資料 「環境を『力』にするビジネス」 ベストプラクティス集 (試案) 4 ベストプラクティス集作成の方向性 これまでの進捗 「環境を『力』にするビジネス」の事例のうち、先進事例として、 1.ビジネスモデルが先進的で独自性のあるもの 2.環境負荷低減効果、環境貢献が特に認められるもの 3.環境の取組が事業利益につながっているもの 4.ノウハウ・成功要因が明確かつ汎用性があるもの 5.阻害要因を克服しビジネスとして成功しているもの を中心に抽出。 抽出された事例についてヒアリング調査を実施。 <主なヒアリング内容> 1.ビジネス立ち上げの経緯 2.ビジネスの中核 3.環境負荷低減効果、環境貢献 4.事業の内容(先進性、独自性) 5.ノウハウ・成功要因 6.阻害要因の克服 7.事業実績、売上高の推移 8.今後の展開方策 2.3R関連ビジネスとして、 ・「業界初の廃棄物・再生資源電子取引市場から環境・リサ イクル専門商社へ」(株式会社リサイクルワン) ・「梱包用荷崩れ防止ベルトによる環境負荷低減、物流コス ト削減事業」(エコビズ株式会社) ・「業務用電子レンジ式生ゴミ処理機『DRY職人ミニ』」(株 式会社ジャパン・エンジニアリング・サプライ) ・「PCリサイクルからリスクマネジメント・コンサルティングへ」(株 式会社リーテム) ・「地上資源の再生からソリューション、新たな自然産業の創 出への展開」(アミタ株式会社) 文献等をもとに収集した事例の中から、以下に示す8事例を 先進事例として抽出。 <ビジネス分野別に> 1.温暖化関連ビジネスとして、 ・「世界最軽量の汎用小型風力発電機の開発」(ゼファー株 式会社) ・「『環境』『健康』にこだわった家づくり」(株式会社セイダイ) 3.自然再生・公害関連ビジネスとして、 ・「コンクリートと溶岩天然石を複合させた環境製品『ナチュ ロック』」(日本ナチュロック株式会社) 1 引き続き事例収集を継続し、ビジネスの中核、ノウハウ・成功 要因、阻害要因の克服等を抽出・整理し、ベストプラクティス 集を作成。 「環境を『力』にするビジネス」ベストプラクティス集の俯瞰図 (結果整理イメージ) ビジネスの中核 温暖化関連 ビジネス ○小型・高性能な家電 製品のものづくり技術を 応用した小型風力発電 機の製造技術 ○高気密・高断熱の住 宅建設技術 ・・・・・ ノウハウ・成功要因 項目 ノウハウ・成功要因 ノウハウ・成功要因 ノウハウ・成功要因 立ち上げ期 事業展開期 事業成長期 阻害要因 の克服 ○既存ビジネスの ○一般用市販の ○産学官の共同 ○諸外国のメー ○研究開発や設 環境ビジネスへの ためのブランド戦略。 プロジェクトチーム。 カーに模倣されな 備投資等で必要 応用 ○先進的企業へ ○省エネ住宅の必 い日本伝統のもの な資金をNEDO ○状況変化・ニー の問い合わせにより 要性を顧客に効果 づくり技術の活用。 補助事業で確保。 ズに迅速・適切に ノウハウ習得。 的に訴えた。 ○同業事業者の ○顧客の理解不 対応した事業展開 ・・・・・ ・・・・・ 理解促進のための 足をコミュニケーショ ○環境経営・環境 地区協議会発足。 ンで克服。 コミュニケーション ・・・・・ ・・・・・ の促進 3R関連 ビジネス ○IT技術、ネットワーク システム構築技術 ○梱包用荷崩れ防止ベ ルトの製造技術 ○電子レンジ(電磁波) の技術を応用した生ゴミ 処理機製造技術 ○金属系資源のリサイク ○優良顧客の存在 ○リサイクル業界は ○マッチングビジネ ○コンサルティング ○工数が余計にか ○効果的な連携 情報がブラックボッ スからコンサルティン ビジネスから事業 かる、レバレッジが ○環境面に限らな クスでるため、マッチ グサービスへ。 投資へ きかない等の状況 い展開 ングビジネスを開始。 ○リサイクル素材を ○売り切り型から からビジネスを転換。 ○第三者の評価 ○繰り返し使用可 用いることによるさ リース型、サービス ○経済産業省の ○ブランド戦略 能なベルトを開発 らなる環境負荷低 提供型へ 支援制度を活用 ル技術 ○産業廃棄物の再資源 化加工技術 ○環境の取組を推 ・・・・・ ・・・・・ ○リスク管理 減 ・・・・・ 進する人材の存 ・・・・・ 在・育成 ・・・・・ ・・・・・ 自然再生 ・ 公害関連 ビジネス ○コンクリートと天然石 ○自然景観と植 ○河川改修事業 ○さらにコンクリート ○溶岩の悪イメー の複合製造技術 物成長の観点から での引き合いが増 を一切使わない超 ジや、国の公共事 溶岩ブロックを開発 えたため、軽量製 軽量・超薄型の製 業における方針転 品を開発 品を開発 換等をブランド戦 ・・・・・ ・・・・・ 略や技術開発で ・・・・・ 2 ・・・・・ 克服 ・・・・・ 事業名:世界最軽量の汎用小型風力発電機 ・企業名:ゼファー株式会社(東京都) ・代表者:代表取締役社長 伊藤瞭介 ・設立日:1997年6月11日 ・資本金: 5億4,373万5,000円 ・売上高: - ・従業員数: 20名 ◆事業概要: ◆ビジネスの中核 風力、太陽光のハイブリッド発電システム等の小型風力発電機を製 造、販売。 ・小型・高性能な家電製品のものづくり技術を応用した小型風力 発電機の製造技術 1. OWLシリーズ 2.エアドルフィン プロ :風車と太陽電池を組み合わせ :最高のパフォーマンスをもつ次 たシステム 世代風車 ◆ノウハウ・成功要因 既存ビジネスの環境ビジネスへの応用 ・家電メーカー在籍時代の経験を小型風力発電機の開発に活用 技術活用による模倣されない製品開発。 ・諸外国のメーカーに模倣されないよう、日本の伝統的なものづく りの最先端技術を数多く盛り込んだ。 状況変化・ニーズに迅速・適切に対応した事業展開 ・日本の環境に合わない海外製品の輸入を止め、自社独自の開 発を決意。 効果的な連携 ・産学官の共同開発プロジェクトチームを立ち上げ。 ブランド戦略 ・機械的な名前でなく消費者受けするブランド名として“ゼファー” を商標登録。このネーミングが功を奏し、マスコミに多く取り上げ られた。 ・環境展示会などイベントへの出展。 ・定格出力:460~560w ・定格出力:1kW(12.5m/s) うち風力発電400w ・発電可能な風速: 2.5~50m/s (12.5m/s) ・超軽量設計: ・発電可能な風速:2.5~20m/s 1W当りの製品質量=17.5g ・低騒音設計: (大型風車のおよそ5分の1) 風速6.5m/s時の平均騒音レ ベル=32dB(従来型=62dB) ◆阻害要因の克服 ・研究開発や設備投資などで必要な多額の資金をNEDO補助事 業により確保。 3 事業名:「環境」「健康」にこだわった家づくり ・企業名:株式会社セイダイ(石川県) ・代表者:代表取締役社長 寺谷武史 ・設立日:1977年6月16日 ・資本金: 1,000万円 ・売上高: - ・従業員数: 5名 ◆事業概要 1. 住宅建設・リフォーム事業 :省エネ住宅にこだわり、石川県内の住宅会社では唯一の 「次世代省エネルギー基準適合住宅」評定取得会社 NEDOの省エネ住宅促進事業の認可を取得している石川 県唯一の企業 ◆ビジネスの中核 ・高気密・高断熱の住宅建設技術 ◆ノウハウ・成長要因 状況変化・ニーズに迅速・適切に対応した事業展開 ・これからは高気密・高断熱の家づくりが重要と考え、先進的な建 築会社への問い合わせ等によりノウハウを習得し事業展開。 優良顧客の存在 ・省エネ住宅の性能に満足した施主が新たな顧客を紹介。 第三者の評価 ・高い高気密・高断熱の性能を実現したことにより、後から制定さ れた国の建築基準「次世代省エネルギー基準」もクリアできた。 ・「いしかわ住宅リフォーム大賞」特別賞を受賞。 環境の取組を推進する人材の存在・育成 ・社長の省エネ住宅への強いこだわりを事業化。 ・先進的な建築会社で1年間ノウハウを学ぶとともに、従業員に対して も研修を依頼し実施。 効果的な連携 ・同業事業者の中でも次世代省エネルギー基準について知らな い業者が多数存在することから、「次世代省エネルギー基準適合 住宅」普及促進石川地区協議会を発足し理解促進に努める。 ブランド戦略 ・「住宅産業は地場産業」という理念のもと、顧客とのつながりを重視し、 情報誌や小冊子の発行、コンセプトショールーム開設、住まい塾の開 講等による省エネ住宅の様々な効果・効能の紹介、年1回のメンテナ ンス・アフターフォロー訪問等により、また施主から口コミ効果も手伝い、 顧客の省エネ住宅への理解が相乗的に広がり、「省エネ住宅ならセイ ダイ」との認知を獲得。 ◆阻害要因の克服 ・省エネ住宅の必要性を理解してくれる顧客は、はじめはほとんどいな かったが、顧客とのつながり重視の様々なブランド戦略により克服。 4 事業名:業界初の廃棄物・再生資源電子取引市場から環境・リサイクル専門商社へ ・企業名:株式会社リサイクルワン(東京都)・資本金: 8億1,000万円 ・代表者:代表取締役 木南陽介 ・売上高: 17億400万円(2007年11月期) ・設立日::2000年5月30日 ・従業員数:55名(2007年11月末現在) ◆事業概要 ◆ビジネスの中核 リサイクルワンは、「インターネット」・「最新の技術」・「先端 の情報」を組み合わせることで、今までにない「もっと新しい」 環境のあり方を考え、実現していきます。 ・IT技術、ネットワークシステム構築技術 ◆ノウハウ・成功要因 既存ビジネスの環境ビジネスへの応用 ・IT分野に長けた人材と、環境分野に長けた人材がタッグを組んで新 たなビジネスを創出。 状況変化・ニーズに迅速・適切に対応した事業展開 ・リサイクル業界は情報がブラックボックスであり、当時は排出事業者が 適切な事業者を選定できない環境だったため、排出事業者と処理事 業者のマッチングという前例のない新たなビジネスを開始。 優良顧客の存在 ・大手自動車メーカーの登録が、会員企業の大量獲得につながった ・新サービス開発につながる顧客企業が存在。 環境の取組を推進する人材の存在・育成 ・コンサルタント出身者と事業系会社出身者が多数在籍。 ・社内制度として「事業アイデア甲子園」を実施。 1.廃棄物・再生資源の電子取引市場の運営 ・マッチング ・再生資源の売買 2.環境関連調査・コンサルティング ・国、自治体、業界団体の調査研究 ・廃棄物管理、ゼロエミッション化コンサルティング ・アジアの国際循環に関する調査 3.事業化支援コンサルティング ◆阻害要因の克服 ・環境リサイクル事業の事業参入コンサルティング ・当初はマッチングビジネスで成長可能と考えていたが、処理困 難なものを少量ずつ扱うことが多く工数が余計にかかる等の状況 から、登録事業者向けのコンサルティングサービスを開始。 ・コンサルティングビジネスだけでは労働集約的でレバレッジがき かないため、VCからの出資をもとに事業投資を開始し、リスクの 少ないJV出資を通じて事業運営、工場運営のノウハウを学んだ。 4.環境対策事業 ・土壌汚染調査・除去工事 ・アスベスト調査・除去工事 5.カーボンオフセット事業 ・二酸化炭素排出権の売買 ・二酸化炭素削減コンサルティング 5 事業名:梱包用荷崩れ防止ベルトによる環境負荷低減、物流コスト削減事業 ・企業名:エコビズ株式会社(大阪府) ・代表者:代表取締役 澤地憲一 ・設立日:2006年8月 ・資本金: 4,000万円 ・売上高: - ・従業員数: - ◆事業概要 ◆ビジネスの中核 1.梱包用荷崩れ防止ベルト「グリーンエコベルト®」「エコビズベルト®」 ・梱包用荷崩れ防止ベルトの製造技術 :物流現場で使用されている荷崩れ防止用ストレッチフィルムの代替 品として、ポリエステルを用いた繰り返し使用可能な荷崩れ防止ベル ト「グリーンエコベルト」を開発。 その後、素材であるポリエステルについてもリサイクルする素材を用い た「エコビズベルト」を開発。 ◆ノウハウ・成功要因 状況変化・ニーズに迅速・適切に対応した事業展開 ・インキュベーション施設の管理運営が縁で荷崩れ防止用ベルトの紹 介があり、調査の結果、現在出回っているものは作業性が悪く結束力 も弱く、環境面で問題があることが判明し、グリーンエコベルトを開発。 ・ユーザー企業からさらなる環境負荷低減の要望を数多く受けたことか ら、素材をバージンのポリエステルからペットボトル再生品のポリエステル に切り替える製品改良に取り組むこととなり、エコビズベルトを開発。 優良顧客の存在 ・大手飲料メーカーへの導入をきっかけに多くの引き合い。 効果的な連携 ・製造委託先や取引銀行からの紹介や社長の個人的つながり等によ り、繊維製品リサイクル技術、RFID技術を有する企業、リース会社、 運搬会社との協力関係を構築。 リスク管理 ・受注生産を原則とし、共同口座(ロックアカウント口座)の開設、他 社の知的財産に抵触しないように先行技術調査の実施、同社の知 的財産保護等、事業運営上のリスクへの対処を怠らない。 ○コストメリット=1000回使用でコスト1/10に抑制可能 ストレッチフィルムの場合 1パレット85円×1000回使用=85,000円 グリーンエコベルトの場合 1パレット8500円×1000回使用=8,500円 (ベルトサイズは1100㎜×1100㎜パレット用、幅800㎜の場合) ◆阻害要因の克服 ○環境負荷低減効果(CO2排出量) =1パレットあたり1/580に抑制可能 ストレッチフィルムの場合 1本あたりCO2発生量7.9kg÷9.7パレット分使用可能=0.8kg グリーンエコベルトの場合 1本あたりCO2発生量1.38kg÷1000回使用可能=0.001388kg ・経済産業省のグリーンサービサイジング事業の支援により、数 年先の構想として考えていた売り切り型からリース型の新たなビ ジネスモデルへの転換を円滑に実施することができた。 6 事業名:業務用電子レンジ式生ゴミ処理機 「DRY職人ミニ」 ・企業名:株式会社ジャパン・エンジニアリング・サプライ(東京都) ・代表者:代表取締役会長 佐藤登 ・設立日:1998年2月20日 ・資本金: 1億4千万円 ・売上高: - ・従業員数: 8名 ◆事業概要 ◆ビジネスの中核 「食品リサイクル法」「ISO14000」シリーズによる生ゴミの減量化、 ゼロエミッションの完成を目指し、新たに開発された生ゴミ処理機 の開発・販売。 ・電子レンジ(電磁波)の技術を応用した生ゴミ処理機製造技術 ◆ノウハウ・成功要因 既存ビジネスの環境ビジネスへの応用 ・化学メーカー在籍時代の経験と新規事業開発の経験を小型生ゴミ 処理機の開発に活用。 ・電子レンジの技術を応用し、電磁波により生ゴミ中の水分を除去す る画期的な技術を開発。バイオ方式の弱点を克服。 状況変化・ニーズに迅速・適切に対応した事業展開 ・当時の生ゴミ処理機は効率が悪く普及していなかった中で、食 品リサイクル法等により生ゴミ処理機は今後成長が期待できる分 野と考え、自ら高性能の生ゴミ処理機の開発に着手し成功。 優良顧客の存在 ・VC主催パーティーで知り合った社長に依頼し、大手コンビニチェーン へ試験導入を行った結果、導入先での評判が良く、その大手コンビニ チェーン向けに本格導入されることとなり、さらに宣伝効果を生んだ。 ・同時にメーカーとのOEM契約、代理店契約にもつながった。 ○業務用生ゴミ処理機 「DRY職人ミニ」 ・電磁波による直接加熱で 水分を蒸発、除去 ・食品残渣・生ゴミを大幅に 減量 ・最大4kgを約90分で処理 ・全自動簡単操作 ・クリーンな仕上り、臭いが少 ない、CO2も発生なし ・電気代、ランニングコストの 負担が少なく、経費を削減 ・コンパクトサイズで設置場 所をとらない・米類・油系の 処理も可能 ◆阻害要因の克服 ・最初に製品化した20Lサイズ処理機はサイズが大きいためコン ビニや外食店舗に売れなかったため、小型化した10Lサイズの 製品を開発。当初は製造拠点を持っていなかったため、製造・販 売体制確立に向け、県より大手家電メーカーを紹介してもらい、O EM契約等取引に関する基本契約を取り付けて製造・販売を行っ た。 7 事業名:PCリサイクルからリスクマネジメント・コンサルティングへ ・企業名:株式会社リーテム(東京都) ・代表者:代表取締役 中島彰良 ・設立日:1909年創業、1951年6月設立 ・資本金: 3,600万円 ・売上高: 24億5130万円(2007年3月期) ・従業員数: 150名 ◆事業概要 ◆ビジネスの中核 1. 廃棄物処理・リサイクル事業 :PC等電子電気機器・情報機器をはじめとする廃棄物からの金属 系資源のリサイクル事業を東京工場、水戸工場で展開 ・金属系資源のリサイクル技術 ◆ノウハウ・成功要因 状況変化・ニーズに迅速・適切に対応した事業展開 ・破砕くずから鉄と銅を分離する機械の性能が良かったことから、パソコ ン等の基盤に含まれる金属も再利用できると考え、試作品の品質検 査を経て、パソコン等の回収に本格的に着手。その後もPCからの非 鉄金属抽出技術を改良し、マテリアルベースでゼロエミッションを達成。 ・表彰をきっかけに社内で環境への関心が高まり、また金属相場に左 右されない経営形態を目指し、廃棄物リサイクル事業に本格着手。 ・パソコンメーカーからの依頼によりパソコン梱包材の回収システムを開 発したところ、他社からの引き合いがあったことからサービス提供開始。 ・これをきっかけに、企業向けに廃棄物処理・リサイクルに関するコンサ ルティングサービスを開始。 環境経営、環境コミュニケーションの促進 ・ISO14001等の取得、環境報告書作成を自前で取組み、より 効率的な運用を目指し独自の統合システムRISMを開発・運用。 顧客の要望により新たなコンサルティングサービスを提供。 優良顧客の存在 ・日立製作所とのつながりが非鉄金属リサイクル事業の牽引役となった。 効果的な連携 ・物流コスト・エネルギー削減のため、リサイクルの全国ネットワー クJ・RICを立ち上げ。(現在、31事業者51拠点が登録) 2. リユース事業 :電子電気機器・情報機器などに含まれる再利用可能な部品を取 り出して新製品に組み込み再利用 3. コンサルティング事業 :廃棄物処理・リサイクル事業で得られた知見をもとに、事業者向け のコンサルティングや調査研究、セミナー等を実施 ◆阻害要因の克服 ・金属相場に左右されないように、金属価格が高いときには金 属リサイクルで収益を出し、金属価格が低いときは廃棄物リサ イクルで収益を出すビジネスモデルを構築。 8 事業名:地上資源の再生からソリューション、新たな自然産業の創出への展開 ・企業名:アミタ株式会社(東京都) ・代表者:代表取締役社長 熊野英介 ・設立日:1977年4月1日 ・資本金: 4億7059万9890円 ・売上高: 33億9688万円(2007年12月期)※9ヶ月間 ・従業員数: 167名 ◆事業概要 ◆ビジネスの中核 1. 地上資源事業:廃油、含油汚泥、廃溶剤などの廃棄物を複合・ 均一化してスラリー状にした代替燃料「スラミックス」をはじめ、 廃棄物・処理困難物からセメント原料、金属原料などのリサイ クル製品を製造・販売。 素材産業の製造工程に注目し、さまざまな非鉄金属やセメント の原料に転換できる廃棄物を「原料」として流通。 ・産業廃棄物の再資源化加工技術 ◆ノウハウ・成功要因 状況変化・ニーズに迅速・適切に対応 ・メーカーサイドにおける環境貢献・社会貢献意識の高まりととも に、どのような取組をすればよいのかという相談を受ける機会も 増えたため、ソリューション系事業への展開を図った。 ・資源の枯渇を未然に防ぐ観点から一次産業への取組も必要と 考え、FSC森林認証事業やMSC漁業認証事業を開始。 ・自然資源と地域経済の再生を狙いとし、次世代の循環型社会に おける採算モデルの確立を目指し、自然産業創出事業を開始。 環境の取組を推進する人材の存在・育成 ・経営トップが「100%再資源化」「次世代循環型社会における採算モ デルの確立」等のコンセプトを明確に発信し、社員の意識を醸成。 ・資源循環ビジネスは原材料となる廃棄物がなければ成り立たな いビジネスモデルであり、環境システムの持続可能性の観点から は望ましくないため、サービス産業へのシフトが必須と考えた。 ・ソリューション系事業の競合企業が多数集中する環境に身を置くこと で新規事業のヒントを得るとともに、マネジメントの改善にもつなげた。 2. ソリューション事業:森林認証・漁業認証やCSRコンサルティングの ほか、廃棄物・リサイクルガバナンス体制構築サポート、廃棄物リス ク診断サービスなどのコンサルティング。 メーカーサイドからの相談に応えつつ、ソリューション事業を展開。 3. 自然産業創出事業:地域再生・自然再生や持続可能な経済社 会の創生に向けた調査研究のほか、自らバイオガス発電や森林酪 農などの事業を展開。 経営トップの「次世代循環型社会における採算モデルの確立」とい うコンセプトの具現化を目指す。 ◆阻害要因の克服 ・原材料の価格高騰が進む中、安価で品質のよい原材料を調達 できないか検討し、廃材を回収して精製業者に卸す資源循環ビジ ネスを開始。当初は廃棄物を元手に製品を作ることの抵抗感が 業者にあったが、原材料の価格高騰で徐々に理解が浸透。 ・中間処理のみでは成長が見込めないと考え、さらに廃材の10 0%再資源化のため、処理工場を建設。 9 事業名:コンクリートと天然石を複合させた環境製品「ナチュロック」 ・企業名:日本ナチュロック株式会社(東京都) ・代表者:代表取締役社長 佐藤俊明 ・設立日:1987年12月 ・資本金: - ・売上高: - ・従業員数: - ◆事業概要 コンクリートと天然石を複合させた環境製品「ナチュロック」 を開発。 1. ナチュロック多孔質環境ブロック :天然石とブロックが一体化した環境ブロック ◆ビジネスの中核 ・コンクリートと天然石の複合製造技術 ◆ノウハウ・成長要因 状況変化・ニーズに迅速・適切に対応した事業展開 ・コンクリートブロックが自然景観破壊につながるとの危惧、多孔 質天然石が植物の成長に有効との理解から、コンクリートブロック 表面に溶岩等の天然石を貼り込み一体化させる技術を確立し、コ ンクリートと天然石の複合素材・製品(溶岩ブロック)を開発。 ・ビオトープの取組が日本で広まり、河川改修事業での引き合い が増えた一方、溶岩ブロックの重量などが施工面で課題となった ので、溶岩ブロック開発技術を応用し、コンクリートの護岸を解体 することなく修景が可能な軽量製品を開発。輸送の手軽さ、施工 の容易さから受注増。 ・その後、国土交通省がコンクリート製品を極力使わない河川護 岸づくりに着手したことから売上が激減したため、溶岩ブロック開 発技術をさらに応用し、コンクリートを一切使わず折り曲げ加工が 可能な超軽量・超薄型の製品を開発。 ・壁面緑化推進の動きから、首都高速のリニューアル工事で採用。 環境の取組を推進する人材の存在・育成 ・社長が自らの自然体験と知見を踏まえ環境の取組に着手。 第三者の評価 ・当初景観面で高く評価され、徐々に環境面でも評価されるように なった。環境NGO、環境市民団体、国際会議からも高い評価。 ブランド戦略 ・溶岩のイメージ払拭のため、溶岩と呼ばず多孔質天然石と呼び、 天然石を意識させる「ナチュロック」というネーミングを採用。 2. ナチュロックビオボード :生態系を育成する薄型、軽量の多孔質環境天然石複 合コンクリートボード 3. ナチュロックビオフィルム :軽量、薄型の基盤をベースに多孔質天然溶岩石を複合 した土木環境リフォーム資材 ○施工事例 ◆阻害要因の克服 ・溶岩の持つイメージや、国の公共事業における方針転換等、事 業を阻害する要因を、ブランド戦略や、コンクリート表面への天然 石貼り込みの技術をコアとする迅速な技術開発で克服してきた。 10
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