慶應義塾大学 2003年度 卒業論文 インターネット環境下における RFID タグを 用いた位置情報取得に関する研究 慶應義塾大学 環境情報学部 金子 紘子さん 執筆 URL https://www.sfc.wide.ad.jp/thesis/2003/ bachelor/treasure.pdf B4 田代 賢治 1 論文の要旨 • 現代の位置情報取得システム – 検出範囲や精度、コスト等の点で一長一短あり – 主に自動車や船等の移動体をターゲットとしてお り、歩行者用の位置情報取得システムは少ない • 当論文における目的 – 歩行者向けの安価で測定範囲及び移動速度の 許容性に優れたシステム ⇒ RFIDシステムの 実現 2 新しいRFIDシステム • 従来のRFIDシステム – リーダーと呼ばれる識別装置を空間に設置し、検 出範囲内のタグの存在を確認して、タグの位置 情報を取得する • 当論文で提案されたシステム – RFIDタグを空間に設置し、歩行者がRFIDリーダ ーを持って移動して、検出範囲内のタグの位置 から、リーダーの位置情報を割り出す 3 RFIDシステムの概要 • 従来のシステム • 新しいシステム RFIDリーダーを 空間に配置 タグから発信される 電波を元に、 リーダーが タグの位置情報を 取得する RFIDタグを 空間に配置 タグから発信される 電波を元に、 タグの位置関係から リーダーの位置を 割り出す 歩行者が RFIDタグを 持って移動 ※RFIDタグ ※RFID リーダー 歩行者が RFIDリーダーを 持って移動 RFIDシステムの特徴 • GPS等の機器に比べて安価 – 必要に応じて路上や信号機、建築物等に多数のタグを設 置することも容易 – さらに、移動速度や測定範囲も容易に拡張できる • 歩行者や自転車への応用例 – RFIDタグの配置間隔を調節し、正確な位置を検出 – 室内において一階、二階といったZ軸表現が可能 – 移動体の通る場所にRFIDタグを任意に配置して、移動 体の位置をリアルタイムに検出 (マラソン競技等に応用) 5 RFIDシステムを用いた位置測位 • MBS (韓国、ROTIS社) – 各交差点に送信機(ロケーションビーコン)を設置 – 進入した交差点の位置情報と情報取得時刻 – ビーコンは5×5×10cm程度、車載機は10×10×5cm 程度、MBSアンテナは30×30×5cm程度 • NaviGeta (日本、ソニーコンピュータサイエンス研究 所) – 人の履物にRFIDリーダーを取り付け、床に複数貼付され たRFIDタグを読み取ってユーザの位置を検出する (タグ は干渉を減らすためジグザグに配置) 6 位置情報取得システムの汎用性 システ ム 汎用性 衛星 関連 公衆 基地局 RFID 関連 GPS Pseudol 携帯電 ite 話・PHS ROTIS Navi Geta 屋外 取得可 取得可 取得可 取得可 取得可 屋内 取得 不可 取得可 取得可 取得可 取得可 精度 高 高 低 低 高 コスト 高 高 低 高 低 スケーラ ビリティ 高 高 高 高 低 位置情報 取得範囲 7 RFIDシステムのタイプ • パッシブタイプ – RFIDリーダーから電磁誘導により供給される電力により、 無電源 (電池を搭載しない)で動作する ⇒ タグ検出 距離は数十cm程度と短い • アクティブタイプ – RFIDタグ自体に電源を持ちリーダーの給電を待たずに 自らID信号を含んだ電波を発する ⇒ タグ検出距離は 数mから数十m • 当論文ではアクティブタイプを使用 8 本研究で用いるRFIDシステム • RF Code 社のスパイダー・システム – RFIDタグ • • • • • タイプ 送信周波数 発信間隔 電源 CR2032 電池寿命 アクティブ 303.825MHz 1.0秒 リチウムバッテリー 1.9年 (25℃において) – RFIDリーダーは同時に最大450個までのタグを 読み取り可能 9 実験方法と結果 • 実験方法:30 個のRFIDタグを一定間隔で地面に配 置 ⇒ 歩行者がリーダーを持って移動してタグの検出される 様子を記録 • (結果) – 時間 : 誤差約1秒 – 距離 : 歩行時に誤差約1m – : 小走りで誤差約2m – タグを1つ以上検出した確率 : タグの間隔2m ⇒ 約100% : タグの間隔4m ⇒ 約85% 10 移動速度及びタグの間隔ごとの実験結果 移動速度及び タグの間隔 時速4km 間隔2m 時速4km 間隔4m 時速8km 間隔2m 時速8km 間隔4m タグの平均取 得個数 2.30 1.15 1.93 1.21 移動速度及 び タグの間隔 時速4.8km 間隔2m 時速4.8km 間隔4m 時速9.6km 間隔2m 時速9.6km 間隔4m 誤差の平均 (m) 1.01 1.21 2.53 1.50 当論文における結論 • 当論文で述べた実験結果は本研究が目指す歩行 者ナビゲーションシステムの実現のためのインフラ ストラクチャとしては十分な精度であったといえる • 今後の課題 – 当論文では特定のRFIDタグのみを用いた • タグの種類・発信間隔・電波強度等を調整しながら歩 行者用に適したタグの開発も検討 – 自転車や自動車などさまざまな移動体にRFIDシ ステムを応用する可能性について検討 12 論文発表後の反省点 • 今回の発表では、 – 「論文のテーマがネットワークから遠ざかっていた」 – 「論文の内容自体がしっかりしていなかった」 – 「発表が長くなりすぎた」 などの指摘を先輩方から頂きました。 まだまだ私は未熟なようで、お恥ずかしい限りです。 今後、精進しようと思います。
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