道路・トンネル 【道路エラー事例の収集・収録状況】 分野 道路 及び構造物 トンネル 合 計 全収集 事例数 139例 (15)例 38例 (2)例 177例 (17)例 収録 事例数 67例 (15)例 23例 (2)例 90例 (17)例 セミナー発表 事例数 12例 3例 15例 ( )の数値は新規追加分 1 【道路エラーの分類別、収録事例数】 (1)技術的判断によるエラー エラー コード エラー内容 道路 トン 道路 構造物 ネル ① 基準適用エラー 1 4 2 ② 設計条件の設定エラー 7 1 2 ③ 設計計画エラー 6 9 8 ④ 技術的判断エラー 7 2 ー ⑤ 施工計画関連エラー 2 1 ー 2 (2)情報・確認不足による単純エラー エラー コード 道路 道路 構造物 トン ネル エラー内容 ⑥ 現地状況・条件の把握エラー CAD使用上のエラー 3 ー 2 ー ー 3 6 1 7 ー 2 1 ー 1 ー ⑦ 設計計算エラー ⑧ 図面作成エラー ⑨ 配筋図エラー ⑩ ⑪ 数量計算エラー 2 ー 1 ⑫ 社内の情報伝達エラー ⑬ 発注者・他社との情報伝達エラー 1 1 ー 1 ー 31 道 路 道路土工におけるエラーの事例(6例) 技術的判断によるエラー(2例) 情報・確認不足による単純エラー(4例) 道路構造物におけるエラーの事例(6例) 4 道路土工におけるエラーの事例 技術的判断によるエラー事例(2例) 事例-1:平面線形決定時のエラー 事例ー2:軌跡に関するエラー 5 事例-1:平面線形決定時のエラー 【設計概要】 ① 自動車専用道路でのランプの道路詳細設計 ② ダム建設に伴う付替道路の道路予備設計 6 【エラーの内容】 ① 自動車専用道路でのランプの道路詳細設計 設計速度で規定される最小緩和曲線半径を 採用し平面線形を決定したため、緩和曲線 区間内で片勾配のすりつけを行うと規定の すりつけ率が確保できなかった。 ② ダム建設に伴う付替道路の道路予備設計 拡幅が生じない標準の横断面構成に対し 緩和曲線半径を決定したため、拡幅が生 じる曲線部で規定の擦りつけ率が確保で きなかった。 7 【エラー発生原因の分析】 ①、②ともに緩和曲線長と片勾配のすりつけ 長との関係のチェックエラー 道路専用CADにより平面、縦断線形を計画 拡幅の生じない標準の横断面構成のみ入力 した状態で線形を確定 曲線区間では拡幅を行う必要があり (基 準 値) 設計速度 V=40Km/h ⇒ 緩和曲線長 35m以上 ⇒ すりつけ率 1/100以下 (採 用 値) R=100m ⇒ A≧ 100×35 ⇒60m 8 CL ① 直線部 8.0 1.0 3.0 3.0 2% 2% ② 曲線部 (拡幅考慮せず:エラー) 1.0 CL 8.0 1.0 3.0 すりつけ率 1/100 ③ 曲線部 (拡幅考慮:正解) 3.0 1.0 7% CL 8.5 1.0 すりつけ率 1/95(out) 3.25 3.25 1.0 7% 9 【改善策】 道路専用CADなどの活用は、今後増加 使用方法を誤れば、このようなミスが増加 平面線形のうち緩和曲線が、 ①道路構造令第18条で規定されている緩和区間の長さ ②拡幅を考慮した片勾配のすりつけに必要な長さ を満足する必要あり。2つの要因についてチェック を行う。 10 〈具体例〉 照査チェックシート 標 準 部 ■曲線半径 曲 線 部 - R= m 標 準 m m 拡幅量 m m 小 計 m m ■片勾配 % % ■片勾配値 m m ■幅員 (片側) 最小値 ■緩和曲線 片勾配のすりつけ 長からの決定値 A= m(L= m) A= m(L= m) 備 考 11 事例ー2:軌跡に関するエラー 【設計概要】 現道(W=3m)を工事用道路に利用するための 現道拡幅設計 12 【エラー内容】 車両軌跡の確認エラー 車両(セミトレーラ)の軌跡により、現道拡幅必 要区間および拡幅量を算出することとした。 往路の軌跡図に基づき設計を実施 復路の軌跡でチェックしたところ往路と復路で 軌跡が異なった。 設計のやり直し 13 セミトレーラ連結車 0.450 9.940 1.600 0.040 1.300 3.740 0.300 1.860 1.600 0.300 0.620 1.960 0.620 R=15m 進行方向 進行方向 小型自動車 進行方向 R=15m 進行方向 道路構造令 小型車 セミトレーラ セミトレーラ連結車 進行方向 進行方向 【エラー発生原因】 一般車両(小型自動車、普通自動車)では往路、復路 とも軌跡はほぼ同じであり、また、道路構造令に基づ き計画・設計を行っている中では往路復路といった意 識は薄く、通常の道路設計の意識のもと作業にあたっ てしまった。 17 情報・確認不足によるエラー事例(4例) 事例-3:クリアランスのエラー 事例-4:設計図書の表現不足エラー 事例-5:隣接工区との整合エラー 事例-6:宅地高さとの調整不足エラー 18 事例-3:クリアランスのエラー 【設計概要】 交差道路をオーバーパスする道路の予備設計 【エラー内容】 立体交差道路計画で貸与された計画道と別機関 による交差側道路資料の水準点が異なっていた のを気づかないまま設計を行い、結果、 クリアランス不足になった。 【エラー発生原因の分析】 与えられた資料は同じ水準点で計画されている ものと思いこみ、計画を行った。 19 【改善策】 地形図や計画図等、複数の貸与資料に ついては、水準点・基準点が同一基準 であるかの確認を行う。 (別機関による資料が混在する場合は特 に注意が必要である。) 同一地点での高さ・座標等の確認・照査 を行う。 20 〈具体例〉 照査チェックシート 照査項目 適 用 照査結果 確認事項 備 考 ■道路(貸与資料) 1)貸与図面の基準高 2)貸与図面の座標系 TP、YP、AP その他( ) 国家座標系、 極所(小)座標系( ) 21 事例-4:設計図書の表現不足に伴うエラー 【設計概要】 工事用道路詳細設計 【エラー内容】 施工時に曲線拡幅すりつけ部の幅員不足が 生じた。 【エラー発生原因の分析(1)】 (経緯)・平面地形図を基に路線検討・決定後、 中心線測量を行い、詳細設計を実施。 ・詳細設計段階で平面線形を部分修正。 ・修正中心線での再測量は実施せず、 設計図書は測量中心線と道路中心線 の併記による成果とした。 22 【エラー発生原因の分析(2)】 ① ② ③ ④ 設計成果として、修正道路中心線の一連の 座標計算を示していなかった。 道路中心線での拡幅計算はしていたが、測 量中心線との関連を充分に解説していなか った。 施工は測量中心線に基づき、拡幅等は平面 計画図からの読み取りで処理した。 (→結果、読み取り誤差を含め、幅員不足 が生じた) 設計者は、施工段階で道路中心線に基づい た測量・施工が行われるものと考えていた。 23 【改善策】 ① 報告書に設計の経緯、複雑な情報について の解説を明記する。 ② 特に、詳細設計では施工時に対する留意点 を明記する。 (現、照査要領に項目有り) ③ 拡幅のある場合は、拡幅計算書を作成する。 24 〈具体例〉 照査チェックシート 照査項目 適 用 照査結果 確認事項 備考 ■道路(設計計算) 1)拡幅計算書は示さ れているか ・設計図との照合 25 事例-5:隣接区間との整合エラー 【設計概要】 道路詳細設計 【エラー内容】 発注者より指示された隣接区間の縦断線形が 最終線形と違っていたことに気づかないまま、 設計を進めた。 【エラー発生原因の分析】 隣接区間の成果品納品が遅れており、最終的 に借用した段階でエラーを発見した。 中間成果による照査は行ったが、その後の 変更は知らなかった。 発注者も変更を認識していなかった。 26 【改善策】 発注者からの指示であっても隣接区間 との整合については、照査を行う。 発注者だけでなく、隣接区間の設計を 行っている他社に対して直接情報確認 を行う。 27 〈具体例〉 照査チェックシート 照査項目 適 用 照査結果 確認事項 備考 ■道路(関連設計) 1)隣接区間との整合 ・平面線形 ・縦断線形 ・横断面構成 28 事例-6:宅地高さとの調整不足エラー 【設計概要】 道路拡幅に伴う現況宅地擁壁の機能復旧 のための擁壁詳細設計。 29 【エラー内容】 業務工期途中に補償代行工事の設計が追加契約とな った。 工事発注までの時間がないため前年度行った実測横 断図(他社が測量)の使用を発注者の了解の上設計 を実施。 工事会社が施工中に宅盤高さを測量した結果、横断 実測図よりも15cm高いことが判明 擁壁高さが15cm上がることにより、断面力がも たないことが判明し修正設計を実施した。 30 【エラー発生原因の分析】 ①前年度の実測横断図成果に誤りがあった。 (測量成果を作成した会社の照査不足) ②業務途中に追加された補償代行工事の設計業務 には縦断測量が契約に含まれており、官民境界 の高さを把握する際に、民地からの出入り口部 分のみの確認を行ったため、実測横断成果の誤 りに気づかなかった。 縦断測量は、補償代行工事を実施することを 想定していなかった。 32 【改善策】 ①構造物設計において高さの設定は重要であり、 実測横断図が誤っている場合も想定し、十分な 現地把握のもと設計を実施する。 ②縦断測量は、官民境界の高さを把握する際に、 民地からの出入り口部分に限らず、工事実施を 想定し測量対象範囲の設定は慎重に行う。 ③発注者側の測量成果品に対する十分な照査。 33 【具体例】 照査チェックシート 照査項目 適 用 照査結果 確認事項 備考 ■測量図 1)測量成果 (貸与された測量成果の照査) ・縦断図と横断図の同測点で の高さが一致しているか。 34 道路構造物設計におけるエラーの事例 エラー収集事例 技術的判断エラーと単純エラーが同程度発生 技術的判断エラーでは設計計画エラー、基準適用エ ラーが多い。 単純エラーでは設計計算エラー、配筋図エラーが多い 事例-7:構造物接続位置でのエラー 事例-8:擁壁設計に関するエラー 35 事例- 9:施工計画のエラー① 事例-10:施工計画のエラー② 事例-11:擁壁設計に関するエラー ① 事例-12:擁壁設計に関するエラー ② 36 事例ー7:構造物接続位置でのエラー 【設計概要】 高速道路から一般道への接続ランプ区間 (料金施設区間含)の擁壁工の詳細設計で ある。 本区間一帯は、厚さ10m以上の軟弱層に 覆われているため、擁壁基礎工は杭及び 置換え工により計画・設計している。 37 (平面概略図) 38 (断面形状) 39 【エラー内容 ① 】 L型擁壁と重力式擁壁の接続部の不整合 料金所と前後ランプ部端部(S字形状)の土留 め擁壁計画に関して、施工性に配慮しL型擁壁 を直線形状で計画 L型擁壁と重力式擁壁の接続位置で擁壁前面が 不整合 土工、擁壁設計のやり直し 40 【エラー内容 ② 】 基礎形式選定に関するエラー 周辺家屋が近接しているのに、騒音・振動等に対 する確認を怠り、経済性より打込み杭を選定し設 計を実施 騒音・振動予測 環境基準をオーバー 杭設計のやり直し 41 【エラー発生原因】 (1)社内での調整不足 重力式擁壁設計担当者とL型擁壁担当者とで調 整がなされず、各自の判断のもと設計を行った ことによる。 (2)基礎形式選定エラー 管理技術者への確認・報告を怠り自己判断に よる。 42 【改善策】 管理技術者を中心に全体会議を行い、設計思想、 設計条件等の調整、確認を行うこと。 設計計画時、基本条件設定時の照査の実施(手 戻りを小さくする) 各担当者は、管理技術者や他部門技術者等に 確認・相談を行い、明確な根拠をもった判断に基 づき計画、設計を行う必要がある。 43 事例-8:擁壁設計に関するエラー (構造計算と図面との不整合) 【設計概要】 道路拡幅に伴い谷側80m区間に擁壁の 設計を行った。構造物形式は設置高さ等 の条件から重力式擁壁とした。 44 (概略図) 45 【エラー内容】 重力式擁壁の安定検討を1ブロック(10m) にて行った。図面作成時に目地割りした結果 6mのブロックが生じたが、安定検討の照査 を行わずに図面を作成。 後日の照査で、このブロックが安定検討で 許容値をオーバーしてしまうことが判明 46 【エラー発生原因の分析】 構造物の構造計算は一般的に、詳細な配置計画、 ブロック割りに先立ち、構造寸法を決定するた めのモデル化が行われる。 計算モデルと実際の構造物計算に違いが生じ たが、違いを生じる箇所について安定検討の 照査を行わなかった。 47 【改善策】 ①設計担当者のみのチェックでは見逃し やすい項目は、第3者によるチェック が必要である。 ②擁壁の照査要領に下図のような照査フ ローを設け、チェック漏れをなくす。 安定計算時のブ ロック割の設定 値 目地割(ブロック) の決定 安定計算時のブロック割の設定値 と目地割(ブロック)との整合性の 照査 48 〈具体例〉 照査チェックシート 照 査 項 目 適 用 照査結果 確認事項 備 考 ■擁壁 1)衝突荷重は考慮されてい るか 2)衝突荷重を考慮する場 合、荷重の選定と作用高 さは妥当か ・防護柵の種別 ・衝突荷重 P= (KN) ・擁壁天端高からの作用高h= 3)衝突荷重を考慮する場 合、安定計算の1ブロッ ク延長の値は。 ・安定計算時の ブロック割長= 4)図面のブロック割りと上 記3)の安定計算の1ブ ロック延長の値と同じ値 となっているか。 ・図面のブロック割長= (m) (m) (m) 49 事例-9:施工計画のエラー ① 【設計概要】 追加IC整備に伴う道路設計 50 【エラーの内容】 現況本線の盛土部を標準的な勾配で掘削して 補強土壁を施工する箇所において、本線盛土 掘削時の安定度照査が実施されておらず、安 全率を下回る結果となった。 補強土擁壁 床堀線 51 【エラー発生原因の分析】 現場施工に対する担当者の認識不足 完成時の安定性のみに気をとられ、施工時に 対する注意が不足 52 【改善策】 構造物の掘削勾配については、各基準により 設定されているが、その選定あたっては地質 状況、湧水・地下水位の有無、現場状況、施 工期間等に十分留意する必要がある。 <具体例> ① 施工時の安定性照査の追加 ② 掘削勾配の選定根拠の確認 53 事例-10:施工計画のエラー② 【設計概要】 設計延長850mの電線共同工詳細設計 (CC-BOX)歩道拡幅(車道幅員を減少)を同 時実施し、歩道空間整備を行う計画 54 概略平面図 車道中心線 電力柱 仮移設予定位置 歩道拡幅 計画歩車道境界 現況歩車道境界 計画CCB中心 CC-BOX中心 官民境界 既設電力柱 やむを得ずCCB CC-BOX 敷設位置を変更 55 横断図 歩道拡幅 CL 計画道路 現況道路 CC-BOX やむを得ずCCB 敷設位置を変更 電力柱 仮移設予定位置 既設電力柱 DL=0.00 56 【エラーの内容】 施工手順の変更に伴う設計修正 設計当初の条件としては歩道拡幅工事とCC-BOX工 事が同時に行われる設定であると認識していた。 実施工ではCC-BOX工事が先行し歩道拡幅工事が先 送りとなった。そのため電力柱の仮移設が困難となり、 やむを得ずCC-BOX新設位置の変更設計が必要とな った。 設計者として条件を明示した資料なしに成果を収めて いた。 57 設計時の考え ステップ1 歩道拡幅 ステップ2 電力柱移設 ステップ3 CC-BOX敷設 実際の施工 ステップ1 CC-BOX敷設 ステップ2 歩道拡幅 参考(メリット・デメリット) ・電力柱仮移設が不要となる ○ ・官民境界に近接する掘削が必要△ 58 【エラー発生原因の分析】 設計条件が曖昧 歩道拡幅とCC-BOXは同時施工(確認が曖昧)と想定。 業務途中でエラーが発見されにくい 設計照査、設計協議およびCC-BOX事業参画企業間 調整会議などにおいて、施工手順に伴う問題認識が薄く 議論にのぼら無かった。 設計者の認識する設計条件を明示した資料が不足した ことに起因するエラーである。 59 【改善策】 設計条件の曖昧さ防止のため、文書化・ポ ンチ絵の作成が有効。 CC-BOX設計においては、通常代表断面に より掘削・埋め戻しを表現するため、施工条件 は不明確になりがちである。本事例のような 場合には、簡易なステップ図でも十分な効果が ある。 60 〈具体例〉 設計条件を明示する工夫 ステップ1 歩道拡幅 ステップ2 電力柱移設 ステップ3 CC-BOX敷設 61 事例-11 擁壁設計における構造計算エラー 【設計概要】 海側への現道拡幅に係る、 1)道路詳細設計(200m) 2)逆T型擁壁詳細設計 3)仮設工設計 62 【エラーの内容】 現道拡幅計画、地盤支持力等より逆T型擁壁を計画 したが、擁壁端部については逆T型擁壁にウイングを 取り付ける構造とし、掘削を軽減する計画とした。 端部の逆T型擁壁設計においてウイングに働く土圧を 考慮しなかった。 擁壁が不安定構造 63 平面図 64 65 【エラー発生原因の分析】 担当者は擁壁、ウイングそれぞれの設計を行ったが、 当設計事例を経験したことがなく、構造を十分理解す ることができなかった。 当設計では本体の基礎地盤対策、仮設計画が大きな 課題となり、今回エラーを生じた箇所への注意が薄れ た。 年度末で他の業務と重複し、十分な照査が行えなかっ た。 66 【改善策】 複雑な道路構造物については道路技術者のみなら ず、構造担当者の照査をうける。 照査を見込んだ工程計画 照査報告書のスパイラルアップ ・荷重条件、荷重の組合せは妥当か? ・荷重モデル図、検討ケースのチェック 十分な照査ができずに納品した成果に対し、納後で も再照査を行う。 67 事例-12:擁壁形状と防護柵との不整合 【設計概要】 道路拡幅に伴う土留め擁壁の設計 【エラー内容】 プレキャスト擁壁を路肩端に設け、土中式車両用 防護柵を設置する計画としたが、防護柵の衝突 荷重を受けてプレキャスト擁壁が破壊、転倒また は、防護柵の転倒に至る危険性が生じた。 68 69 【エラー発生原因の分析】 〇担当者はメーカーカタログ等を参考に形式を選定 したが、構造物設計および防護柵設置条件等に 関する意識と知識が深くなかったため、エラーが 生じた。 〇管理技術者との意志疎通も不足していた。 70 71 【改善策】 ① 管理技術者とのコミュニケーション不足 ⇒定期的に業務の審査、検証を行う ② 「詳細設計照査要領」に防護柵設置照査項目を 加える。 72 <具体例> ① 定期的な照査の実施 ② 防護柵の設置場所、設計荷重、支柱間隔、支 柱埋込み深さ等が仕様にあっているかチェックす る。 ③ プレキャスト製品使用時、その設計条件(設計 荷重、地盤条件、安定条件等)を整理する。 73 トンネル トンネル詳細・実施設計時のエラー 事例-1:内空断面設定エラー 事例 2:付属設備設計との不整合及び 排水工流末未計上エラー 事例 3:中央排水工の変更に伴うインバ ート半径のエラー 74 ①技術的判断によるエラーの内容 ・設計計画エラー ・技術的判断エラー ②情報・認識不足による単純エラー ・図面作成のエラー ・社内の情報伝達エラー ③その他エラー 75 トンネル詳細・実施設計(トンネル設備は除く)のフロー 76 トンネル設計の各段階で恒常化 しているエラー 事例の抽出 ● エラーの原因及び背景分析 ● 照査方法・対応策の提案 77 事例-1:内空断面設定エラー (本体工設計段階) 【業務の概要】 ダム工事に伴う県道付替によるトンネル詳細設 計 道路規格 第3種4級 トンネル延長 L=約300 m 土工部は暫定(歩道なし) トンネル部のみW=2.5mの歩道設置 78 【エラーの内容】 トンネル内空断面の過大設定 (歩道建築限界設定時のエラ-) 歩道幅員2.5mという条件 「歩道2.0m+施設帯0.5m」 に分離すべきところを 「歩道幅員全幅を2.5m」で設定 片勾配条件により内空断面が過大となった 約1.0 ㎡の過大断面 79 2500 2000 500 3000 500 歩 道 施設帯 n% 2000 500 歩 道 施設帯 500 3000 n% この部分の内空が 過大となる エラーの断面 正解の断面 (トンネル内空断面の過大設定事例) 【エラー発生原因の分析】 ① 土工部は暫定(歩道なし) ② トンネル部は将来拡幅不可能なため2.5mの歩道 を設置 ③ 道路構造令の一部改訂 ④ 最小幅員の拡大と橋梁・トンネル等に係わる 幅員縮小規定の撤廃 第3種道路の歩道幅員は2.0mに改訂 (改訂前は標準値1.5m、縮小値1.0m) ⑤ トンネル区間に係る最小幅員縮小規定廃止の 改訂要旨の理解不足 81 【改善策】 ①要領、技術基準等が改訂された場合は、社内 で勉強会等を行い、改訂要旨の把握 ②設計条件の確認 ・発注側担当者 ・関連設計(同一路線内設計)との条件統一 ・事務所内統一方針等 ③事例を教訓として、社内の照査チェックリスト 項目に追加しエラー防止に努める 82 〈具体例〉 照査チェックシート 調 査 項 目 適 用 照査結果 確認事項 備 考 ■トンネル(幅員構成・建築限界) 1)トンネル内車道幅員と土工部車 道幅員と整合が図られているか。 ・トンネル内車道幅員 土工部車道幅員 m m 2)トンネル内路肩幅員と土工部路 肩幅員と整合が図られているか。 ・トンネル内路肩幅員 土工部路肩幅員 m m 3)トンネル内歩道幅員と土工部歩 道幅員と整合が図られているか。 ・トンネル内歩道幅員 土工部歩道幅員 m m ・車道 ・歩道 ・管理用(監視用)通路 m m m 4)建築限界 5)片勾配の整合性 ・車道のトンネル内と土工部(車 道横断勾配すりつけ区間の有 無) ・歩道のトンネル内と土工部 83 事例 2:付属設備設計との不整合及び 排水工流末未計上エラー (本体工設計段階) 【業務の概要】 道路改良に伴う山岳トンネル本体工詳細設計 及び、トンネル設備詳細設計 歩道を設置しないトンネル 84 【エラーの内容 ① 】 トンネル坑口部で、坑口に設置される電線 配管工や坑外ハンドホールと排水溝・集水 ますがぶつかる 【エラーの内容 ② 】 トンネル内排水工流末の未処理 接続ます,接続管の未計上 85 (エラーがあった箇所) 86 (修正した箇所) 87 【エラー発生原因の分析】 ①トンネル本体工設計担当者とトンネル付属設 備設計担当者が異なる ②歩道を有しないトンネル、で坑口部にもたれ 式擁壁が接続する狭いスペース ③設計範囲の確認不足 「誰かがどこかで行っているだろう」とい 安易な対応 ④関連設計との調整不足 88 【 改 善 策】 トンネル本体工設計 トンネル設備との関連 電線管路用ハンドホールの位置・形状をつねに想 定して設計 設備設計 排水構造物等との関連 排水構造物に注意し、電線管路用ハンドホールの 設計 89 設計条件の確認事項の項目リストに加え、必ず確 認を行う対策 調整が必要な場合は、発注者に速やかに報告し、 道路・本体工図面の修正 設計条件の確認、設計範囲、前後の関連設計の 調整 発注者だけでなく、関連する設計を行っている 他社に対して直接確認 90 〈具体例〉 照査チェックシート 照 査 項 目 適 用 照 査 結 果 確認事項 備 考 ■トンネル(排水工・付属施設) 1)トンネル内排水と坑口及び土 工部排水工との整合が図られて いるか。 ・排水工の連続性が確保さ れているか。 2)トンネル内、坑口及び土工部 排水工と付属施設(通信・電線 管路)と整合が図れているか。 ・付属施設(通信・電線管 路)と排水工と干渉してい ないか。 91 事例-3:中央排水工の変更に伴うインバート半径のエラー 【設計概要】 地域高規格道路のトンネル詳細設計 ・トンネル延長:L=約200m ・道路規格:第1種第3級 92 【エラーの内容】 適用基準が改訂となっていたことを担当者が認識 しておらず、前設計の報告書に記載されていた基 準を適用してしまった。 改訂により中央排水工の形状が変更になり、イン バート半径にエラーが生じた。 93 中央排水工の変更 旧基準(台形) インバート半径=18.10m 新基準(長方形) インバート半径=18.07m 94 【エラー発生原因の分析】 設計開始段階で基準が変更になる情報は得ていた、 業務の途中で変更になった新マニュアルの変更点を 細部まで確認せず業務を進めてしまった。 基準の改定で地山等級区分等の重要部分について は変更点を確認したが、排水工については影響が小 さいと考え細部まで変更点の確認を怠っていた。 95 【改善策】 変更点については、細部に至るまで対比表等を 作成し、新旧での変更内容及び変更の要旨を理 解した上で設計を進める。 社内の関係者との情報交換を密にして、常に最 新情報を得られる環境を整える。 96 道路・トンネル まとめ (1)「詳細設計照査要領」の運用と改善 ①確実な照査の実施 ・実際に照査可能な工程を計画し実施 ・プロジェクトにおける照査責任者に適切 な人材(熟練技術者)を選定し実施 ②照査要領のスパイラルアップ ・現在の照査要領に項目を追加し、詳述 97 (2)「詳細設計照査要領」以外での対応 ①社内分割業務の連携 ・コミュニケーション不足によるエラーが多い ・特に綿密な社内打ち合わせを行うことが重要 ②打合わせの結果、変更への対応 ・打合わせ記録簿は早急に作成し発注者に確認 ・重要な打ち合わせ時には、業務管理者が同席 98 ③関係資料の確認・照査 ・とくに貸与資料の照査を必ず実施し、 発注者へ報告 (既設計成果、測量及び地質調査成果等) ④担当技術者の経験及び知識不足 ・社員の技術教育訓練 ・エラー防止の啓蒙 99 (3)エラー防止対策事例 ①専属グループによる照査の実施 ・専門分野ごとに担当者が実施 ・第3者による新たなチェックが可能 ・照査専任者の責任・自覚が重要 ・社内人員構成、人材条件に左右され 体制づくりが難しい 100 ②定期的なグループ会議による 品質向上対策の実施 ・「ひやり・はっと」事例を報告 ・他社の成果で発見したエラーも報告 ・1週間単位で実施しており、エラーの途中 段階での修正が可能で、大事を防げる (※)このような対策会議は 短時間でも、継続的な実行が重要である 101 ■各種基準の改訂に関して ・道路構造令: ローカルルールの適用等 ・防護柵設置基準: 景観形成への配慮等 ・舗装設計: 性能設計の導入 改訂基準、新基準については、十分熟知 の上、設計を行っていくよう、注意が必要 と考えます。 102
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