東日本大震災におけるご遺体身元 確認と行方不明家族捜索のための DNA鑑定 2011/05/28 京都大学大学院 附属ゲノム医学センター統計遺伝学分野 山田 亮 親子 • 父:A B • 母:B B • 子: –AA:0 – A B : 1/2 – B B : 1/2 親子 • 父:A B – A A : 帰属集団のA A頻度 p(AA) – A B : 帰属集団のA B頻度 p(AB) – B B : 帰属集団のB B頻度 p(BB) • 母:B B • 子: –AA:0 – A B : p(AA) + p(AB)/2 – B B : p(AB)/2 + p(BB) 親子 • 父:A B –AA:0 –AB:1 –BB:0 • 母:B B • 子: –AA:0 – A B : 1/2 – B B : 1/2 • 父:A B – A A : 帰属集団のA A頻度 p(AA) – A B : 帰属集団のA B頻度 p(AB) – B B : 帰属集団のB B頻度 p(BB) • 母:B B • 子: –AA:0 – A B : p(AA) + p(AB)/2 – B B : p(AB)/2 + p(BB) • • • 父:ジェノタイプあり 母:ジェノタイプあり 子:ジェノタイプあり ジェノタイプあり: ありえるジェノタイプNg種類のうち、た だ一つのジェノタイプの確率が1で、そ の他のジェノタイプの確率が0である • • • 父:ジェノタイプなし 母:ジェノタイプあり 子:ジェノタイプあり ジェノタイプなし: ありえるジェノタイプNg種類どれをとる かは確定しない。ジェノタイプに確率を 与えて考える 親子 • 父:A B –AA:0 –AB:1 –BB:0 • 母:B B • 子: –AA:0 – A B : 1/2 – B B : 1/2 • 父:A B – A A : 帰属集団のA A頻度 p(AA) – A B : 帰属集団のA B頻度 p(AB) – B B : 帰属集団のB B頻度 p(BB) • 母:B B • 子: –AA:0 – A B : p(AA) + p(AB)/2 – B B : p(AB)/2 + p(BB) AB BB AA : 0 AB : 1/2 BB : 1/2 BB AB AA : p(AA) AB : p(AB) BB : p(BB) AB BB AA : p(AA) AB : p(AB) BB : p(BB) AB BB AA : 0 AB : p(AA) + p(AB)/2 BB : p(AB)/2 + p(BB) AA : p(AA) AB : p(AB) BB : p(BB) AB BB AA : q(AA)=0 AB : q(AB)=p(AA) + p(AB)/2 BB : q(BB)=p(AB)/2 + p(BB) AA : p(AA) AB : p(AB) BB : p(BB) AB BB AA : q(AA)=0 AB : q(AB)=p(AA) + p(AB)/2 BB : q(BB)=p(AB)/2 + p(BB) AA : q(AA)/2 + q(AB)/4 AB : q(AA)/2 + q(AB)/2 +q(BB)/2 BB : q(AB)/4 + q(BB)/2 AA : p(AA) AB : p(AB) BB : p(BB) AB BB AA : q(AA)=0 AB : q(AB)=p(AA) + p(AB)/2 BB : q(BB)=p(AB)/2 + p(BB) AA : q(AA)/2 + q(AB)/4 =(p(AA)+p(AB)/2)/4 AB : q(AA)/2 + q(AB)/2 +q(BB)/2=(p(AA)+p(AB)/2)/2 + (p(AB)/2+p(BB))/2 BB : q(AB)/4 + q(BB)/2 =(p(AA)+p(AB)/2)/4 + (p(AB)/2+p(BB))/2 AA : p(AA) AB : p(AB) BB : p(BB) BB AA : 0 AB : p(AA) + p(AB)/2 BB : p(AB)/2 + p(BB) • メンバーのジェノタイプは確率的に決まる • 「観察された」とき、1つのジェノタイプの確率が1となる • 「観察されていない」とき – 親が不明なときは、「帰属集団」から生まれたとする – 親がわかっているときは、親のジェノタイプによって確率的に決 まる 全員がすべてのジェノタイプを取ると考えれば・・・ p2 = (p21,p22,p23,…) p4 = (0,0,…,0,1,0,…0) p1 = (0,0,…,0,1,0,…0) p3 = (p31,p32,p33,…) p5 = (0,0,…,0,1,0,…0) 全員がすべてのジェノタイプを取ると考えれば・・・ • ジェノタイプの種類数をNgとし、人数をNsとす ると – NgNs 通りのジェノタイプの取り方がある NgNs 通りのジェノタイプの取り方のうち ある1つのジェノタイプの取り方に着目すれば 全員のジェノタイプが確 定した家系図ができる NgNs 通りのジェノタイプの取り方 • NgNs 通りのジェノタイプの取り方ごとに – そのようなジェノタイプを持つ家系図ができる確 率(尤度)は計算できる – 親子トリオでやったように・・・ – ちょっと面倒くさいだけ 親子 • 父:A B • 母:B B • 子: –AA:0 – A B : 1/2 – B B : 1/2 1 : 尤度が計算できる 2 : 尤度が計算できる … : … … … … NgNs : 尤度が計算できる 全員のジェノタイプが確 定した家系図ができる 全員がすべてのジェノタイプを取ると考えれば・・・ p2 = (p21,p22,p23,…) p4 = (0,0,…,0,1,0,…0) p1 = (0,0,…,0,1,0,…0) p3 = (p31,p32,p33,…) p5 = (0,0,…,0,1,0,…0) 親情報のない個人がいて、そのジェノタイ プを確率的に考えるとき、 NgNs 通りには、ありがちな場合と、珍しい 場合との差があるのでそれを考慮する 1 2 … … … NgNs : 珍しさで重みづけ : 珍しさで重みづけ … … … : 珍しさで重みづけ 行方不明 身元不明 マッチング 行方不明 行方不明 どちらがどれくらい 「ありそうか?」 他人 地道にやると • NgNs 通り – A それぞれの「確定したジェノタイプ」の尤度の計算 – B それぞれの「起きやすさ」 – A x B をNgNs 通りについて足し合わせ • 行方不明者~身元不明者DNA – L1 家系図に入れて計算 – L2 家系図から外して計算 – L1/L2 (尤度比) NgNs 通り ジェノタイプの確定している人はNg種類を考慮するのはばかばかしい p2 = (p21,p22,p23,…) p4 = (0,0,…,0,1,0,…0) p1 = (0,0,…,0,1,0,…0) p3 = (p31,p32,p33,…) p5 = (0,0,…,0,1,0,…0) Ns Ng 通り ジェノタイプの確定している人はNg種類を考慮するのはばかばかしい • メンバーが取りうるジェノタイプのみを相手に する – ジェノタイプが確定していないメンバーも、取りえ るジェノタイプは限定できる • 考慮すべきアレル – Identifilerのマーカーのアレル数 • アレル数 Na のジェノタイプの種類数は (Ng(Ng+1))/2 Na 11 16 12 10 9 7 9 9 13 16 10 8 19 9 16 Ng 66 136 78 55 45 28 45 45 91 136 55 36 190 45 136 家系に関係 ないアレル はまとめる 核家族ごとに計算して、連結する • 親子が尤度を与える – このジェノタイプの両親 からこの子のジェノタイプ が生まれる尤度は・・・ – 核家族で尤度が計算で きる • 核家族を越えた場合わ けは、核家族を連結して いる個人のジェノタイプ の場合わけのみを考慮 することで計算できる – NgNs 通りを省略できる 複数のマーカーを合わせる • マーカー同士は独立 • 尤度は掛け算 身元不明者リスト 行方不明 マッチング 1家系に複数の行方不明者 1家系に複数の行方不明者 行方不明者 2 人 {t1,t2} 考慮の仕方 2人とも身元不明リストにない t1のみ身元不明リストに合致 t2のみ身元不明リストに合致 t1,t2とも身元不明リストに合致 行方不明者 T 人 {t1,t2,…,tT} 考慮の仕方 0人が身元不明リストと合致 1人が身元不明リストに合致 2人が身元不明リストに合致 … T人が身元不明リストに合致 2T通りの考慮パターン
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