical aspects of an art, a sport, etc. 「ブルネル研究会」 千葉大学工学部佐藤研究室では、1996年 以来、英国のシビル・エンジニア、 Isambard Kingdom Brunel ( イ ザ ム バ ー ド・キングダム・ブルネル、IKB、1806- 1859)について調査し、これまで逐次発 表してきた。IKBは、来る2006年には生誕 200年を迎える。そのため、IKBについて の調査研究、考察研究をさらに進めるた め「ブルネル研究会」なる小組織を、IKB の誕生日を記念し、すでに2003年4月9日 (ブルネルの誕生日)に、千葉大学研究 室に立ち上げた。 「ブルネル研究会」 (――その人と技術史―― ) この度、この研究会をベースに、日本機 械学会「技術と社会」部門に、多数の経 験と知識の豊富な20名を越える参加者の 同意を頂いて、「ブルネル研究会」 (――その人と技術史―― )を立ち上げ ることができました。ここでは、その kick offとして、以下に、目的・活動内 容・日程等について述べる。 「ブルネル研究会」申請書 名簿リスト 研究会番号 A-TS20-12 研究会名 ブルネル研究会(その人と技術史) 設置期間 2003年11月より2006年10月末日まで 2 2.1 活動方針 技術成果の分析 IKBの工業遺産における要素技術について、 技術的・社会的価値についての分析と評 価を行う。 (1)特許申請の分析 (2)遺作の模型製作(例えば大気圧鉄道) 大気圧鉄道1846-47 2 活動方針 2.2 メディアの出版 IKBに関する著作は、近年イギリスにおいても 増えており、2000年以降で新刊が数冊ある。 日本語のIKBに関する著書の出版を行う。まず は翻訳本を刊行し、次にオリジナル本を刊行し たい。IKBの誇り高い挑戦的な生涯は、後世の 我々に多くの影響を与えてくれる人物像を作り 上げている。彼の生涯あるいは一プロジェクト のストーリーは、映画のようなメディアとして彼 の実像を効果的、芸術的、史的に伝えることが できる。 2.3 記念行事 (1) 生誕200年記念行事 2006年4月9日は、IKBの生誕200年である。 これに併せ、イギリスと日本での記念事 業を展開する。日英シンポジウムの開催、 モニュメント設置、記念出版物の刊行を 計画する。 (2) 没後150年記念行事 2009年9月15日は、IKBの没後150年に当た る。生誕200年記念とともに記念事業の開 催を計画する。 IN THE STREET WAS BORN ON THE 9th APRIL 1806 ISAMBARD KINGDOM BRUNEL THE GREAT ENGINEER 3 目標 :「ブルネル研究会」と ブルネル研究のねらい 今日の技術ー広い意味での科学技術ーは、産業革命 期と同じように変革期を迎えている。この時期を、変革 の主体者、客体者のいずれであっても、摩擦なく通過 することは大切である。エンジニアはその社会変革の 担い手であり、批判に耐えなければならない。この意 味で、例えばイギリスのヴィクトリア時代のエンジニア についての研究は、技術の歴史として学問的、技術的、 教育的、そして社会的に有意義な情報提供することが 可能であると考えられる。この実現に、本研究会の意 義と目的を置くものである。とくに、広範で総合的、しか も個別的な研究活動を遂行したい。特許事例の分析 は、時代背景をも知り得るテーマであり、技術史研究と しては意義深いと考える。また、父と子の関係を知る 上でも興味深い。 4 今後の日程 4.1 研究会HPの作成(11月まで) 4.2 第1回研究会立ち上げ報告、 研究会アナウンス(12月) 4.3 第1回研究会(2003年12月) 4.4 第2回研究会(2004年5月) 4.5 委員会報告(2004年全国大会) 4.6 第3回研究会(2004年11月) 4.7 第4回研究会(2005年5月) 4.8 委員会報告(2005年全国大会) 4.9 第5回研究会(2005年11月) 4.10 第6回研究会(2006年5月) 4.11 委員会報告(2006年全国大会) MATRIALS ON BRUNEL IN BRISTOL UNIVERSITY 5 研究会員募集 当初研究会会員は24名でスタートであるが、 逐次HPや学会誌、研究集会、その他にて会 員の募集案内を行う。日本機械学会会員ば か り で な く IKB な ど の 関 連 で 、 鉄 道 ・ 船 舶・橋梁などの加入者が見込まれる。他学 会・他協会、一般市民の参加を募る予定で ある。また、海外会員の加入も勧める。 その成果を踏まえて、日本でのブルネル研 究の遂行と、海外でのブルネル研究との連 携と展開のために、「日本ブルネル協会」 (IJB)を設置するための準備を行う。 6 その他 : 研究会組織と情報の 収集発信 本研究会の幹事中枢は千葉大学に置くが、 研究会運営と会員間、さらに研究会と社 会間における情報の発受信、情報収集は、 インタネット(電子メール)による「サ イバー研究会」体制とする。現在、その 整備を行っている。 皆様のご参加と、意見交換をお願いする 次第である。 Why don’t you join the Brunel Committee and play with us !
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