21世紀 COE 出張報告会

21世紀 COE 出張報告会
宇宙物理学教室 D1
成本 拓朗
THE MULTI-MESSENGER APPROACH TO
UNIDENTIFIED GAMMA-RAY SOURCES
• 場所 : スペイン、バルセロナ(UNIVERSITAT DE BARCELONA)
• 開催期間 : 2006年07月04日~07日
• 会議構成 : 招待講演 14, 一般講演 32, ポスター講演 48
• 参加者 : スペイン 33, ドイツ 16, アメリカ 15, フランス 10,
イタリア 10, 日本 8, ポーランド 5, アイルランド 4,
ロシア 3, … 全115名
THE MULTI-MESSENGER APPROACH TO
UNIDENTIFIED GAMMA-RAY SOURCES
• Topic : Gamma-Ray Sources (Blazars, Pulsars, PWN,
Microquasars, SNRs, Dark Matter …)
Session A : Global Properties of Gamma-Ray Sources
Session B : Extragalactic Sources
Session C : Pulsars, PWN, Interacting Neutron Stars
Session D : Microquasars, Black Holes, Binaries
Session E : Stars, SNRs, Molecular Clouds
Session F : Multi-Messenger Connections
Session G : Dark Matter, Gamma-Ray Horizon
発表タイトル
Gamma-Ray Luminosity Function of Blazars
and the Cosmic Gamma-Ray Background:
Evidence for the Luminosity-Dependent
Density Evolution
T. Narumoto & T. Totani, ApJ, 643, 81 (2006)
発表内容
・ ブレーザーのガンマ線光度関数の宇宙論的進化
・ 宇宙ガンマ線背景放射に対するブレーザーの寄与
EGRET (Energetic Gamma Ray
Experiment Telescope)
 ガンマ線 (30 MeV~20 GeV) での全天サーベイ
 271個のガンマ線源を検出 (66個がブレーザーとして同定)
 半分以上が未同定天体として残されている
EGRET Allsky Intensity Map
Blazar
ブレーザー
• 活動銀河中心核 (AGN) の
ジェットを正面から見た天体
Synchrotron
Inverse Compton
Kataoka et al. (1999)
フラックス
宇宙ガンマ線背景放射 (EGRB)
系外から等方的にやってきているガンマ線
⇒EGRET によって存在が確認される
EGRET
起源が分かっていない!!
EGRET
Strong et al. (2004)
Strong et al. (2004)
起源の候補
エネルギー
ブレーザー?? (e.g., Stecker & Salamon 1996; Chiang & Mukherjee 1998)
銀河団?? (e.g., Loeb & Waxman 2000; Totani & Kitayama 2000)
暗黒物質?? (e.g., Oda, Totani, & Nagashima 2005)
ブレーザーのガンマ線光度関数と
宇宙ガンマ線背景放射
EGRET で検出されている系外のガンマ線源のほとんどはブレーザー
⇒ブレーザーは EGRB の起源として最も有力な候補
しかし、ブレーザーのガンマ線光度関数(GLF)や宇宙論的進化は
分かっていない⇒EGRB に対する寄与の評価も不定性が大きい
過去の研究
SS96 (Stecker & Salamon 1996)
・ EGRB に対するブレーザーの寄与は100%であると主張
・ 問題点 : 彼らの model は EGRET で検出されたブレーザーの赤方偏移分布と矛盾
CM98 (Chiang & Mukherjee 1998)
・ EGRB に対するブレーザーの寄与は25%であると主張
これまでの研究では、ブレーザーのガンマ線光度関数の宇宙論的
進化を Pure Luminosity Evolution (PLE) として扱っていた
個数密度
Pure Luminosity Evolution
形を変えずに左右に動く
Croom et al. (2004)
光度
Number density
AGN の光度関数の宇宙論的進化
luminosity 小
luminosity の大きい AGN ほど
high-redshift に density peak
luminosity 大
(e.g., Ueda et al. 2003; Hasinger et
al. 2005; La Franca et al. 2005)
Ueda et al. (2003)
Redshift
AGN の光度関数の宇宙論的進化は PLE ではなく
Luminosity-Dependent Density Evolution (LDDE) で
表されることが分かってきた
Luminosity-Dependent Density
Evolution
個数密度
Ueda et al. (2003)
形を変えながら進化する
光度
今回の研究で行ったこと
• ブレーザーのガンマ線光度関数の宇宙論的進化に LDDE を
初めて導入し、EGRET blazars の赤方偏移分布と光度分布に
関する likelihood analysis を行った
• 電波観測によるブレーザーの同定確率を likelihood analysis
に導入(reasonable なガンマ線光度と電波光度を仮定)
• 宇宙ガンマ線背景放射に対するブレーザーの寄与の評価
• 次世代ガンマ線天文衛星 GLAST に対する予測
PLE Model

ブレーザーの電波光度とガンマ線光度の間に比例関係を仮定
電波光度関数 (RLF) ⇒ ガンマ線光度関数 (GLF)
normalization factor
ガンマ線光度関数
電波光度関数
光度関数の faint-end slope  1 は free parameter とする
likelihood analysis を用いて、 p と  1 を EGRET blazars の
赤方偏移分布と光度分布から制限する
LDDE Model

AGN の X線光度とブレーザーのガンマ線光度の間に比例関係を仮定
AGN の X線光度関数 (XLF) ⇒ ブレーザーのガンマ線光度関数
X-ray luminosity of normal
AGNs (not blazars)
normalization factor « 1
X線光度関数
ガンマ線光度関数
1
光度関数の faint-end slope  1 は free parameter とする
likelihood
q
 1 analysis を用いて、 p と  1 を EGRET blazars の
赤方偏移分布と光度分布から制限する
Constraints from Likelihood Analysis
PLE model
Constraints from Likelihood Analysis
LDDE model
faint-end slope of the AGN XLF
EGRET によって検出された
ブレーザーの赤方偏移分布と光度分布
KS probability (光度分布)
LDDE model : 99.3%
PLE model : 27.0%
PLE model に比べて、LDDE model の方が
EGRET によって検出されたブレーザーの赤方
偏移分布と光度分布をうまく説明できる
KS probability (赤方偏移分布)
LDDE model : 67.8%
PLE model : 3.1%
Blazar Contribution to the EGRB
(LDDE Model)
faint-end slope of the AGN XLF
GLAST で期待されるブレーザーの検出数
GLAST で検出可能な
ブレーザーの数
~ 3000 : LDDE model
~ 5250 : PLE model
~ 10000 : SS96 model
モデルに強く依存する
LDDE model は、過去の
評価に比べて、かなり検出
数が少なくなることを予測
GLAST によるブレーザーの検出数から、ブレーザーの
ガンマ線光度関数の宇宙論的進化に制限を加えられる
宇宙ガンマ線背景放射に対する
GLAST Blazars の寄与
2つの peak を持つ
太線 : best-fit model
細線 : EGRB を100%
説明可能な model
GLAST blazars として分解
可能な背景放射の割合
~ 20% (best-fit LDDE)
~ 26% (EGRB を100%説明可能
な LDDE model)
GLAST で検出されるブレーザーの
赤方偏移分布と光度分布
発表の成果
• 英語での発表は初めてだったので緊張したが、無事に終える
ことができ、多くの方に興味を持って頂けたと思う
• 発表後には数人の方から、質問や貴重なコメントを頂くことが
できた
我々とは異なる結論!!
• ポスターセッションの会場では
「EGRB はブレーザーで100%説明できる」
と主張している論文の著者の一人(イタリアの方)とお会いして
議論することができた(我々の論文も渡した)
課題
・ 英語を聞き取れないことがあったこと